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第二十話 お買い物♪お買い物♪♪
しおりを挟む戻ってきた銀乃は手ぶらだった。
「あれ、荷物どうしたの?」
「宅配でおうちにおくっちゃった。荷物多いし、邪魔なんだもん」
買い物の荷物を、宅配で送るやつを始めてみた…と私は思った。大学生というものはリッチな私学生とかじゃなければ、基本的に軒並み貧乏と相場が決まっていると思っていたが、銀乃は……そうだよね、仮にも神様に使えている狐だし、それに、なんか初日に私に札束持ってきていたもんね……。
「ね、さあや、僕、四階みたいな。雑貨屋さんでマフラーをみたいし、フランフランで日用品がほしい」
そんなわけで、一目散にフランフランに降り立った銀乃は、ちゃっちゃかと日用品をかごにいれていく。
「ん、ん~♪」
「あの、それ」
「僕が使うからね。買っていいでしょ?ちなみに君はどの箸がいいかなぁ?僕はかわいいのが好きなんだけど」
「でも」
はぁ、と銀乃は大きなため息をついた。
「あのね。きみんち不便なんだ。いいでしょ?だって菜箸もピーラーもないなんて、お料理当番の僕なかせだよ。あと、お茶碗がなさすぎるよ。白い大きい皿と小さい白い皿が3枚しかないんだよ…。せめて白米を盛るご飯茶碗は買おう?お箸はぼろぼろのが2ぜんだしさ。あと僕はかわいい調理器具がほしいんだよね、料理中テンションがあがるからさ。かわいいの、いいよね」
ウインクして言った銀乃は、どれにしようと選んでいた調理器具から、ニコニコマークがくりぬかれたフライ返しを手に取ると、自分の顔の横に掲げて、ニッと笑って見せる。私は、思わず吹き出してしまった。
「ねぇ君はさ、この取っ手の赤いのと、にこちゃんマークがくりぬかれてる奴と、どっちがいいと思う?あとさ、僕は紅茶を淹れたいから、もっと大容量のティーポットがほしいんだけど、みてみて、こんなにたくさんあるから迷っちゃうの!どれがいいと思う?」
銀乃は矢継ぎ早に私に選ばせようとする、それはとても嬉しそうで楽しそうで、私はいったんお金のことを考えるのはやめた。
銀乃がこんなに楽しそうだからいいじゃない。ティーポットを買ってもらうのは申し訳ないけど、それなら、神の使いが紅茶飲めるかわからないけど、私が銀乃に紅茶を入れてあげればいい。
私は銀乃と一緒にあれやこれやと選びながら、そう思った。そうして、銀乃が向こうのお皿を見に行ったすきに、フランフランの紅茶の、小さなセットを、見つからないよう反対側のレジでこっそりお会計した。銀乃がみたら、なんとなく、僕が払うよと持っていかれてしまう気がしたからだ。
そうして私は、お会計した小さなアップル紅茶のティーパックを、自分のカバンの中にしまったのだった。
◇◇◇
「わーいたくさんかっちゃったー」
お会計を終えた銀乃は、満足そうに戻ってきた。やはり手ぶらだった。
「宅配?」
「うん、明日届くよ。次は手袋とマフラーがほしいな」
銀乃に付き添って、二人で雑貨のテナントに入る。キラキラしたアクセサリーやヘアゴム、カバンが置かれ、秋口らしく色とりどりのマフラーと手袋のコーナーも一角に設けられていた。
「僕には紺色が似合うんだっけ?」
と言いながら、銀乃はコンのチェックのマフラーを手に取って、首にあてる。
「どう?」
「わ、似合う」
銀乃は嬉しそうに笑った。
「他はどんなのがいいと思う?」
私はふわふわした茶色のチェックのマフラーを手に取った。
「さっき買ったコートがグレーでしょ?じゃあ、こういう茶色も似合いそう」
「へー、どう?似合う?」
「似合う」
「これ、さあやにも似合いそうだよね」
銀乃はそういって、私の首元にマフラーを当てた。
「やっぱり似合う!」
銀乃は嬉しそうに笑って、二つのマフラーを手に持った。
「2つマフラーかうの?」
「うん、どっちもかわいいし、いっぱいあって損はないから。あ、かわいい、」
銀乃の興味が、マフラーを選び終わったとたん、雑貨屋さんに並ぶアクセサリーに移った。そこにはいくつもの動物モチーフのブローチがおいてあり、その中に銀色と金色の狐がいた。
「きつねだ、かわいいね」
私が言うと
「そうです、狐はかわいいのです」
銀乃は得意満面で言った。
「銀色の丸まってる狐さんのほう、なんだか銀乃みたい」
「かわいい?」
「かわいい」
私の言葉に、銀乃は銀のブローチを手に取った。目をつぶった狐が、尻尾に顔をうずめこんで、眠っているブローチだった。
「かっちゃお」
「いいんじゃない?」
「金のほうもかっちゃお」
「銀乃、お金持ちだねぇ」
感心した私に、銀乃は当たり前だという顔つきをした。
「まぁ、お金をもたらすお稲荷様の使いが、お金を持ってなかったらかっこつかないじゃないか」
「そうなの?」
「そうだよ」
そう言って、銀乃はうふふと笑った。
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