元カレと通う料理教室🍳

神奈川雪枝

文字の大きさ
2 / 2

初めてのシチュー🍲

しおりを挟む
料理教室の案内に書かれてある持ち物を持って、
私は出陣した。

洋風な家に着いた。

恥をかくだけなんじゃないかと思って、
引き返そうとしたら、
見覚えのある男の人がやってきた。

「まぁーくん?」

思わず呟いてしまった。

彼は、私の声に反応して、
私のことを見た。

「り、りか?!」

私たちは目を見開いて、
見つめあっていた。

地元が同じで、
上京の時期も同じで、
慣れない一人暮らしの最中、
連絡を取り合い、
何度か食事をして、
私達は付き合うことになった。

家賃折半の方が得じゃね?!という感じですぐに同棲をした。

お互い、料理とは無縁の生活で、
インスタント食品やコンビニの弁当、
外食で賄っていた。

掃除も苦手で、
2人で暮らしてたけど、
結婚のイメージが全然わかなくて、
彼が転勤になったのをきっかけに、
別れる事になったのだ。

「いつ、戻ってきてたの?!」

「あ、あぁ。最近だよ。」

お互い、指には指輪がついていた。

私達は元から
友達関係のような付き合い方だったから。

「結婚したんだね。」とはなすと、
彼は指輪を一瞥して、
「まだ、籍はいれてないんだ。」と、話した。

「そ、そうなの?!
実は私もなんだ!」

お互い婚約期間中に、
料理教室に通うとは。

同棲してる時に、
休みの日ぐらい料理すればよかった、ね?

私達は、家の中に入る。

先生は、花柄のワンピースをきていて、
髪の毛もクルクルまいたポニーテールだった。

「こんにちは!
2人、知り合い?」

真っ直ぐにきいてくる先生に、
私達は気まづく頷いた。

「火曜日は、今のところあなた達2人だけなのよ!」

私達はエプロンをつけて、
キッチンに立つ。

「鍋もってきたかしら?
今日は皆大好き、
クリームシチューを作るのよ!」

シチュー、か。
子供ときに食べたくらいだな。
たまにレトルトでも食べるくらい。

野菜の下準備。
私達は、ここで四苦八苦した。

玉ねぎは目にしみるし、
人参は切りにくいし、
じゃがいもは皮むきが大変。

肉を炒めて、
野菜を炒めて、
煮る。

ホッと一安心。

ルーを入れて煮てる時に、
先生は電話がかかってきて、
席を外した。

「まぁくん、なんで料理教室に?」

「結婚したいと思った人がいて、
でもその人俺より仕事めちゃくちゃ忙しくて、
少しでも支えたいって思ったんだけど、
俺、家事何も出来ないから。
料理は、習う所あったから。」

「そっかぁ。」

「りかは?なんで?」

「私、専業主婦になるんだけど、
料理全然作れないから、
通ってみたらって言われて。」

「そうなんだ。
2人でいつも、給料日前とか安いカップラーメン食べてたよな。笑」

「あれ、美味しかったよね!
懐かしいなぁ。」

「りか、計らなくても3分きっちりわかったりしたよな笑」

「カップラーメン食べすぎてて笑」

狭い物が溢れたアパートの一室。
若い頃の私達は、
手料理が作れなくても、
2人で楽しくご飯を食べていた。

「そろそろ、牛乳いれるころよ。」と、
電話を終えた先生が言う。

いい香りが部屋中に広がる。

そうそう、これだこれ。
手料理の匂い。

心があったかくなるにおい。

シチューが完成した。
「少しだけ食べていく?」と、
先生が小皿にルーをもる。

バゲットと共に食べてみる。

「「美味しい!!」」

2人、1口食べて声が重なった。

「良かったわね、上手に出来て。」

作ってる最中、
先生はポイントを話してくれたけど、
野菜の下準備でヘトヘトで聞き流してしまったことだけが、残念だ。

もってきた鍋に、
ルーを分ける。

まぁくんとは、途中まで同じ方向だった。

「シチューってこんなに美味しかったっけ?」

「わかる、なんか久々に食った。」

2人、満足感で充実していた。

「りか、俺こっちだから。」

「うん、また来週、?」

「おう、また来週な!」

まぁくんは鍋を抱えて歩いていく。

朝婚約者は時間がないのに、
「今日は、りかがシチューつくってきてくれるから、俺米炊くね。」と、準備してくれている。

今度は、食べたら
「美味しい!」って言ってくれると、
嬉しいな。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

抱きしめて

麻実
恋愛
夫の長期に亘る不倫に 女としての自信を失った妻は、新しい出会いに飛び込んでいく。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...