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始発と共に。
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高校は名ばかりの部活動の写真部だった。
毎月1枚適当に撮った写真を顧問に提出していた。
それすらもしない幽霊部員で溢れていた。
私と、谷川だけ、
毎月皆勤賞だった。
顧問からも偉いと言われた。
私たちはクラスが違ったので、
月1部室で写真を提出する時だけ顔を合わせた。
たまに廊下ですれ違う。
あっ!とは思うけど、挨拶をするまでもない。
卒業して、
大学へ進学して、
谷川の事なんて頭からすっぽり抜けていた。
「あっ。」
思わず目の前に座った男性に見覚えがあって、
「谷川です。」と声を発した男性と目が合って、
私が声を上げたのは、
大学2年生の20歳の時だった。
私の声に反応して、谷川も私を見た。
谷川の目が開く。
社会人の彼氏が居る友達が
お節介で開いた合コンで、
私たちは再会した。
3対3の合コンで、
私は谷川となんだかペアになった。
1次会の店からカラオケに移動する時、
隣を歩く谷川が私に話しかけてきた。
「写真部の?」
「そうそう!」
「大学生なんだ?」
「もう働いてるとは!」
私たちはケラケラ笑った。
カラオケで始発まで時間を潰した。
他の2組は、歌を歌ってたりウトウトしてたり。
ふぁーと欠伸をする。
隣に座る谷川が携帯を取り出す。
「連絡先聞いてもいい?」
「あ、うん!もちろん!」
連絡先を交換する。
「夏休み?」
「そうそう。」
「いいな、夏休み!」
「社会人ってやっぱ大変?」
「そりゃあ、もう!社畜限界って感じ!」
「大学卒業したいけど、なんか嫌だな笑」
「夏休み予定入ってる?」
「そんなにないよ!暑いし!」
「暑いけどさ、遊びに誘ってもいい?」
「うん、いいよ!遊ぼう!」
話をしていると、
私たちは住んでるところが近かった。
始発になって、合コンは解散した。
合コン後、数日経つが、
谷川から連絡は来なかった。
(なんだよー。)
暑い夏。
部屋でクーラーを付けてゴロゴロしていたある日。
携帯がなる。
電話に出ると、
谷川だった。
「ご飯行かない?いまから!」とのことだった。
「急すぎだよ。笑」
「学生なんだから、これるだろ?笑」
私は急いで着替えて、
待ち合わせ場所に向かった。
谷川は、仕事終わりなのかスーツ姿だった。
「ごめん、待った?」と、駆け寄る。
「めっちゃ汗かいた!」と、谷川は笑う。
谷川は、席予約しといたと、
居酒屋に歩いていった。
お酒は飲み始めたばかりで、
居酒屋も数回しか行ったことがない。
居酒屋につくと、
谷川は、「何飲む?」と、メニューを渡す。
どうしようと思って、
よく聞いたファジーネーブルを頼んだ。
谷川は、生ビールだった。
ビールは苦くて飲めないというと、
「俺も最初はあんまりだったけど、
仕事の付き添いで飲み慣れて、
注文考えるの面倒いから最初はビールにしちゃうようになった!」と、飲む。
焼き鳥がメインの居酒屋だった。
「おいしい!」
「良かった!」
「何気にお店で食べるの初かも!?」
「ああ、そうなの?」
「焼きたておいしい!」
「夏のボーナス入ったから奢るよ!
沢山食べて!」
谷川ってこんなに話楽しいんだ?
一緒に居て楽しくて、口角が上がる。
スーツ姿もなんか同い年なのに
少し年上の人に見えてドキドキする。
「なんか刺身食べたいな。」
「え?笑」
「2軒目行くか!」と、
会計をした谷川は携帯でお店を検索する。
「居酒屋は今いったから、
回転寿司でもいい?」
「まじ?お腹結構いっぱいだよ?笑」
「若いからいけるよ!笑」
そんな訳で近くの回転寿司にきた。
カウンターに座る。
さっきは向かい合ってたけど、
今は隣の席。
なんか近い。
谷川はさっきも、結構食べてたのに
パクパク寿司を食べている。
「よくはいるね?!笑」
「20代男子の胃袋はすごいんだよ!笑」
私はデザートのアイスを食べた。
回転寿司を出る。
(もうすぐ終電の時間。)
谷川を見ると、
「また始発までカラオケいく?」と言う。
「うん!」
なんか一緒に居るのが嬉しくて、
私はニコニコする。
カラオケで盛り上がって、
歌い疲れた3時。
お酒も飲んで、眠くなる。
ウトウトしていると、
谷川は、
「俺さ、高校生で進路決める時は
別に夢とかなくて、
勉強嫌だから、就職にしたけどさ。」
と話し始める。
「うん。」
「働いてみると、毎日しんどい。
学生の時となんかしんどさが違うの。」
「うん。」
「最近動画見てて。」
「うん。」
「一人で世界一周するみたいなやつ。」
「うん。」
「俺、明日から行くことにしたの。」
「うん。」
「今日仕事辞めてきた。」
「うん。」
「準備はもうしてあって。」
「うん。」
「丁度行こうって思ったあたりに、
あの時の合コン?があってさ。」
「うん。」
「そこで、佐々木と再会してさ。」
「うん。」
「なんか、懐かしくて。」
「うん。」
「写真部の時さ、俺世界の風景撮ってみたいって思ったことあって、それ思い出してさ。」
「うん。」
「佐々木が、背中押してくれたの、
俺の決心の。」
「うん。」
眠くて話したいのに、
頭が回らなくて、
うんしか言えない。
「名前で、呼んでいい?」
「うん。」
「ゆりちゃん。」
「うん。」
「チューしていい?」
「うん。」
(えっ。)って思った時には、
谷川にキスされてた。
目が開く。
ギューって私を抱きしめる谷川。
心臓が、ドクドク脈打つ。
谷川がまたキスをしてくる。
舌を絡めるキスをしてくる。
酔いとドキドキで目が回る。
「連絡、していい?」
「う、うん。」
始発まで手を繋いで、
谷川の話をきいた。
店を出ると、朝日が上がっている。
駅に向かう。
谷川は、先に始発に乗る。
「ゆりちゃん、またね。」と、
谷川は手を振る。
なんか1日の濃度が濃すぎて、
私はフラフラと帰路に着いた。
家に帰って、とりあえず寝た。
次の日起きて、
谷川から連絡はない。
夏休みが終わっても連絡はない。
(私たちって、なんなの?!)
付き合ってる、の?!
付き合って、ない?!
でも、またねっていったよね?!
チューだけされるってことある?!
モヤモヤ過ごした。
季節は冬になって、
日本での最後の日に私は弄ばれたのだと思ってたら、
クリスマス前に谷川から突然連絡が来た。
アルバムが表示されて、
世界の色んな風景と谷川の笑顔の写真。
見た瞬間、
心があつくなった。
もうすぐクリスマスだね。
帰ろうかと思ったけど、今日本の反対側にいて、遠すぎるからやめておく。笑
ゆりちゃん、元気してる?
連絡しなくてごめんね。
実は高校生の時から気になってて、
再会した時、ゆりちゃん昔と変わってなくて、嬉しかった。
連絡不精な俺だけど、
ゆりちゃんと夏に過ごしたあの日は忘れられない思い出の1日です。
好きです。
あの日言えてなかった!
谷川からのメッセージを読んで、
私は涙ぐむ。
無事に、帰ってきて。
話したい事沢山ある。
会いたいよ。
待ってるよと送る、冬。
毎月1枚適当に撮った写真を顧問に提出していた。
それすらもしない幽霊部員で溢れていた。
私と、谷川だけ、
毎月皆勤賞だった。
顧問からも偉いと言われた。
私たちはクラスが違ったので、
月1部室で写真を提出する時だけ顔を合わせた。
たまに廊下ですれ違う。
あっ!とは思うけど、挨拶をするまでもない。
卒業して、
大学へ進学して、
谷川の事なんて頭からすっぽり抜けていた。
「あっ。」
思わず目の前に座った男性に見覚えがあって、
「谷川です。」と声を発した男性と目が合って、
私が声を上げたのは、
大学2年生の20歳の時だった。
私の声に反応して、谷川も私を見た。
谷川の目が開く。
社会人の彼氏が居る友達が
お節介で開いた合コンで、
私たちは再会した。
3対3の合コンで、
私は谷川となんだかペアになった。
1次会の店からカラオケに移動する時、
隣を歩く谷川が私に話しかけてきた。
「写真部の?」
「そうそう!」
「大学生なんだ?」
「もう働いてるとは!」
私たちはケラケラ笑った。
カラオケで始発まで時間を潰した。
他の2組は、歌を歌ってたりウトウトしてたり。
ふぁーと欠伸をする。
隣に座る谷川が携帯を取り出す。
「連絡先聞いてもいい?」
「あ、うん!もちろん!」
連絡先を交換する。
「夏休み?」
「そうそう。」
「いいな、夏休み!」
「社会人ってやっぱ大変?」
「そりゃあ、もう!社畜限界って感じ!」
「大学卒業したいけど、なんか嫌だな笑」
「夏休み予定入ってる?」
「そんなにないよ!暑いし!」
「暑いけどさ、遊びに誘ってもいい?」
「うん、いいよ!遊ぼう!」
話をしていると、
私たちは住んでるところが近かった。
始発になって、合コンは解散した。
合コン後、数日経つが、
谷川から連絡は来なかった。
(なんだよー。)
暑い夏。
部屋でクーラーを付けてゴロゴロしていたある日。
携帯がなる。
電話に出ると、
谷川だった。
「ご飯行かない?いまから!」とのことだった。
「急すぎだよ。笑」
「学生なんだから、これるだろ?笑」
私は急いで着替えて、
待ち合わせ場所に向かった。
谷川は、仕事終わりなのかスーツ姿だった。
「ごめん、待った?」と、駆け寄る。
「めっちゃ汗かいた!」と、谷川は笑う。
谷川は、席予約しといたと、
居酒屋に歩いていった。
お酒は飲み始めたばかりで、
居酒屋も数回しか行ったことがない。
居酒屋につくと、
谷川は、「何飲む?」と、メニューを渡す。
どうしようと思って、
よく聞いたファジーネーブルを頼んだ。
谷川は、生ビールだった。
ビールは苦くて飲めないというと、
「俺も最初はあんまりだったけど、
仕事の付き添いで飲み慣れて、
注文考えるの面倒いから最初はビールにしちゃうようになった!」と、飲む。
焼き鳥がメインの居酒屋だった。
「おいしい!」
「良かった!」
「何気にお店で食べるの初かも!?」
「ああ、そうなの?」
「焼きたておいしい!」
「夏のボーナス入ったから奢るよ!
沢山食べて!」
谷川ってこんなに話楽しいんだ?
一緒に居て楽しくて、口角が上がる。
スーツ姿もなんか同い年なのに
少し年上の人に見えてドキドキする。
「なんか刺身食べたいな。」
「え?笑」
「2軒目行くか!」と、
会計をした谷川は携帯でお店を検索する。
「居酒屋は今いったから、
回転寿司でもいい?」
「まじ?お腹結構いっぱいだよ?笑」
「若いからいけるよ!笑」
そんな訳で近くの回転寿司にきた。
カウンターに座る。
さっきは向かい合ってたけど、
今は隣の席。
なんか近い。
谷川はさっきも、結構食べてたのに
パクパク寿司を食べている。
「よくはいるね?!笑」
「20代男子の胃袋はすごいんだよ!笑」
私はデザートのアイスを食べた。
回転寿司を出る。
(もうすぐ終電の時間。)
谷川を見ると、
「また始発までカラオケいく?」と言う。
「うん!」
なんか一緒に居るのが嬉しくて、
私はニコニコする。
カラオケで盛り上がって、
歌い疲れた3時。
お酒も飲んで、眠くなる。
ウトウトしていると、
谷川は、
「俺さ、高校生で進路決める時は
別に夢とかなくて、
勉強嫌だから、就職にしたけどさ。」
と話し始める。
「うん。」
「働いてみると、毎日しんどい。
学生の時となんかしんどさが違うの。」
「うん。」
「最近動画見てて。」
「うん。」
「一人で世界一周するみたいなやつ。」
「うん。」
「俺、明日から行くことにしたの。」
「うん。」
「今日仕事辞めてきた。」
「うん。」
「準備はもうしてあって。」
「うん。」
「丁度行こうって思ったあたりに、
あの時の合コン?があってさ。」
「うん。」
「そこで、佐々木と再会してさ。」
「うん。」
「なんか、懐かしくて。」
「うん。」
「写真部の時さ、俺世界の風景撮ってみたいって思ったことあって、それ思い出してさ。」
「うん。」
「佐々木が、背中押してくれたの、
俺の決心の。」
「うん。」
眠くて話したいのに、
頭が回らなくて、
うんしか言えない。
「名前で、呼んでいい?」
「うん。」
「ゆりちゃん。」
「うん。」
「チューしていい?」
「うん。」
(えっ。)って思った時には、
谷川にキスされてた。
目が開く。
ギューって私を抱きしめる谷川。
心臓が、ドクドク脈打つ。
谷川がまたキスをしてくる。
舌を絡めるキスをしてくる。
酔いとドキドキで目が回る。
「連絡、していい?」
「う、うん。」
始発まで手を繋いで、
谷川の話をきいた。
店を出ると、朝日が上がっている。
駅に向かう。
谷川は、先に始発に乗る。
「ゆりちゃん、またね。」と、
谷川は手を振る。
なんか1日の濃度が濃すぎて、
私はフラフラと帰路に着いた。
家に帰って、とりあえず寝た。
次の日起きて、
谷川から連絡はない。
夏休みが終わっても連絡はない。
(私たちって、なんなの?!)
付き合ってる、の?!
付き合って、ない?!
でも、またねっていったよね?!
チューだけされるってことある?!
モヤモヤ過ごした。
季節は冬になって、
日本での最後の日に私は弄ばれたのだと思ってたら、
クリスマス前に谷川から突然連絡が来た。
アルバムが表示されて、
世界の色んな風景と谷川の笑顔の写真。
見た瞬間、
心があつくなった。
もうすぐクリスマスだね。
帰ろうかと思ったけど、今日本の反対側にいて、遠すぎるからやめておく。笑
ゆりちゃん、元気してる?
連絡しなくてごめんね。
実は高校生の時から気になってて、
再会した時、ゆりちゃん昔と変わってなくて、嬉しかった。
連絡不精な俺だけど、
ゆりちゃんと夏に過ごしたあの日は忘れられない思い出の1日です。
好きです。
あの日言えてなかった!
谷川からのメッセージを読んで、
私は涙ぐむ。
無事に、帰ってきて。
話したい事沢山ある。
会いたいよ。
待ってるよと送る、冬。
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