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第二章:交錯する意思
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第7実験棟爆破から五日目、2049年3月12日の午後。
「桜」の基地では、ハルがコピーしたデータを元に世界中のメディアへ情報を拡散する作業を進めていた。古い衛星通信装置を駆使し、幾重にも暗号化されたメッセージを送り続ける彼女の額には、豆粒大の汗が滲んでいた。
「神林さん!やっと繋がった!海外の独立ニュース局『フリーワールド・レポート』が受信したって!」
ハルの叫び声に、基地にいるメンバーたちが一斉に顔を上げた。颯太がパソコンの画面を確認すると、「データ受領完了。速やかに検証し、全世界へ発信する」という返信が表示されていた。
「よし!これでEAAの真実が世界に知れ渡るだろう」沢村が手を打ち鳴らした。「あとは外の世界が動き出すのを待つだけだ」
「でも……何か変だよ」ハルが眉をひそめ、画面を指差す。「データの一部に改ざんされた痕跡がある。特に『如月ルナ』という人物に関する記述は、全て暗号化されて読めないんだ」
「如月ルナ……特殊対策局長だったな」颯太はノートにその名前を書き留め、「EAAにはまだ俺たちの知らない黒幕がいる。堂前はただ手先に過ぎなかったのかもしれない」
その時、基地の入口から木村達也が慌てて走り込んできた。彼の顔は青ざめており、息が切れ切れだった。
「神林……大事だ!新橋のデータ管理センターで、グールたちが何かを護ってるような様子が見えた。そしてEAAの精鋭部隊『雷鳴隊』が本格的に進軍してきた!」
「雷鳴隊……あの特殊部隊か」沢村が拳を握り締めた。「彼らはEAAの中でも最も凶暴な部隊で、容赦なく全てを排除すると評判だ」
「行くぞ!グールたちが護っているものには、きっと重要なものがある。そして俺たちは、彼らを見捨てるわけにはいかない」
颯太が拳銃を腰につけ、メンバーたちを集めた。今回は二十名全員が出撃し、林美穂と子供たちには基地を守ってもらうことにした。
「みんな、覚えておけ。我々の目的は戦うことじゃない。グールたちと接触し、何が起きているのかを確かめることだ。無駄な争いは避けよう」
颯太の指示で、メンバーたちはそれぞれの装備を整え、基地を出発した。
二
新橋駅周辺は、既に戦闘態勢が敷かれていた。EAAの戦闘車両が道路を塞ぎ、戦闘機「雷鳴」が低空飛行して威嚇射撃を繰り返している。街中には化物が生み出す水晶の塊が到る所に生え、グールたちがそれを中心に円を作って立ちはだかっていた。
「彼らが護ってるのは……あの建物か?」
拓也が指差す先には、赤レンガ造りの古い建物が見えた。看板には「帝都科学研究所」という文字が残されており、ハルが持っている地図と照らし合わせると、ここが元国立研究所の跡地であることが分かった。
「EAAがデータ管理センターとして使っていた場所だ。きっとここに何か重要なものが残されている」
颯太がメンバーたちに分散するよう指示すると、沢村率いる戦闘班が正面からEAA軍の注意を引き、ハルと拓也たちは裏口から研究所へ潜入する計画を立てた。
「行け!」
沢村が合図を送ると、戦闘班は煙幕弾を投げ込み、EAA軍と交戦を始めた。銃声が鳴り響く中、颯太、ハル、拓也は建物の裏手へと回り込み、破れた窓から内部へと侵入した。
研究所の中はガラクタが散乱し、壁には化物の水晶が這いつくばっていた。階段を上がると、第三階の部屋から光が漏れているのが見えた。三人は慎重に近づき、ドアの隙間から中を覗いた。
部屋の中央には大きな実験装置が置かれ、その中には女性が横たわっていた。彼女は白い白衣を着ており、顔には酸素マスクがつけられているが、瞳には僅かな理性の光が宿っていた。周囲には数体のグールが立ち、彼女を護るように構えていた。
「あの人……グールじゃない?でも瞳が……」ハルがつぶやく。
その時、ドアがガチャンと開かれ、EAAの兵士が部屋に突入してきた。「実験体水野亜衣を確保する!抵抗する者は排除せよ!」
兵士たちが銃を構えると、グールたちが一斉に動き出し、兵士たちと戦いを始めた。颯太は隙を見て部屋に飛び込み、兵士の一人を制圧した。
「水野亜衣……?データに出てきた元科学者か」
颯太が実験装置に近づくと、女性が酸素マスクを外し、口を開いた。「……あなたは……抵抗組織の方……?」
「俺は神林颯太だ。『桜』の代表だ。君は水野亜衣さんか?」
「はい……私は……人類進化プロジェクトの主任研究者だった……父が企画したプロジェクトを、私は反対していたんだ……」
亜衣の声は弱々しいが、しっかりとした意思が感じられた。彼女はベッドの下から小型のタブレットを取り出し、颯太に渡した。
「これに……父が残した『コアプログラム』が入っている。化物を制御し、グールたちの体を安定させることができる……でもEAAはこれを使って、兵器を作ろうとしている……」
「コアプログラム……!」
颯太が驚いていると、部屋の天井が崩れ落ち、黒いベールを身にまとった女性が現れた。彼女の瞳は赤く輝き、唇からは鋭い牙が覗いていた。
「如月ルナ……!」ハルが叫んだ。
ルナはクイッと笑い、亜衣の方を見つめた。「水野亜衣さん、貴方が持つコアプログラムはEAAの財産です。返しなさい」
「絶対に……渡さない!このプログラムは、人々を助けるためにあるんだ!」
亜衣がタブレットをしっかりと握り締めると、ルナがゆっくりと近づいてきた。「残念ですね。貴方が渡さないのなら、奪い取ります」
ルナが手を伸ばす瞬間、部屋の壁が割れ、巨大な化物が現れた。それは研究所のインフラと繋がっており、無数の触手のようなものでルナを攻撃した。ルナは身をかわし、触手をバチンとはじき飛ばした。
「化物など……私には敵わない!」
ルナが力強く叫ぶと、体から黒い霧が発せられ、化物の動きが鈍くなった。その隙を突いてルナは亜衣の元へと飛び込み、タブレットを奪おうとした。
「危ない!」
颯太が拳銃を撃ち、ルナは身をかわしたが、その間に拓也が亜衣を抱えて部屋から逃げ出した。ハルも後を追い、颯太は最後にルナを見つめながら撤退した。
「逃げるな……!」
ルナが叫ぶが、化物が再び攻撃を仕掛け、彼女は応戦せざるを得なくなった。颯太たちは亜衣を抱え、研究所の裏口から脱出した。
「桜」の基地へ亜衣を連れ帰ると、五十嵐あやがすぐに診察を始めた。幸いにも生命に別状はなく、体の変形も初期段階であるため、安定化させることができるという。
「水野さん、コアプログラムについて教えてくれ。本当に化物を制御し、グールたちを助けることができるのか?」
颯太が尋ねると、亜衣はタブレットを手に取り、画面を指差した。「父は当初、人類と技術が調和した社会を作るためにこの研究を始めました。コアプログラムは、化物の持つ『都市を守る意思』を活性化させ、グールたちの体内にある実験因子を安定させることができるのです」
「でも、EAAはこのプログラムを兵器に転用しようとしていたんだよね?」ハルが尋ねる。
「はい……堂前大臣——正確には、彼に憑依している存在が、このプログラムを使って世界を支配する兵器を作ろうとしていました。彼らは化物を『黒い巨人』という巨大兵器に変換し、グールたちを操って戦争を仕掛ける計画を立てていたのです」
「黒い巨人……?」
颯太が眉をひそめると、基地の無線機が突然鳴り響いた。沢村の慌てた声が聞こえてきた。
「神林!大変だ!EAA軍が本格的に封鎖区域全域に進軍してきた!彼らは『全ての異変体と残留民を排除し、東京を再建する』と宣言して、無差別攻撃を開始してる!」
颯太が基地の入口から外を見ると、遠くの空に無数の戦闘機が飛来し、地上には戦車型ロボット「鋼鬼」の隊列が見えた。街中には火がつき、悲鳴や叫び声があちこちから上がっていた。
「これは戦争だ……」拓也がつぶやく。
「水野さん、コアプログラムを起動するにはどうすればいい?」颯太が亜衣に迫る。「今すぐでもいい。我々はもはや逃げる場所がない!」
「プログラムを起動するには、東京駅地下にある『プロジェクト本拠地』にあるメインコンピューターに接続する必要があります。そこはEAAの中枢施設で、警戒は非常に厳しいですが……」
「分かった!今夜、本拠地へ潜入する!水野さんを護り、コアプログラムを起動するんだ!」
颯太がメンバーたちを集めると、みんなは意気込みを高め、装備を整え始めた。亜衣はベッドから起き上がり、颯太に手を差し伸べた。
「私も行きます。プログラムの操作は私にしかできません。そして……父の罪を償うためにも、私は戦わなければなりません」
「分かった。我々は君を絶対に守る」
その夜、「桜」の全メンバーが基地を出発した。街中は既に戦闘状態で、グールたちがEAA軍に抗い、化物が建物や道路を使って防御ラインを作っていた。
「神林さん!見て!」
ハルが指差す方向には、グールたちが市民たちを護りながら戦っている姿が見えた。彼らは無差別に攻撃するのではなく、EAA軍だけを標的にしていた。
「グールたちも……人々を守ろうとしているんだ」
颯太がつぶやくと、空中を飛んでいた戦闘機が彼らの位置を見つけ、攻撃を開始した。銃弾が雨のように降り注ぎ、メンバーの一人が負傷した。
「お前らはどっちだ!人間なのか、怪物なのか!」
EAAの兵士が叫びながら攻撃してくると、亜衣が前に出て叫んだ。「グールたちは怪物じゃない!彼らはあなたたちと同じ人間なんだ!EAAが隠している真実を知れば——」
兵士の銃口が亜衣に向けられた瞬間、グールの一人が飛びかかり、亜衣を護った。弾丸がグールの体に命中し、彼は倒れた。しかしそのグールは、最後まで
しかしそのグールは、最後まで亜衣の前に立ちはだかり、口元から「守……れ……」という僅かな声を上げて息を引き取った。
「……ありがとう」亜衣が涙を流しながら囁くと、周囲のグールたちが一斉に唸り声を上げ、EAA軍に向かって突進した。化物たちも光弾を放ち、戦闘機や「鋼鬼」を撃ち落とし始めた。
「これが人間、グール、化物の絆だ!我々も行こう!」
颯太が叫ぶと、メンバーたちは奮起し、東京駅へと進撃を開始した。途中、倒れているEAA兵士の遺体から無線機を回収した沢村が、顔を曇らせて話した。
「神林、EAAの通信を傍受した。如月ルナが『黒い巨人』の起動準備を進めているって!目標は東京だけじゃなく、周辺国まで攻撃する計画だとか……」
「くそっ!一刻も早く本拠地に着かなければならない!」
東京駅周辺は、EAA軍の最前線となっていた。地上には戦車や「鋼鬼」が配置され、地下への入口は特殊部隊が厳重に警備している。颯太たちはメンバーを三つのグループに分け、正面からの攻撃、裏口からの潜入、空中からの援護を計画した。
「拓也、君たち若者たちはハルと共に、ビルの屋上から無人機で援護しろ。沢村、君は戦闘班を率いて正面から敵の注意を引く。俺は亜衣を護って地下へ潜入する!」
「分かった!絶対に君たちの後を固める!」
沢村が合図を送ると、戦闘班は煙幕弾を投げ込み、EAA軍と激しい交戦を始めた。銃声と爆発音が轟音のように響き、建物の壁が次々と崩れ落ちた。拓也たちは屋上から無人機を飛ばし、敵の位置情報を伝えながら爆撃を仕掛けた。
「神林さん、裏口への道を開けた!」ハルの声が無線機から聞こえてきた。
颯太と亜衣は、戦闘の隙を突いて東京駅の地下通路へと潜入した。通路には化物の水晶が這いつくばっており、それが導きのように光を放っていた。
「この光は……化物たちが俺たちを導いてくれているんだ」亜衣がタブレットを見ながら話した。「コアプログラムと波長が合っているようだ……彼らも我々と同じ目的で戦っているのです」
やがて二人は本拠地の入口に到着した。厚い鉄の扉が閉ざされており、操作パネルには複雑な暗号が表示されていた。
「暗号解読には時間がかかる……どうしよう?」
颯太が困っていると、壁に生えた化物の水晶が突然光り、扉が静かに開いた。中には広大な制御室が広がり、中央には巨大なメインコンピューターが設置されていた。
「ここが……父が長年研究に勤しんだ場所です」亜衣が感慨深げに見回し、メインコンピューターにタブレットを接続した。「コアプログラムの起動準備を始めます。少し時間がかかります……神林さん、その間お守りください」
「分かった!絶対に君を守る!」
亜衣がキーボードを叩き始めると、制御室の画面には無数のデータが表示され、東京全域の地図が浮かび上がった。同時に、制御室のドアがガチャンと開かれ、如月ルナが黒いベールをなびかせて現れた。
「水野亜衣さん、貴方の行動は許せません。『黒い巨人』は人類を新たな時代へと導く鍵なのです!」
「ルナさん……あなたは本当にそう信じているのですか?堂前大臣——マモンに憑依された彼は、ただ世界を滅ぼそうとしているだけなのです!」
「マモン様こそが真の救世主です!人類は弱肉強食の世界で生き残るためには、進化するしかないのです!貴方が理解できないのなら、仕方ありません……消してあげます!」
ルナが身をかわしながら颯太に攻撃を仕掛けた。彼女の動きは人間を超える速さで、颯太は拳銃を撃つこともできず、追い詰められていた。その時、制御室の天井から化物が降りてきて、ルナを拘束した。
「化物……!」
「ルナさん、もう止めてください!」亜衣が立ち上がり、ルナの前に立った。「あなたも、かつては人々を守るために戦っていたのではありませんか?その想いは本当に消えてしまったのですか?」
ルナが黙り込むと、制御室の画面には「黒きガンダム」の映像が表示された。東京湾沖に浮かぶ巨大な兵器が、無数の光弾を地上に向けていた。
「起動カウントダウン開始……残り五分」
コンピューターの音声が響く中、ルナが瞳を潤ませて話した。「……私は数百年前から、人間の世界で生きてきました。何度も戦争や疫病を見てきて、人間の弱さを知っています。マモン様は私に『強くなる術』を教えてくれました……でも……」
「でも、あなたは人々の痛みを知っているんでしょう?」亜衣が優しくルナの手を取った。「コアプログラムは人間、グール、化物が共に生きる道を示してくれます。あなたも、その道を歩んでみませんか?」
ルナが頷くと、制御室のドアが開き、沢村やハルたちが駆け込んできた。「神林!EAA軍の大半は撃退した!でも『黒きガンダム』が……!」
「残り一分……」
コンピューターの音声が迫り来る中、亜衣が最後のキーを叩いた。「コアプログラム、起動!」
瞬く間に光が制御室全体を包み、東京全域に波動が広がった。画面には「化物との連動率100%」「グール因子安定化開始」と表示され、「黒い巨人」の光弾が空中で消滅した。
地上では、グールたちの体が徐々に安定し、白濁っていた瞳に理性の光が戻り始めた。化物たちは「黒い巨人」と繋がり、その暴走を止めると共に、壊れたインフラの修復を始めた。EAA軍の兵士たちは、この光景に呆然と立ち尽くしていた。
「これが……真の進化なのですね……」ルナが囁くと、亜衣が頷いた。
「はい……人間だけでなく、全ての存在が共に生きることこそが、真の進化なのです」
颯太が制御室の窓から外を見ると、灰色だった東京の空に、僅かな青さが戻り始めていた。人間、グール、化物が共に街の復興に取り組む姿が見え、彼は思わず拳を握り締めた。
——交錯する意思がついに一つになり、東京奪還の戦いは新たな局面を迎えるのだった。
「桜」の基地では、ハルがコピーしたデータを元に世界中のメディアへ情報を拡散する作業を進めていた。古い衛星通信装置を駆使し、幾重にも暗号化されたメッセージを送り続ける彼女の額には、豆粒大の汗が滲んでいた。
「神林さん!やっと繋がった!海外の独立ニュース局『フリーワールド・レポート』が受信したって!」
ハルの叫び声に、基地にいるメンバーたちが一斉に顔を上げた。颯太がパソコンの画面を確認すると、「データ受領完了。速やかに検証し、全世界へ発信する」という返信が表示されていた。
「よし!これでEAAの真実が世界に知れ渡るだろう」沢村が手を打ち鳴らした。「あとは外の世界が動き出すのを待つだけだ」
「でも……何か変だよ」ハルが眉をひそめ、画面を指差す。「データの一部に改ざんされた痕跡がある。特に『如月ルナ』という人物に関する記述は、全て暗号化されて読めないんだ」
「如月ルナ……特殊対策局長だったな」颯太はノートにその名前を書き留め、「EAAにはまだ俺たちの知らない黒幕がいる。堂前はただ手先に過ぎなかったのかもしれない」
その時、基地の入口から木村達也が慌てて走り込んできた。彼の顔は青ざめており、息が切れ切れだった。
「神林……大事だ!新橋のデータ管理センターで、グールたちが何かを護ってるような様子が見えた。そしてEAAの精鋭部隊『雷鳴隊』が本格的に進軍してきた!」
「雷鳴隊……あの特殊部隊か」沢村が拳を握り締めた。「彼らはEAAの中でも最も凶暴な部隊で、容赦なく全てを排除すると評判だ」
「行くぞ!グールたちが護っているものには、きっと重要なものがある。そして俺たちは、彼らを見捨てるわけにはいかない」
颯太が拳銃を腰につけ、メンバーたちを集めた。今回は二十名全員が出撃し、林美穂と子供たちには基地を守ってもらうことにした。
「みんな、覚えておけ。我々の目的は戦うことじゃない。グールたちと接触し、何が起きているのかを確かめることだ。無駄な争いは避けよう」
颯太の指示で、メンバーたちはそれぞれの装備を整え、基地を出発した。
二
新橋駅周辺は、既に戦闘態勢が敷かれていた。EAAの戦闘車両が道路を塞ぎ、戦闘機「雷鳴」が低空飛行して威嚇射撃を繰り返している。街中には化物が生み出す水晶の塊が到る所に生え、グールたちがそれを中心に円を作って立ちはだかっていた。
「彼らが護ってるのは……あの建物か?」
拓也が指差す先には、赤レンガ造りの古い建物が見えた。看板には「帝都科学研究所」という文字が残されており、ハルが持っている地図と照らし合わせると、ここが元国立研究所の跡地であることが分かった。
「EAAがデータ管理センターとして使っていた場所だ。きっとここに何か重要なものが残されている」
颯太がメンバーたちに分散するよう指示すると、沢村率いる戦闘班が正面からEAA軍の注意を引き、ハルと拓也たちは裏口から研究所へ潜入する計画を立てた。
「行け!」
沢村が合図を送ると、戦闘班は煙幕弾を投げ込み、EAA軍と交戦を始めた。銃声が鳴り響く中、颯太、ハル、拓也は建物の裏手へと回り込み、破れた窓から内部へと侵入した。
研究所の中はガラクタが散乱し、壁には化物の水晶が這いつくばっていた。階段を上がると、第三階の部屋から光が漏れているのが見えた。三人は慎重に近づき、ドアの隙間から中を覗いた。
部屋の中央には大きな実験装置が置かれ、その中には女性が横たわっていた。彼女は白い白衣を着ており、顔には酸素マスクがつけられているが、瞳には僅かな理性の光が宿っていた。周囲には数体のグールが立ち、彼女を護るように構えていた。
「あの人……グールじゃない?でも瞳が……」ハルがつぶやく。
その時、ドアがガチャンと開かれ、EAAの兵士が部屋に突入してきた。「実験体水野亜衣を確保する!抵抗する者は排除せよ!」
兵士たちが銃を構えると、グールたちが一斉に動き出し、兵士たちと戦いを始めた。颯太は隙を見て部屋に飛び込み、兵士の一人を制圧した。
「水野亜衣……?データに出てきた元科学者か」
颯太が実験装置に近づくと、女性が酸素マスクを外し、口を開いた。「……あなたは……抵抗組織の方……?」
「俺は神林颯太だ。『桜』の代表だ。君は水野亜衣さんか?」
「はい……私は……人類進化プロジェクトの主任研究者だった……父が企画したプロジェクトを、私は反対していたんだ……」
亜衣の声は弱々しいが、しっかりとした意思が感じられた。彼女はベッドの下から小型のタブレットを取り出し、颯太に渡した。
「これに……父が残した『コアプログラム』が入っている。化物を制御し、グールたちの体を安定させることができる……でもEAAはこれを使って、兵器を作ろうとしている……」
「コアプログラム……!」
颯太が驚いていると、部屋の天井が崩れ落ち、黒いベールを身にまとった女性が現れた。彼女の瞳は赤く輝き、唇からは鋭い牙が覗いていた。
「如月ルナ……!」ハルが叫んだ。
ルナはクイッと笑い、亜衣の方を見つめた。「水野亜衣さん、貴方が持つコアプログラムはEAAの財産です。返しなさい」
「絶対に……渡さない!このプログラムは、人々を助けるためにあるんだ!」
亜衣がタブレットをしっかりと握り締めると、ルナがゆっくりと近づいてきた。「残念ですね。貴方が渡さないのなら、奪い取ります」
ルナが手を伸ばす瞬間、部屋の壁が割れ、巨大な化物が現れた。それは研究所のインフラと繋がっており、無数の触手のようなものでルナを攻撃した。ルナは身をかわし、触手をバチンとはじき飛ばした。
「化物など……私には敵わない!」
ルナが力強く叫ぶと、体から黒い霧が発せられ、化物の動きが鈍くなった。その隙を突いてルナは亜衣の元へと飛び込み、タブレットを奪おうとした。
「危ない!」
颯太が拳銃を撃ち、ルナは身をかわしたが、その間に拓也が亜衣を抱えて部屋から逃げ出した。ハルも後を追い、颯太は最後にルナを見つめながら撤退した。
「逃げるな……!」
ルナが叫ぶが、化物が再び攻撃を仕掛け、彼女は応戦せざるを得なくなった。颯太たちは亜衣を抱え、研究所の裏口から脱出した。
「桜」の基地へ亜衣を連れ帰ると、五十嵐あやがすぐに診察を始めた。幸いにも生命に別状はなく、体の変形も初期段階であるため、安定化させることができるという。
「水野さん、コアプログラムについて教えてくれ。本当に化物を制御し、グールたちを助けることができるのか?」
颯太が尋ねると、亜衣はタブレットを手に取り、画面を指差した。「父は当初、人類と技術が調和した社会を作るためにこの研究を始めました。コアプログラムは、化物の持つ『都市を守る意思』を活性化させ、グールたちの体内にある実験因子を安定させることができるのです」
「でも、EAAはこのプログラムを兵器に転用しようとしていたんだよね?」ハルが尋ねる。
「はい……堂前大臣——正確には、彼に憑依している存在が、このプログラムを使って世界を支配する兵器を作ろうとしていました。彼らは化物を『黒い巨人』という巨大兵器に変換し、グールたちを操って戦争を仕掛ける計画を立てていたのです」
「黒い巨人……?」
颯太が眉をひそめると、基地の無線機が突然鳴り響いた。沢村の慌てた声が聞こえてきた。
「神林!大変だ!EAA軍が本格的に封鎖区域全域に進軍してきた!彼らは『全ての異変体と残留民を排除し、東京を再建する』と宣言して、無差別攻撃を開始してる!」
颯太が基地の入口から外を見ると、遠くの空に無数の戦闘機が飛来し、地上には戦車型ロボット「鋼鬼」の隊列が見えた。街中には火がつき、悲鳴や叫び声があちこちから上がっていた。
「これは戦争だ……」拓也がつぶやく。
「水野さん、コアプログラムを起動するにはどうすればいい?」颯太が亜衣に迫る。「今すぐでもいい。我々はもはや逃げる場所がない!」
「プログラムを起動するには、東京駅地下にある『プロジェクト本拠地』にあるメインコンピューターに接続する必要があります。そこはEAAの中枢施設で、警戒は非常に厳しいですが……」
「分かった!今夜、本拠地へ潜入する!水野さんを護り、コアプログラムを起動するんだ!」
颯太がメンバーたちを集めると、みんなは意気込みを高め、装備を整え始めた。亜衣はベッドから起き上がり、颯太に手を差し伸べた。
「私も行きます。プログラムの操作は私にしかできません。そして……父の罪を償うためにも、私は戦わなければなりません」
「分かった。我々は君を絶対に守る」
その夜、「桜」の全メンバーが基地を出発した。街中は既に戦闘状態で、グールたちがEAA軍に抗い、化物が建物や道路を使って防御ラインを作っていた。
「神林さん!見て!」
ハルが指差す方向には、グールたちが市民たちを護りながら戦っている姿が見えた。彼らは無差別に攻撃するのではなく、EAA軍だけを標的にしていた。
「グールたちも……人々を守ろうとしているんだ」
颯太がつぶやくと、空中を飛んでいた戦闘機が彼らの位置を見つけ、攻撃を開始した。銃弾が雨のように降り注ぎ、メンバーの一人が負傷した。
「お前らはどっちだ!人間なのか、怪物なのか!」
EAAの兵士が叫びながら攻撃してくると、亜衣が前に出て叫んだ。「グールたちは怪物じゃない!彼らはあなたたちと同じ人間なんだ!EAAが隠している真実を知れば——」
兵士の銃口が亜衣に向けられた瞬間、グールの一人が飛びかかり、亜衣を護った。弾丸がグールの体に命中し、彼は倒れた。しかしそのグールは、最後まで
しかしそのグールは、最後まで亜衣の前に立ちはだかり、口元から「守……れ……」という僅かな声を上げて息を引き取った。
「……ありがとう」亜衣が涙を流しながら囁くと、周囲のグールたちが一斉に唸り声を上げ、EAA軍に向かって突進した。化物たちも光弾を放ち、戦闘機や「鋼鬼」を撃ち落とし始めた。
「これが人間、グール、化物の絆だ!我々も行こう!」
颯太が叫ぶと、メンバーたちは奮起し、東京駅へと進撃を開始した。途中、倒れているEAA兵士の遺体から無線機を回収した沢村が、顔を曇らせて話した。
「神林、EAAの通信を傍受した。如月ルナが『黒い巨人』の起動準備を進めているって!目標は東京だけじゃなく、周辺国まで攻撃する計画だとか……」
「くそっ!一刻も早く本拠地に着かなければならない!」
東京駅周辺は、EAA軍の最前線となっていた。地上には戦車や「鋼鬼」が配置され、地下への入口は特殊部隊が厳重に警備している。颯太たちはメンバーを三つのグループに分け、正面からの攻撃、裏口からの潜入、空中からの援護を計画した。
「拓也、君たち若者たちはハルと共に、ビルの屋上から無人機で援護しろ。沢村、君は戦闘班を率いて正面から敵の注意を引く。俺は亜衣を護って地下へ潜入する!」
「分かった!絶対に君たちの後を固める!」
沢村が合図を送ると、戦闘班は煙幕弾を投げ込み、EAA軍と激しい交戦を始めた。銃声と爆発音が轟音のように響き、建物の壁が次々と崩れ落ちた。拓也たちは屋上から無人機を飛ばし、敵の位置情報を伝えながら爆撃を仕掛けた。
「神林さん、裏口への道を開けた!」ハルの声が無線機から聞こえてきた。
颯太と亜衣は、戦闘の隙を突いて東京駅の地下通路へと潜入した。通路には化物の水晶が這いつくばっており、それが導きのように光を放っていた。
「この光は……化物たちが俺たちを導いてくれているんだ」亜衣がタブレットを見ながら話した。「コアプログラムと波長が合っているようだ……彼らも我々と同じ目的で戦っているのです」
やがて二人は本拠地の入口に到着した。厚い鉄の扉が閉ざされており、操作パネルには複雑な暗号が表示されていた。
「暗号解読には時間がかかる……どうしよう?」
颯太が困っていると、壁に生えた化物の水晶が突然光り、扉が静かに開いた。中には広大な制御室が広がり、中央には巨大なメインコンピューターが設置されていた。
「ここが……父が長年研究に勤しんだ場所です」亜衣が感慨深げに見回し、メインコンピューターにタブレットを接続した。「コアプログラムの起動準備を始めます。少し時間がかかります……神林さん、その間お守りください」
「分かった!絶対に君を守る!」
亜衣がキーボードを叩き始めると、制御室の画面には無数のデータが表示され、東京全域の地図が浮かび上がった。同時に、制御室のドアがガチャンと開かれ、如月ルナが黒いベールをなびかせて現れた。
「水野亜衣さん、貴方の行動は許せません。『黒い巨人』は人類を新たな時代へと導く鍵なのです!」
「ルナさん……あなたは本当にそう信じているのですか?堂前大臣——マモンに憑依された彼は、ただ世界を滅ぼそうとしているだけなのです!」
「マモン様こそが真の救世主です!人類は弱肉強食の世界で生き残るためには、進化するしかないのです!貴方が理解できないのなら、仕方ありません……消してあげます!」
ルナが身をかわしながら颯太に攻撃を仕掛けた。彼女の動きは人間を超える速さで、颯太は拳銃を撃つこともできず、追い詰められていた。その時、制御室の天井から化物が降りてきて、ルナを拘束した。
「化物……!」
「ルナさん、もう止めてください!」亜衣が立ち上がり、ルナの前に立った。「あなたも、かつては人々を守るために戦っていたのではありませんか?その想いは本当に消えてしまったのですか?」
ルナが黙り込むと、制御室の画面には「黒きガンダム」の映像が表示された。東京湾沖に浮かぶ巨大な兵器が、無数の光弾を地上に向けていた。
「起動カウントダウン開始……残り五分」
コンピューターの音声が響く中、ルナが瞳を潤ませて話した。「……私は数百年前から、人間の世界で生きてきました。何度も戦争や疫病を見てきて、人間の弱さを知っています。マモン様は私に『強くなる術』を教えてくれました……でも……」
「でも、あなたは人々の痛みを知っているんでしょう?」亜衣が優しくルナの手を取った。「コアプログラムは人間、グール、化物が共に生きる道を示してくれます。あなたも、その道を歩んでみませんか?」
ルナが頷くと、制御室のドアが開き、沢村やハルたちが駆け込んできた。「神林!EAA軍の大半は撃退した!でも『黒きガンダム』が……!」
「残り一分……」
コンピューターの音声が迫り来る中、亜衣が最後のキーを叩いた。「コアプログラム、起動!」
瞬く間に光が制御室全体を包み、東京全域に波動が広がった。画面には「化物との連動率100%」「グール因子安定化開始」と表示され、「黒い巨人」の光弾が空中で消滅した。
地上では、グールたちの体が徐々に安定し、白濁っていた瞳に理性の光が戻り始めた。化物たちは「黒い巨人」と繋がり、その暴走を止めると共に、壊れたインフラの修復を始めた。EAA軍の兵士たちは、この光景に呆然と立ち尽くしていた。
「これが……真の進化なのですね……」ルナが囁くと、亜衣が頷いた。
「はい……人間だけでなく、全ての存在が共に生きることこそが、真の進化なのです」
颯太が制御室の窓から外を見ると、灰色だった東京の空に、僅かな青さが戻り始めていた。人間、グール、化物が共に街の復興に取り組む姿が見え、彼は思わず拳を握り締めた。
——交錯する意思がついに一つになり、東京奪還の戦いは新たな局面を迎えるのだった。
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そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
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どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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