あの日咲かせた緋色の花は

棺ノア

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第1章

ランチタイム

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上城姉妹の通う学校はそこそこ校舎が新しく、それなりに裕福な家庭環境に置かれた者が通うので豪華な造りになっている。

―昼休み。

大抵の生徒が中庭や教室、屋上で昼食を楽しむ中、芽愚は中学棟や高校棟と少し離れた木造校舎で昼食を摂る。

木造校舎は主に音楽、美術、家庭科の特別教室で構成された平屋の施設であり、一見食事を摂るために出向くには不向きな場所なのだが、突き当たりの裏口扉を開けると、何のために作られたのかは不明だが数脚のイスとテーブルが常設されたテラスがあり、そこは知る人ぞ知る穴場スポットとなっているのだった。

裏口扉は常に鍵が掛けられているのだが、芽愚は自分の好きなときに出入りすることができる。

…何故か。

ライリーにピッキングを教わったからである。あの金髪美女、普段は天真爛漫な雰囲気で笑顔をふりまき周囲を和ませているが、殺し屋としての技術は一流である。
特に小道具を使った仕掛けに関しては龍も舌を巻く部分があり、ピッキングも得意分野のひとつとする彼女にかかれば、顔認証でもない限りいくら鍵をしても意味を成さないのであった。

そんな彼女が直々に「メグちんにも教えてあげる~♡便利だから♡♡♡」と数パターンの方法を実践も踏まえて伝授したので、芽愚単独でも相当なピッキングができるようになった。

なお、理事長には既に出入りがバレているが、「上城さんならまぁいいわ」とのことで了承済みである。


…とまぁそういうことで芽愚は普段、一人そのテラスで律紀特製のお弁当を食べているが、ちょうどこの日は次の依頼について話があるとのことだったので裕璃も一緒に来ることになったのだ。

ちなみに裕璃は普段教室で友人と食べており、ピッキングも簡単なものしかできないので一人で裏口を開けることは不可能である。

「でね、次の依頼ってあんま強くないの六人を二人で任されてるから全然しんどくなさそうだと思うじゃん。でも颯さんがすごく複雑そうな顔で終わった後もメグ姉の背後とか気をつけておいてやれって言うんだけど、どういう意味なんだろ?」

裕璃はそう言いつつ、柚子塩のアクセントがきいた唐揚げを頬張る。彼女の言う颯さんは颯太郎のことである。

「ん~……特に心当たりは無いけどね。恨まれてるって話ならユリも条件は一緒でしょうし。っていうかなんで鷲森くんもここにいるの?」

芽愚の言葉通り、彼はしれっと二人に同席し、焼きそばパンを齧っていた。

「え~?別にいいやん?部外者やないねんしさぁ」

「この一件に関しては部外者でしょ」

「ボクも木造校舎に入って声かけられるまでついてきてるとは思わなかったの…」

「まぁまぁ…俺そのターゲットの話、ちょっと心当たりあるねんけど」

そこでパンを食べきり、パックのカフェオレを一口飲んだところでニヤリと頬杖をついた。


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