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2025年、夏。
暑い!
汗が止まらない。
7月の上旬だと言うのに、
真夏かと思うほど暑い!
それなのに、
何故俺は外出している……?!
まちと帽子を買いに来たが、
既にバテそう……。
「とおるくーん?
大丈夫?笑」
「暑すぎね?」
「休憩する?」
「休憩か、いいね!」と、
顔をあげると、
怪しいホテル街だった。
「は?!」
「涼しいといいね?」と、
まちは俺の手を引っ張って入ろうとする。
「ばかっ!」
「下ばっかり見てるからだよ笑
気づくの遅ーい笑」と、
まちは笑った。
(ビビった、まじで。)
怪しいホテル街を抜けた方が
近道なんだよと、まちは歩く。
(なんでこんな道知ってんだ?!)
俺の前を歩くまち。
今日はデニムのショートパンツに、
黄色の薄い生地のTシャツ。
おしりがプリプリしてる……。
Tシャツ、生地薄すぎない?!
下着の影が見える。と、
じっくり見てしまった。
(だから、俺キモイ……。)
反省する。
大事な幼なじみを
そんな目で見てしまった事を。
そんな俺の前をまちは気にせずに歩く。
帽子屋に来た。
「洒落てんな。」
「とおるくん、
あんまり来ない感じの店だったー?」
「まあ。」
(来ない、こんな洒落てる店。)
帽子選びはまちに任せた。
(色んな帽子があんだな。)
ベタに麦わら帽子のペアルック。
(まちは可愛いからいいけど、
30のおっさんには合わなくない?)
買ってやると、
「とおるくん、ありがとう!嬉しい!」と、
まちはさっそく帽子を被った。
「どう?」
「似合ってる。」
「ほら、日差し強いから、
とおるくんも被って!」と、
俺の頭の上に帽子を被せる。
(夏大好き人間みたいじゃない?!)
そのあと、
近くにあったファミレスに入って、
昼飯を食った。
2人してチーズINハンバーグにした。
(うめぇ。)
食後にドリンクバーのコーヒーを飲んでいたら、
「とおるくん!」
「なに?」
「夏がきたよ!」
「暑い。」
「夏と言えば、暑い!
暑いと言えば、プール!」
「そうか?
クーラーのきいた家にいた方よくね?」
「ノンノン!
外には出ないと!」
今度の休みプール行くことになった。
(俺水着ないんだけど。)
そのまま仕事が忙しくて、
水着買いに行くの忘れてて、
週末になった。
朝寝てたら、
呼び鈴の連打で起こされて、
玄関を開けると、
白色キャミソールワンピースの
まちがいた。
この前買った麦わら帽子を被っていた。
「おはよう!」
「おはよ。」
「この前約束したよね?」
「ああ、プールだっけ?」
「そう!」
「悪いけど、俺水着ないよ?」
「そうだと思った!
でも大丈夫!
貸切みたいなプール見つけたので!」
まちを見ると、
どやって顔をしてた。
(そんな所あるか?)
早く着替えてと言われて、
適当にTシャツに着替えて、
帽子を被って、
外に出た。
「高いんじゃねぇーの?そんな所?」
「大丈夫!」
この前通った如何わしいホテル街に来た。
まちは先を歩く。
(昼間でも雰囲気あるな。)
まちが止まった。
「どうした?迷った?」
「ここ!」
「は?」
「ここ!」
「ホテルじゃん?プールじゃないじゃん!」
「プール付きの部屋があるんだって!」
「無理無理。」
「なんで?!」
「だって、ホテルだもん!」
「水着用意してないとおるくんが
悪いんだよ?!」
「それは悪かったけど。」
「ちゃんと先週プール行くこと
話したよね?」
「それは、はい、聞きました。」
「とおるくん、行くよ!」
「いやいや、さすがに。」
「入口で口論してたら恥ずかしいよ!」
「いやいや。」
「プール楽しむだけだから!」
「本当に?」
「ほんと!」
まちのあまりに
真っ直ぐな目にやられて
入室してしまった。
(後悔あとに立たず、か。)
水着を持ってきてないので、
俺は素っ裸でプールに入る事に
なってしまった。
(水着買って、
市民プール行こうって言えばよかった。)
プールに突っ立って考える。
「とおるくん?」
水着に着替えたまちがやってきた。
水色のビキニだった。
(えーん、布の面積少なめなタイプ。)
「本当はスカートついてるんだけど!」と、
まちが後ろを向くとTバックだった。
(おしり可愛い~涙)
「はぁ。」
ちゃぷんと、
まちがプールに入った。
ヤバくない?!
個室のプールに2人きりって!?
ドキドキしちゃう。
「とおるくん!」と、
まちが俺に水をかける。
バシャバシャと腕を動かす度に、
まちのたわわな胸が揺れる。
(あー、もう。)
「顔にかけるなよ!」と、
俺も半ばヤケクソでまちに水をかけた。
まちは、楽しそうに笑っていた。
かと言って、
ただ水が入った
正方形のプールで遊ぶのは、
30分が限界だった。
(出るに出られねぇ。)
「とおるくん!」
「なに?」
「やっぱり市民プールの方が良かったかな?」
「お前が言うなよ。」
「えへへ!気になってて!」
「は?」
「プール付きって
どんな感じなのかなって!」
「こういう所は、
俺と来る所じゃないだろ!」
まちは、俺を正面から抱きしめた。
心臓がドクドク騒ぐ。
「な?!」
「そんな事いわないでよ。」
(いやいや。)
薄すぎる、まちが着てる布。
触感がもろに肌を通して伝わってくる。
俺の下半身が元気になってしまう。
「ねぇ、とおるくん。」
「な、なに?」
「昼寝していっちゃう?」
「あー、だな。」
(ダメだ。)
下半身に集中して、
頭が動かない。
まちが、
俺のことをぎゅーって抱きしめる。
俺は抱きしめ返せない。
まちが顔をあげる。
「とおるくん。」
水に濡れたまちの髪の毛から、
雫が滴り落ちる。
(まちって、こんな色っぽかったっけ?)
んーとまちが目を瞑り、
唇を尖らせる。
(いやいや。)
ラブホに来て、
そのままやったら、
俺の理性なさすぎない?!
頭とは裏腹に、
下半身はどんどん膨張していく。
俺から何もアクションがないからか、
まちが目を開ける。
「ねぇ。」
「なに?」
「私も裸になろうかな?」
「は?」
まちは水着をとる。
(いやいや、見るな俺!)
水面にまちの水着が浮く。
ぎゅーってまた、俺を抱きしめるまち。
(当たってる。)
まちの突起が当たってるし、
俺の突起が当たってる。
「とおるくん?」
頼むからそんなエッチな感じで
名前呼ばないで!
何もしない俺に痺れを切らしたのか、
まちは、
俺の両頬に手を添えて、
顔を近づけてきた。
ダメだって頭では思うのに、
体は正直で、
まちを受け入れてる。
ちゅ。と、
俺とまちの唇は重なった。
(あぁ。)
ダメだって思うのに、
キスが止まらない。
まちから漏れる可愛い声が、
理性を吹き飛ばす。
……。
……。
……。
プールで1回、
ベッドで2回。
やってしまった……。
ああ……。
(なにやってんだ、俺。)
一人シャワーを浴びてる。
(でも、まち経験あったんだな。)
勝手に生娘だと思っていた。
(まちって、彼氏いた事あったんだ?)
いつも、とおるくんって笑顔で懐いてくるから彼氏いたイメージが湧かない。
なのに、一線を超えてしまったことで、
知らなくて良かったのに、
頭の中で
さっきまでの
まちのえろいシーンがリフレインする。
(あんな顔見たくなかったのに。)
それから、
俺のえろいシーンも
見られたんだと思うと、
恥ずかしくなる。
(俺の理性……悔!)
先にシャワー浴びていたまちは、
服を着てテレビを見て、
笑っていた。
(呑気なやつ。)
(これから、どうするんだよ。)
「とおるくん、帰る?」
「うん。」
「とおるくん、怒ってるの?」
「何で?」
「元気ないから?」
「だって!」
「まちとしたこと、後悔してるの?」
「それは。」
(めちゃくちゃ気持ちよかったしな。)
「まちはとおるくんの事が好き!」
「うん。」
「とおるくん、付き合わない?」
「へ?」
「きっと、仲良くやっていけるよ?」
「……。」
「とおるくん!」
「……うん。」
「うんっていった?!」
「うん。」
「えへへ、嬉しい!
今日から恋人だね!」と、
まちは俺に微笑む。
(これでよかったんだ。)と、
思うしかない。
だって、やったのに、
やっちゃったのに、
これからも幼なじみって無理なくない?!
俺、責任はとるタイプなんだよ。
まちのやつ、
あれからすぐに親に話しちゃって、
俺の母親から電話がかかってきた。
「とおる、聞いたわよ?」
「な、なに?」
「まちちゃんと、付き合ってるだってね?」
(外堀埋めるのはやー。笑)
「悪いかよ?!」
「いいんじゃない?
昔からまちちゃん、とおるに懐いてたもんね?」
親は杏子の事については聞いてこなかった。
結婚の挨拶に行くかもって匂わせといて、
幼なじみと付き合うことになったんだから、
察するかぁ~。
まちはすごいマメで、
おはように始まり、
おやすみに至るまで、
毎日LINEが来る。
【とおるくん!
今度の土曜日、〇〇町の夏祭りに
行かない?】
【おっけ!】
【浴衣デートしたいな♡】
【俺持ってない!笑】
【だと思った!
明日買いに行こ!】
【えー。笑】
ってことで、
金曜日の仕事終わり、
××駅で待ち合わせして、
浴衣を買いに来た。
駅に着くと、
まちの方が先に来ていた。
(仕事の時、白ブラウスなんだ。)
半袖の白ブラウスに
黒いフレアスカートのまち。
「まち!」と、声を掛けると、
まちは俺を見つけて微笑んだ。
(可愛いな。)
「とおるくん、遅いよ!笑」
「待ってる間ナンパでもされた?」
「え、なんでわかるの?!」
「まじ?!
冗談のつもりだったんだけど!」
「えー。
まち可愛いからされちゃうよ?笑」
「それは、やばいな。」
(まちは若くて可愛いもんな。)
浴衣を買った俺たちは、
夜飯を食べに
イタリアンのレストランに入った。
「ピザ食べたいー!」と、
まちがメニューを開く。
浴衣を選んだのは、
まち。
(種類多すぎて、よく分かんなかった。)
俺は無難な服しか着ないから、
まちと買い物に行くと、
凄い新鮮。
マルゲリータと
ペペロンチーノを頼んだ。
「とおるくん、ワイン飲んじゃう?」と、
まちがイタズラに笑う。
「飲むか!」
「やったー!」
「ワイン飲んだことあるのか?」
「あり、まーす!」
「白でいいか?」
「いいね!」
ワインも飲むから、
サイドメニューも軽く頼んだ。
(美味かったな。)
食べ終わって会計。
俺が出そうとすると、
まちが、
「とおるくんに浴衣買って貰ったから、
ここはまちが払うよ!」と
財布を取り出した。
「悪いな?」
「いえいえ!」
ほろ酔いの俺達は、
電車に揺られて、
俺のアパートに来た。
(?!)
「まち、何でついてきたの?!」
「えー?明日土曜日で休みだよ?
彼女だもん!
お泊まりしちゃうー!」
(だから、俺全然買い物しないから、
まだ布団買ってないのに……。)
ほろ酔いの俺達は、
そのまま服を脱いで、
ベッドに流れ込んだ。
「とおるくん。」
まちを組み敷いて、
俺はそのまま抱きしめる。
行為が終わって、
クーラーの効いた部屋で、
俺達は裸のまま、
ベッドで寝た。
(本当に、
俺、まちと付き合ってるんだ……。)
クスクス笑い声が聞こえて、
目を開けると、
まちが、俺の鼻をつまんで遊んでいた。
「こら。笑」
「やっと、起きたー!笑」
そのままベッドでイチャイチャして、
朝なのに、
しちゃった。
(俺意外とまだまだいけてたりして?笑)
起き上がっても、
冷蔵庫には
相変わらず調味料しか入っていない。
(まちが定期的にくるなら、
なんか冷蔵庫に入れとかないと、
だめだな。)
毎回まちが来る途中にコンビニ寄って何か買ってきてもらうの、申し訳ないし!
「なんか適当に朝飯買ってくる。」と、
俺は適当にTシャツに着替える。
「え、私も行く!」と、
まだ布団で横になってたまちが慌てる。
「いいよ。パンでいい?」
「うん、ごめん。」
「気にすんな。笑」
俺は一人コンビニに行く。
朝ごはんを買って、
帰路に就く。
朝からして、
めっちゃスッキリしている俺。
(朝日が眩しいぜ!)
部屋に入ると、
コーヒーの匂いがした。
「とおるくん、ありがとう!」と、
まちがコーヒーを入れていた。
「気が利くな。笑」
「でしょ!」と、
まちが笑う。
朝ごはんを食べて、
夏祭りの時間まで暇だから、
二人でまちの布団を買いに出かけた。
(杏子は
たまにしか泊まりにこなかったからな。)
「これで毎週末一緒に寝れるね!」
「毎週末?!」
「私たち仲良しだもんー!」
「隔週じゃだめなの?笑」
昼は、ラーメンを食べに来た。
シンプルな街中華。
(餃子うま。)
まちは、ふーふーと息を吹きかけて、
ラーメンを食べていた。
(まちの口、小さくて可愛い。)
帰り道の途中、
「まちのパジャマ、
とおるくんの部屋に
置いちゃだめかなー?」と、
まちが上目遣いで俺を見る。
「別においてもいいよ。」
「良かった!」
ってことで、
まちのパジャマとか歯ブラシとかも
買った。
(同棲した方早くねぇ?)とか
思ったけど、
なんか提案出来なかった。
(だって、まちはまだ25歳だし。)
家に帰って、
買ったものをしまって、
浴衣に着替えた。
(帯結べねぇ。)と、お手上げの俺の帯を
か弱いまちがぎゅーとしめてくれた。
(まちって、可愛いだけじゃないんだ?!)なんて帯を真剣にしめるまちを見て思ったけど、
浴衣姿のまち。
(か、可愛い……!)
思わず見とれてしまった。
「似合ってる?」
「うん。」
「とおるくんも和服似合うね?」
「だろ?」
手を繋いで夏祭りに来た。
屋台で焼きそばとかを買って、
どうやら花火も上がるみたいだから、
適当な場所を見つけて、
待った。
(夏祭りなんて、
何年ぶり?)
俺も杏子も人混みが苦手で、
わざわざ行かなかったからな。苦笑
「わあ、花火綺麗。」
大きい目をキラキラさせて、
花火を見るまち。
(まちと夏祭りか。)
昔、子供の頃、
一緒に行った事あったな。と、
思い出す。
「とおるくん、まち、
綿あめ食べたい!」と、
帰り際にまちが言い出して、
人混みをかき分けて、
綿あめ探したっけ。
そんな小さなまちが、
彼女として、
一緒に夏祭りに来たなんてな。
(何が起こるか、
わかんなさすぎだろ。)
花火が終わって、
感慨にふけっている俺を見て、
まちは笑った。
「とおるくんのその顔なんなの?笑」
「花火めっちゃ久しぶりに見たの!笑」
「とおるおじいちゃん!」
「5歳しか違わないだろ!」
二人で手を繋いで、
俺のアパートに帰る。
手には綿あめを持って。
(いくつになっても、甘くて美味しいな。)
8月25日土曜日、
夏祭りに行った事を、
俺は忘れたくないな。
家に着いた。
汗をかいていたから、
シャワーを浴びた。
帰りに寄ったコンビニで買った
缶チューハイと氷系のアイスを
二人で楽しんだ。
「めっちゃ美味しい!」
「合うんだなー?!」
「知らなかった?」
「食べたのは初めてかも!」
「とおるくん、
流行に疎いから、
まちが教えてあげるね!」
「それは、助かる!笑」
二人で笑って、
夜が更ける。
「とおるくん。」
「ちゅーしよ。」と、
まちが目をつぶる。
(朝もしたのに?!)
まちにキスをした。
「とおるくん。」
「しよ?」と、
まちが、
俺を誘惑する。
(ご好意を受け取るしかないよな。)
「うん。」と、
俺はまちをお姫様抱っこして、
ベッドに運んだ。
まちから、
甘い匂いがして、
クラクラする。
手を繋いで、
俺達は眠った。
まちは、
本当に毎週末やってきた。
金曜日の夜にやってきて、
日曜日の夕方に帰っていく。
「とおるくん!
秋祭りいこ?」
(また祭り?!)
カレンダーは、
9月になっていた。
「せっかく浴衣あるしさ!」
「まあ、せっかく買ったもんな。」
「いこいこ!」
ということで、
秋祭りにやってきた。
まだまだ残暑で暑い。
山車を見た。
迫力が凄い。
日中の祭りだったから、
そのまま適当に屋台で買って、
俺のアパートに帰ってきた。
「まだ暑いねぇ~。」と、まちがいう。
「まち。」
まちを後ろから抱きしめた。
「どうしたの?」
「しよ?」
「へ?」
まちをお姫様抱っこして、
ベッドに運ぶ。
「浴衣姿のまち、可愛すぎる。」
と、俺はまちにキスをした。
「ちょっと、まって!
あせかいてるよ?!」
「気にしないよ。」と、
俺達は重なる。
浴衣1枚を剥いたら、
下着姿のまちが出てきて、
興奮がヤバかった。
いつもより激しく求めてしまって、
浴衣がしわくちゃになってしまった。笑
まだクソ暑いのに、
さつまいもだとか
栗だとかの新商品が目を引く。
仕事の日の昼に、
コンビニで昼飯を買うと、
目につく、新商品。
いつも食べたいなって思うのに、
今度買うかって思ってるうちに、
冬になってしまって、
なかなか食べたことがない、
秋限定の食べ物。
今日は金曜日。
まちが来る事になっている。
だがしかし、
いつもより来るのが遅い。
(何かあったのか?)
なんて考えてると、
呼び鈴が鳴った。
両手に大きいビニール袋を持った、
まちが来た。
「凄い買ったな?
電話くれれば迎えに行ったのに。」
「両手ふさがってて電話も出来ないよ涙」と、
まちはクタクタだった。
まちが買ってきたのは、
コンビニで売ってる
秋の新商品たちだった。
「なに?!とおるくん、半笑いじゃん?!」
「ベタだなって笑」
「つい買っちゃうの!」
「まち、可愛い~笑」
「もう!笑」
まちといると、
四季折々を感じられるな。と、
しみじみ思う。
(こんな味なんだ。)と、
お菓子を食べる。
「来年も一緒に食べようね?」
「だな~。」
金曜日は
こんなまったり過ごしていたのに、
事件は土曜日の夜に起きた。
俺とまちは、
土曜日は映画を見に行って、
夕飯も外で済まして、
家でゆっくりしていた。
そろそろ寝るかって時に、
インターホンが鳴った。
(こんな時間に誰だよ?!)
時刻は21時25分。
覗き穴を覗くと、
男がいた。
(何しにきたんだよ?)
俺の友達の男がいた。
素面ではなく、
酔っている男がやってきた。
ぱっと、まちをみる。
まちは、まだ寝苦しい夜だから、
Tシャツにショートパンツ姿だ。
(いや、無理ぃ~。)
まちを帰らすわけにはいかないし、
隠れてろっていうにも隠れる場所がないし、
でも、呼び鈴を押した男友達は、
酔っていて、
少し大きめの声で、
「双葉~、いるんだろ?」と、
俺を催促する。
「まち!」と、
俺はまちにパーカーを着てもらって、
長ズボンを履いてもらった。
「暑いよ!」とまちがいうから、
俺はクーラーの温度を下げた。
(電気代……。)
電気代よりも、
まちの無防備な姿を
酔っ払いに見せる方が嫌だ!
俺はようやく、
扉を開けた。
「双葉~、あけるの遅いぞ~!笑」
「何しに来たんだよ?」
「なんだよ、
最近飲みの誘いも断ってる癖によぉー!」
「仕方ないだろ!」
(毎週末まちがくるんだからさ!)
酔っ払いの友達は、
ようやくまちの存在に気がついた。
「え?」
「双葉の部屋だよな?ここ?」
「そうだけど?」
「杏子ちゃんじゃないよね?この子?」
「違うな。」
「杏子ちゃんと結婚するんだろ?
いいのかよ、ハメ外しちゃってさ?」
(そういえば、
杏子と付き合ったのが長くて、
皆俺の彼女は、杏子だと思ってるのか。
5年だもんな、結婚すると思うよな苦笑)
「どうも、五十嵐まちです!」
「え、めっちゃ可愛い子じゃん?
どうしたの?」
友達は、俺を見る。
今思うと、
何で付き合ってるって
言わなかったんだろ、
俺のアホ。
「妹だよ!」
「双葉って一人っ子じゃなかった?」
「妹みたいなもんなの!
隣の家の子で幼なじみみたいな感じ!」
なんか言いにくくて。
5年も付き合ってた杏子と
上手くいかなくて、
すぐに5歳下の幼なじみに
手を出したって思われたくなくて。
「へー、
こんな可愛い幼なじみがいたなんてね。」
友達は、まじまじとまちをみる。
(見るなよ、俺のまちだぞ。)
ふと、視線を感じて
まちをみると、
まちはびっくりした顔をしていた。
とりあえず、
友達に水1杯を飲ませて、
「終電に間に合うといいな。」と、
送り出した。
部屋にまちと2人きり。
「まち、ごめんな、びっくりしただろ?」と
声をかけると、
「別に。」と、
まちらしからぬ、
低い声で返事が来た。
「怒ってるの、か?」
「当たり前じゃん!」
「ほんと、ごめん!
今度から酔っ払ってるのに
来るなって言っとくよ!」
「違うよ。」
「何が?」
「私ってとおるくんのなんなの?」
「彼女でしょ?」
「彼女だよね?!」
「うん。」
「じゃあ、何でさっき!」
「ん?」
「何でさっき、
付き合ってるって言わないの!
彼女って紹介しないの?!」
「あ、あー。」
「妹ってなに?!」
「まち、違うんだよ。」
「私って紹介できない彼女なの?!」
「ごめん、なんか……。」
(杏子の後にすぐ乗り換えたって思われたくなくて言えなくて。)って言おうとしたのに、まちは、俺を睨む。
「とおるくんって、妹って思ってる子とエッチな事するんだ?!」
「とおるくん最低!」
「とおるくん、
まちのこと、からかってたの?」
まちは、涙を流し出した。
(あ、あぁ、ちがうよ、まち。)
まちが怒るのも、
泣くのも、
見るのが久しぶりすぎて、
どうしたらいいのか、
わからなくて。
「何で何も言わないの?!
図星ってこと?!」
なんかもう、
何を言っても、
火に油を注ぐ感じになりそうで、
俺は口をパクパクしていた。
「とおるくんなんか、大嫌いっ!!」
まちは、そのまま荷物を持って、
部屋を出ていってしまった。
(追いかけなきゃ!)
と思うのに、
(俺はどうしたらいいんだ?)とか
考えてしまって、
時計を見る、
23時25分だった。
(こんな時間に寝巻きで危ないよ。)と思うと、身体が動いた。
(まち、電車乗っちゃったかな?)
(俺、まちのこと見つけられるかな?)
人気のない道だ。
(そりゃ、もうすぐ零時だしな。)
何となく、
いる気がして、
公園に来た。
街灯の照らすベンチに、
まちがいた。
「まちっ!」
「ごめん!」
まちは、俺を見上げる。
「まちのこと、妹みたいに思ってたけど、
今は本当に彼女だと思ってる!」
「まちといると楽しいし!」
「まちと付き合えて良かったって思ってる!」
「でも、なんか、その、
俺の友達に紹介したくなかったんじゃなくて、
杏子と別れてすぐに5歳下の幼なじみに手出したって思われたくなくて!」
「まちはずっと大切な存在だし!」
「さっきも、まちのことジロジロみて可愛いって言われて、嫌だったし!」
「まちは、可愛いのに、
ちょっと危なっかしいっていうか、
無防備すぎるから!」
「そういうのは、
俺の前だけにして欲しい、なんて、
思ってる、んだよね。」
今が真夜中で良かった。
公園に俺の言葉を聞く人はまちしかいないし、
話してて真っ赤になってく俺の顔を見てるのは、笑ってるまちしかいないし。
「許してくれる?」
「とおるくんは、まちのこと、
大好きってこと?」
「そう、だよ!」
「許すっ!」って、まちが抱きついてきた。
「嫌いなんて言わないでよ。」と、
小声で言ったら、
「まちはずっと昔からとおるくん一筋だよ!」と、まちが笑った。
(良かった、仲直りできて!)
そのまま手を繋いでアパートに帰った。
(月、めっちゃ綺麗!)
(俺、思ってる以上にまちのこと、
好きなんだ。)と、
隣を歩くまちを見て思う。
部屋に戻って、
「まち、月綺麗だよ?」と、
窓を見る。
「うん、帰り道見た時に思ったよ。」と、
まちも来る。
「もうすぐ、お月見だね?」と、
まちが話す。
「ああ、そうだな。」
「団子食べる?」
「食べるか!」
まだまだ暑くて、
秋が本当に来るのかなって思うけど、
9月も中旬だ。
「とおるくん。」と、
まちが俺を抱きしめる。
「まち。」と、
俺も抱きしめる。
心拍数があがる。
「とおるくん。」と、
まちが俺にキスをする。
可愛いまち。
服を脱いで、
満月の月明かりの下、
俺達は裸になる。
ずっと幼なじみだったのに、
っていう恥ずかしさは、
最近ない。
ただただ、
まちが愛おしい。
まちが、
俺の仕草1つに反応してくれる事が、
嬉しい限りだ。
月夜に照らされるまちの色白い肌。
ツヤツヤでサラサラで。
まちの余裕がなくなって、
色っぽくなる顔。
(綺麗だな。)
まちと手を繋いで、
互いに果てた夜。
(離したくない。)
朝起きたら、
隣でまちがスースーと寝息を立てている。
昨日、寝る前にまちが
「海行ってないね?!」というので、
海に行くことになった。
俺は電車通勤だから、
レンタカーを借りた。
でも、
仕事で社用車に乗ることは
日常茶飯事なので、
運転は余裕。
まちははしゃいで、
鼻歌をうたう。
「とおるくんと遠出、初めてだね!」
「ああ。」
まちと海か。
昔小さい頃、
親に連れられて
一緒に行ったことあったな。
まちはピンクの水着を着て、
砂で遊んだりしたな。
貝拾ったりしたな。
一緒に浮き輪で浮いたりしてさ!
俺の幼少期の時って、
必ずまちがいる。
車を走らせると、
視界がひらけて、
海沿いに出た。
「9月の海もいいね!」
「だな。」
車を停めて、
砂浜へ。
「潮風の匂いだぁ!」
海って広いな。
「とおるくん、砂浜に書かないの?」
「なにを?」
キョトンとしていると、
「まちLoveとか!」って、まちが笑う。
「書くわけないじゃん!?
恥ずかしい!笑」と、俺も笑う。
波の音が心地よい。
近くに海鮮焼きの店があったので、
そこでランチすることにした。
「とおるくん、
後は市民プールに行けば
夏のイベントクリアだよ!」
「なんだよ、クリアって!」
「水着買いに行かなきゃね!」
「ああー。」
適当に車を走らせる。
水着を買いに来た。
「私も市民プール用の水着買わなきゃな!笑」
確かに市民プールでTバックはヤバすぎる笑
水着を買って、
帰路に就く。
今日は日曜日だから、
そのまま、まちを家まで送る。
「とおるくん、ありがとう!」
「おう!」
「早く金曜日にならないかな!笑」
「1週間長いもんな笑」
レンタカーを返却して、
アパートに帰る。
まちと会った後にアパートに一人でいると、物凄く静寂を感じる。
仕事の平日は、
単調に過ぎていく。
金曜日の夜、
まちは焼き芋を持ってやってきた。
「いい匂いだな?」
「でしょ~!
コンビニで売ってたから買ってきたの!」
テレビを見ながら、
焼き芋を食べる。
焼き芋食ってる時って、
無言になりがち?
明日は市民プールに行くことになってる。
まちと、ベッドに入る。
ウトウトして目を閉じる。
まちが起き上がる。
「まち?どうした??」
「ちょっと、トイレ!」
「電気つける?」と、
電気のスイッチを探す。
「とおるくんは、気にしないで寝てて!」
「お腹痛いの?」
何だかいつもと様子が違うまち。
「大丈夫、気にしないでっ!」
「まち、」と言いかけたところで、
寝室にプーと高い音が響いた。
「え?」
「聞いた?!」
「うん?!」
まちは、手のひらで顔を覆う。
「恥ずかしい!」
「おなら、したかったの?」
「そうだよ!
トイレでしようと思ったのに、
とおるくんが謎に引き止めるから涙」
「ごめん。笑」
「さっきのことは、
記憶の中から抹消して!」
「えぇー?!無理かも笑」
「とおるくんのいじわる!」
「可愛い音だったね!笑」
「最低笑」
金曜日の夜はそんな感じで、
土曜日はまちがホットケーキを作ってくれて。
「お菓子なら作れるもん!」とのこと!
(ホットケーキなんか食べたの何年ぶり?!)
市民プールに来た。
意外と、混んでるんだな。
年齢層も幅広いし。
水中ウォーキングをすることにした。
まちは、この前買った露出の少ない水着。
(この前の水色のビキニ、
またみたいな、なんて!)
健全!
たまには運動もいいもんだ!
市民プールを出て、
ファーストフード店へやって来た。
秋限定の目玉焼きがのったハンバーガーを食べた。
(美味い!)
まちを見ると、
小さい口でパクパク食べていた。
「夏の行事、クリアしたよね?」
「うん!」
「俺、こんなベタな夏初めて!笑」
「え?そうなの?
夏何して過ごしてたの??」
「夏は暑いから、
室内にいるかな。」
「とおるくん、色白だもんね笑」
「な!バカにするなよ~笑」
「でもさ、小さい時はいつも一緒だったよね!」
「家が隣だもんな笑」
「今も仲良しで嬉しいな。」
えへへとまちは笑う。
(可愛すぎるな。)
「この後どうする?」
「そうだなぁ~。」と、
まちの後をついていったら、
また怪しいホテル街にやってきた。
「なんで?!」
「お風呂一緒に入りたくて!」
「風呂?!」
「ゆっくりしてこ?」と、
まちに手を引っ張られて、
足が進む。
部屋に入る。
クーラーが効いてて、めっちゃ涼しい。
「とおるくん、バンザイして?」
ニコニコ笑顔のまちに言われて、
手を上げる俺。
そのまま俺の着ていたポロシャツは、
脱がされた。
そのまままちは、俺のベルトを外して、
ジーパンも脱がす。
パンツも脱がされて、
お風呂へ連れていかれた。
「待って、まち!
湯船まだお湯ためてない!」
「だね!笑」と、まちは蛇口を回す。
裸の俺、
浴室に一人。
(脱がすの早すぎじゃない?!)と思ったら、すぐに裸になったまちがやってきた。
明るい室内で見るまちも悪くない。
「先、身体洗っちゃお?」と、
まちは、シャワーをひねる。
二人でシャワーを浴びる。
体を洗いっこする。
(我慢できない……。)
「まち。」と、キスをしようとしたけど、
「湯船に入ろ?」と、まちは俺の手を引く。
広い~。
俺のアパートの風呂と交換して欲しい~!
「ジャグジーもついてるね!」と、
まちがスイッチを押した。
ブクブクと水が踊る。
「泡風呂の素あるよ!」と、
まちが入れた。
風呂が白いもこもこになった!
(すごぉ~い!)
そのまま、泡風呂で遊んで風呂を出た。
そのままイチャイチャして、
昼寝した。
(クーラー最高!)
目を覚ますと、
まちはテレビを見ていた。
「起きてたんだ?」
「うん。」
「とおるくん、これ好き?」と、
まちは、コスプレ服を選んでいた。
セーラー服を着たまち。
(可愛い。)
可愛いけど、
なんかイケナイ事をしている気分。
そんな俺を笑うように、
まちは積極的だった。
事後に、
「とおるくんは、学ランだったよね?」と、
まちが聞く。
「うん、男子校。」
「私ブレザーだったから、
セーラー服着れて嬉しい!」
高校生だった時のまちを思い出す。
(その時は髪の毛長かったよな?)
「とおるくんの為なら、
まち何でも着るよ?」と、まちが囁く。
「言うなぁ笑」
「ほんとだもん!」
「なら、貝殻のブラジャーしてもらおうかな!笑」
「そんなコスプレないもん!笑」
帰ろうとしたけど、
時計を見たら19時25分で、
まちがお腹が空いたというので、
ホテルで食べていくことにした。
どうせならってことで、
まちが見たことないっていう
大人のテレビを見た。
まちは、顔を赤くしながら、
見ていた。
「とおるくん、すっごいね?!」
「すっごいんだよ!笑」
そのまま、
また俺たちは致した。
(俺そんなに元気ないのに笑)
服を着て帰り際、
まちが、
「玩具も気になるな、なんてね?」と、
照れながらいう。
「今日は帰ろ笑
また今度ね。笑」
(俺もう限界!!笑)
手を繋いで、
アパートに帰る。
(腰痛ぇ。)
10月になるって頃に、
アパートの更新案内が届いた。
(もうそんな時期か?!)
(どうしようかな。)
まちになんとなく言えない。
同棲って、なんか勇気いる。
って言っても、毎週末泊まりに来てるから、これは半同棲みたいなこと?!
洗面所に並んだまちの歯ブラシ。
一緒に住まない?
なんか、未来を確定させちゃいそうな一言で、言い出せない。
(俺はいいよ。
30だし、落ち着きたいって思ってたし。)
でも、まちはまだ25歳。
(本当に俺でいいのかな?)
きっとまちは、
笑顔で
「いいね!どこら辺に住む?」って、
前向きに検討してくれるはず。
でも、まち、
こんな大切な時期に俺と過ごすって意味分かってる?
白いドレスを着たまちを想像してみた。
(可愛い。)
まちは、何を着ても可愛い。
俺は、まちとの将来考え出してるけど、
まちはどこまで俺と過ごそうと思ってるの?
悶々として、
金曜日の夜になった。
まちはハツラツと現れた。
「とおるくん、会いたかったぁー!」と、
部屋に入るなり抱きついてきた。
抱きしめ返さない俺を、
まちは不思議そうに見た。
「とおるくん?」
「あのさ、まち。」
「ん、なに?」
「やっぱ、なんでもない。」
「えー、なに?!
気になるよ!笑」
まちを目の前にして、
怖じ気づく。
「どうしたの?」
「この部屋、もうすぐ更新なんだよね。」
「そうなんだ?」
「だからさ、一緒に住まない?」
まちを見ると、目を丸くしてた。
「同棲するってこと?」
「うん、
まち、毎週末きてるしさ。」
「嬉しい!」
まちはやはり喜んでいた。
「あのさ、まち。」
「ん、なに?」
「まちは、俺でいいの?」
「なにが?」
「同棲するってことは、
俺、結婚とか考えちゃうよ。」
「結婚……。」
「俺30歳だしさ。」
「……。」
「でも、まちはまだ25歳だしさ。」
「……。」
「まちがその俺とのこと。」
「結婚したいって思ってる!」
「ほんと?」
「うん、
まちのゆめは、
とおるくんのお嫁さんに
なることだもん!」と、
まちは真っ直ぐに俺を見つめた。
まちがあまりに純粋に俺を見つめるから、
なんでか分からないけど、
俺は泣いていた。
「え、なんで、泣くの?!」
「ごめん、嬉しくて。」
「私も嬉しいよ!」と、
まちは、俺を抱きしめる。
俺もまちのことをぎゅーっと抱きしめる。
(まち、
こんな俺の事、
ずっと昔から好きでいてくれて、
ありがとう。)
それから俺たちは物件を探し出した。
2人の職場の中間地点の物件を探した。
家具とか家電も見に行って。
気分は新婚ごっこみたいだった。
(めちゃくちゃ楽しみ!)
物件は見つかって
引越しの日も決まった。
このアパートで過ごす最後の金曜日。
俺たちはスーパーで、
パック寿司を買ってきて、
お酒を飲みながら食べた。
まちのことは昔から知っているけど
こんなに近い距離になってまだ1年も経っていないのに
この部屋で過ごしたまちとの日々が、
全て懐かしく思えた。
きっかけは、
なんだったんだろ、
俺とまちの距離が近くなったのは。
まちの下着姿を見た時は、
ほんとうにびっくりした。
妹だと思ってたまちが、
凄く魅力的だったから。
月夜にまちと致した事もあった。
(まちは、何でこんなにも綺麗なんだろ。)
一緒にご飯を食べた。
数え切れないほど一緒に過ごした。
テレビ見て笑った。
一緒にすやすや寝たベッドも、
ここでお別れだ。
ダブルベッドを買ってみたけど、
どんな感じなんだろう?
色々思い出してきて、
心に来るものがある。
「とおるくん、泣いてる?」と、
さっきまでテレビを見て爆笑してたまちが、俺の顔を覗き込む。
「泣いてない、よ」
「嘘じゃん!
目うるうるしてるよ?」
「いいから、テレビ見てろよ!」
「やだー!笑」
まちとはしゃいだこの部屋。
「まち、この部屋好きだったな。」と、
まちがつぶやく。
「いい部屋だよな。」
「うん、すごい落ち着く!」
「新しい部屋も楽しみだよ、俺は。」
「それは、まちもだよ!」
「まち。」
「んー?」
(杏子と別れて、
傷心中だった俺に会いに来てくれて、
ありがとう。)
「とおるくん、顔赤いよ?
お酒飲みすぎちゃった?笑」
「まちだって、酔ってるじゃん。」
「まちはまだ余裕!笑」
「うそつけ、進んでないぞ?」
「バレたー?笑」
ケラケラ笑って、
ベッドに入った。
何度見ただろう、
寝る前のこの天井。
「明日朝早いね。」と、
まちが俺の手を握る。
「だな。寝坊するなよ?」
「アラームかけたもん!」
「まちのアラーム、
変な音だよね。笑」
「いやいや、あの音じゃなきゃ起きれないの!笑」
「明日の今頃、
新居で寝てるのかな?」
「片付け終わってればだな。」
「ベッド広くなるね。」
「マットレスも新しいから、
ふかふかだろうしな。」
「「楽しみ。」」
明日の朝早いのに、
二人で眠りにつくまで話をした。
朝日が差し込む。
本日、快晴!
(まさに引越し日和!)
朝ごはんを食べたら、
まちは自分の部屋に戻っていった。
荷物を運び出して、
お昼くらいに新居で合流した。
部屋がダンボールだらけだ。笑
あっという間に夕方になったから、
引越し蕎麦食べることになって、
蕎麦屋に行った。
えび天を、頬張るまち。
(リスみたいだな。笑)
帰ったら、
やっぱり部屋中ダンボールだらけで、
いつ片付けおわるのかと、
笑った。
21時25分になってて、
一息ついてから、
風呂に入った。
前のアパートよりは広いけど、
やっぱりホテルのよりは狭かった。
ダブルベッドはふかふかで、
広くて、
まちがゴロゴロ転がって、
「とおるくん、寝返りうてる!」と、
はしゃいでいた。
俺たちは、新居に緊張していて、
体は疲れてるのに、
なかなか寝付けない。
「とおるくん、寝た?」
「起きてる。」
「明日で片付け終わるかな?笑」
「終わる気しないけど、
終わらせないとやばいよな。
明後日月曜日で、仕事行くし。」
「なんでこんなに物あるんだろ?笑」
「まち、服持ってきすぎじゃない?笑」
「オシャレはやめられないよ!笑」
ふふふって笑って、
横を向いたら、
まちも横を向いてて、
目が合った。
「とおるくん、
これからは毎日一緒にいれるんだね!」
「だな。」
「まち、嬉しい!」
「俺も。」
薄いタオルケットじゃ、
寒くなってきた。
夏が終わる。
残暑から秋になる。
「とおるくん、紅葉見に行こうね?」
「な?!
秋もベタなことすんの?!笑」
「するよぉ~笑」
「秋って他に何かある?」
「十五夜とかかな?」
「それくらい?」
「キノコ狩りとかもしてみたいけど!」
「山登るの?!」
「山のことは詳しくないから、
キノコ狩りはスルー。笑」
「良かった、びっくりしたよ。」
「本読んでもいいよね?
今度ブックカフェいく?」
「読書の秋か。」
「美術館にもいくー?」
「芸術の秋か。」
「ジムに通っちゃう?!」
「スポーツの秋か!」
「ね、たくさんあるでしょ。」
「ありすぎて、休みが足りないよ。笑」
「ふふふ。」と、まちが笑う。
この時の俺たちは、
新生活に明るい未来しか見ていなかった。
どっちも、
自炊をしないということをすっかり忘れてて。
その話は、
また次の話で。
まちと過ごした夏。
刺激的な夏だった。
お揃いの麦わら帽子。
玄関に置いた。
雑貨屋で買った、
色違いのマグカップ。
食後のコーヒーを入れるんだ。
色違いの箸。
同じ皿。
全てが新しくて、
キラキラしていた。
日が落ちるのが早くなった。
家に帰れば、
毎日まちが居る。
「おかえり、とおるくん!」って駆け寄ってくる。
(ああ、俺は幸せだ!)
初めての同棲生活に夢を見ていた俺がいた。
期待と興奮で、
今日は寝られそうにない。
まちも同じみたいで、
話すのをやめない。
充実した2025年の夏だった。
汗が止まらない。
7月の上旬だと言うのに、
真夏かと思うほど暑い!
それなのに、
何故俺は外出している……?!
まちと帽子を買いに来たが、
既にバテそう……。
「とおるくーん?
大丈夫?笑」
「暑すぎね?」
「休憩する?」
「休憩か、いいね!」と、
顔をあげると、
怪しいホテル街だった。
「は?!」
「涼しいといいね?」と、
まちは俺の手を引っ張って入ろうとする。
「ばかっ!」
「下ばっかり見てるからだよ笑
気づくの遅ーい笑」と、
まちは笑った。
(ビビった、まじで。)
怪しいホテル街を抜けた方が
近道なんだよと、まちは歩く。
(なんでこんな道知ってんだ?!)
俺の前を歩くまち。
今日はデニムのショートパンツに、
黄色の薄い生地のTシャツ。
おしりがプリプリしてる……。
Tシャツ、生地薄すぎない?!
下着の影が見える。と、
じっくり見てしまった。
(だから、俺キモイ……。)
反省する。
大事な幼なじみを
そんな目で見てしまった事を。
そんな俺の前をまちは気にせずに歩く。
帽子屋に来た。
「洒落てんな。」
「とおるくん、
あんまり来ない感じの店だったー?」
「まあ。」
(来ない、こんな洒落てる店。)
帽子選びはまちに任せた。
(色んな帽子があんだな。)
ベタに麦わら帽子のペアルック。
(まちは可愛いからいいけど、
30のおっさんには合わなくない?)
買ってやると、
「とおるくん、ありがとう!嬉しい!」と、
まちはさっそく帽子を被った。
「どう?」
「似合ってる。」
「ほら、日差し強いから、
とおるくんも被って!」と、
俺の頭の上に帽子を被せる。
(夏大好き人間みたいじゃない?!)
そのあと、
近くにあったファミレスに入って、
昼飯を食った。
2人してチーズINハンバーグにした。
(うめぇ。)
食後にドリンクバーのコーヒーを飲んでいたら、
「とおるくん!」
「なに?」
「夏がきたよ!」
「暑い。」
「夏と言えば、暑い!
暑いと言えば、プール!」
「そうか?
クーラーのきいた家にいた方よくね?」
「ノンノン!
外には出ないと!」
今度の休みプール行くことになった。
(俺水着ないんだけど。)
そのまま仕事が忙しくて、
水着買いに行くの忘れてて、
週末になった。
朝寝てたら、
呼び鈴の連打で起こされて、
玄関を開けると、
白色キャミソールワンピースの
まちがいた。
この前買った麦わら帽子を被っていた。
「おはよう!」
「おはよ。」
「この前約束したよね?」
「ああ、プールだっけ?」
「そう!」
「悪いけど、俺水着ないよ?」
「そうだと思った!
でも大丈夫!
貸切みたいなプール見つけたので!」
まちを見ると、
どやって顔をしてた。
(そんな所あるか?)
早く着替えてと言われて、
適当にTシャツに着替えて、
帽子を被って、
外に出た。
「高いんじゃねぇーの?そんな所?」
「大丈夫!」
この前通った如何わしいホテル街に来た。
まちは先を歩く。
(昼間でも雰囲気あるな。)
まちが止まった。
「どうした?迷った?」
「ここ!」
「は?」
「ここ!」
「ホテルじゃん?プールじゃないじゃん!」
「プール付きの部屋があるんだって!」
「無理無理。」
「なんで?!」
「だって、ホテルだもん!」
「水着用意してないとおるくんが
悪いんだよ?!」
「それは悪かったけど。」
「ちゃんと先週プール行くこと
話したよね?」
「それは、はい、聞きました。」
「とおるくん、行くよ!」
「いやいや、さすがに。」
「入口で口論してたら恥ずかしいよ!」
「いやいや。」
「プール楽しむだけだから!」
「本当に?」
「ほんと!」
まちのあまりに
真っ直ぐな目にやられて
入室してしまった。
(後悔あとに立たず、か。)
水着を持ってきてないので、
俺は素っ裸でプールに入る事に
なってしまった。
(水着買って、
市民プール行こうって言えばよかった。)
プールに突っ立って考える。
「とおるくん?」
水着に着替えたまちがやってきた。
水色のビキニだった。
(えーん、布の面積少なめなタイプ。)
「本当はスカートついてるんだけど!」と、
まちが後ろを向くとTバックだった。
(おしり可愛い~涙)
「はぁ。」
ちゃぷんと、
まちがプールに入った。
ヤバくない?!
個室のプールに2人きりって!?
ドキドキしちゃう。
「とおるくん!」と、
まちが俺に水をかける。
バシャバシャと腕を動かす度に、
まちのたわわな胸が揺れる。
(あー、もう。)
「顔にかけるなよ!」と、
俺も半ばヤケクソでまちに水をかけた。
まちは、楽しそうに笑っていた。
かと言って、
ただ水が入った
正方形のプールで遊ぶのは、
30分が限界だった。
(出るに出られねぇ。)
「とおるくん!」
「なに?」
「やっぱり市民プールの方が良かったかな?」
「お前が言うなよ。」
「えへへ!気になってて!」
「は?」
「プール付きって
どんな感じなのかなって!」
「こういう所は、
俺と来る所じゃないだろ!」
まちは、俺を正面から抱きしめた。
心臓がドクドク騒ぐ。
「な?!」
「そんな事いわないでよ。」
(いやいや。)
薄すぎる、まちが着てる布。
触感がもろに肌を通して伝わってくる。
俺の下半身が元気になってしまう。
「ねぇ、とおるくん。」
「な、なに?」
「昼寝していっちゃう?」
「あー、だな。」
(ダメだ。)
下半身に集中して、
頭が動かない。
まちが、
俺のことをぎゅーって抱きしめる。
俺は抱きしめ返せない。
まちが顔をあげる。
「とおるくん。」
水に濡れたまちの髪の毛から、
雫が滴り落ちる。
(まちって、こんな色っぽかったっけ?)
んーとまちが目を瞑り、
唇を尖らせる。
(いやいや。)
ラブホに来て、
そのままやったら、
俺の理性なさすぎない?!
頭とは裏腹に、
下半身はどんどん膨張していく。
俺から何もアクションがないからか、
まちが目を開ける。
「ねぇ。」
「なに?」
「私も裸になろうかな?」
「は?」
まちは水着をとる。
(いやいや、見るな俺!)
水面にまちの水着が浮く。
ぎゅーってまた、俺を抱きしめるまち。
(当たってる。)
まちの突起が当たってるし、
俺の突起が当たってる。
「とおるくん?」
頼むからそんなエッチな感じで
名前呼ばないで!
何もしない俺に痺れを切らしたのか、
まちは、
俺の両頬に手を添えて、
顔を近づけてきた。
ダメだって頭では思うのに、
体は正直で、
まちを受け入れてる。
ちゅ。と、
俺とまちの唇は重なった。
(あぁ。)
ダメだって思うのに、
キスが止まらない。
まちから漏れる可愛い声が、
理性を吹き飛ばす。
……。
……。
……。
プールで1回、
ベッドで2回。
やってしまった……。
ああ……。
(なにやってんだ、俺。)
一人シャワーを浴びてる。
(でも、まち経験あったんだな。)
勝手に生娘だと思っていた。
(まちって、彼氏いた事あったんだ?)
いつも、とおるくんって笑顔で懐いてくるから彼氏いたイメージが湧かない。
なのに、一線を超えてしまったことで、
知らなくて良かったのに、
頭の中で
さっきまでの
まちのえろいシーンがリフレインする。
(あんな顔見たくなかったのに。)
それから、
俺のえろいシーンも
見られたんだと思うと、
恥ずかしくなる。
(俺の理性……悔!)
先にシャワー浴びていたまちは、
服を着てテレビを見て、
笑っていた。
(呑気なやつ。)
(これから、どうするんだよ。)
「とおるくん、帰る?」
「うん。」
「とおるくん、怒ってるの?」
「何で?」
「元気ないから?」
「だって!」
「まちとしたこと、後悔してるの?」
「それは。」
(めちゃくちゃ気持ちよかったしな。)
「まちはとおるくんの事が好き!」
「うん。」
「とおるくん、付き合わない?」
「へ?」
「きっと、仲良くやっていけるよ?」
「……。」
「とおるくん!」
「……うん。」
「うんっていった?!」
「うん。」
「えへへ、嬉しい!
今日から恋人だね!」と、
まちは俺に微笑む。
(これでよかったんだ。)と、
思うしかない。
だって、やったのに、
やっちゃったのに、
これからも幼なじみって無理なくない?!
俺、責任はとるタイプなんだよ。
まちのやつ、
あれからすぐに親に話しちゃって、
俺の母親から電話がかかってきた。
「とおる、聞いたわよ?」
「な、なに?」
「まちちゃんと、付き合ってるだってね?」
(外堀埋めるのはやー。笑)
「悪いかよ?!」
「いいんじゃない?
昔からまちちゃん、とおるに懐いてたもんね?」
親は杏子の事については聞いてこなかった。
結婚の挨拶に行くかもって匂わせといて、
幼なじみと付き合うことになったんだから、
察するかぁ~。
まちはすごいマメで、
おはように始まり、
おやすみに至るまで、
毎日LINEが来る。
【とおるくん!
今度の土曜日、〇〇町の夏祭りに
行かない?】
【おっけ!】
【浴衣デートしたいな♡】
【俺持ってない!笑】
【だと思った!
明日買いに行こ!】
【えー。笑】
ってことで、
金曜日の仕事終わり、
××駅で待ち合わせして、
浴衣を買いに来た。
駅に着くと、
まちの方が先に来ていた。
(仕事の時、白ブラウスなんだ。)
半袖の白ブラウスに
黒いフレアスカートのまち。
「まち!」と、声を掛けると、
まちは俺を見つけて微笑んだ。
(可愛いな。)
「とおるくん、遅いよ!笑」
「待ってる間ナンパでもされた?」
「え、なんでわかるの?!」
「まじ?!
冗談のつもりだったんだけど!」
「えー。
まち可愛いからされちゃうよ?笑」
「それは、やばいな。」
(まちは若くて可愛いもんな。)
浴衣を買った俺たちは、
夜飯を食べに
イタリアンのレストランに入った。
「ピザ食べたいー!」と、
まちがメニューを開く。
浴衣を選んだのは、
まち。
(種類多すぎて、よく分かんなかった。)
俺は無難な服しか着ないから、
まちと買い物に行くと、
凄い新鮮。
マルゲリータと
ペペロンチーノを頼んだ。
「とおるくん、ワイン飲んじゃう?」と、
まちがイタズラに笑う。
「飲むか!」
「やったー!」
「ワイン飲んだことあるのか?」
「あり、まーす!」
「白でいいか?」
「いいね!」
ワインも飲むから、
サイドメニューも軽く頼んだ。
(美味かったな。)
食べ終わって会計。
俺が出そうとすると、
まちが、
「とおるくんに浴衣買って貰ったから、
ここはまちが払うよ!」と
財布を取り出した。
「悪いな?」
「いえいえ!」
ほろ酔いの俺達は、
電車に揺られて、
俺のアパートに来た。
(?!)
「まち、何でついてきたの?!」
「えー?明日土曜日で休みだよ?
彼女だもん!
お泊まりしちゃうー!」
(だから、俺全然買い物しないから、
まだ布団買ってないのに……。)
ほろ酔いの俺達は、
そのまま服を脱いで、
ベッドに流れ込んだ。
「とおるくん。」
まちを組み敷いて、
俺はそのまま抱きしめる。
行為が終わって、
クーラーの効いた部屋で、
俺達は裸のまま、
ベッドで寝た。
(本当に、
俺、まちと付き合ってるんだ……。)
クスクス笑い声が聞こえて、
目を開けると、
まちが、俺の鼻をつまんで遊んでいた。
「こら。笑」
「やっと、起きたー!笑」
そのままベッドでイチャイチャして、
朝なのに、
しちゃった。
(俺意外とまだまだいけてたりして?笑)
起き上がっても、
冷蔵庫には
相変わらず調味料しか入っていない。
(まちが定期的にくるなら、
なんか冷蔵庫に入れとかないと、
だめだな。)
毎回まちが来る途中にコンビニ寄って何か買ってきてもらうの、申し訳ないし!
「なんか適当に朝飯買ってくる。」と、
俺は適当にTシャツに着替える。
「え、私も行く!」と、
まだ布団で横になってたまちが慌てる。
「いいよ。パンでいい?」
「うん、ごめん。」
「気にすんな。笑」
俺は一人コンビニに行く。
朝ごはんを買って、
帰路に就く。
朝からして、
めっちゃスッキリしている俺。
(朝日が眩しいぜ!)
部屋に入ると、
コーヒーの匂いがした。
「とおるくん、ありがとう!」と、
まちがコーヒーを入れていた。
「気が利くな。笑」
「でしょ!」と、
まちが笑う。
朝ごはんを食べて、
夏祭りの時間まで暇だから、
二人でまちの布団を買いに出かけた。
(杏子は
たまにしか泊まりにこなかったからな。)
「これで毎週末一緒に寝れるね!」
「毎週末?!」
「私たち仲良しだもんー!」
「隔週じゃだめなの?笑」
昼は、ラーメンを食べに来た。
シンプルな街中華。
(餃子うま。)
まちは、ふーふーと息を吹きかけて、
ラーメンを食べていた。
(まちの口、小さくて可愛い。)
帰り道の途中、
「まちのパジャマ、
とおるくんの部屋に
置いちゃだめかなー?」と、
まちが上目遣いで俺を見る。
「別においてもいいよ。」
「良かった!」
ってことで、
まちのパジャマとか歯ブラシとかも
買った。
(同棲した方早くねぇ?)とか
思ったけど、
なんか提案出来なかった。
(だって、まちはまだ25歳だし。)
家に帰って、
買ったものをしまって、
浴衣に着替えた。
(帯結べねぇ。)と、お手上げの俺の帯を
か弱いまちがぎゅーとしめてくれた。
(まちって、可愛いだけじゃないんだ?!)なんて帯を真剣にしめるまちを見て思ったけど、
浴衣姿のまち。
(か、可愛い……!)
思わず見とれてしまった。
「似合ってる?」
「うん。」
「とおるくんも和服似合うね?」
「だろ?」
手を繋いで夏祭りに来た。
屋台で焼きそばとかを買って、
どうやら花火も上がるみたいだから、
適当な場所を見つけて、
待った。
(夏祭りなんて、
何年ぶり?)
俺も杏子も人混みが苦手で、
わざわざ行かなかったからな。苦笑
「わあ、花火綺麗。」
大きい目をキラキラさせて、
花火を見るまち。
(まちと夏祭りか。)
昔、子供の頃、
一緒に行った事あったな。と、
思い出す。
「とおるくん、まち、
綿あめ食べたい!」と、
帰り際にまちが言い出して、
人混みをかき分けて、
綿あめ探したっけ。
そんな小さなまちが、
彼女として、
一緒に夏祭りに来たなんてな。
(何が起こるか、
わかんなさすぎだろ。)
花火が終わって、
感慨にふけっている俺を見て、
まちは笑った。
「とおるくんのその顔なんなの?笑」
「花火めっちゃ久しぶりに見たの!笑」
「とおるおじいちゃん!」
「5歳しか違わないだろ!」
二人で手を繋いで、
俺のアパートに帰る。
手には綿あめを持って。
(いくつになっても、甘くて美味しいな。)
8月25日土曜日、
夏祭りに行った事を、
俺は忘れたくないな。
家に着いた。
汗をかいていたから、
シャワーを浴びた。
帰りに寄ったコンビニで買った
缶チューハイと氷系のアイスを
二人で楽しんだ。
「めっちゃ美味しい!」
「合うんだなー?!」
「知らなかった?」
「食べたのは初めてかも!」
「とおるくん、
流行に疎いから、
まちが教えてあげるね!」
「それは、助かる!笑」
二人で笑って、
夜が更ける。
「とおるくん。」
「ちゅーしよ。」と、
まちが目をつぶる。
(朝もしたのに?!)
まちにキスをした。
「とおるくん。」
「しよ?」と、
まちが、
俺を誘惑する。
(ご好意を受け取るしかないよな。)
「うん。」と、
俺はまちをお姫様抱っこして、
ベッドに運んだ。
まちから、
甘い匂いがして、
クラクラする。
手を繋いで、
俺達は眠った。
まちは、
本当に毎週末やってきた。
金曜日の夜にやってきて、
日曜日の夕方に帰っていく。
「とおるくん!
秋祭りいこ?」
(また祭り?!)
カレンダーは、
9月になっていた。
「せっかく浴衣あるしさ!」
「まあ、せっかく買ったもんな。」
「いこいこ!」
ということで、
秋祭りにやってきた。
まだまだ残暑で暑い。
山車を見た。
迫力が凄い。
日中の祭りだったから、
そのまま適当に屋台で買って、
俺のアパートに帰ってきた。
「まだ暑いねぇ~。」と、まちがいう。
「まち。」
まちを後ろから抱きしめた。
「どうしたの?」
「しよ?」
「へ?」
まちをお姫様抱っこして、
ベッドに運ぶ。
「浴衣姿のまち、可愛すぎる。」
と、俺はまちにキスをした。
「ちょっと、まって!
あせかいてるよ?!」
「気にしないよ。」と、
俺達は重なる。
浴衣1枚を剥いたら、
下着姿のまちが出てきて、
興奮がヤバかった。
いつもより激しく求めてしまって、
浴衣がしわくちゃになってしまった。笑
まだクソ暑いのに、
さつまいもだとか
栗だとかの新商品が目を引く。
仕事の日の昼に、
コンビニで昼飯を買うと、
目につく、新商品。
いつも食べたいなって思うのに、
今度買うかって思ってるうちに、
冬になってしまって、
なかなか食べたことがない、
秋限定の食べ物。
今日は金曜日。
まちが来る事になっている。
だがしかし、
いつもより来るのが遅い。
(何かあったのか?)
なんて考えてると、
呼び鈴が鳴った。
両手に大きいビニール袋を持った、
まちが来た。
「凄い買ったな?
電話くれれば迎えに行ったのに。」
「両手ふさがってて電話も出来ないよ涙」と、
まちはクタクタだった。
まちが買ってきたのは、
コンビニで売ってる
秋の新商品たちだった。
「なに?!とおるくん、半笑いじゃん?!」
「ベタだなって笑」
「つい買っちゃうの!」
「まち、可愛い~笑」
「もう!笑」
まちといると、
四季折々を感じられるな。と、
しみじみ思う。
(こんな味なんだ。)と、
お菓子を食べる。
「来年も一緒に食べようね?」
「だな~。」
金曜日は
こんなまったり過ごしていたのに、
事件は土曜日の夜に起きた。
俺とまちは、
土曜日は映画を見に行って、
夕飯も外で済まして、
家でゆっくりしていた。
そろそろ寝るかって時に、
インターホンが鳴った。
(こんな時間に誰だよ?!)
時刻は21時25分。
覗き穴を覗くと、
男がいた。
(何しにきたんだよ?)
俺の友達の男がいた。
素面ではなく、
酔っている男がやってきた。
ぱっと、まちをみる。
まちは、まだ寝苦しい夜だから、
Tシャツにショートパンツ姿だ。
(いや、無理ぃ~。)
まちを帰らすわけにはいかないし、
隠れてろっていうにも隠れる場所がないし、
でも、呼び鈴を押した男友達は、
酔っていて、
少し大きめの声で、
「双葉~、いるんだろ?」と、
俺を催促する。
「まち!」と、
俺はまちにパーカーを着てもらって、
長ズボンを履いてもらった。
「暑いよ!」とまちがいうから、
俺はクーラーの温度を下げた。
(電気代……。)
電気代よりも、
まちの無防備な姿を
酔っ払いに見せる方が嫌だ!
俺はようやく、
扉を開けた。
「双葉~、あけるの遅いぞ~!笑」
「何しに来たんだよ?」
「なんだよ、
最近飲みの誘いも断ってる癖によぉー!」
「仕方ないだろ!」
(毎週末まちがくるんだからさ!)
酔っ払いの友達は、
ようやくまちの存在に気がついた。
「え?」
「双葉の部屋だよな?ここ?」
「そうだけど?」
「杏子ちゃんじゃないよね?この子?」
「違うな。」
「杏子ちゃんと結婚するんだろ?
いいのかよ、ハメ外しちゃってさ?」
(そういえば、
杏子と付き合ったのが長くて、
皆俺の彼女は、杏子だと思ってるのか。
5年だもんな、結婚すると思うよな苦笑)
「どうも、五十嵐まちです!」
「え、めっちゃ可愛い子じゃん?
どうしたの?」
友達は、俺を見る。
今思うと、
何で付き合ってるって
言わなかったんだろ、
俺のアホ。
「妹だよ!」
「双葉って一人っ子じゃなかった?」
「妹みたいなもんなの!
隣の家の子で幼なじみみたいな感じ!」
なんか言いにくくて。
5年も付き合ってた杏子と
上手くいかなくて、
すぐに5歳下の幼なじみに
手を出したって思われたくなくて。
「へー、
こんな可愛い幼なじみがいたなんてね。」
友達は、まじまじとまちをみる。
(見るなよ、俺のまちだぞ。)
ふと、視線を感じて
まちをみると、
まちはびっくりした顔をしていた。
とりあえず、
友達に水1杯を飲ませて、
「終電に間に合うといいな。」と、
送り出した。
部屋にまちと2人きり。
「まち、ごめんな、びっくりしただろ?」と
声をかけると、
「別に。」と、
まちらしからぬ、
低い声で返事が来た。
「怒ってるの、か?」
「当たり前じゃん!」
「ほんと、ごめん!
今度から酔っ払ってるのに
来るなって言っとくよ!」
「違うよ。」
「何が?」
「私ってとおるくんのなんなの?」
「彼女でしょ?」
「彼女だよね?!」
「うん。」
「じゃあ、何でさっき!」
「ん?」
「何でさっき、
付き合ってるって言わないの!
彼女って紹介しないの?!」
「あ、あー。」
「妹ってなに?!」
「まち、違うんだよ。」
「私って紹介できない彼女なの?!」
「ごめん、なんか……。」
(杏子の後にすぐ乗り換えたって思われたくなくて言えなくて。)って言おうとしたのに、まちは、俺を睨む。
「とおるくんって、妹って思ってる子とエッチな事するんだ?!」
「とおるくん最低!」
「とおるくん、
まちのこと、からかってたの?」
まちは、涙を流し出した。
(あ、あぁ、ちがうよ、まち。)
まちが怒るのも、
泣くのも、
見るのが久しぶりすぎて、
どうしたらいいのか、
わからなくて。
「何で何も言わないの?!
図星ってこと?!」
なんかもう、
何を言っても、
火に油を注ぐ感じになりそうで、
俺は口をパクパクしていた。
「とおるくんなんか、大嫌いっ!!」
まちは、そのまま荷物を持って、
部屋を出ていってしまった。
(追いかけなきゃ!)
と思うのに、
(俺はどうしたらいいんだ?)とか
考えてしまって、
時計を見る、
23時25分だった。
(こんな時間に寝巻きで危ないよ。)と思うと、身体が動いた。
(まち、電車乗っちゃったかな?)
(俺、まちのこと見つけられるかな?)
人気のない道だ。
(そりゃ、もうすぐ零時だしな。)
何となく、
いる気がして、
公園に来た。
街灯の照らすベンチに、
まちがいた。
「まちっ!」
「ごめん!」
まちは、俺を見上げる。
「まちのこと、妹みたいに思ってたけど、
今は本当に彼女だと思ってる!」
「まちといると楽しいし!」
「まちと付き合えて良かったって思ってる!」
「でも、なんか、その、
俺の友達に紹介したくなかったんじゃなくて、
杏子と別れてすぐに5歳下の幼なじみに手出したって思われたくなくて!」
「まちはずっと大切な存在だし!」
「さっきも、まちのことジロジロみて可愛いって言われて、嫌だったし!」
「まちは、可愛いのに、
ちょっと危なっかしいっていうか、
無防備すぎるから!」
「そういうのは、
俺の前だけにして欲しい、なんて、
思ってる、んだよね。」
今が真夜中で良かった。
公園に俺の言葉を聞く人はまちしかいないし、
話してて真っ赤になってく俺の顔を見てるのは、笑ってるまちしかいないし。
「許してくれる?」
「とおるくんは、まちのこと、
大好きってこと?」
「そう、だよ!」
「許すっ!」って、まちが抱きついてきた。
「嫌いなんて言わないでよ。」と、
小声で言ったら、
「まちはずっと昔からとおるくん一筋だよ!」と、まちが笑った。
(良かった、仲直りできて!)
そのまま手を繋いでアパートに帰った。
(月、めっちゃ綺麗!)
(俺、思ってる以上にまちのこと、
好きなんだ。)と、
隣を歩くまちを見て思う。
部屋に戻って、
「まち、月綺麗だよ?」と、
窓を見る。
「うん、帰り道見た時に思ったよ。」と、
まちも来る。
「もうすぐ、お月見だね?」と、
まちが話す。
「ああ、そうだな。」
「団子食べる?」
「食べるか!」
まだまだ暑くて、
秋が本当に来るのかなって思うけど、
9月も中旬だ。
「とおるくん。」と、
まちが俺を抱きしめる。
「まち。」と、
俺も抱きしめる。
心拍数があがる。
「とおるくん。」と、
まちが俺にキスをする。
可愛いまち。
服を脱いで、
満月の月明かりの下、
俺達は裸になる。
ずっと幼なじみだったのに、
っていう恥ずかしさは、
最近ない。
ただただ、
まちが愛おしい。
まちが、
俺の仕草1つに反応してくれる事が、
嬉しい限りだ。
月夜に照らされるまちの色白い肌。
ツヤツヤでサラサラで。
まちの余裕がなくなって、
色っぽくなる顔。
(綺麗だな。)
まちと手を繋いで、
互いに果てた夜。
(離したくない。)
朝起きたら、
隣でまちがスースーと寝息を立てている。
昨日、寝る前にまちが
「海行ってないね?!」というので、
海に行くことになった。
俺は電車通勤だから、
レンタカーを借りた。
でも、
仕事で社用車に乗ることは
日常茶飯事なので、
運転は余裕。
まちははしゃいで、
鼻歌をうたう。
「とおるくんと遠出、初めてだね!」
「ああ。」
まちと海か。
昔小さい頃、
親に連れられて
一緒に行ったことあったな。
まちはピンクの水着を着て、
砂で遊んだりしたな。
貝拾ったりしたな。
一緒に浮き輪で浮いたりしてさ!
俺の幼少期の時って、
必ずまちがいる。
車を走らせると、
視界がひらけて、
海沿いに出た。
「9月の海もいいね!」
「だな。」
車を停めて、
砂浜へ。
「潮風の匂いだぁ!」
海って広いな。
「とおるくん、砂浜に書かないの?」
「なにを?」
キョトンとしていると、
「まちLoveとか!」って、まちが笑う。
「書くわけないじゃん!?
恥ずかしい!笑」と、俺も笑う。
波の音が心地よい。
近くに海鮮焼きの店があったので、
そこでランチすることにした。
「とおるくん、
後は市民プールに行けば
夏のイベントクリアだよ!」
「なんだよ、クリアって!」
「水着買いに行かなきゃね!」
「ああー。」
適当に車を走らせる。
水着を買いに来た。
「私も市民プール用の水着買わなきゃな!笑」
確かに市民プールでTバックはヤバすぎる笑
水着を買って、
帰路に就く。
今日は日曜日だから、
そのまま、まちを家まで送る。
「とおるくん、ありがとう!」
「おう!」
「早く金曜日にならないかな!笑」
「1週間長いもんな笑」
レンタカーを返却して、
アパートに帰る。
まちと会った後にアパートに一人でいると、物凄く静寂を感じる。
仕事の平日は、
単調に過ぎていく。
金曜日の夜、
まちは焼き芋を持ってやってきた。
「いい匂いだな?」
「でしょ~!
コンビニで売ってたから買ってきたの!」
テレビを見ながら、
焼き芋を食べる。
焼き芋食ってる時って、
無言になりがち?
明日は市民プールに行くことになってる。
まちと、ベッドに入る。
ウトウトして目を閉じる。
まちが起き上がる。
「まち?どうした??」
「ちょっと、トイレ!」
「電気つける?」と、
電気のスイッチを探す。
「とおるくんは、気にしないで寝てて!」
「お腹痛いの?」
何だかいつもと様子が違うまち。
「大丈夫、気にしないでっ!」
「まち、」と言いかけたところで、
寝室にプーと高い音が響いた。
「え?」
「聞いた?!」
「うん?!」
まちは、手のひらで顔を覆う。
「恥ずかしい!」
「おなら、したかったの?」
「そうだよ!
トイレでしようと思ったのに、
とおるくんが謎に引き止めるから涙」
「ごめん。笑」
「さっきのことは、
記憶の中から抹消して!」
「えぇー?!無理かも笑」
「とおるくんのいじわる!」
「可愛い音だったね!笑」
「最低笑」
金曜日の夜はそんな感じで、
土曜日はまちがホットケーキを作ってくれて。
「お菓子なら作れるもん!」とのこと!
(ホットケーキなんか食べたの何年ぶり?!)
市民プールに来た。
意外と、混んでるんだな。
年齢層も幅広いし。
水中ウォーキングをすることにした。
まちは、この前買った露出の少ない水着。
(この前の水色のビキニ、
またみたいな、なんて!)
健全!
たまには運動もいいもんだ!
市民プールを出て、
ファーストフード店へやって来た。
秋限定の目玉焼きがのったハンバーガーを食べた。
(美味い!)
まちを見ると、
小さい口でパクパク食べていた。
「夏の行事、クリアしたよね?」
「うん!」
「俺、こんなベタな夏初めて!笑」
「え?そうなの?
夏何して過ごしてたの??」
「夏は暑いから、
室内にいるかな。」
「とおるくん、色白だもんね笑」
「な!バカにするなよ~笑」
「でもさ、小さい時はいつも一緒だったよね!」
「家が隣だもんな笑」
「今も仲良しで嬉しいな。」
えへへとまちは笑う。
(可愛すぎるな。)
「この後どうする?」
「そうだなぁ~。」と、
まちの後をついていったら、
また怪しいホテル街にやってきた。
「なんで?!」
「お風呂一緒に入りたくて!」
「風呂?!」
「ゆっくりしてこ?」と、
まちに手を引っ張られて、
足が進む。
部屋に入る。
クーラーが効いてて、めっちゃ涼しい。
「とおるくん、バンザイして?」
ニコニコ笑顔のまちに言われて、
手を上げる俺。
そのまま俺の着ていたポロシャツは、
脱がされた。
そのまままちは、俺のベルトを外して、
ジーパンも脱がす。
パンツも脱がされて、
お風呂へ連れていかれた。
「待って、まち!
湯船まだお湯ためてない!」
「だね!笑」と、まちは蛇口を回す。
裸の俺、
浴室に一人。
(脱がすの早すぎじゃない?!)と思ったら、すぐに裸になったまちがやってきた。
明るい室内で見るまちも悪くない。
「先、身体洗っちゃお?」と、
まちは、シャワーをひねる。
二人でシャワーを浴びる。
体を洗いっこする。
(我慢できない……。)
「まち。」と、キスをしようとしたけど、
「湯船に入ろ?」と、まちは俺の手を引く。
広い~。
俺のアパートの風呂と交換して欲しい~!
「ジャグジーもついてるね!」と、
まちがスイッチを押した。
ブクブクと水が踊る。
「泡風呂の素あるよ!」と、
まちが入れた。
風呂が白いもこもこになった!
(すごぉ~い!)
そのまま、泡風呂で遊んで風呂を出た。
そのままイチャイチャして、
昼寝した。
(クーラー最高!)
目を覚ますと、
まちはテレビを見ていた。
「起きてたんだ?」
「うん。」
「とおるくん、これ好き?」と、
まちは、コスプレ服を選んでいた。
セーラー服を着たまち。
(可愛い。)
可愛いけど、
なんかイケナイ事をしている気分。
そんな俺を笑うように、
まちは積極的だった。
事後に、
「とおるくんは、学ランだったよね?」と、
まちが聞く。
「うん、男子校。」
「私ブレザーだったから、
セーラー服着れて嬉しい!」
高校生だった時のまちを思い出す。
(その時は髪の毛長かったよな?)
「とおるくんの為なら、
まち何でも着るよ?」と、まちが囁く。
「言うなぁ笑」
「ほんとだもん!」
「なら、貝殻のブラジャーしてもらおうかな!笑」
「そんなコスプレないもん!笑」
帰ろうとしたけど、
時計を見たら19時25分で、
まちがお腹が空いたというので、
ホテルで食べていくことにした。
どうせならってことで、
まちが見たことないっていう
大人のテレビを見た。
まちは、顔を赤くしながら、
見ていた。
「とおるくん、すっごいね?!」
「すっごいんだよ!笑」
そのまま、
また俺たちは致した。
(俺そんなに元気ないのに笑)
服を着て帰り際、
まちが、
「玩具も気になるな、なんてね?」と、
照れながらいう。
「今日は帰ろ笑
また今度ね。笑」
(俺もう限界!!笑)
手を繋いで、
アパートに帰る。
(腰痛ぇ。)
10月になるって頃に、
アパートの更新案内が届いた。
(もうそんな時期か?!)
(どうしようかな。)
まちになんとなく言えない。
同棲って、なんか勇気いる。
って言っても、毎週末泊まりに来てるから、これは半同棲みたいなこと?!
洗面所に並んだまちの歯ブラシ。
一緒に住まない?
なんか、未来を確定させちゃいそうな一言で、言い出せない。
(俺はいいよ。
30だし、落ち着きたいって思ってたし。)
でも、まちはまだ25歳。
(本当に俺でいいのかな?)
きっとまちは、
笑顔で
「いいね!どこら辺に住む?」って、
前向きに検討してくれるはず。
でも、まち、
こんな大切な時期に俺と過ごすって意味分かってる?
白いドレスを着たまちを想像してみた。
(可愛い。)
まちは、何を着ても可愛い。
俺は、まちとの将来考え出してるけど、
まちはどこまで俺と過ごそうと思ってるの?
悶々として、
金曜日の夜になった。
まちはハツラツと現れた。
「とおるくん、会いたかったぁー!」と、
部屋に入るなり抱きついてきた。
抱きしめ返さない俺を、
まちは不思議そうに見た。
「とおるくん?」
「あのさ、まち。」
「ん、なに?」
「やっぱ、なんでもない。」
「えー、なに?!
気になるよ!笑」
まちを目の前にして、
怖じ気づく。
「どうしたの?」
「この部屋、もうすぐ更新なんだよね。」
「そうなんだ?」
「だからさ、一緒に住まない?」
まちを見ると、目を丸くしてた。
「同棲するってこと?」
「うん、
まち、毎週末きてるしさ。」
「嬉しい!」
まちはやはり喜んでいた。
「あのさ、まち。」
「ん、なに?」
「まちは、俺でいいの?」
「なにが?」
「同棲するってことは、
俺、結婚とか考えちゃうよ。」
「結婚……。」
「俺30歳だしさ。」
「……。」
「でも、まちはまだ25歳だしさ。」
「……。」
「まちがその俺とのこと。」
「結婚したいって思ってる!」
「ほんと?」
「うん、
まちのゆめは、
とおるくんのお嫁さんに
なることだもん!」と、
まちは真っ直ぐに俺を見つめた。
まちがあまりに純粋に俺を見つめるから、
なんでか分からないけど、
俺は泣いていた。
「え、なんで、泣くの?!」
「ごめん、嬉しくて。」
「私も嬉しいよ!」と、
まちは、俺を抱きしめる。
俺もまちのことをぎゅーっと抱きしめる。
(まち、
こんな俺の事、
ずっと昔から好きでいてくれて、
ありがとう。)
それから俺たちは物件を探し出した。
2人の職場の中間地点の物件を探した。
家具とか家電も見に行って。
気分は新婚ごっこみたいだった。
(めちゃくちゃ楽しみ!)
物件は見つかって
引越しの日も決まった。
このアパートで過ごす最後の金曜日。
俺たちはスーパーで、
パック寿司を買ってきて、
お酒を飲みながら食べた。
まちのことは昔から知っているけど
こんなに近い距離になってまだ1年も経っていないのに
この部屋で過ごしたまちとの日々が、
全て懐かしく思えた。
きっかけは、
なんだったんだろ、
俺とまちの距離が近くなったのは。
まちの下着姿を見た時は、
ほんとうにびっくりした。
妹だと思ってたまちが、
凄く魅力的だったから。
月夜にまちと致した事もあった。
(まちは、何でこんなにも綺麗なんだろ。)
一緒にご飯を食べた。
数え切れないほど一緒に過ごした。
テレビ見て笑った。
一緒にすやすや寝たベッドも、
ここでお別れだ。
ダブルベッドを買ってみたけど、
どんな感じなんだろう?
色々思い出してきて、
心に来るものがある。
「とおるくん、泣いてる?」と、
さっきまでテレビを見て爆笑してたまちが、俺の顔を覗き込む。
「泣いてない、よ」
「嘘じゃん!
目うるうるしてるよ?」
「いいから、テレビ見てろよ!」
「やだー!笑」
まちとはしゃいだこの部屋。
「まち、この部屋好きだったな。」と、
まちがつぶやく。
「いい部屋だよな。」
「うん、すごい落ち着く!」
「新しい部屋も楽しみだよ、俺は。」
「それは、まちもだよ!」
「まち。」
「んー?」
(杏子と別れて、
傷心中だった俺に会いに来てくれて、
ありがとう。)
「とおるくん、顔赤いよ?
お酒飲みすぎちゃった?笑」
「まちだって、酔ってるじゃん。」
「まちはまだ余裕!笑」
「うそつけ、進んでないぞ?」
「バレたー?笑」
ケラケラ笑って、
ベッドに入った。
何度見ただろう、
寝る前のこの天井。
「明日朝早いね。」と、
まちが俺の手を握る。
「だな。寝坊するなよ?」
「アラームかけたもん!」
「まちのアラーム、
変な音だよね。笑」
「いやいや、あの音じゃなきゃ起きれないの!笑」
「明日の今頃、
新居で寝てるのかな?」
「片付け終わってればだな。」
「ベッド広くなるね。」
「マットレスも新しいから、
ふかふかだろうしな。」
「「楽しみ。」」
明日の朝早いのに、
二人で眠りにつくまで話をした。
朝日が差し込む。
本日、快晴!
(まさに引越し日和!)
朝ごはんを食べたら、
まちは自分の部屋に戻っていった。
荷物を運び出して、
お昼くらいに新居で合流した。
部屋がダンボールだらけだ。笑
あっという間に夕方になったから、
引越し蕎麦食べることになって、
蕎麦屋に行った。
えび天を、頬張るまち。
(リスみたいだな。笑)
帰ったら、
やっぱり部屋中ダンボールだらけで、
いつ片付けおわるのかと、
笑った。
21時25分になってて、
一息ついてから、
風呂に入った。
前のアパートよりは広いけど、
やっぱりホテルのよりは狭かった。
ダブルベッドはふかふかで、
広くて、
まちがゴロゴロ転がって、
「とおるくん、寝返りうてる!」と、
はしゃいでいた。
俺たちは、新居に緊張していて、
体は疲れてるのに、
なかなか寝付けない。
「とおるくん、寝た?」
「起きてる。」
「明日で片付け終わるかな?笑」
「終わる気しないけど、
終わらせないとやばいよな。
明後日月曜日で、仕事行くし。」
「なんでこんなに物あるんだろ?笑」
「まち、服持ってきすぎじゃない?笑」
「オシャレはやめられないよ!笑」
ふふふって笑って、
横を向いたら、
まちも横を向いてて、
目が合った。
「とおるくん、
これからは毎日一緒にいれるんだね!」
「だな。」
「まち、嬉しい!」
「俺も。」
薄いタオルケットじゃ、
寒くなってきた。
夏が終わる。
残暑から秋になる。
「とおるくん、紅葉見に行こうね?」
「な?!
秋もベタなことすんの?!笑」
「するよぉ~笑」
「秋って他に何かある?」
「十五夜とかかな?」
「それくらい?」
「キノコ狩りとかもしてみたいけど!」
「山登るの?!」
「山のことは詳しくないから、
キノコ狩りはスルー。笑」
「良かった、びっくりしたよ。」
「本読んでもいいよね?
今度ブックカフェいく?」
「読書の秋か。」
「美術館にもいくー?」
「芸術の秋か。」
「ジムに通っちゃう?!」
「スポーツの秋か!」
「ね、たくさんあるでしょ。」
「ありすぎて、休みが足りないよ。笑」
「ふふふ。」と、まちが笑う。
この時の俺たちは、
新生活に明るい未来しか見ていなかった。
どっちも、
自炊をしないということをすっかり忘れてて。
その話は、
また次の話で。
まちと過ごした夏。
刺激的な夏だった。
お揃いの麦わら帽子。
玄関に置いた。
雑貨屋で買った、
色違いのマグカップ。
食後のコーヒーを入れるんだ。
色違いの箸。
同じ皿。
全てが新しくて、
キラキラしていた。
日が落ちるのが早くなった。
家に帰れば、
毎日まちが居る。
「おかえり、とおるくん!」って駆け寄ってくる。
(ああ、俺は幸せだ!)
初めての同棲生活に夢を見ていた俺がいた。
期待と興奮で、
今日は寝られそうにない。
まちも同じみたいで、
話すのをやめない。
充実した2025年の夏だった。
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