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秋の夜、貴方をこの腕に

3-②

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 と言いつつも、暁斗にとって学生時代の友人は、やはり大切な存在である。大勢集まる中に奏人をいきなり放り込むのは避けたいが、ちょっとずつ皆に紹介していきたい気は十分あった。だって、奏人は自慢の彼氏だから。

「そうそう暁斗、彼氏とパートナーシップ制度どうするんだ? 俺職場にレズビアンの後輩がいてさ、彼女さんとは長いんだけど迷ってるみたい」

 東京都が同性パートナーシップ証明制度を導入するというニュースのことらしかった。田辺はこういった話題を、自分たちに身近なものとしてきちんと受け止めてくれている。

「今住んでる大田区はやってないから、奏人さんは申し込みたいって言ってる……俺は迷ってるというか、自治体内のみの効力でもとにかく良しとするかどうか、ってことなんだろうな」

 暁斗が答えると、田辺はそうだなぁ、と頷いた。

「後輩もそうなんだと思う、彼女らは俺たちよりだいぶ若いけどな」
「連れ合いが入院した時に病室に入れて貰えない事態をまだ考えなくていい年齢なのかな」

 そこで小島が突っ込んできた。

「暁斗は考えたほうがいいだろ?」
「うるさい、俺まだ健診で何も引っかかってないぞ」

 暁斗の言葉に3人は笑った。松葉が申し込めよ、と言って、続ける。

「俺たちもそうだけど、みんなまだまだ同性カップルの事情が遠いと思うんだよな……暁斗たちには最先端行っててほしいぞ」
「最先端ねぇ」

 暁斗は言いながら、男と暮らしていることをオープンにしている自分たちには、何となく使命のようなものが発生していると感じる。不愉快な訳ではない。奏人も勤め先の大学でゲイであることを学生に話しているので、立場の受け止めかたはおそらく似ている。

「俺らはずっと暁斗とパートナーさんを応援するからな、だから男同士のセックスの話を聞かせろ」

 小島が遂に本音を口にした。暁斗はゆっくり瞬きして、内緒、と答える。田辺と松葉が、レストランがいているのをいいことに、がははと大きく笑った。
 仕方ない、ちょっとだけ教えてやる……きっと刺激的過ぎるぞ、酒が足りないだろうが。暁斗も笑いながら、店員に向かって片手を上げた。そして、もう少し飲んで帰ると奏人にLINEするべく、スマートフォンを出した。



《秋の夜、貴方をこの腕に 完》
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