-にゃんでどうしてこうなった世界-

もちもちもふぃ

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4.奪還作戦

台風の目

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ーーーやっと、この時が来た。

僕は、奈緒がこの建物の、この部屋に監禁されているのを知っていた。

ここに潜入して、下準備をして待機しつつ、奈緒の身体が第4地区から運び出されたという連絡を待ち侘びていた。

あのコンとか言う奴、上から目線で気に食わないし。
ここのセンパイとか言うのも、みんなムシみたいにブンブンとうるさかったなぁ。
僕が手加減してるからって、調子にのって憎らしい。

もちろん奈緒がここで何をされているのかも想像がつくし、すぐに助けたいと本音では思っていた。
でも、もっと愛されるためにはここでじっと我慢するしかなかった。
ピンチの時ほどヒーローは現れるって言うでしょう?

たまに、影ながら部屋を覗きみて後悔した事もある。
あれは本当に目の毒だと僕は思った。
頬を赤くして目を潤ませ、あんなに煽情的な顔をしていれば、誰だって誘われているのかと勘違いしてもおかしくない。

部屋から漏れてくる声だけでも、僕の情欲は容易くかき立てられてしまう。

実際に、任務中だというのに何回トイレに行く事になったか……。

まぁ、長年ずっと一緒に過ごして来たから、他の人よりは我慢強い方だと思うけど。
少しも手を出さずに、親友のポジションを貫き通して来たしね。

ああ、でも最初に彼を汚すのは自分だと思っていたのになぁ……。
とても残念だよ。

いっそ、奈緒の記憶を全部消して最初からやり直したいくらいだ。
そうしたら、僕と君は恋人同士の関係なんだよって教えて、いっぱい甘やかして愛し合えるのにね。
本格的に記憶操作の能力を持っている奴を探すべきかな。

僕が最初に奈緒を見つけて、彼を欲しいと思ったんだ。
他の誰にも譲りたくない。

ねぇ、奈緒。
君が選ぶのは僕の筈だ。
あんな酷い奴らなんか、放って捨てておくべきだよ。
そうだろう?

   ~.。・*・。.~

とりあえず、奈緒の手枷や仕込まれていた玩具は全て外した。

改めて奈緒の身体を見るとムラッと来るものもあるが僕は理性で厳しく制御する。

決して今、間違いが起こってはならない。
奈緒を助けに来て、恩を売ることが目的なんだから。

ああ、なんて可愛らしいんだろう。
力も入ってなくて無防備な感じがとてつもなく堪らない。

すると奈緒は顔をあげて、僕の後ろを見て声を上げた。

「総っ、うしろっ!!
どうしよっ、見つかってる!!」

僕は想定よりも少し早く訪れた彼の方へと振り向く。
大丈夫。僕の手の札はまだしっかりと生きている。

むしろ、彼の方がこの緊急事態に焦っている事だろう。
今も混乱に生じて真っ先にここへ向かったと言う所か。
その証拠に息も上がっているし、いつもの余裕は何処かへと消えてしまっている。

「コンっ……ってあれ?
もしかして、おまえっ!!」

奈緒はコンの瞳が赤く輝いている事に気がつくと、その正体が誰であるかを悟ったようだ。

「思ったよりも早かったね。
手間が省けて助かったよ。
早く奈緒を解放してくれないかな。」

「ふっ、何をっ。
私に歯向かおうと言うのか。
後でどうなるのか、分かっているのか。」

「もう気付いているんじゃないの?
君はそこにいるだけでも能力を使っていて、これ以上何かやると消えて無くなってしまう。
だって、本体に帰れないんだもんね。」

「えっ、総……。
どーゆこと?」

「奈緒、後ろに下がってて。
危ないから。」

総は奈緒をミツヒコが入っているコンの視界から遮り守るように間に立つ。

「ふんっ、ガキがっ。
私に何をしたっ!!」

「少し毒を盛らせて貰いました。
この薬を飲まなければ、あなたは衰弱死するのみ。
早く奈緒にかけた能力を解いた方がいいですよ。」

「……っ!?」

「僕が言っているのは本当の事です。
たった、一人解放するだけ。
僕はあなたの組織にも権力にも興味はない。」

「はっ……。
私がおまえごときで、こんな事になるとはな。
奈緒ともう少し遊びたかったが、死んでしまってからでは可愛がってやる事もできない。」

「あなたは本当の意味で奈緒を愛してはいないっ!
金輪際、彼に関わるなっ!」

「ふんっ、おまえの言うことはきかん。
だが、今回だけは願いを叶えてやろう。
奈緒、また会おう。
今度はちゃんと子作りを。」

「絶対イヤだっーー」

奈緒の拒絶の言葉はそれっきり途絶えて、気が付けば背後に居た筈の奈緒は消えてしまっていた。

「ちゃんと彼を元に戻したんだろうな。」

「ああっ……、おまえの気と同調させた。
軽く身体に触れるだけで、おまえの身体から乗り移って元に戻れるっ……。」

「……良かった。急いで戻らないと。
これでお会いする事もないと思いますが。
さようなら。
あぁ、薬の事は安心してください。
これから飲ませますんで。」

「なぜ、私の……本体を」

「ああ、簡単ですよ。
お友達から聞いただけです。
僕は探し物は得意なんで。
って、もう聞いてないか。」

コンはパタリと地面に倒れ伏してしまっている。

総は彼を跨いで部屋を出ると、早速、誰もいない静かな廊下を通って薬を届けに行く事にした。



ーーー嵐の中心は快晴ーーー
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