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VS聖騎士
死霊術士ギルドでの作戦会議
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・死霊術士ギルドでの作戦会議
あれからの事後処理というものが思いのほか大変な事になりそうだということがわかった。
まずは、裸になってしまったサラの処理である。ギャラリーの人々は何が起こったか理解が及ばず、ざわめき混乱していた。その混乱からいち早く抜け出し、行動できたのが他ならぬタンポポであった。外套を着せて、傍らにいたエリザベスに保護を任せた。何をしたのかはわからないが、エリザベスが何かを掲げるとすぐさま迎えの馬車が来た。その後のことはまだ、何もわかっていない。わかっていないが、サラは貴族であり聖騎士なのである。
貴族の年頃の娘が人前で全裸にさせられたというのは外交的によろしくない。サラ本人が何と説明しようとも、直前に訪れていた死霊術士ギルドへと何らかの責任問題が持ち上がるかもしれない。貴族達の話し合いになるだろう。
聖騎士が死霊に負けたというのは貴族が人前で全裸に剥かれたという問題よりも大きなものらしい。どうやら、俺が壊した剣と鎧は神がつくりだした、絶対に壊れない人類の最強の武器と防具というものらしい。つまり、俺は必殺の一撃を受け止め、あまつさえ反撃して鎧を壊した危険な死霊という事になるようだ。聖騎士は対死霊、対魔族に対しての最大戦力になる。それが死霊にやられてしまったとなると……他の聖騎士たちが黙っていないかもしれない。
「ヤクモ様……規格外、規格外だとは散々思っていましたが、まさかここまで規格外だとは思いもよりませんでしたよ」
「なぁ、わしらこれ、どうやってヤクモ様を成仏させればいいんじゃろうな? 最後の最後の最後の手段として聖騎士に弱らせてもらうなんていうのも考えておったが」
「一応聞いとくけど、調子は?」
「いたって普通、何にも変わらない」
今後、どう動くべきなのか、死霊術士ギルドの面々が帰って来てすぐに相談したのだが、状況はかなり悪いという事だけしかわからなかった。
「えっと……とりあえず、このままだとここに聖騎士が押しかけて全力で俺を倒そうとするかもしれない。悪いと聖騎士長などの上の役職、もっというと聖女なんかもでてくるかもしれないと……何にしてもエリザベスは暫く死霊術を習いにこれないかもしれない……とこんな感じか?」
「聖騎士関係はその認識で間違っていないと思います。貴族関係は正直、ボクたちでは全く読めなくてですね……」
「悪いようにはならないはずなんですよ。死霊術士ギルドは必要だからあるわけですしね……なくなると困る人がいるのでなくなりはしません」
なくなりはしない……裏を返せば縮小などはあり得るかもしれないということなのだろう。それが永続なのか、それとも一時的なものになるのかは……マドラーでもわからないのだろう。
「なので、こちらから先に手を打とうと思います。タンポポ」
「え、は、はいっ」
マドラーが厳しい目つきでタンポポをしっかりと見据えながら厳しい口調で告げる。
「あなたを死霊術士ギルドから追放します。いわゆるクビというものですね」
「まぁ、仕方ないじゃろうなぁ」
「……アタイたちは夜の見回り行ってくるぜ」
「えっ……えぇぇ?! あの、えっと、えぇっと……」
アカシアとマーレットが夜の見回りをするためにギルドの外へ出ていく。あの2人もこれから何が行われるかわかっているのだろう。
唯一、察せていないタンポポは驚いてしっぽを大きくして、何かを言おうとしたが、何も思いつかなかったのかそのまま口を閉じてしまう。
「マドラー、それは外面的な話だろう?」
「はい、もちろんそうですよ。タンポポにはヤクモ様をつれて暫くどこか身を潜めてもらいたいんです。幸いなことに……ヤクモ様は普通の人には見えないので、結局あの後、聖騎士の一撃による攻撃が元で消滅したということにしておきます」
「それで、俺を見つけて来たタンポポをクビという形で追放したということにして死霊術士ギルドはそれ以上、かかわりがないことをアピール。その後ことは知らぬ存ぜぬ」
「時折どこからか送られてくる論文には正当な報酬を払いますし……珍しい死霊の観察日記なら我々全員で貴重な資料として扱わせていただきます」
「……エリザベスの努力の行方だけが気になる所ではあるけど、しかたないか」
どこの世界でも責任の取り方は似たようなモノらしい。そして、逃れ方も似たような方法になるようだ。末端は出来るだけ情報を知らない方がいい。タンポポがクビになったという事実だけを知っていればいいので率先して2人は見回りに行ってくれたのだろう。タンポポもここまで話してようやく合点がいったようで、自室へと戻ってどったんばったんと色々ひっかきまわす音が聞こえてくる。
「あの子なら大丈夫でしょう。それとなく真実を伝えておくことにします。幼くても大人の中で生きて来た子ですから察しも良いと思いますし」
「いや、そうじゃなくて……死霊術のな? 俺がいなくなったのも怒るとは思うが」
「えぇ、だから消えてないという事だけを伝えれば大丈夫なんです。次はいつになるかはわからないですけど……椅子にされる準備はしておいた方が良いかもしれませんよ」
なるほど、俺を椅子にしたいというのが原動力だから俺が消えていないこと画だけを伝えれば大丈夫ということなのだろう。
「はぁ、はぁ……お待たせしました。えっと、今までお世話になりました」
タンポポが大荷物を持ってやってくる。衣服の類は少ないようでほとんどは本や論文に使うものだというのが見て取れる。
「夜ならぎりぎり飛んでも大丈夫だろう。目的地は決まってるのか?」
「はいっ……ぼ、ボクの実家へ行こうかと」
目指すはタンポポの実家。初めての遠出にヤクモは内心楽しみになっていた。
あれからの事後処理というものが思いのほか大変な事になりそうだということがわかった。
まずは、裸になってしまったサラの処理である。ギャラリーの人々は何が起こったか理解が及ばず、ざわめき混乱していた。その混乱からいち早く抜け出し、行動できたのが他ならぬタンポポであった。外套を着せて、傍らにいたエリザベスに保護を任せた。何をしたのかはわからないが、エリザベスが何かを掲げるとすぐさま迎えの馬車が来た。その後のことはまだ、何もわかっていない。わかっていないが、サラは貴族であり聖騎士なのである。
貴族の年頃の娘が人前で全裸にさせられたというのは外交的によろしくない。サラ本人が何と説明しようとも、直前に訪れていた死霊術士ギルドへと何らかの責任問題が持ち上がるかもしれない。貴族達の話し合いになるだろう。
聖騎士が死霊に負けたというのは貴族が人前で全裸に剥かれたという問題よりも大きなものらしい。どうやら、俺が壊した剣と鎧は神がつくりだした、絶対に壊れない人類の最強の武器と防具というものらしい。つまり、俺は必殺の一撃を受け止め、あまつさえ反撃して鎧を壊した危険な死霊という事になるようだ。聖騎士は対死霊、対魔族に対しての最大戦力になる。それが死霊にやられてしまったとなると……他の聖騎士たちが黙っていないかもしれない。
「ヤクモ様……規格外、規格外だとは散々思っていましたが、まさかここまで規格外だとは思いもよりませんでしたよ」
「なぁ、わしらこれ、どうやってヤクモ様を成仏させればいいんじゃろうな? 最後の最後の最後の手段として聖騎士に弱らせてもらうなんていうのも考えておったが」
「一応聞いとくけど、調子は?」
「いたって普通、何にも変わらない」
今後、どう動くべきなのか、死霊術士ギルドの面々が帰って来てすぐに相談したのだが、状況はかなり悪いという事だけしかわからなかった。
「えっと……とりあえず、このままだとここに聖騎士が押しかけて全力で俺を倒そうとするかもしれない。悪いと聖騎士長などの上の役職、もっというと聖女なんかもでてくるかもしれないと……何にしてもエリザベスは暫く死霊術を習いにこれないかもしれない……とこんな感じか?」
「聖騎士関係はその認識で間違っていないと思います。貴族関係は正直、ボクたちでは全く読めなくてですね……」
「悪いようにはならないはずなんですよ。死霊術士ギルドは必要だからあるわけですしね……なくなると困る人がいるのでなくなりはしません」
なくなりはしない……裏を返せば縮小などはあり得るかもしれないということなのだろう。それが永続なのか、それとも一時的なものになるのかは……マドラーでもわからないのだろう。
「なので、こちらから先に手を打とうと思います。タンポポ」
「え、は、はいっ」
マドラーが厳しい目つきでタンポポをしっかりと見据えながら厳しい口調で告げる。
「あなたを死霊術士ギルドから追放します。いわゆるクビというものですね」
「まぁ、仕方ないじゃろうなぁ」
「……アタイたちは夜の見回り行ってくるぜ」
「えっ……えぇぇ?! あの、えっと、えぇっと……」
アカシアとマーレットが夜の見回りをするためにギルドの外へ出ていく。あの2人もこれから何が行われるかわかっているのだろう。
唯一、察せていないタンポポは驚いてしっぽを大きくして、何かを言おうとしたが、何も思いつかなかったのかそのまま口を閉じてしまう。
「マドラー、それは外面的な話だろう?」
「はい、もちろんそうですよ。タンポポにはヤクモ様をつれて暫くどこか身を潜めてもらいたいんです。幸いなことに……ヤクモ様は普通の人には見えないので、結局あの後、聖騎士の一撃による攻撃が元で消滅したということにしておきます」
「それで、俺を見つけて来たタンポポをクビという形で追放したということにして死霊術士ギルドはそれ以上、かかわりがないことをアピール。その後ことは知らぬ存ぜぬ」
「時折どこからか送られてくる論文には正当な報酬を払いますし……珍しい死霊の観察日記なら我々全員で貴重な資料として扱わせていただきます」
「……エリザベスの努力の行方だけが気になる所ではあるけど、しかたないか」
どこの世界でも責任の取り方は似たようなモノらしい。そして、逃れ方も似たような方法になるようだ。末端は出来るだけ情報を知らない方がいい。タンポポがクビになったという事実だけを知っていればいいので率先して2人は見回りに行ってくれたのだろう。タンポポもここまで話してようやく合点がいったようで、自室へと戻ってどったんばったんと色々ひっかきまわす音が聞こえてくる。
「あの子なら大丈夫でしょう。それとなく真実を伝えておくことにします。幼くても大人の中で生きて来た子ですから察しも良いと思いますし」
「いや、そうじゃなくて……死霊術のな? 俺がいなくなったのも怒るとは思うが」
「えぇ、だから消えてないという事だけを伝えれば大丈夫なんです。次はいつになるかはわからないですけど……椅子にされる準備はしておいた方が良いかもしれませんよ」
なるほど、俺を椅子にしたいというのが原動力だから俺が消えていないこと画だけを伝えれば大丈夫ということなのだろう。
「はぁ、はぁ……お待たせしました。えっと、今までお世話になりました」
タンポポが大荷物を持ってやってくる。衣服の類は少ないようでほとんどは本や論文に使うものだというのが見て取れる。
「夜ならぎりぎり飛んでも大丈夫だろう。目的地は決まってるのか?」
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