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旅路
矛はSSS1
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シーダと一緒に山を降りる途中、例の死屍累々の現場でシーダがあいつらを弔うから待っていろと言って、墓穴を掘りだした。私も亡骸に洗浄魔法をかけて仏式にお経を心の中で唱えて、その様子を見詰めていた。
私の祈りは神に祈るものではない。人を想って祈るものだ。
大きく掘った穴に遺体を下ろして埋めていった。埋め終わった後に再び目を瞑り、心の中で合掌した。
シーダが私の体に洗浄魔法をかけてくれた。合掌を終えて立ち上がろうとした私に手を差し出してくれたので、手を出すと私の手を握ったまま山を降りて行ってしまった。完璧に手を離すタイミングを逃した…
という訳で、どこのバカップルだ状態で、首都のカリカントに向けて街道を歩き始めると…荷馬車や旅行者、冒険者っぽい一行などが歩いていて結構賑わっている道に出て来た。
「こういう人が多い方が変な奴が現れなくて助かるんだ」
「なるほど…」
シーダの言う変な奴とは襲って来たアイツらのことだろう。人目につく所では襲ってこない…ということは自分達がシーダを襲っているということがバレたくないということなのだろう。
シーダを襲うことが疚しいということは、あいつらが悪者だな!そうなら気に病んでも仕方ないね。
そろそろ街道を抜けて首都の入口、検問所がある。私は検問の兵士にアイデーカードを取り出して見せた。シーダは腕のブレスレットを見せている。
「これは…どうぞお通り下さい!」
ビシッと敬礼までされる。
「いや~トリプルスター様は違いますねぇ~」
「いやいや、奇跡の使い手様のお力でしょう?」
軽口を叩きながらまずは私の用事、世界治療術師協会のカリカント支部に向かう。公所の横にあるこぢんまりとした建物に入って行くと、白髪のおじ様が顔を上げた。
「おやララーナさん、アザベル村の治療は終わりましたか?」
カリカント支部のモスロンさんと顔見知りの事務員さんが、手を挙げて挨拶をしてくれる。
「はい、今は急ぎの治療要請は出てますか?」
「今のところは大丈夫ですよ」
私はモスロンさんにアイデーカードを差し出した。モスロンさんは受け取ると魔術読み取りの装置の上に置いている。
「はい、治療明細の描き写し完了しました。今月分の活動費も今お渡ししましょうか?」
「はい、お願いします」
活動費とは奇跡の使い手は治療術師の中でもほんの一握りしかいない最高位術師だ。活動費という名目で支部のある国から支援金が送られてくる。勿論、国の有事の際にはその治療術を存分に奮って貰いたいとなるわけだ。
基本、奇跡の使い手は世界を跨いで活動出来る。しかし国家間のいざこざ…つまりは戦争など起こった時には奇跡の使い手の助力が欲しい。しかし世界治療術師協会を経由して打診しても協会は『中立』。国の戦争には加担しないのが決まりだ。
そう言う訳で奇跡の使い手は直接、国の子飼いになってしまう術師が多い。子飼いになる経緯は金であったり、脅しであったり…とてもダークな部分が多いと聞く。生憎と私はお金では動かないし脅すにも私は1人だ。自分の身は自分で守れるし、脅しに使われる材料(弱み)も無い。
という訳で私は世界治療術師協会にとっては、珍しい協会専属の奇跡の使い手となっている訳だ。物凄く大切に扱われているのも知っている。
まあそれはそれとして、今モスロンさんの視線が私の後ろの大きなシーダを見ているのに気が付いている。モスロンさんが聞きたくて聞きたくてソワソワしているのも知っている。
「ララーナさん…」
辛抱溜まらずモスロンさんが聞いてきた。すると…
「失礼、シーダ=クラィツラーだ。冒険者ギルドでSSSランクに属している」
とシーダさん自らが自己紹介をしてきましたよ?!勿論、モスロンさんも驚いて事務所内に居る皆も、びっくりしてこちらに注目している。まあ、SSSなんてそうそうお目にかかれるランクの人じゃないものね。
シーダは左手首のブレスレットを見せている。
「虹色のっ!」
「わあっ…すごい」
え~と男子?の歓声が上がります。やはり男の人って俺つえぇぇ!が好きなんだろうか?シーダの周りに事務員の皆様が集まって来る。ほらほら、これが生SSS様ですよ~あ、お触りは禁止ね?どうだ、どうだ?生SSSのイケメン様いいでしょう!?
暫く皆様にもみくちゃにされていたシーダは私をチラリと見てから
「あ…それで奇跡の使い手の護衛騎士の手続きってどうやればいいの?」
とモスロンさんに聞いた。ええっ?驚いてシーダの顔を見上げるとニヤリと笑い返された。
「暫く一緒に旅に出てもいいか?と聞いただろう…お前の許可は取ったはずだが?」
暫く一緒…は言ったけどっ護衛騎士は聞いてないよ!?いや、そもそも最初に護衛騎士になりませんか?と声をかけたのは私だけど?え?もう訳分らん!
私がオロオロしている間にモスロンさんは大喜びで任命書を作り始めちゃった!?
本来なら、護衛騎士は誰でもなれるものではない。貴重な奇跡の使い手の命を守れるだけのある技量と丹力があるのかを協会側が審査して初めて任命となる。
だがシーダは冒険者ギルドのSSSクラスだ。Sクラス以上なら審査をすっ飛ばして即任命出来る。そう思って私もシーダをその場でスカウトした訳だが…自分の思惑以外で物事が進むのがぁ…まあいいけど。
「シーダぁ…」
「何だ?」
私はシーダを見上げた。
「本当にいいのですか?前にチラッと言ったけど私、結構貧乏っていうか…無医村とかを重点的に回る活動をしていて、危険なうえに実入りは少ないから私個人からそんなにお給金渡せないのですけどぉ…」
申し訳なくて声が小さくなる。チラチラ…とシーダを見るとシーダはまた天井を見ていた。貧乏って聞いて参ったな~と思っているとか?
「あ、あの…ゴメンなさい。無理には言わないから…あのやっぱり取りやめに…」
私はモスロンさんの方へ近づこうとすると、シーダが私の頭をグイーッと押し戻した。そして大きな手で私の頭を撫でまわす。な、何だ?
「フフッ…大丈夫だ。俺を誰だと思ってるんだ?世☆界☆最☆強だぜ!」
いやいや、世界一強いとかは関係なくてですねぇ~貧乏底なしといいますかぁ~
…
……
すぐに私の護衛騎士の任命が済んでしまった。書類一枚ってお手軽だね!ってそういうことでもなくってだね!
今…私は冒険者ギルドの中にお邪魔しています。被っていたフードを下ろして何か手続きをしているシーダを待つ間、依頼書なるものが張っている壁を見ている。
「おねーさん、依頼受けるの?」
真横で声がしてびっくりして顔を上げると、茶色の切れ長の瞳の私と近い年頃の男の子が笑っていた。
「あ、いえ…人を待っていまして」
と、受付に居るシーダの後ろ姿を指差した。するとその男の子は、ぎゃっと小さく悲鳴を上げた。
「シーダ兄ぃのツレなの…!?あ…あぁ…そうなんだぁ…」
何だかすごくショックを与えてしまった?みたいで少し後退りをしている彼の所にシーダが近付いて来た。
「待たせ…おいっリコイーダ何してんだ」
「な…にも、シーダ兄ぃ…シーダ兄ぃは全ての花を持って行ってしまうのかぁ…」
「ん?」
何だろう…。何かごにょごにょ言いながら男の子は小走りに去って行った。
「何だアレ…ああ、そうだこれ見てみろよ」
そう言ってシーダは何か用紙を私に見せてきた。何々?ん?ランクSSS、シーダ=クラィッラー様、預金残高証明書……なにこれ?ナニコレぇ!?
預金残高のゼロが何個あるの?
1、2、3、4、5、6、7、8、9…眩暈がした。ちょっとした小国の国家予算くらいの金額だった。
「な~これが俺の預け入れ額。見て分かると思うけど金に困ってねぇから。俺の給金の心配しなくていいって。それと魔術師協会のおっちゃんが言ってたけど、護衛騎士も協会から護衛費が出るんだってさ。それに俺、SSSだろ?協会としては冒険者ギルドに奇跡の使い手の派遣を行えるように業務提携したいみたいで…俺とララーナが試験的にやってみないかだって」
え?ええ?何それ?
シーダにギルドの事務所の奥の関係者以外立ち入り禁止!と書かれた看板の廊下の奥へと連れて行かれてしまった。
事務所の奥にはギルド支部長です!と自己紹介しながら笑っているおじさんがいて、説明を受けることになった。
「ご存じかもしれないけど、奇跡の使い手は数が少ないよね」
「そうですね」
「おまけに使い手の試験に合格した後は、大体がどこかの団体に所属してしまうのが定番だ」
どこかの団体…言い得て妙だ。国とか大貴族とか商人とか…後は闇の組織とかだ。
「我々とて奇跡の使い手の助力を頂きたい案件はやまほどある!今冒険者ギルドの所属しているのはよぼよぼのご老体が1名だけだ!…という訳で現役の奇跡の使い手、ララーナ=レイジアンテ嬢に是非ともご協力を頂きたいのです!」
支部長とシーダに押し切られるように今度はギルドの受付カウンター前に連れて行かれた。
「ヤダ!」
「ララーナ、我儘言うなよ…」
「我儘じゃないよっ!」
何で私が冒険者ギルドで冒険者登録しなくちゃいけないのよぉ…しかも冒険者に登録したら自動的に口座を作ることになるんだもん!誰が年会費払うんだよ?私だよ…勿体ないじゃない!
「ララーナの年会費は俺が払ってやるから」
「…分かったわ。それなら構いません」
シーダにすっごく残念な顔で見られているけれど、当然じゃない?貧乏人からお金毟り取ろうなんて…誘ったシーダが払うのが筋ってものでしょう?
「はい、ご登録ありがとうございました。預金は今されますか?」
受付のお姉さんに冒険者レベルEクラスの土色のブレスレットを頂くと、左手手首にはめた。そして渋々リュックサックの中から金貨2枚を出して預金してもらった。
痛い出費だ。まあ手数料は兎も角、確かに預金しておけば自分に何かあっても預金は守られる。
「おい、緊急連絡先は俺にしておけ」
え?そんな制度があるの?シーダが言うと受付のお姉さんは、素早く手続きをしてしまった。そしてやれやれ解放された…と思って溜め息をついた私の背中を叩いてシーダがニヤニヤしながら言った。
「晴れて冒険者の仲間入りだな!よしっ今度一緒にブルードラゴンの討伐に行こうぜ!」
「ド…ッ!?ドラゴンなんてやめてよっ!絶対行かないからっ!」
とか…言ってたんだけどさ~この半日後に、エスペランテドラゴンって言っていうドラゴンの討伐をお願いされちゃったのよ…私、明日はちゃんと生きてるかなぁ…
私の祈りは神に祈るものではない。人を想って祈るものだ。
大きく掘った穴に遺体を下ろして埋めていった。埋め終わった後に再び目を瞑り、心の中で合掌した。
シーダが私の体に洗浄魔法をかけてくれた。合掌を終えて立ち上がろうとした私に手を差し出してくれたので、手を出すと私の手を握ったまま山を降りて行ってしまった。完璧に手を離すタイミングを逃した…
という訳で、どこのバカップルだ状態で、首都のカリカントに向けて街道を歩き始めると…荷馬車や旅行者、冒険者っぽい一行などが歩いていて結構賑わっている道に出て来た。
「こういう人が多い方が変な奴が現れなくて助かるんだ」
「なるほど…」
シーダの言う変な奴とは襲って来たアイツらのことだろう。人目につく所では襲ってこない…ということは自分達がシーダを襲っているということがバレたくないということなのだろう。
シーダを襲うことが疚しいということは、あいつらが悪者だな!そうなら気に病んでも仕方ないね。
そろそろ街道を抜けて首都の入口、検問所がある。私は検問の兵士にアイデーカードを取り出して見せた。シーダは腕のブレスレットを見せている。
「これは…どうぞお通り下さい!」
ビシッと敬礼までされる。
「いや~トリプルスター様は違いますねぇ~」
「いやいや、奇跡の使い手様のお力でしょう?」
軽口を叩きながらまずは私の用事、世界治療術師協会のカリカント支部に向かう。公所の横にあるこぢんまりとした建物に入って行くと、白髪のおじ様が顔を上げた。
「おやララーナさん、アザベル村の治療は終わりましたか?」
カリカント支部のモスロンさんと顔見知りの事務員さんが、手を挙げて挨拶をしてくれる。
「はい、今は急ぎの治療要請は出てますか?」
「今のところは大丈夫ですよ」
私はモスロンさんにアイデーカードを差し出した。モスロンさんは受け取ると魔術読み取りの装置の上に置いている。
「はい、治療明細の描き写し完了しました。今月分の活動費も今お渡ししましょうか?」
「はい、お願いします」
活動費とは奇跡の使い手は治療術師の中でもほんの一握りしかいない最高位術師だ。活動費という名目で支部のある国から支援金が送られてくる。勿論、国の有事の際にはその治療術を存分に奮って貰いたいとなるわけだ。
基本、奇跡の使い手は世界を跨いで活動出来る。しかし国家間のいざこざ…つまりは戦争など起こった時には奇跡の使い手の助力が欲しい。しかし世界治療術師協会を経由して打診しても協会は『中立』。国の戦争には加担しないのが決まりだ。
そう言う訳で奇跡の使い手は直接、国の子飼いになってしまう術師が多い。子飼いになる経緯は金であったり、脅しであったり…とてもダークな部分が多いと聞く。生憎と私はお金では動かないし脅すにも私は1人だ。自分の身は自分で守れるし、脅しに使われる材料(弱み)も無い。
という訳で私は世界治療術師協会にとっては、珍しい協会専属の奇跡の使い手となっている訳だ。物凄く大切に扱われているのも知っている。
まあそれはそれとして、今モスロンさんの視線が私の後ろの大きなシーダを見ているのに気が付いている。モスロンさんが聞きたくて聞きたくてソワソワしているのも知っている。
「ララーナさん…」
辛抱溜まらずモスロンさんが聞いてきた。すると…
「失礼、シーダ=クラィツラーだ。冒険者ギルドでSSSランクに属している」
とシーダさん自らが自己紹介をしてきましたよ?!勿論、モスロンさんも驚いて事務所内に居る皆も、びっくりしてこちらに注目している。まあ、SSSなんてそうそうお目にかかれるランクの人じゃないものね。
シーダは左手首のブレスレットを見せている。
「虹色のっ!」
「わあっ…すごい」
え~と男子?の歓声が上がります。やはり男の人って俺つえぇぇ!が好きなんだろうか?シーダの周りに事務員の皆様が集まって来る。ほらほら、これが生SSS様ですよ~あ、お触りは禁止ね?どうだ、どうだ?生SSSのイケメン様いいでしょう!?
暫く皆様にもみくちゃにされていたシーダは私をチラリと見てから
「あ…それで奇跡の使い手の護衛騎士の手続きってどうやればいいの?」
とモスロンさんに聞いた。ええっ?驚いてシーダの顔を見上げるとニヤリと笑い返された。
「暫く一緒に旅に出てもいいか?と聞いただろう…お前の許可は取ったはずだが?」
暫く一緒…は言ったけどっ護衛騎士は聞いてないよ!?いや、そもそも最初に護衛騎士になりませんか?と声をかけたのは私だけど?え?もう訳分らん!
私がオロオロしている間にモスロンさんは大喜びで任命書を作り始めちゃった!?
本来なら、護衛騎士は誰でもなれるものではない。貴重な奇跡の使い手の命を守れるだけのある技量と丹力があるのかを協会側が審査して初めて任命となる。
だがシーダは冒険者ギルドのSSSクラスだ。Sクラス以上なら審査をすっ飛ばして即任命出来る。そう思って私もシーダをその場でスカウトした訳だが…自分の思惑以外で物事が進むのがぁ…まあいいけど。
「シーダぁ…」
「何だ?」
私はシーダを見上げた。
「本当にいいのですか?前にチラッと言ったけど私、結構貧乏っていうか…無医村とかを重点的に回る活動をしていて、危険なうえに実入りは少ないから私個人からそんなにお給金渡せないのですけどぉ…」
申し訳なくて声が小さくなる。チラチラ…とシーダを見るとシーダはまた天井を見ていた。貧乏って聞いて参ったな~と思っているとか?
「あ、あの…ゴメンなさい。無理には言わないから…あのやっぱり取りやめに…」
私はモスロンさんの方へ近づこうとすると、シーダが私の頭をグイーッと押し戻した。そして大きな手で私の頭を撫でまわす。な、何だ?
「フフッ…大丈夫だ。俺を誰だと思ってるんだ?世☆界☆最☆強だぜ!」
いやいや、世界一強いとかは関係なくてですねぇ~貧乏底なしといいますかぁ~
…
……
すぐに私の護衛騎士の任命が済んでしまった。書類一枚ってお手軽だね!ってそういうことでもなくってだね!
今…私は冒険者ギルドの中にお邪魔しています。被っていたフードを下ろして何か手続きをしているシーダを待つ間、依頼書なるものが張っている壁を見ている。
「おねーさん、依頼受けるの?」
真横で声がしてびっくりして顔を上げると、茶色の切れ長の瞳の私と近い年頃の男の子が笑っていた。
「あ、いえ…人を待っていまして」
と、受付に居るシーダの後ろ姿を指差した。するとその男の子は、ぎゃっと小さく悲鳴を上げた。
「シーダ兄ぃのツレなの…!?あ…あぁ…そうなんだぁ…」
何だかすごくショックを与えてしまった?みたいで少し後退りをしている彼の所にシーダが近付いて来た。
「待たせ…おいっリコイーダ何してんだ」
「な…にも、シーダ兄ぃ…シーダ兄ぃは全ての花を持って行ってしまうのかぁ…」
「ん?」
何だろう…。何かごにょごにょ言いながら男の子は小走りに去って行った。
「何だアレ…ああ、そうだこれ見てみろよ」
そう言ってシーダは何か用紙を私に見せてきた。何々?ん?ランクSSS、シーダ=クラィッラー様、預金残高証明書……なにこれ?ナニコレぇ!?
預金残高のゼロが何個あるの?
1、2、3、4、5、6、7、8、9…眩暈がした。ちょっとした小国の国家予算くらいの金額だった。
「な~これが俺の預け入れ額。見て分かると思うけど金に困ってねぇから。俺の給金の心配しなくていいって。それと魔術師協会のおっちゃんが言ってたけど、護衛騎士も協会から護衛費が出るんだってさ。それに俺、SSSだろ?協会としては冒険者ギルドに奇跡の使い手の派遣を行えるように業務提携したいみたいで…俺とララーナが試験的にやってみないかだって」
え?ええ?何それ?
シーダにギルドの事務所の奥の関係者以外立ち入り禁止!と書かれた看板の廊下の奥へと連れて行かれてしまった。
事務所の奥にはギルド支部長です!と自己紹介しながら笑っているおじさんがいて、説明を受けることになった。
「ご存じかもしれないけど、奇跡の使い手は数が少ないよね」
「そうですね」
「おまけに使い手の試験に合格した後は、大体がどこかの団体に所属してしまうのが定番だ」
どこかの団体…言い得て妙だ。国とか大貴族とか商人とか…後は闇の組織とかだ。
「我々とて奇跡の使い手の助力を頂きたい案件はやまほどある!今冒険者ギルドの所属しているのはよぼよぼのご老体が1名だけだ!…という訳で現役の奇跡の使い手、ララーナ=レイジアンテ嬢に是非ともご協力を頂きたいのです!」
支部長とシーダに押し切られるように今度はギルドの受付カウンター前に連れて行かれた。
「ヤダ!」
「ララーナ、我儘言うなよ…」
「我儘じゃないよっ!」
何で私が冒険者ギルドで冒険者登録しなくちゃいけないのよぉ…しかも冒険者に登録したら自動的に口座を作ることになるんだもん!誰が年会費払うんだよ?私だよ…勿体ないじゃない!
「ララーナの年会費は俺が払ってやるから」
「…分かったわ。それなら構いません」
シーダにすっごく残念な顔で見られているけれど、当然じゃない?貧乏人からお金毟り取ろうなんて…誘ったシーダが払うのが筋ってものでしょう?
「はい、ご登録ありがとうございました。預金は今されますか?」
受付のお姉さんに冒険者レベルEクラスの土色のブレスレットを頂くと、左手手首にはめた。そして渋々リュックサックの中から金貨2枚を出して預金してもらった。
痛い出費だ。まあ手数料は兎も角、確かに預金しておけば自分に何かあっても預金は守られる。
「おい、緊急連絡先は俺にしておけ」
え?そんな制度があるの?シーダが言うと受付のお姉さんは、素早く手続きをしてしまった。そしてやれやれ解放された…と思って溜め息をついた私の背中を叩いてシーダがニヤニヤしながら言った。
「晴れて冒険者の仲間入りだな!よしっ今度一緒にブルードラゴンの討伐に行こうぜ!」
「ド…ッ!?ドラゴンなんてやめてよっ!絶対行かないからっ!」
とか…言ってたんだけどさ~この半日後に、エスペランテドラゴンって言っていうドラゴンの討伐をお願いされちゃったのよ…私、明日はちゃんと生きてるかなぁ…
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