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3話『憧れとの再会からの決戦』
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高校1年が幕を閉じ、その合間の休暇。春休み。
今日はバレンタインのお渡し会を仕切ってもらったお礼に、麗華はミミと街へ出掛けていた。
「今日というこの日を楽しみにしてたんだ」
「随分と大げさな言い方だね。ミミちゃん」
「そりゃそうだよ。麗華様といる時はだいたい他の人も同伴だったし、こうして2人きりになんてあんまりないもん」
「言われてみれば確かに」
「だから今日の街ブラデート、本当に楽しみにしてたんだ」
「なら、全力で楽しんでもらおうかな」
ミミに手を差し出す麗華。
「はい」
とミミは手を握り、2人は目的地まで小走りで進み出した。
最初は水族館を訪れ、海洋生物達との邂逅に胸を躍らせる。
「麗華様! 見てサメ!」
「ミミちゃんって、サメが好きなんだね」
「サメと他の魚が泳いでるのを、見るのが好きなんだ。サメが魚を食べないように管理してるけど、それでも稀に食べちゃうかもっていうヒヤヒヤ感がなんとも」
「あんまり存じ上げない楽しみ方してるね……」
引きつった笑顔で息を漏らす麗華。
昼は水族館併設のレストランで食事をする両人。
「とっても美味しいね、ミミちゃん」
「うん。お魚を観賞した後にお魚を食すなんて文化の極みだよね。人間の業を感じられて最高!」
「……そうだね。その感想聞くと食すのが申し訳なくなるけど」
「そうかな? 命を消化して心身を満たすのは、とても生物らしい行動をしてて楽しいけどな」
ミミは独特な感性の持ち主なのだ。
水族館を後にして、その近場のショッピングモールへ移動した。
「これ可愛い!」
通りかかったアクセサリーショップに目を輝かせ、足を止めたミミ。
「どれだい?」
ミミの目線の先にあるモノを見て麗華は言葉を失う。
それはリアルな蛙のペンダントだったのだ。
「可愛いよねこれ!」
「えっと……。見方によっては可愛いかもしれないね。これ欲しいのかい? バレンタインのお礼に買ってあげるよ」
「そんな、自分で買うよ」
「いいのいいの。そんな高価なものじゃないから」
麗華は会計に向かい、蛙のペンダントを購入する。
「ありがとう麗華様」
「いえいえ、どういたしまして」
「もし良かったら私に付けてもらっても」
「今ここで!」
「うん」
どの服装に似合うか検討もつかないアクセサリーを、麗華自身の手でミミに付ける。
その心境は複雑であった。
嬉々として首もとに蛙をぶら下げながら、足取り軽く街を進むミミ。その隣に少々足取りが重い麗華。
「本当に可愛い! 家宝にするね麗華様」
「さすがにそれはオーバーすぎる」
極端に喜ぶミミとは対照に、テンションが上がらない麗華。
「ちょっと待ってくれ!」
2人の背後から男性の声がした。
麗華は騒ぎ過ぎたのかと思い、
「すいません。うるさかったですよね」
と返事をし、声の方へ体を回ると立派な体躯の男性が立っていた。
男性は麗華の身長176センチで、男子と比べても大きい方だが、それよりも一回りは大きいと即座に判断できるほどの背丈を有していた。
それにトレーニングを積んでいると断言できる肩幅と筋肉量に麗華は目を丸くし、
(凄い鍛えられてる。私も負けられないな)
と称賛しつつも、対抗心を燃やす。
体躯に釘付けになっていた目線を、顔へ移し見ると若く精悍な顔つきで、自分と同世代あろうと麗華は察する。
しかし、どこか懐かしい雰囲気も感じていた。
声を掛けた男性も麗華同様目を丸くしており、ジッと麗華を観察していた。
しばしの沈黙ののち、男性は口を開く。
「まさか、榊部か!」
「え?」
まさかの自分の名前を知る人物であったことに、驚きを隠せない麗華。
その横でミミは男性の顔を観察し、答えを導いた。
「もしかして、正吾君?」
ミミの言葉にハッとして麗華は、男性の顔と記憶の中の正吾の顔を頭で照らし合わせる。
小学生の時の同級生で一度は憧れ、王子様になろうとしたきっかけを与えてくれた生徒。
岸田正吾の面影をその顔から感じ取った。
「浅桜か。なんだその蛙!」
「これ麗華様に買って貰ったんだ。可愛いでしょ」
「おっおう……」
(浅桜ってこんな感じだっけ……)
小学生の頃には知らなかった、ミミの感性に戸惑う正吾。
「久しぶりだね。正吾君とは中学から離れちゃったから、小学生ぶりだ。元気そうでなにより」
「ああ。こっちに戻ってきてたから、地元周辺をブラブラしてたんだよ。そしたらばったりな」
再会の言葉を交わすミミと正吾に遅れ、麗華も口を開いた。
「正吾君、久しぶりだね。立派な体になって」
「榊部もだろ。女子でその丈の奴なんてそうそう見ないぞ」
笑顔での会話だったが、突如正吾の顔が曇る。
「どうしたんだい正吾君?」
「悪い。普通に接しようと思ったけど、無理だ」
「それってどういう?」
「榊部。あの日のことを覚えているか?」
あの日と言われ、思い当たる節は一つだった。
「体育の授業のこと?」
「そうだ。俺が榊部に敗北した日だ。あの体育の後、俺が女子に影で何て言われていたか知っているか?」
「……正吾姫」
ばつが悪そうに答える麗華。
当時の麗華はそのような呼び方をしてはなく、むしろ止めていた方だが申し訳なく思えた。
「別に榊部が悪いわけじゃない、負けた俺が悪い。だが、ここで会ったのも何かの縁だ」
正吾は麗華に近づき、ゆっくりと拳を差し出す。
「過去の清算をさせてくれないか?」
「清算? どういうこと?」
「俺と勝負してくれ!」
「えっ!」
正吾の提案に驚愕する麗華。
大男が拳を突き出している光景が、通行人の視線を集め、辺りが少しざわつき始める。
その騒ぎに、
「あれって麗華様じゃない?」
と聞き覚えのある声がした。
3人の前に麗華の同級生である女子生徒ファンの雅、光、三月が現れた。
「誰ですかあなた! 麗華様になにをする気! 警察呼びますよ!」
と光が口火を切る。
その発言に麗華は、
「いや、ちょっと待って! 彼は小学生の同級生で、話していただけなんだ」
焦りながら制止する。
「え? そうだったんですか。それは失礼しました」
光の通報を阻止し、ホッとする麗華。
「いや、俺が悪い。ごめん。こっちもついテンションが上がっちまって勝負を挑んでしまったんだ」
ファン生徒3人に、頭を下げる正吾。
「麗華様。勝負ってなんのことです?」
雅の質問に、
「いやその、彼とは小学生頃に対決したことがあってね」
「そうだ。その時体育で俺は負けちまったんだ。だから、また改めて勝負をしたくて提案してたんだ」
その説明に、
「麗華様凄い! 体育で男子に勝ったことがあるなんて!」
三月は驚きの声を上げ、後に2人も、
「凄い、カッコいい」
と同調した。
なにやら話がややこしくなりそうな雰囲気を感じ、
「まあ今日のところは一旦解散にしようか」
と麗華は流れを強引に断ち切ろうとする。
しかし、
「それで、麗華様は勝負受けるの?」
と光が聞き、後の2人も頷き再び同調を示す。
その3人の目はとても輝いていた。
(引きづらい……)
麗華の逃げ道が細く遠のいていく。
「でも、あの時の麗華様凄く格好良かったな。走りも跳び箱も華麗だった」
実際に目撃していた、ミミの不意な思い出話に、さらに目を輝かせるファン生徒達。
(ミミちゃん余計なことを!)
そして更なる追い討ちに、
「それで、俺の勝負を受けてくれるのか?」
と正吾は回答を迫った。
目の前の10の瞳が自分を写してること、そして後方にいる少数の野次馬の視線を浴びてたじろぐ麗華。
(やめてくれ! いつもなら歓迎だが、今ばかりは私を見ないでくれ!)
勝負を受けたくなかった麗華だが、目前の期待が体を蝕み、自分の意思に反し口が動く。
「その勝負受けるとしよう」
身振り手振りを交え、正吾の提案を見かけだけは快く受けてしまった。
麗華は周囲の期待に抗うことが、できなかったのだ。
「本当か! なら、勝負はどうする? そっちが決めていいぜ!」
勝負の成立に興奮し、正吾は前のめりで麗華へ対決競技を尋ねる。
「そうだな」
右手を顎に当て思考を巡らせ、しばらくして答えた。
「腕相撲なんてどうだい?」
まさかの内容に正吾は、
「本気か? 男の俺に力勝負なんて」
と心配が勝る。
「さすがの麗華様でもそれは無理じゃ」
という三月の不安に、
「見て麗華様のあのお顔!」
と雅は麗華を指差す。
自信満々と言わんばかりの表情を浮かべる麗華に、
「あからさまに体格差がある相手に、力勝負を挑むなんてカッコいい!」
光は称賛の声を上げた。
「なんだか知らんがその顔、勝算はあるみたいだな。楽しみだ」
麗華の表情に憂慮は消え、闘争心に火がつく正吾。
「でも、今日はミミちゃんとのデートがあるから後日でもいいかい?」
麗華の提案に、
「ああ構わないぜ」
と正吾は了承し、連絡先を交換した。
「じゃあ勝負を楽しみにしているよ」
その一言を添えて、ミミをエスコートしながら麗華は颯爽と立ち去る。
しかしミミは何かを察したのか、麗華の顔を見つめこう言った。
「あの麗華様? 勝負本当に大丈夫?」
「いや、キツいかも」
長年の付き合いであるミミには、蒼くなった顔でつい本音を漏らしてしまう麗華であった。
話は後日に続く……。
今日はバレンタインのお渡し会を仕切ってもらったお礼に、麗華はミミと街へ出掛けていた。
「今日というこの日を楽しみにしてたんだ」
「随分と大げさな言い方だね。ミミちゃん」
「そりゃそうだよ。麗華様といる時はだいたい他の人も同伴だったし、こうして2人きりになんてあんまりないもん」
「言われてみれば確かに」
「だから今日の街ブラデート、本当に楽しみにしてたんだ」
「なら、全力で楽しんでもらおうかな」
ミミに手を差し出す麗華。
「はい」
とミミは手を握り、2人は目的地まで小走りで進み出した。
最初は水族館を訪れ、海洋生物達との邂逅に胸を躍らせる。
「麗華様! 見てサメ!」
「ミミちゃんって、サメが好きなんだね」
「サメと他の魚が泳いでるのを、見るのが好きなんだ。サメが魚を食べないように管理してるけど、それでも稀に食べちゃうかもっていうヒヤヒヤ感がなんとも」
「あんまり存じ上げない楽しみ方してるね……」
引きつった笑顔で息を漏らす麗華。
昼は水族館併設のレストランで食事をする両人。
「とっても美味しいね、ミミちゃん」
「うん。お魚を観賞した後にお魚を食すなんて文化の極みだよね。人間の業を感じられて最高!」
「……そうだね。その感想聞くと食すのが申し訳なくなるけど」
「そうかな? 命を消化して心身を満たすのは、とても生物らしい行動をしてて楽しいけどな」
ミミは独特な感性の持ち主なのだ。
水族館を後にして、その近場のショッピングモールへ移動した。
「これ可愛い!」
通りかかったアクセサリーショップに目を輝かせ、足を止めたミミ。
「どれだい?」
ミミの目線の先にあるモノを見て麗華は言葉を失う。
それはリアルな蛙のペンダントだったのだ。
「可愛いよねこれ!」
「えっと……。見方によっては可愛いかもしれないね。これ欲しいのかい? バレンタインのお礼に買ってあげるよ」
「そんな、自分で買うよ」
「いいのいいの。そんな高価なものじゃないから」
麗華は会計に向かい、蛙のペンダントを購入する。
「ありがとう麗華様」
「いえいえ、どういたしまして」
「もし良かったら私に付けてもらっても」
「今ここで!」
「うん」
どの服装に似合うか検討もつかないアクセサリーを、麗華自身の手でミミに付ける。
その心境は複雑であった。
嬉々として首もとに蛙をぶら下げながら、足取り軽く街を進むミミ。その隣に少々足取りが重い麗華。
「本当に可愛い! 家宝にするね麗華様」
「さすがにそれはオーバーすぎる」
極端に喜ぶミミとは対照に、テンションが上がらない麗華。
「ちょっと待ってくれ!」
2人の背後から男性の声がした。
麗華は騒ぎ過ぎたのかと思い、
「すいません。うるさかったですよね」
と返事をし、声の方へ体を回ると立派な体躯の男性が立っていた。
男性は麗華の身長176センチで、男子と比べても大きい方だが、それよりも一回りは大きいと即座に判断できるほどの背丈を有していた。
それにトレーニングを積んでいると断言できる肩幅と筋肉量に麗華は目を丸くし、
(凄い鍛えられてる。私も負けられないな)
と称賛しつつも、対抗心を燃やす。
体躯に釘付けになっていた目線を、顔へ移し見ると若く精悍な顔つきで、自分と同世代あろうと麗華は察する。
しかし、どこか懐かしい雰囲気も感じていた。
声を掛けた男性も麗華同様目を丸くしており、ジッと麗華を観察していた。
しばしの沈黙ののち、男性は口を開く。
「まさか、榊部か!」
「え?」
まさかの自分の名前を知る人物であったことに、驚きを隠せない麗華。
その横でミミは男性の顔を観察し、答えを導いた。
「もしかして、正吾君?」
ミミの言葉にハッとして麗華は、男性の顔と記憶の中の正吾の顔を頭で照らし合わせる。
小学生の時の同級生で一度は憧れ、王子様になろうとしたきっかけを与えてくれた生徒。
岸田正吾の面影をその顔から感じ取った。
「浅桜か。なんだその蛙!」
「これ麗華様に買って貰ったんだ。可愛いでしょ」
「おっおう……」
(浅桜ってこんな感じだっけ……)
小学生の頃には知らなかった、ミミの感性に戸惑う正吾。
「久しぶりだね。正吾君とは中学から離れちゃったから、小学生ぶりだ。元気そうでなにより」
「ああ。こっちに戻ってきてたから、地元周辺をブラブラしてたんだよ。そしたらばったりな」
再会の言葉を交わすミミと正吾に遅れ、麗華も口を開いた。
「正吾君、久しぶりだね。立派な体になって」
「榊部もだろ。女子でその丈の奴なんてそうそう見ないぞ」
笑顔での会話だったが、突如正吾の顔が曇る。
「どうしたんだい正吾君?」
「悪い。普通に接しようと思ったけど、無理だ」
「それってどういう?」
「榊部。あの日のことを覚えているか?」
あの日と言われ、思い当たる節は一つだった。
「体育の授業のこと?」
「そうだ。俺が榊部に敗北した日だ。あの体育の後、俺が女子に影で何て言われていたか知っているか?」
「……正吾姫」
ばつが悪そうに答える麗華。
当時の麗華はそのような呼び方をしてはなく、むしろ止めていた方だが申し訳なく思えた。
「別に榊部が悪いわけじゃない、負けた俺が悪い。だが、ここで会ったのも何かの縁だ」
正吾は麗華に近づき、ゆっくりと拳を差し出す。
「過去の清算をさせてくれないか?」
「清算? どういうこと?」
「俺と勝負してくれ!」
「えっ!」
正吾の提案に驚愕する麗華。
大男が拳を突き出している光景が、通行人の視線を集め、辺りが少しざわつき始める。
その騒ぎに、
「あれって麗華様じゃない?」
と聞き覚えのある声がした。
3人の前に麗華の同級生である女子生徒ファンの雅、光、三月が現れた。
「誰ですかあなた! 麗華様になにをする気! 警察呼びますよ!」
と光が口火を切る。
その発言に麗華は、
「いや、ちょっと待って! 彼は小学生の同級生で、話していただけなんだ」
焦りながら制止する。
「え? そうだったんですか。それは失礼しました」
光の通報を阻止し、ホッとする麗華。
「いや、俺が悪い。ごめん。こっちもついテンションが上がっちまって勝負を挑んでしまったんだ」
ファン生徒3人に、頭を下げる正吾。
「麗華様。勝負ってなんのことです?」
雅の質問に、
「いやその、彼とは小学生頃に対決したことがあってね」
「そうだ。その時体育で俺は負けちまったんだ。だから、また改めて勝負をしたくて提案してたんだ」
その説明に、
「麗華様凄い! 体育で男子に勝ったことがあるなんて!」
三月は驚きの声を上げ、後に2人も、
「凄い、カッコいい」
と同調した。
なにやら話がややこしくなりそうな雰囲気を感じ、
「まあ今日のところは一旦解散にしようか」
と麗華は流れを強引に断ち切ろうとする。
しかし、
「それで、麗華様は勝負受けるの?」
と光が聞き、後の2人も頷き再び同調を示す。
その3人の目はとても輝いていた。
(引きづらい……)
麗華の逃げ道が細く遠のいていく。
「でも、あの時の麗華様凄く格好良かったな。走りも跳び箱も華麗だった」
実際に目撃していた、ミミの不意な思い出話に、さらに目を輝かせるファン生徒達。
(ミミちゃん余計なことを!)
そして更なる追い討ちに、
「それで、俺の勝負を受けてくれるのか?」
と正吾は回答を迫った。
目の前の10の瞳が自分を写してること、そして後方にいる少数の野次馬の視線を浴びてたじろぐ麗華。
(やめてくれ! いつもなら歓迎だが、今ばかりは私を見ないでくれ!)
勝負を受けたくなかった麗華だが、目前の期待が体を蝕み、自分の意思に反し口が動く。
「その勝負受けるとしよう」
身振り手振りを交え、正吾の提案を見かけだけは快く受けてしまった。
麗華は周囲の期待に抗うことが、できなかったのだ。
「本当か! なら、勝負はどうする? そっちが決めていいぜ!」
勝負の成立に興奮し、正吾は前のめりで麗華へ対決競技を尋ねる。
「そうだな」
右手を顎に当て思考を巡らせ、しばらくして答えた。
「腕相撲なんてどうだい?」
まさかの内容に正吾は、
「本気か? 男の俺に力勝負なんて」
と心配が勝る。
「さすがの麗華様でもそれは無理じゃ」
という三月の不安に、
「見て麗華様のあのお顔!」
と雅は麗華を指差す。
自信満々と言わんばかりの表情を浮かべる麗華に、
「あからさまに体格差がある相手に、力勝負を挑むなんてカッコいい!」
光は称賛の声を上げた。
「なんだか知らんがその顔、勝算はあるみたいだな。楽しみだ」
麗華の表情に憂慮は消え、闘争心に火がつく正吾。
「でも、今日はミミちゃんとのデートがあるから後日でもいいかい?」
麗華の提案に、
「ああ構わないぜ」
と正吾は了承し、連絡先を交換した。
「じゃあ勝負を楽しみにしているよ」
その一言を添えて、ミミをエスコートしながら麗華は颯爽と立ち去る。
しかしミミは何かを察したのか、麗華の顔を見つめこう言った。
「あの麗華様? 勝負本当に大丈夫?」
「いや、キツいかも」
長年の付き合いであるミミには、蒼くなった顔でつい本音を漏らしてしまう麗華であった。
話は後日に続く……。
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