前世魔王だった僕は、前世勇者だった男に求婚されたので逃げ出しました

榎村まこと

文字の大きさ
51 / 76
第四章

第51話 前世勇者だった男は前世魔王だった僕を味わいつくす ※

しおりを挟む
 ゼムベルトはふっと不敵な笑みを浮かべ、僕を抱え上げる。
 冒険者として鍛えている今、僕の身体は決して貧弱じゃない。身長も成人男性の平均170は優に超えている。
 けれども彼は軽々と僕の身体を抱えている。
 そのまま寝台の上に運ばれ、僕は押し倒された。
 身体を重ねてきたゼムベルトは、唇を重ね、滑り込ますように舌を入れてきた。
 いきなり激しいディープキスだ。
 ゼムベルトの舌が僕の舌を捕らえて絡みつく。
 熱くて柔らかい感触が気持ちいい。
 ひとしきり舌の感触を味わうと、今度は唇を貪ってくる。
 ゼムベルトの厚い唇は僕の唇をいともたやすく覆い尽くす。
 そして再び唇をこじ開けて、舌を差し込み、口腔内をこれでもかというくらいに味わいつくしたゼムベルトは、軽く舌舐めずりをした。

   ……本当に、どっちが魔王なんだか分からなくなるよ。今の君の双眸はとてつもなく凶悪な光をたたえている。

「あ……」

 一瞬にして着ているものが姿を消す。

 ゼムベルトが、消去魔法イレストを念じ、僕の服と彼の服が一瞬にして消えてしまったのだ。
 生まれたままの姿になった僕に対し、ゼムベルトは特に何をするわけでもなく、しばらくの間、じっと見詰めている。

「……ジュノは本当にどこもかしこも美しい」

 改めて全身をじっと見られると、本当に恥ずかしい。
 僕のアソコは期待のあまり、しっかりと勃ちあがっているし、乳首だって寒くもないのに立ってしまっている。
 以前と違って栄養がある食事もとって、鍛えているから身体も健康的に引き締まっているけれど、ゼムベルトと比較すると華奢な体つきだ。
 ゼムベルトの方こそ、どこもかしこも芸術家が丹精込めて彫った彫刻のように美しい。
 それでも僕の身体を眩しそうに見詰めてくるディープブルーの眼差しを見ていると、嬉しい気持ちになる。

 ずっとそんな風に見ていてくれたらいいのに……
 
 セムベルトは僕の脚を開き、勃ちあがったアソコを口に咥える。以前にも同じことをされた。あの時は、混乱していたし、逃げたい気持ちはあるのに、気持ち良くて逃げられなくて。
 でも今は逃げたい気持ちはない。心置きなくゼムベルトの口の愛撫に身を委ねることができる。ゼムベルトの口の中、熱くて、奥まで僕を包んでくれる。
 だけど、今回はそれだけじゃない。

「あ……っっ、あっっっ……駄目っっ、そこはまだ」

 思わず身体が大きく跳ね上がる。
 ゼムベルトは僕のものを咥えながら、後孔に長い指を埋めてきたのだ。 
二つ同時に襲いかかる刺激に、僕の身体はいつも以上に反応してしまう。
 
「駄目……ゼムベルト……二カ所同時はっっ」

 訴えてみるけど、ゼムベルトは美味しそうに僕のものを咥えて扱きつつ、後ろを弄ることも止めない。
 僕がいやいやと首を横に振ると、彼は一度口を離し、にやりと笑って問いかけてくる。

「めちゃくちゃにして欲しいのだろう? 今日はジュノのことを食べ尽くすつもりだよ?私は」
「……」

 た、確かにめちゃくちゃにして欲しいと言ったのは僕だ。
 そして今まで感じたことがない刺激に、頭が真っ白になり、心の中にのし掛かっていた不安も消えていたことは確かだ。
 だ、だけど食べ尽くすって。
 あ……そ、そんな恥ずかしい場所まで舐めるの?
 ゼムベルトの濡れそぼった舌が触れてくる度に、後孔がひくついている。

「あ……あんっ……ああっ、あっ、あっ」

 本当に食べられているような感覚に陥る。そして、不意に突き上げてくる将来への不安を思うと、本当に食べられて、ゼムベルトの身体の一部になってしまいたいと思ってしまう。
 
「ゼム……あっ……ゼムっっ」

 僕はいきそうになるのを辛うじて堪え、思わずゼムベルトの肩に詰めを食い込ませてしまう。
 けれども強靱な肉体は僕が詰めを立てたところで、軽く痕がつくだけ。
 ゼムベルトは舐める行為をやめ、唇を親指で拭い、今度は堅くなった熱杭を、後孔に押し当てる。
 そして僕の膝裏を掴むと、半分ほど杭を打ち付けた。

「く……ジュノの中、まだ狭いな」
「あ……ゼムのが僕の中に……」
「今半分入ったところだ。もっと奥に入れるから」

 優しい声音とは裏腹、猛った熱杭は容赦なく僕の快感の源を貫いてきた。
 熱杭が根元まで入って来たのだ。
 その快楽を感じる間もなく、熱杭は一度引き抜かれ、再び打ち付けられる。
 引き抜かれた時の気持ち良さ、打ち付けられる気持ち良さを交互に与えられた僕は、声にはならない嬌声を上げていた。
 ゼムベルトは僕の片膝を持ち上げ、今度は違う角度で攻めてくる。
 
「く……ジュノ……どこまで私をしめつけるつもりだ」
「僕は、締め付けたつもりはないよっっ」
「ジュノの可愛いお尻は私に食いついて離れないんだよ?」
「ぜ、ゼムの変態っっ……恥ずかしいことを言うな!!」

 恥ずかしくて思わず手の甲で目を隠す。どんな顔でゼムベルトの顔を見たらいいのか分からなくなった。
 ゼムベルトの腰が激しく動き出す。

「ゼム……あっっ……あっっ……」
「ジュノ、ずっと君とこのままでいたい」

 ゼムベルトの言葉に僕は泣きたくなった。
 彼の言葉は、今の僕の気持ちそのものだったから。
 片膝だけ持ち上げていた状態から、今度は両膝を抱え上げ、ゼムベルトは奥を抉るかのように熱杭を僕の最奥に打ち付け、精を放った。
 熱い白濁が下腹に広がるのを感じながら、僕は呆然とする。
 ゼムベルトが僕の額に軽く口づけた。
 そしてしばらくの間、唇による身体の愛撫を続ける。
 彼は再び、僕の身体をゆっくり味わいだした。
 夜はまだ始まったばかりだ。
 どうか、僕が壊れるくらい抱いてほしい。
 何もかも忘れられるくらいに、僕のことを抱き殺してくれ。

 そして僕を永久に君のものにしてくれ――――
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

記憶を失くしたはずの元夫が、どうか自分と結婚してくれと求婚してくるのですが。

鷲井戸リミカ
BL
メルヴィンは夫レスターと結婚し幸せの絶頂にいた。しかしレスターが勇者に選ばれ、魔王討伐の旅に出る。やがて勇者レスターが魔王を討ち取ったものの、メルヴィンは夫が自分と離婚し、聖女との再婚を望んでいると知らされる。 死を望まれたメルヴィンだったが、不思議な魔石の力により脱出に成功する。国境を越え、小さな町で暮らし始めたメルヴィン。ある日、ならず者に絡まれたメルヴィンを助けてくれたのは、元夫だった。なんと彼は記憶を失くしているらしい。 君を幸せにしたいと求婚され、メルヴィンの心は揺れる。しかし、メルヴィンは元夫がとある目的のために自分に近づいたのだと知り、慌てて逃げ出そうとするが……。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。けれど付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...