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一からお勉強
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クリスのお腹の張りが少し治まってきたので、そろそろ帰ろうか…と話していた時、小料理屋ラジーの入口に大きな魔質の持ち主が現れた。この魔質は…
「間に合ったかっ!?」
「もう店じまいだよ?」
店内に飛び込んで来たスワイト殿下の叫びの後、間髪を入れずに切り捨てた一応婚約者らしい…ラジェンタさんはその言葉通り、既にすき焼きの材料を片付け終えて、使っていた鉄板を流し場で洗っていた。
残念ながらすき焼きの大半は既に、クリスとカワイイ系お兄さんのお腹の中に収まっている。
「そ…そんなぁ…」
スワイト殿下の魔力が萎びている。シオシオだ…
私は唯一テーブルに残っていた、生卵の入った籠をスワイト殿下に掲げて見せた。
「で…殿下、あの…卵かけご飯ならありますけど…」
スワイト殿下のシオシオ魔質はカピカピの線香花火みたいな輝きの魔質になってしまった。
「うぅ…酷いよ。絶対行くって言ってたのに……おいっ!?ワイセリ少佐!お前は何故ちゃっかりここにいるんだよ!途中でお前がいなくなってるのに気が付いたけど、ヒゼリが監視してるから抜け出せないしぃ…」
スワイト殿下が私が渡した生卵の入った籠を小脇に抱えたまま、ワイセリ少佐に詰め寄っていた。
「え~?そうでしたっけ?私、自分の分の仕事は終わったので帰りますね~って言いましたけどぉ?」
嘘だ…と思った。ワイセリ少佐の魔質が一瞬、グニャリと歪んでいた。勿論、視える目を持っているスワイト殿下にも分かったと思う。
お前と言う奴はっ!お前と言う奴はっ…と、ブツブツと文句を言いながらもスワイト殿下は卵かけご飯をしっかりと食べるようだ。
卵かけご飯の準備をしているスワイト殿下の横に、ラジェンタさんがモリモ(大根に似ている)を摺り下ろした小鉢を置いた。
「これ、モリモ?」
「そうよ、卵かけご飯にモリモかけると美味しいよ~ね?サエラちゃん!」
ラジェンタさんが私を見たので、大きく頷き返しておいた。卵かけご飯に大根おろしっ最高ですよね!
スワイト殿下は王子様なのに、卵かけご飯を口に掻き込んでいる。お下品でありまするぞ?
カッカッ…と軽快に卵かけご飯をスプーンで口に掻き込んでいたスワイト殿下が私の方を見た。
「あ~そうだ!サエラ、はい!」
はい、と言って殿下が書類のような何か差し出してきたので、受け取った。当然、文字が読めない…
「あ~それね学舎への特別編入の許可証だよ」
ガクシャ?
言葉の意味が分からず首を捻っていると、クリスが横からその書類を覗き見ていた。
「学舎!?あっそうか、初歩的な文字の読み書きを覚える為ですね!」
うん?文字の読み書き?……あっもしかして、学校とか塾とかの教育施設の名前のことかな?
「クリス、クリスッ!そのガクシャに行けば文字を覚えられるの?そこは文字を教えてくれるところなの?」
私が食い気味にクリスに問い掛けると、クリスは食い気味姿勢の私に驚いたのか仰け反っている。
「え?ああ…まあ教えてくれるけど、でもサエラはいいのか?」
「何が?」
「学舎って8才から11才までの子供しか通ってないけど、大丈夫?」
クリスの言葉に衝撃を受けた。
つまりだ、私の言語能力は小学生レベルだと判断されて、子供と混じって習って来い!ということなんだね。ぐるん…とスワイト殿下に顔を向けると、スワイト殿下は満足げに何度も頷いている。
「術師申請は申請だけで、許可前に面接と筆記試験があるんだ…つまりサエラにはそこで読み書きが必要になってくる!試験は共通語のヴィヴレタ語ではなく、ワイジリッテルベンシ語が必須だ」
そうだった…今はここにいる皆はヴィヴレタ語を話してくれているけれど、ワイジリッテルベンシで受ける術師試験なら当然、その国の言葉を使う。私は全然話せない…
外国で試験を受けるってこういうことなんだ。
「私…学舎に行きます!」
スワイト殿下が私の為に学校へ入学の手続きをしてくれたんだから、頑張りたい。
…と言う訳で学舎に行く準備をしよう!と張り切ったはいいのだが、とんでもない段階で躓いてしまった。
居酒屋ラジーから宿屋への帰り道…いきなりクリスが
『じゃあ今からヴィヴレタ語は禁止な?』
と、言った何か、多分外国語?が……全然っ全然分からなかったのだぁ!!
「……」
私は夜道で固まった、見事に固まった。私が余りにも固まっているので、クリスがヴィヴレタ語で話しかけてくれた。
「どうしたの?」
「わ…私、ワイジリッテルベンシ語のヒヤ…えっと聞き取りも出来ないんだった…」
今度はクリスが固まっていた。そして一瞬で元に戻ると
「『私の名前はサエラです』俺の後に続けて言って!『わ・た・し・の・な・ま・え・は・』ホラ!」
と夜道で叫び出した。
いやいや?ご近所迷惑じゃないかな?夜に叫ぶ必要あるかな?
さっきからクリスがサエラを連発しているから恐らく…マイ、ネイム、イズ、マイケル!とかの自己紹介文を叫んでいると思うんだけど、こんな路上で今から練習するつもりなの?
「明日にしてよ…」
その日は宿屋に帰るまで、ワイジリッテルベンシ語で自己紹介を何度も言わされたのだった。
次の日
朝一でクリスは私を連れて宿屋近くの本屋に出かけた。そして二冊の本を買ってくれた。
『これで言葉を覚えよう』
何か言いながらクリスからズイッと渡された本の中を開いて見た。
本の内容はイラスト上に何か単語が書いているのがいっぱい載っていた。果物、動物、服に靴…これってもしかして“言葉で遊ぼう”的な絵本じゃないかな?うはーーっ…私って幼児レベルの語学力だと思われたんだ~
確かに単語の一つも分からないんじゃ幼児レベルだけどさ。
術師申請をする前に学舎で学ぶ…しかしその前にワイジリッテルベンシ語で最低限の会話が出来るようにならなければいけない…外国語を一から習うなんて出来るのかな、不安…
と言う訳で、翌日からクリスとの語学マンツーマンレッスンが始まった。
意外にもクリスは熱血指導をするタイプみたいで、私がヴィヴレタ語で話しかけても聞こえてません~みたいな風に首を傾げて見せて、私が覚えた単語を何とか絞り出して話すと耳を傾けてくれて、発音間違いを何度も練習させてくる。
『クリス…これ…ポカロウ?』
『そう、ポカロウ…毒消しだ』
ワイジリッテルベンシ語で書かれた植物図鑑を見ながら図鑑の薬草の説明文を読んで、採取の依頼をこなしつつ…語学勉強、これはなかなか忙しい。クリスの付っきりの指導のお陰でなんとかヒヤリングでよく使う単語だけは聞き取れるようになってきた。
『よしっ…採取完了!帰るか』
『うん、帰る!』
クリスは元気良く答えた私に、破顔して見せた。
クリスはワイジリッテルベンシに来てから顔の表情が豊かになったっていうのかな?兎に角、笑顔が多くなった気がする。それでも時々、遠くを見ながら物思いに耽っているのを見ると、悲しいのと悔しい気持ちが込み上げてくる。
あれから元、パーティーメンバーのビート達から連絡は無いみたいだ。
今はやることが多くて時間が取れないけど、一度ビート達と会ってみたい…と思っているのだけどクリスはどうなんだろうか…
そうして冒険者ギルドで採取の依頼完了を終えて宿屋に帰ると、宿の食堂で綺麗なお兄さんが私達を待っていた。お兄さんは微笑みながら私とクリスに近付いて来ると
『スワイト殿下の部下の者です。モチモツ村に行って参りました』
と、告げてから懐から何か取り出して私に差し出した。
『ご両親、村長、それとサペロさんという青年からの手紙です』
「!」
綺麗なお兄さんの顔を仰ぎ見ると、お兄さんは更に笑みを深めた。
『皆様にお手紙とサエラさんのご近況をお知らせしました、村の皆様は大変喜んでおられましたよ?』
難しい言葉だったので、クリスが通訳してくれた。
『あ、ありがとうございます!』
今まで、こちらで頑張っていると見栄をはって手紙に書いていたけど…今度からは本当のことが書ける。自然と涙が浮かんできた。
「良かったな…サエラ」
顔を上げるとクリスが優しい眼差しで私を見ていた。クリスに頷き返した時に目から涙が零れたけど、悲しい涙じゃないから恥ずかしくないと思った。
そしてもう一度綺麗なお兄さんにお礼を言おうと思い、前を向くとお兄さんも私を見ながら微笑んでいた。
帰ります…と告げられたお兄さんにジャパニーズお辞儀をしたら、お兄さんは帰り際にこう言ってくれた。
『モチモツ村に張られていた障壁はサエラさんが張ったのですよね?魔獣と害意のある者の侵入を完全に遮断出来る素晴らしい障壁ですね』
褒めてもらった!と喜んだ後に、怖い事を言って来るお兄さん。
『その障壁でキミブレアの役人が村内に入れなくて、村の外で騒いで大変だったそうです』
私がそう聞いて顔色を変えると綺麗なお兄さんは
『大丈夫ですよ、村人は役人達に見付からないように出入りをしていて問題は無いそうですし、私がお伺いした時は隣村の方達が障壁の外で騒いでましたが、私が一言申し上げたら帰られましたので』
そう言って極上の笑顔を浮かべられた。
『一言?』
『障壁の外に長時間いますと、毒魔法が発動する術ですよ?おお、もうあなたの体に毒が…と言いかけたら走って逃げられました。勿論、嘘ですがね』
綺麗な顔のお兄さんは中々に意地悪な人のようだった……
「間に合ったかっ!?」
「もう店じまいだよ?」
店内に飛び込んで来たスワイト殿下の叫びの後、間髪を入れずに切り捨てた一応婚約者らしい…ラジェンタさんはその言葉通り、既にすき焼きの材料を片付け終えて、使っていた鉄板を流し場で洗っていた。
残念ながらすき焼きの大半は既に、クリスとカワイイ系お兄さんのお腹の中に収まっている。
「そ…そんなぁ…」
スワイト殿下の魔力が萎びている。シオシオだ…
私は唯一テーブルに残っていた、生卵の入った籠をスワイト殿下に掲げて見せた。
「で…殿下、あの…卵かけご飯ならありますけど…」
スワイト殿下のシオシオ魔質はカピカピの線香花火みたいな輝きの魔質になってしまった。
「うぅ…酷いよ。絶対行くって言ってたのに……おいっ!?ワイセリ少佐!お前は何故ちゃっかりここにいるんだよ!途中でお前がいなくなってるのに気が付いたけど、ヒゼリが監視してるから抜け出せないしぃ…」
スワイト殿下が私が渡した生卵の入った籠を小脇に抱えたまま、ワイセリ少佐に詰め寄っていた。
「え~?そうでしたっけ?私、自分の分の仕事は終わったので帰りますね~って言いましたけどぉ?」
嘘だ…と思った。ワイセリ少佐の魔質が一瞬、グニャリと歪んでいた。勿論、視える目を持っているスワイト殿下にも分かったと思う。
お前と言う奴はっ!お前と言う奴はっ…と、ブツブツと文句を言いながらもスワイト殿下は卵かけご飯をしっかりと食べるようだ。
卵かけご飯の準備をしているスワイト殿下の横に、ラジェンタさんがモリモ(大根に似ている)を摺り下ろした小鉢を置いた。
「これ、モリモ?」
「そうよ、卵かけご飯にモリモかけると美味しいよ~ね?サエラちゃん!」
ラジェンタさんが私を見たので、大きく頷き返しておいた。卵かけご飯に大根おろしっ最高ですよね!
スワイト殿下は王子様なのに、卵かけご飯を口に掻き込んでいる。お下品でありまするぞ?
カッカッ…と軽快に卵かけご飯をスプーンで口に掻き込んでいたスワイト殿下が私の方を見た。
「あ~そうだ!サエラ、はい!」
はい、と言って殿下が書類のような何か差し出してきたので、受け取った。当然、文字が読めない…
「あ~それね学舎への特別編入の許可証だよ」
ガクシャ?
言葉の意味が分からず首を捻っていると、クリスが横からその書類を覗き見ていた。
「学舎!?あっそうか、初歩的な文字の読み書きを覚える為ですね!」
うん?文字の読み書き?……あっもしかして、学校とか塾とかの教育施設の名前のことかな?
「クリス、クリスッ!そのガクシャに行けば文字を覚えられるの?そこは文字を教えてくれるところなの?」
私が食い気味にクリスに問い掛けると、クリスは食い気味姿勢の私に驚いたのか仰け反っている。
「え?ああ…まあ教えてくれるけど、でもサエラはいいのか?」
「何が?」
「学舎って8才から11才までの子供しか通ってないけど、大丈夫?」
クリスの言葉に衝撃を受けた。
つまりだ、私の言語能力は小学生レベルだと判断されて、子供と混じって習って来い!ということなんだね。ぐるん…とスワイト殿下に顔を向けると、スワイト殿下は満足げに何度も頷いている。
「術師申請は申請だけで、許可前に面接と筆記試験があるんだ…つまりサエラにはそこで読み書きが必要になってくる!試験は共通語のヴィヴレタ語ではなく、ワイジリッテルベンシ語が必須だ」
そうだった…今はここにいる皆はヴィヴレタ語を話してくれているけれど、ワイジリッテルベンシで受ける術師試験なら当然、その国の言葉を使う。私は全然話せない…
外国で試験を受けるってこういうことなんだ。
「私…学舎に行きます!」
スワイト殿下が私の為に学校へ入学の手続きをしてくれたんだから、頑張りたい。
…と言う訳で学舎に行く準備をしよう!と張り切ったはいいのだが、とんでもない段階で躓いてしまった。
居酒屋ラジーから宿屋への帰り道…いきなりクリスが
『じゃあ今からヴィヴレタ語は禁止な?』
と、言った何か、多分外国語?が……全然っ全然分からなかったのだぁ!!
「……」
私は夜道で固まった、見事に固まった。私が余りにも固まっているので、クリスがヴィヴレタ語で話しかけてくれた。
「どうしたの?」
「わ…私、ワイジリッテルベンシ語のヒヤ…えっと聞き取りも出来ないんだった…」
今度はクリスが固まっていた。そして一瞬で元に戻ると
「『私の名前はサエラです』俺の後に続けて言って!『わ・た・し・の・な・ま・え・は・』ホラ!」
と夜道で叫び出した。
いやいや?ご近所迷惑じゃないかな?夜に叫ぶ必要あるかな?
さっきからクリスがサエラを連発しているから恐らく…マイ、ネイム、イズ、マイケル!とかの自己紹介文を叫んでいると思うんだけど、こんな路上で今から練習するつもりなの?
「明日にしてよ…」
その日は宿屋に帰るまで、ワイジリッテルベンシ語で自己紹介を何度も言わされたのだった。
次の日
朝一でクリスは私を連れて宿屋近くの本屋に出かけた。そして二冊の本を買ってくれた。
『これで言葉を覚えよう』
何か言いながらクリスからズイッと渡された本の中を開いて見た。
本の内容はイラスト上に何か単語が書いているのがいっぱい載っていた。果物、動物、服に靴…これってもしかして“言葉で遊ぼう”的な絵本じゃないかな?うはーーっ…私って幼児レベルの語学力だと思われたんだ~
確かに単語の一つも分からないんじゃ幼児レベルだけどさ。
術師申請をする前に学舎で学ぶ…しかしその前にワイジリッテルベンシ語で最低限の会話が出来るようにならなければいけない…外国語を一から習うなんて出来るのかな、不安…
と言う訳で、翌日からクリスとの語学マンツーマンレッスンが始まった。
意外にもクリスは熱血指導をするタイプみたいで、私がヴィヴレタ語で話しかけても聞こえてません~みたいな風に首を傾げて見せて、私が覚えた単語を何とか絞り出して話すと耳を傾けてくれて、発音間違いを何度も練習させてくる。
『クリス…これ…ポカロウ?』
『そう、ポカロウ…毒消しだ』
ワイジリッテルベンシ語で書かれた植物図鑑を見ながら図鑑の薬草の説明文を読んで、採取の依頼をこなしつつ…語学勉強、これはなかなか忙しい。クリスの付っきりの指導のお陰でなんとかヒヤリングでよく使う単語だけは聞き取れるようになってきた。
『よしっ…採取完了!帰るか』
『うん、帰る!』
クリスは元気良く答えた私に、破顔して見せた。
クリスはワイジリッテルベンシに来てから顔の表情が豊かになったっていうのかな?兎に角、笑顔が多くなった気がする。それでも時々、遠くを見ながら物思いに耽っているのを見ると、悲しいのと悔しい気持ちが込み上げてくる。
あれから元、パーティーメンバーのビート達から連絡は無いみたいだ。
今はやることが多くて時間が取れないけど、一度ビート達と会ってみたい…と思っているのだけどクリスはどうなんだろうか…
そうして冒険者ギルドで採取の依頼完了を終えて宿屋に帰ると、宿の食堂で綺麗なお兄さんが私達を待っていた。お兄さんは微笑みながら私とクリスに近付いて来ると
『スワイト殿下の部下の者です。モチモツ村に行って参りました』
と、告げてから懐から何か取り出して私に差し出した。
『ご両親、村長、それとサペロさんという青年からの手紙です』
「!」
綺麗なお兄さんの顔を仰ぎ見ると、お兄さんは更に笑みを深めた。
『皆様にお手紙とサエラさんのご近況をお知らせしました、村の皆様は大変喜んでおられましたよ?』
難しい言葉だったので、クリスが通訳してくれた。
『あ、ありがとうございます!』
今まで、こちらで頑張っていると見栄をはって手紙に書いていたけど…今度からは本当のことが書ける。自然と涙が浮かんできた。
「良かったな…サエラ」
顔を上げるとクリスが優しい眼差しで私を見ていた。クリスに頷き返した時に目から涙が零れたけど、悲しい涙じゃないから恥ずかしくないと思った。
そしてもう一度綺麗なお兄さんにお礼を言おうと思い、前を向くとお兄さんも私を見ながら微笑んでいた。
帰ります…と告げられたお兄さんにジャパニーズお辞儀をしたら、お兄さんは帰り際にこう言ってくれた。
『モチモツ村に張られていた障壁はサエラさんが張ったのですよね?魔獣と害意のある者の侵入を完全に遮断出来る素晴らしい障壁ですね』
褒めてもらった!と喜んだ後に、怖い事を言って来るお兄さん。
『その障壁でキミブレアの役人が村内に入れなくて、村の外で騒いで大変だったそうです』
私がそう聞いて顔色を変えると綺麗なお兄さんは
『大丈夫ですよ、村人は役人達に見付からないように出入りをしていて問題は無いそうですし、私がお伺いした時は隣村の方達が障壁の外で騒いでましたが、私が一言申し上げたら帰られましたので』
そう言って極上の笑顔を浮かべられた。
『一言?』
『障壁の外に長時間いますと、毒魔法が発動する術ですよ?おお、もうあなたの体に毒が…と言いかけたら走って逃げられました。勿論、嘘ですがね』
綺麗な顔のお兄さんは中々に意地悪な人のようだった……
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