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第4章
秘められた才能
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芽愚は家にいる間、持ち帰った遺体の一部を様々な方法で精密に検査したが、やはり予想していた通りそこから毒物を検出することができなかった。
標的が溶けたメカニズムは想定していた通りであったようだが、では何故内臓に留まらず全身が溶けてしまったのだろうか。
調べていくと、芽愚はふと実験時と実践時で使用方法が少し異なっていたことに気づいた。
実験段階でラットに薬を与える時は液体の状態で舐めさせたのに対し、実践で人間に使う時は塗りつけたものを乾かして舐めさせたのである。
つまり、実践の時のみ"濃度が飛躍的に上がっていた"のである。
この薬の作り方はかなり特殊な方法を採用しており、その作り方だと濃度が少し上がるだけで何百、何千倍もの効果が出てくる可能性があったのだ。
(私としたことが……不注意だったわ)
バレずに完遂することに気を取られ、結果的にとんでもない使い方で薬を使用してしまった。目的が果たせたとはいえ、芽愚にとって今回の任務は"失敗"である。
(しっかりしなきゃ……)
深いため息をつくと、研究室の丸椅子に座ったまま、テーブルに突っ伏した。
………一方この頃、黒城の屋敷の一番端にある和室―普段は会議室として使われている―では、龍と研究室長が向かい合って座っていた。
研究室長の岡本という男は、二十八歳のとき開発した新薬で世界的に表彰された実力者であり、今は表社会で大手の製薬会社として運営している黒城組の研究所の所長である。
芽愚が引き取られてすぐの頃、研究所を訪れた際に薬学に興味を示したため彼女に薬についていろいろ教え込んだので、二人はそれなりに仲が良いのだ。
龍は、今回芽愚が作った薬について岡本から報告を受け、驚きに顔を強ばらせていた。
「…その話は本当なのか?いや、すまない。君を信用していないわけじゃないんだ。にわかに信じ難い内容だったものでな」
「それは私とて同感です。何故あんなモノを、彼女が感覚で作り出せたのか不思議で仕方ないのですよ」
岡本によると、今回の毒薬の主成分は世界中の研究者が血眼になって作ろうとしているものに近い成分であるということだった。
芽愚が作ったのは毒薬だが、内臓を溶かしたあとに体液と一体化する性質は、量や濃度を調節することで手術に役立てることが出来る。もしコレをしっかりした医療で使えるものにすれば、莫大な金を手に入れられることだろう。
黒城の研究所では各々がちゃんと研究成果を管理し、厳重に取り扱っているため芽愚の研究に関する詳細が漏れる心配は今のところはない。しかし、今回の薬で世界的な発見があったことが知られると、完全に保護し切れるかと言うと怪しかった。
「取り敢えず、芽愚ちゃんには一旦この薬のサンプルを資料と共に、金庫に封印して頂こうと思っています。しかし、あまり長くそのままにしておくわけにもいきませんね。早いうちに論文にまとめなくては、いつその薬を巡って争いが起こるか分からなくなるので…」
岡本の話を聞き、龍は楽しくて仕方ないとでも言うように肩を震わせた。
「あいつ、とんでもねぇもの作りやがったなぁ…!頭が良いことは気づいていたが、ここまでとは思わなかったぞ。お前から見てどうだ?メグの力は」
「ええ、僕から見ても、彼女の潜在能力は凄まじいものだと思います。現段階でここまでの成果を上げているのですから、本格的に薬学を学べば今は想像もできないような薬も開発できるかもしれません」
その言葉に深く頷き、顎に手を添えて考える。
(芽愚…あいつは将来、絶対に大物になる。実に楽しみだ。どこまでその才能を活かせるかがな)
標的が溶けたメカニズムは想定していた通りであったようだが、では何故内臓に留まらず全身が溶けてしまったのだろうか。
調べていくと、芽愚はふと実験時と実践時で使用方法が少し異なっていたことに気づいた。
実験段階でラットに薬を与える時は液体の状態で舐めさせたのに対し、実践で人間に使う時は塗りつけたものを乾かして舐めさせたのである。
つまり、実践の時のみ"濃度が飛躍的に上がっていた"のである。
この薬の作り方はかなり特殊な方法を採用しており、その作り方だと濃度が少し上がるだけで何百、何千倍もの効果が出てくる可能性があったのだ。
(私としたことが……不注意だったわ)
バレずに完遂することに気を取られ、結果的にとんでもない使い方で薬を使用してしまった。目的が果たせたとはいえ、芽愚にとって今回の任務は"失敗"である。
(しっかりしなきゃ……)
深いため息をつくと、研究室の丸椅子に座ったまま、テーブルに突っ伏した。
………一方この頃、黒城の屋敷の一番端にある和室―普段は会議室として使われている―では、龍と研究室長が向かい合って座っていた。
研究室長の岡本という男は、二十八歳のとき開発した新薬で世界的に表彰された実力者であり、今は表社会で大手の製薬会社として運営している黒城組の研究所の所長である。
芽愚が引き取られてすぐの頃、研究所を訪れた際に薬学に興味を示したため彼女に薬についていろいろ教え込んだので、二人はそれなりに仲が良いのだ。
龍は、今回芽愚が作った薬について岡本から報告を受け、驚きに顔を強ばらせていた。
「…その話は本当なのか?いや、すまない。君を信用していないわけじゃないんだ。にわかに信じ難い内容だったものでな」
「それは私とて同感です。何故あんなモノを、彼女が感覚で作り出せたのか不思議で仕方ないのですよ」
岡本によると、今回の毒薬の主成分は世界中の研究者が血眼になって作ろうとしているものに近い成分であるということだった。
芽愚が作ったのは毒薬だが、内臓を溶かしたあとに体液と一体化する性質は、量や濃度を調節することで手術に役立てることが出来る。もしコレをしっかりした医療で使えるものにすれば、莫大な金を手に入れられることだろう。
黒城の研究所では各々がちゃんと研究成果を管理し、厳重に取り扱っているため芽愚の研究に関する詳細が漏れる心配は今のところはない。しかし、今回の薬で世界的な発見があったことが知られると、完全に保護し切れるかと言うと怪しかった。
「取り敢えず、芽愚ちゃんには一旦この薬のサンプルを資料と共に、金庫に封印して頂こうと思っています。しかし、あまり長くそのままにしておくわけにもいきませんね。早いうちに論文にまとめなくては、いつその薬を巡って争いが起こるか分からなくなるので…」
岡本の話を聞き、龍は楽しくて仕方ないとでも言うように肩を震わせた。
「あいつ、とんでもねぇもの作りやがったなぁ…!頭が良いことは気づいていたが、ここまでとは思わなかったぞ。お前から見てどうだ?メグの力は」
「ええ、僕から見ても、彼女の潜在能力は凄まじいものだと思います。現段階でここまでの成果を上げているのですから、本格的に薬学を学べば今は想像もできないような薬も開発できるかもしれません」
その言葉に深く頷き、顎に手を添えて考える。
(芽愚…あいつは将来、絶対に大物になる。実に楽しみだ。どこまでその才能を活かせるかがな)
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