7 / 15
第二章 仲間
一つ前進
しおりを挟む
クリスと夕食を終えて、宿屋へ戻る。こんなに穏やかでお腹も心も満腹になる食事は久しぶりだった。
「クリス、明日はどうする?」
宿への道を歩きながら隣を歩く、背の高いクリスを見上げた。
クリスは、そうだな~と言いながら
「冒険者の昇格申請しないか?」
と、私を見た。
「昇格申請!…そうか」
冒険者ギルドでEからSSSまである冒険者ランクを上げるのに『昇格申請』と『昇格試験』の二通りがあるのだが、ランクを上げるのに討伐実績と依頼完了実績…そしてそれら両方の水準を満たせば昇格試験を受ける資格が与えられて、それに合格すれば一つ上のランクに上がれるというのが昇格の仕組みだ。
だが、これをすっ飛ばして討伐実績が昇格水準より遥かに高い場合は、申請すれば試験を受けずに上のランクに上がれるという制度があるのだ。
つまり、ちまちま討伐実績と依頼の成功実績を積み上げて行くより、腕に自信のある冒険者は大物狙いでA級以上の魔獣を倒してさえいれば、依頼を受けていなくても試験そのものを免除できるのだ。
「Aクラスまでは魔獣狩り一本で上がれるだろう?Sクラスからは討伐実績と依頼完了の実績がいるから、そこからが時間かかるけどな…俺達まだ下位クラスだし…楽して上がれるところは上がってしまおう、どう?」
「いいね!ランクが上がれば、もっと受けられる依頼が増えるし、報酬も高くなるものね」
クリスも私の言葉に微笑んでくれた。
「俺達なら試験を飛ばして討伐実績だけでAまで上がれると思うんだ…ある程度お金が貯れば、どこかの街に定住も出来るし」
定住?!そうか、今みたいに野宿したり、安宿を泊まり歩くなんてことをしなくて、ウィークリィマンション的な賃貸を借りて…みたいなことも出来るよね。
私もやっとひとりで生活出来るようになるんだ…
クリスと宿屋に戻ってからもこんな家に住んでみたいとか、これからの昇格試験のことを話して、それぞれ泊っている部屋へと戻った。
私はそんな楽しい気分のまま、モチモツ村の両親に向けて手紙を書いた。村を出てから定住していないので、手紙は私からの一方通行なのだが、これから家を借りればそこに手紙の返事を送って貰えるはずだ。
村を出てから、楽しいよ元気にしているよ…と、嘘ばかりの手紙を送り続けていたが、今日からは本当の事を書いて出せる。
難しい討伐が上手くいったこと、順調に冒険者の依頼を受けていること、お金を貯めて送金出来るようにすることを手紙にしたためた。
胸が熱い…興奮とは違う、温かい感覚。
そんな温かい気持ちを抱いたまま、その日は就寝した。
翌朝…
目覚めは爽快だった。夢も見ないで爆睡出来た、良い眠りってこういうことを言うのかも…と勢いよくベッドの上に起き上がると窓際に移動した。
「良い天気!」
扉の前に移動すると、魔物理防御障壁を描いた魔紙を扉から引き剥がした。
どうやら、夜中に何度か障壁を破ろうとしたのだろうか、魔術痕がある。もちろんクリスではない…知らない魔質だ。わざわざ探してやる必要もないだろう。
「さて、準備しよう」
部屋の隅に設置してあるテーブルに置いてあるリュックからタオルを出すと、水魔法と炎魔法少しをかけて『温タオル』を作った。
顔に温タオルをあてて拭いて行くと思わず息が漏れる。
「はぁ…気持ちいい」
お湯を張った湯舟に浸かるような入浴の仕方は、村で入ったのが最後だ。銭湯とか温泉ないのかな~この世界になさそうなんだよね。この世界には見た所『山』はあるけど火山じゃなさそうなんだよね…火の代わりに魔力が地中から吹き出したとか『魔山』とか言ってたし…異世界って不思議だ。
ああ…勉強不足だぁ。火山があれば温泉があるかも、と思うけど。そもそもこの世界の存在しているのが地球のような惑星とは限らないし、マントルの代わりに魔力が星のエネルギーなのかもしれない。宝石なんて見たこと無いけど、それも魔力で出来た石の可能性もあるよね。
身支度を整えて、リュックサックを背負い…廊下に出ると既にクリスが廊下にいた。
「おはよう!ゴメンね、待った?」
「おはよう、いや…今来たところ」
クリスと挨拶を交わして、階下に降りた。安宿なので食事はついていない。宿泊料金は前払いなので、宿の入口の従業員に声をかけて宿屋を出た。
「先ずは腹ごしらえだな」
「そうだね!」
朝は朝で飲み屋ではない、いわゆるモーニングや朝定食を出している食事処があるのだ。冒険者は朝から外食する人が多いのでそういうお店も需要があるらしい。
クリスとオープンカフェ風になっている食事処で、蒸し鳥かな?のクラブサンドっぽい物を食べた。外で食べると美味しいね。
「今日は昇格申請を出しに行ってみるか?」
クリスは大きめのクラブサンドと…なんだろう?ペンネ?みたいなスープパスタを食べている。それも美味しそうだ…
クリスの提案に了承し…私達は朝食を食べ終わると早速、冒険者ギルドへと向かった。
そうして昇格申請を出してみると…
「え?俺はBに上がれるけど、サエラはまだダメ?」
ギルドの受付のお姉さんは、申し訳なさげに頭を下げていた。
「申し訳ありません…サエラさんはまだ昇格は無理ですね。戦闘実績が足りませんので…」
クリスが、あ~っそうか…と唸っている。
「俺にはレプレカンダの討伐実績が加算されてるけど、サエラは無かったんだった…どうしよう、S級魔獣を狩ってみる?」
クリスは簡単に言うよな~と思ったけど、実際S級の魔物がそんなにウロウロしているとは思えないし…
「クリスは先に昇格申請しておいてよ。Bランクに上がれる分、高額の依頼も受けられるでしょう?」
「ん…分かった。まあ、サエラならすぐに上に上がれるしな」
また簡単に言っちゃって…という訳で私の申請は今度、ということでクリスの申請をだしている間、暇なので依頼を貼りだしているギルドの壁際へと移動した。
本当は魔獣や魔物を殺したりするのはなるべく避けたい…いくら魔の物だと言われても、生き物を殺すのは今もまだ慣れない。でも…魔力を持っているし、この力を生かした職業に就きたい気持ちもある。
酒屋のウェイトレスをするのも勿体ないって気持ちがあるんだよね。しかもウェイトレスぐらいでは、街で一人暮らしをして、そこそこ良い暮らしをするのはかなり無理があるらしい。
そうなってくると高額収入の臨める危険も伴うけど、冒険者が一番手っ取り早いんだよね…魔獣や魔物を狩って収入を得るのも仕事、だと割り切ればいいか。実際、異世界にもジビエのお肉は猟師さんが仕留めているんだしね。
「申請の受理には2、3日かかるって…どうする?その間に狩りに出て見るか?」
クリスは背中に背負ったリュックサックから何かを取り出した。
地図だ…!私ってば地図の存在をすっかり忘れていた…
「今…俺達はここ…リーヴァサン王国のモサンデードにいる。…で、ここが隣町のスバレー…でここから向こうがワイジリッテルベンシ王国」
クリスの見せてくれた世界地図を覗き込んだ。うわ…今まで自分の事で精一杯で世界がどうなってるのとか知らなかった。当たり前だけど色んな国があるな…
「ここ…この国なんで国名を塗りつぶしてるの?」
エーカリンデ王国の隣の小さな国の国名が黒く塗りつぶしてある。
「ああこれ?去年までジュエルブリンガー帝国があったんだけど、無くなって今はエーカリンデ王国の属国になってるんだ。国の名称はまだ決まってないみたいだよ」
「無くなったの…国が潰れたの?戦争…?」
「う~ん…俺もあんまり詳しくないけど、ジュエルブリンガー帝国の圧政がひどくて、エーカリンデ王国とワイジリッテルベンシと共同戦線で攻め入って圧政を敷く皇族を捕まえたとか?」
「ひえぇぇ…」
弾圧とか圧政とか…そりゃ世界のニュースで見たことはあるけど、実際に国が潰れたりとかあるんだ…
「と、言う訳でまだ国情が安定していないから元ジュエルブリンガー帝国の近くには行かないようにな」
「はい…」
戦争か怖いな…地元民?のクリスの言う事に従おう。
「…で、ここ…ワイジリッテルベンシ王国との国境沿い…ザハァーラ、ここ…異界から魔物が来るとか言う伝説の森なの」
「何それ!怖いよ…」
「まあまあ聞いてよ、それでここはリーヴァサンとワイジリッテルベンシが共同で森を監視している地域で、魔獣目当ての冒険者も沢山集まる狩場であるわけ、つまりここに行けばレプレカンダやS級の魔獣がいっぱいると思うけど?」
クリスめ…手っ取り早く短期間で私のランクをあげようとしているなぁ?
まあ…自分で言うのも変だけど、チート能力のおかげで防御に関しては心配なしだしな…地味だけど持久戦で頑張ろうかな。
「……行ってもいいけど」
そう言った瞬間、満面の笑顔のクリスに小脇に抱きかかえられていた!
荷物じゃないんだから、小脇に抱えるなぁぁ…と叫べないまま猛スピード走るクリスにザハァーラの森まで抱えられたままだった…
クリスって何者なの?人の事は言えないけど…
「クリス、明日はどうする?」
宿への道を歩きながら隣を歩く、背の高いクリスを見上げた。
クリスは、そうだな~と言いながら
「冒険者の昇格申請しないか?」
と、私を見た。
「昇格申請!…そうか」
冒険者ギルドでEからSSSまである冒険者ランクを上げるのに『昇格申請』と『昇格試験』の二通りがあるのだが、ランクを上げるのに討伐実績と依頼完了実績…そしてそれら両方の水準を満たせば昇格試験を受ける資格が与えられて、それに合格すれば一つ上のランクに上がれるというのが昇格の仕組みだ。
だが、これをすっ飛ばして討伐実績が昇格水準より遥かに高い場合は、申請すれば試験を受けずに上のランクに上がれるという制度があるのだ。
つまり、ちまちま討伐実績と依頼の成功実績を積み上げて行くより、腕に自信のある冒険者は大物狙いでA級以上の魔獣を倒してさえいれば、依頼を受けていなくても試験そのものを免除できるのだ。
「Aクラスまでは魔獣狩り一本で上がれるだろう?Sクラスからは討伐実績と依頼完了の実績がいるから、そこからが時間かかるけどな…俺達まだ下位クラスだし…楽して上がれるところは上がってしまおう、どう?」
「いいね!ランクが上がれば、もっと受けられる依頼が増えるし、報酬も高くなるものね」
クリスも私の言葉に微笑んでくれた。
「俺達なら試験を飛ばして討伐実績だけでAまで上がれると思うんだ…ある程度お金が貯れば、どこかの街に定住も出来るし」
定住?!そうか、今みたいに野宿したり、安宿を泊まり歩くなんてことをしなくて、ウィークリィマンション的な賃貸を借りて…みたいなことも出来るよね。
私もやっとひとりで生活出来るようになるんだ…
クリスと宿屋に戻ってからもこんな家に住んでみたいとか、これからの昇格試験のことを話して、それぞれ泊っている部屋へと戻った。
私はそんな楽しい気分のまま、モチモツ村の両親に向けて手紙を書いた。村を出てから定住していないので、手紙は私からの一方通行なのだが、これから家を借りればそこに手紙の返事を送って貰えるはずだ。
村を出てから、楽しいよ元気にしているよ…と、嘘ばかりの手紙を送り続けていたが、今日からは本当の事を書いて出せる。
難しい討伐が上手くいったこと、順調に冒険者の依頼を受けていること、お金を貯めて送金出来るようにすることを手紙にしたためた。
胸が熱い…興奮とは違う、温かい感覚。
そんな温かい気持ちを抱いたまま、その日は就寝した。
翌朝…
目覚めは爽快だった。夢も見ないで爆睡出来た、良い眠りってこういうことを言うのかも…と勢いよくベッドの上に起き上がると窓際に移動した。
「良い天気!」
扉の前に移動すると、魔物理防御障壁を描いた魔紙を扉から引き剥がした。
どうやら、夜中に何度か障壁を破ろうとしたのだろうか、魔術痕がある。もちろんクリスではない…知らない魔質だ。わざわざ探してやる必要もないだろう。
「さて、準備しよう」
部屋の隅に設置してあるテーブルに置いてあるリュックからタオルを出すと、水魔法と炎魔法少しをかけて『温タオル』を作った。
顔に温タオルをあてて拭いて行くと思わず息が漏れる。
「はぁ…気持ちいい」
お湯を張った湯舟に浸かるような入浴の仕方は、村で入ったのが最後だ。銭湯とか温泉ないのかな~この世界になさそうなんだよね。この世界には見た所『山』はあるけど火山じゃなさそうなんだよね…火の代わりに魔力が地中から吹き出したとか『魔山』とか言ってたし…異世界って不思議だ。
ああ…勉強不足だぁ。火山があれば温泉があるかも、と思うけど。そもそもこの世界の存在しているのが地球のような惑星とは限らないし、マントルの代わりに魔力が星のエネルギーなのかもしれない。宝石なんて見たこと無いけど、それも魔力で出来た石の可能性もあるよね。
身支度を整えて、リュックサックを背負い…廊下に出ると既にクリスが廊下にいた。
「おはよう!ゴメンね、待った?」
「おはよう、いや…今来たところ」
クリスと挨拶を交わして、階下に降りた。安宿なので食事はついていない。宿泊料金は前払いなので、宿の入口の従業員に声をかけて宿屋を出た。
「先ずは腹ごしらえだな」
「そうだね!」
朝は朝で飲み屋ではない、いわゆるモーニングや朝定食を出している食事処があるのだ。冒険者は朝から外食する人が多いのでそういうお店も需要があるらしい。
クリスとオープンカフェ風になっている食事処で、蒸し鳥かな?のクラブサンドっぽい物を食べた。外で食べると美味しいね。
「今日は昇格申請を出しに行ってみるか?」
クリスは大きめのクラブサンドと…なんだろう?ペンネ?みたいなスープパスタを食べている。それも美味しそうだ…
クリスの提案に了承し…私達は朝食を食べ終わると早速、冒険者ギルドへと向かった。
そうして昇格申請を出してみると…
「え?俺はBに上がれるけど、サエラはまだダメ?」
ギルドの受付のお姉さんは、申し訳なさげに頭を下げていた。
「申し訳ありません…サエラさんはまだ昇格は無理ですね。戦闘実績が足りませんので…」
クリスが、あ~っそうか…と唸っている。
「俺にはレプレカンダの討伐実績が加算されてるけど、サエラは無かったんだった…どうしよう、S級魔獣を狩ってみる?」
クリスは簡単に言うよな~と思ったけど、実際S級の魔物がそんなにウロウロしているとは思えないし…
「クリスは先に昇格申請しておいてよ。Bランクに上がれる分、高額の依頼も受けられるでしょう?」
「ん…分かった。まあ、サエラならすぐに上に上がれるしな」
また簡単に言っちゃって…という訳で私の申請は今度、ということでクリスの申請をだしている間、暇なので依頼を貼りだしているギルドの壁際へと移動した。
本当は魔獣や魔物を殺したりするのはなるべく避けたい…いくら魔の物だと言われても、生き物を殺すのは今もまだ慣れない。でも…魔力を持っているし、この力を生かした職業に就きたい気持ちもある。
酒屋のウェイトレスをするのも勿体ないって気持ちがあるんだよね。しかもウェイトレスぐらいでは、街で一人暮らしをして、そこそこ良い暮らしをするのはかなり無理があるらしい。
そうなってくると高額収入の臨める危険も伴うけど、冒険者が一番手っ取り早いんだよね…魔獣や魔物を狩って収入を得るのも仕事、だと割り切ればいいか。実際、異世界にもジビエのお肉は猟師さんが仕留めているんだしね。
「申請の受理には2、3日かかるって…どうする?その間に狩りに出て見るか?」
クリスは背中に背負ったリュックサックから何かを取り出した。
地図だ…!私ってば地図の存在をすっかり忘れていた…
「今…俺達はここ…リーヴァサン王国のモサンデードにいる。…で、ここが隣町のスバレー…でここから向こうがワイジリッテルベンシ王国」
クリスの見せてくれた世界地図を覗き込んだ。うわ…今まで自分の事で精一杯で世界がどうなってるのとか知らなかった。当たり前だけど色んな国があるな…
「ここ…この国なんで国名を塗りつぶしてるの?」
エーカリンデ王国の隣の小さな国の国名が黒く塗りつぶしてある。
「ああこれ?去年までジュエルブリンガー帝国があったんだけど、無くなって今はエーカリンデ王国の属国になってるんだ。国の名称はまだ決まってないみたいだよ」
「無くなったの…国が潰れたの?戦争…?」
「う~ん…俺もあんまり詳しくないけど、ジュエルブリンガー帝国の圧政がひどくて、エーカリンデ王国とワイジリッテルベンシと共同戦線で攻め入って圧政を敷く皇族を捕まえたとか?」
「ひえぇぇ…」
弾圧とか圧政とか…そりゃ世界のニュースで見たことはあるけど、実際に国が潰れたりとかあるんだ…
「と、言う訳でまだ国情が安定していないから元ジュエルブリンガー帝国の近くには行かないようにな」
「はい…」
戦争か怖いな…地元民?のクリスの言う事に従おう。
「…で、ここ…ワイジリッテルベンシ王国との国境沿い…ザハァーラ、ここ…異界から魔物が来るとか言う伝説の森なの」
「何それ!怖いよ…」
「まあまあ聞いてよ、それでここはリーヴァサンとワイジリッテルベンシが共同で森を監視している地域で、魔獣目当ての冒険者も沢山集まる狩場であるわけ、つまりここに行けばレプレカンダやS級の魔獣がいっぱいると思うけど?」
クリスめ…手っ取り早く短期間で私のランクをあげようとしているなぁ?
まあ…自分で言うのも変だけど、チート能力のおかげで防御に関しては心配なしだしな…地味だけど持久戦で頑張ろうかな。
「……行ってもいいけど」
そう言った瞬間、満面の笑顔のクリスに小脇に抱きかかえられていた!
荷物じゃないんだから、小脇に抱えるなぁぁ…と叫べないまま猛スピード走るクリスにザハァーラの森まで抱えられたままだった…
クリスって何者なの?人の事は言えないけど…
11
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。
アノマロカリス
恋愛
この作品の大半はコメディです。
侯爵家に生まれた双子のリアナとリアラ。
姉のリアナは光り輝く金髪と青い瞳を持つ少女。
一方、妹のリアラは不吉の象徴と言われた漆黒の髪に赤い瞳を持つ少女。
両親は姉のリアナを可愛がり、妹のリアラには両親だけではなく使用人すらもぞんざいに扱われていた。
ここまでは良くある話だが、問題はこの先…
果たして物語はどう進んで行くのでしょうか?
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります
ゆずぽんず
恋愛
ある日、ユウとチカの姉妹が乙女ゲームの世界に聖女様として召喚された。
好きなゲームの世界に入れたと喜ぶ妹のチカ。
本来、聖女様として召喚されるのだったの一人。どちらかが死に、召喚された。
妹のことが大切な姉のユウは、妹がこの世界にいたいのならば私が偽物となってこの世界から消えようと決意する。
*乙女ゲーマーによる小説です。乙女ゲーになろう設定混ぜ込んでみました。
*乙女ゲーによくある設定(共通ルートやバッドエンドなどのよくある設定)の説明があります。分かりにくかったらすみません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。
ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!
夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。
彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。
価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い!
これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる