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第一章
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顧海は自分で箸を伸ばし、黙々と食べ続ける。
顧威霆は顧海に視線を向けた。
「どうして黙ってるんだ」
「食事のときはしゃべっちゃいけないんじゃなかったのか?」
「今日は許す」
「首長に報告します。特に話すことはありません」
「うふふふ」
静かなダイニングに突然鈴の音のような笑い声が響き、顧海はあやうく咽そうになった。過去十数年、彼の家でこんな朗らかな笑い声が聞こえてきたことはない。
顧威霆は慣れているのか特に反応せず、紙ナプキンを取って彼女に渡し、低く落ち着いた声で告げる。
「口元を拭きなさい。米粒を吹き出しているだろう」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
姜圓は口を拭いて笑いつつ、顧海の様子を窺っていた。そして彼が自分を無視していることが分かると、箸で鮒料理を摘まんで顧海の皿に乗せる。
「たくさん食べてね」
それがまた顧海の癇に障った。
顧威霆は少なくとも彼の母親に匹敵する女性を選ぶものだと思っていたが、目の前のこの女は若さと美貌以外にまったく長所が見つからない。笑顔には放埓さが滲み、その一挙手一投足に田舎臭さが透けて見える。
顧威霆はなぜこの女を選んだんだ?
山海の珍味に食べ飽きて、突然クソを味わってみたくなったのか?
「明日、子供も連れてきて一緒に住みなさい」
顧威霆の言葉に、部屋の空気は再び凍り付いた。
顧海は黙っていたがその顔色から言わずともわかったのだろう。
「小海」
姜圓は笑顔を崩さなかった。
「うちの息子はあなたと同じ年なのよ。性格も似ているわ。きっとあなたたちは仲良くなれると思うの」
「そいつが来たら、俺は出ていく」
その一言が姜圓の口を封じた。
顧威霆は怒りをあらわにする。
「じゃあ今すぐ出ていけ」
顧海は立ち上がった。姜圓も彼に続いて焦ったように立ち上がる。
「お父さんの言うことは気にしないで。私は最初から息子を連れてくる気はないのよ。あの子は父親に懐いているから、私とは一緒に住みたがらないの」
四十過ぎのバツイチ女で、しかも十七歳の息子がいる。顧威霆、ランクを下げるにも限度があるだろう。この女のために二十年連れ添った妻を殺したのか?
「そいつが来るかどうかは関係ない。どっちにしても俺は出ていく」
顧威霆の顔に暗雲が立ち込める。直立不動の姿勢を崩していなくても見て取れた。彼の広い肩はわずかに震えていた。顧海は強く焼けつくような二人分の視線を無視する。もうずっとここを出ていきたかった。ただきっかけを待っていただけなのだ。これでようやく望みが叶う。
「ほら起きろ。ばあちゃんの薬を買いに行け」
白洛因は目を擦った。まだ夜明け前だ。
「薬を買うだけだから受付は必要ない。処方箋があるから、直接並べば大丈夫だ」
むにゃむにゃと声を上げ、白洛因は寝返りを打った。
「早く行けば早く帰れるぞ。ばあちゃんは急いでるんだから」
白洛因はしばらくゴロゴロしていたが、無理やり起き上がった。朝食は昔からずっと変わらず油条(揚げパン)と豆腐脳(おぼろ豆腐)だ。白漢旗は朝起きると必ず屋台に朝食を買いに行く。まだ店主の女性が来ていないときにはその場で待つ。そうこうしているうちに二人は仲良くなり、白漢旗が行くと彼女は事前に包んでおいた朝食を渡してくれるようになった。
「ごちそうさま」
白洛因がスプーンを置くと、白漢旗はじろりと睨む。
「また一口だけ残しやがって」
白洛因には悪い癖がある。どんなときでも必ず一口残すのだ。たとえ満腹になっていなくても一口だけは残す。小さい頃からの習慣だった。彼が幼い頃父子は貧しく、食事にも事欠いていたのだが、白漢旗はいつも美味しいものは必ず白洛因にくれた。そんな父親に胸を痛め、白洛因はいつも必ず父親に一口残すようになった。
今では腹いっぱい食べられるのに、この悪癖だけが残っている。
今日は金曜日だ。週末は診療が休みになるので、受付に並ぶ人は特に多い。特に最高レベルの総合病院ともなれば、まるで治療費はタダなのかと思うくらいラッシュ時の地下鉄並みに混む。
「おい兄さん、俺の足を踏んでるぞ」
「そんなわけないだろう。俺たち二人とも足が地面についてないはずだ」
「……」
白洛因は綺麗な女性の後ろに並んでいたが、後ろから押されてその女性にぶつかり、そのままもみくちゃにされる。喜んでいいのか悪いのかわからないが、これ以上ぶつかると前にいる女性が妊娠してしまうのではないかと思うほど混雑はひどかった。
「ねえ、ハンサムな兄さん」
「そこのあなたよ!」
白洛因はまだ前の妙齢の女性が気になっていたが、直接肩を叩かれ、振り返る。
するといつの間にか二人の女の子が立っていた。美人ではないがおしゃれをしている。彼女たちはどうやら列に横入りしようとしているらしい。
「兄さん、どっちか選ばせてあげる。私をあなたの前に並ばせてくれるか、あなたの携帯番号を教えてくれるか」
「136×××××××」
二人はきゃっきゃと喜びながら立ち去った。
彼の前に並んでいる女性はそれまで我慢していたようだが、白洛因の言葉を耳にし、勇気を振り絞って振り向く。
「それは本当にあなたの携帯番号なの?」
「俺、そもそも携帯持ってないよ」
「……」
正午になり、白洛因はようやく薬を抱えて戻ってきた。1057元3角2分、薬代は毎月の固定費だ。家計が苦しいのは、二人の老人が主な原因だった。祖母は投薬治療で持病を押さえ、祖父は脳血栓の再発防止のため定期的に点滴に行かねばならない。
「おばさん」
白洛因は向かいから歩いてきたご近所に声をかける。
「おかえり。昼ごはんは何を食べるの?」
「わからないよ」
白洛因がそう答えたとき、後ろから突然クラクションの音が聞こえてきた。振り返ると、豪華な軍用車が止まっていて、運転席には綺麗な女性が座っていた。
白洛因は足を速める。
「洛因」
白洛因を追いかけるため、姜圓はタイトなロングスカートの裾を乱して懸命に走った。もし顧海に見られたら、きっとまた心の中でひとしきり批判されたことだろう。
「なんでママから逃げるのよ?」
白洛因は黙って答えなかった。
「あなたに話があるの。車に乗りなさい」
白洛因は無表情のまま、その場を一歩も動かなかった。
「乗らないなら、あなたたちの家の敷地に入るわよ」
祖母が中庭で話している声がかすかに聞こえてくる。白洛因はビニール袋の中身が祖母の心臓病の薬だということを思い出し、しばらく葛藤したが、最終的には妥協した。
「あなたが通っている高校は進学率も低いし環境もよくないわ。私立の学校を探してあげるからそこに通いなさい。あと二年勉強して受験が終わったら、あなたを国外に留学させてあげる」
白洛因は最低限の言葉で答えた。
「行かない」
その答えは姜圓の想定内だったが、彼女は諦めなかった。
「私を嫌ってもいいし、母親の私に意見があるのはかまわないわ。でも自虐的になってはダメ。こんな低レベルの学校で活路が見いだせる? 私の新しい旦那の息子はあなたと同じ年だから、その私立高校に行けば将来は無限に開けるわ。あなたは彼の息子にだって負けてないわよ」
『新しい旦那』という五文字だけが耳に残る。
「まさか父親と同じ轍を踏むつもり? 一生うだつが上がらず、四十を過ぎてもまだ自転車で通勤してるのよ?」
白洛因は表情を変えず、静かに水を飲んだ後、ようやく口を開いた。
「人の功績を判断するには、彼がどれだけ財産を持っているかではなく、彼が人のためにどれだけ財を生み出したかが問われる。お尋ねしますが姜圓さん、あなたは高級車に乗りブランドバッグを手にしているが、自分の手で何人養いましたか?」
その言葉は姜圓の胸を刺し貫いた。彼女は呆然として白洛因を見つめ、しばらくしてから震える唇を開く。
「私はあなたに母親としての責任を果たせてない。それはわかってるわ。だから今それを償いたいの。あなたはまだ十七歳で、ママもまだ若いわ。どうして私にチャンスをくれないの?」
「チャンスはやるから、二度と俺のところに来ないでくれ」
白洛因は立ち上がり、そのまま外へ向かって歩き出した。
「洛因!」
姜圓は立ち上がって泣き叫ぶ。白洛因は拳を固め、姜圓を振り返った。
「それから二度と俺の前で奴らの話をするな。ムカつくから!」
顧威霆は顧海に視線を向けた。
「どうして黙ってるんだ」
「食事のときはしゃべっちゃいけないんじゃなかったのか?」
「今日は許す」
「首長に報告します。特に話すことはありません」
「うふふふ」
静かなダイニングに突然鈴の音のような笑い声が響き、顧海はあやうく咽そうになった。過去十数年、彼の家でこんな朗らかな笑い声が聞こえてきたことはない。
顧威霆は慣れているのか特に反応せず、紙ナプキンを取って彼女に渡し、低く落ち着いた声で告げる。
「口元を拭きなさい。米粒を吹き出しているだろう」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
姜圓は口を拭いて笑いつつ、顧海の様子を窺っていた。そして彼が自分を無視していることが分かると、箸で鮒料理を摘まんで顧海の皿に乗せる。
「たくさん食べてね」
それがまた顧海の癇に障った。
顧威霆は少なくとも彼の母親に匹敵する女性を選ぶものだと思っていたが、目の前のこの女は若さと美貌以外にまったく長所が見つからない。笑顔には放埓さが滲み、その一挙手一投足に田舎臭さが透けて見える。
顧威霆はなぜこの女を選んだんだ?
山海の珍味に食べ飽きて、突然クソを味わってみたくなったのか?
「明日、子供も連れてきて一緒に住みなさい」
顧威霆の言葉に、部屋の空気は再び凍り付いた。
顧海は黙っていたがその顔色から言わずともわかったのだろう。
「小海」
姜圓は笑顔を崩さなかった。
「うちの息子はあなたと同じ年なのよ。性格も似ているわ。きっとあなたたちは仲良くなれると思うの」
「そいつが来たら、俺は出ていく」
その一言が姜圓の口を封じた。
顧威霆は怒りをあらわにする。
「じゃあ今すぐ出ていけ」
顧海は立ち上がった。姜圓も彼に続いて焦ったように立ち上がる。
「お父さんの言うことは気にしないで。私は最初から息子を連れてくる気はないのよ。あの子は父親に懐いているから、私とは一緒に住みたがらないの」
四十過ぎのバツイチ女で、しかも十七歳の息子がいる。顧威霆、ランクを下げるにも限度があるだろう。この女のために二十年連れ添った妻を殺したのか?
「そいつが来るかどうかは関係ない。どっちにしても俺は出ていく」
顧威霆の顔に暗雲が立ち込める。直立不動の姿勢を崩していなくても見て取れた。彼の広い肩はわずかに震えていた。顧海は強く焼けつくような二人分の視線を無視する。もうずっとここを出ていきたかった。ただきっかけを待っていただけなのだ。これでようやく望みが叶う。
「ほら起きろ。ばあちゃんの薬を買いに行け」
白洛因は目を擦った。まだ夜明け前だ。
「薬を買うだけだから受付は必要ない。処方箋があるから、直接並べば大丈夫だ」
むにゃむにゃと声を上げ、白洛因は寝返りを打った。
「早く行けば早く帰れるぞ。ばあちゃんは急いでるんだから」
白洛因はしばらくゴロゴロしていたが、無理やり起き上がった。朝食は昔からずっと変わらず油条(揚げパン)と豆腐脳(おぼろ豆腐)だ。白漢旗は朝起きると必ず屋台に朝食を買いに行く。まだ店主の女性が来ていないときにはその場で待つ。そうこうしているうちに二人は仲良くなり、白漢旗が行くと彼女は事前に包んでおいた朝食を渡してくれるようになった。
「ごちそうさま」
白洛因がスプーンを置くと、白漢旗はじろりと睨む。
「また一口だけ残しやがって」
白洛因には悪い癖がある。どんなときでも必ず一口残すのだ。たとえ満腹になっていなくても一口だけは残す。小さい頃からの習慣だった。彼が幼い頃父子は貧しく、食事にも事欠いていたのだが、白漢旗はいつも美味しいものは必ず白洛因にくれた。そんな父親に胸を痛め、白洛因はいつも必ず父親に一口残すようになった。
今では腹いっぱい食べられるのに、この悪癖だけが残っている。
今日は金曜日だ。週末は診療が休みになるので、受付に並ぶ人は特に多い。特に最高レベルの総合病院ともなれば、まるで治療費はタダなのかと思うくらいラッシュ時の地下鉄並みに混む。
「おい兄さん、俺の足を踏んでるぞ」
「そんなわけないだろう。俺たち二人とも足が地面についてないはずだ」
「……」
白洛因は綺麗な女性の後ろに並んでいたが、後ろから押されてその女性にぶつかり、そのままもみくちゃにされる。喜んでいいのか悪いのかわからないが、これ以上ぶつかると前にいる女性が妊娠してしまうのではないかと思うほど混雑はひどかった。
「ねえ、ハンサムな兄さん」
「そこのあなたよ!」
白洛因はまだ前の妙齢の女性が気になっていたが、直接肩を叩かれ、振り返る。
するといつの間にか二人の女の子が立っていた。美人ではないがおしゃれをしている。彼女たちはどうやら列に横入りしようとしているらしい。
「兄さん、どっちか選ばせてあげる。私をあなたの前に並ばせてくれるか、あなたの携帯番号を教えてくれるか」
「136×××××××」
二人はきゃっきゃと喜びながら立ち去った。
彼の前に並んでいる女性はそれまで我慢していたようだが、白洛因の言葉を耳にし、勇気を振り絞って振り向く。
「それは本当にあなたの携帯番号なの?」
「俺、そもそも携帯持ってないよ」
「……」
正午になり、白洛因はようやく薬を抱えて戻ってきた。1057元3角2分、薬代は毎月の固定費だ。家計が苦しいのは、二人の老人が主な原因だった。祖母は投薬治療で持病を押さえ、祖父は脳血栓の再発防止のため定期的に点滴に行かねばならない。
「おばさん」
白洛因は向かいから歩いてきたご近所に声をかける。
「おかえり。昼ごはんは何を食べるの?」
「わからないよ」
白洛因がそう答えたとき、後ろから突然クラクションの音が聞こえてきた。振り返ると、豪華な軍用車が止まっていて、運転席には綺麗な女性が座っていた。
白洛因は足を速める。
「洛因」
白洛因を追いかけるため、姜圓はタイトなロングスカートの裾を乱して懸命に走った。もし顧海に見られたら、きっとまた心の中でひとしきり批判されたことだろう。
「なんでママから逃げるのよ?」
白洛因は黙って答えなかった。
「あなたに話があるの。車に乗りなさい」
白洛因は無表情のまま、その場を一歩も動かなかった。
「乗らないなら、あなたたちの家の敷地に入るわよ」
祖母が中庭で話している声がかすかに聞こえてくる。白洛因はビニール袋の中身が祖母の心臓病の薬だということを思い出し、しばらく葛藤したが、最終的には妥協した。
「あなたが通っている高校は進学率も低いし環境もよくないわ。私立の学校を探してあげるからそこに通いなさい。あと二年勉強して受験が終わったら、あなたを国外に留学させてあげる」
白洛因は最低限の言葉で答えた。
「行かない」
その答えは姜圓の想定内だったが、彼女は諦めなかった。
「私を嫌ってもいいし、母親の私に意見があるのはかまわないわ。でも自虐的になってはダメ。こんな低レベルの学校で活路が見いだせる? 私の新しい旦那の息子はあなたと同じ年だから、その私立高校に行けば将来は無限に開けるわ。あなたは彼の息子にだって負けてないわよ」
『新しい旦那』という五文字だけが耳に残る。
「まさか父親と同じ轍を踏むつもり? 一生うだつが上がらず、四十を過ぎてもまだ自転車で通勤してるのよ?」
白洛因は表情を変えず、静かに水を飲んだ後、ようやく口を開いた。
「人の功績を判断するには、彼がどれだけ財産を持っているかではなく、彼が人のためにどれだけ財を生み出したかが問われる。お尋ねしますが姜圓さん、あなたは高級車に乗りブランドバッグを手にしているが、自分の手で何人養いましたか?」
その言葉は姜圓の胸を刺し貫いた。彼女は呆然として白洛因を見つめ、しばらくしてから震える唇を開く。
「私はあなたに母親としての責任を果たせてない。それはわかってるわ。だから今それを償いたいの。あなたはまだ十七歳で、ママもまだ若いわ。どうして私にチャンスをくれないの?」
「チャンスはやるから、二度と俺のところに来ないでくれ」
白洛因は立ち上がり、そのまま外へ向かって歩き出した。
「洛因!」
姜圓は立ち上がって泣き叫ぶ。白洛因は拳を固め、姜圓を振り返った。
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