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第四章

第51話 前世勇者だった男は前世魔王だった僕を味わいつくす ※

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 ゼムベルトはふっと不敵な笑みを浮かべ、僕を抱え上げる。
 冒険者として鍛えている今、僕の身体は決して貧弱じゃない。身長も成人男性の平均170は優に超えている。
 けれども彼は軽々と僕の身体を抱えている。
 そのまま寝台の上に運ばれ、僕は押し倒された。
 身体を重ねてきたゼムベルトは、唇を重ね、滑り込ますように舌を入れてきた。
 いきなり激しいディープキスだ。
 ゼムベルトの舌が僕の舌を捕らえて絡みつく。
 熱くて柔らかい感触が気持ちいい。
 ひとしきり舌の感触を味わうと、今度は唇を貪ってくる。
 ゼムベルトの厚い唇は僕の唇をいともたやすく覆い尽くす。
 そして再び唇をこじ開けて、舌を差し込み、口腔内をこれでもかというくらいに味わいつくしたゼムベルトは、軽く舌舐めずりをした。

   ……本当に、どっちが魔王なんだか分からなくなるよ。今の君の双眸はとてつもなく凶悪な光をたたえている。

「あ……」

 一瞬にして着ているものが姿を消す。

 ゼムベルトが、消去魔法イレストを念じ、僕の服と彼の服が一瞬にして消えてしまったのだ。
 生まれたままの姿になった僕に対し、ゼムベルトは特に何をするわけでもなく、しばらくの間、じっと見詰めている。

「……ジュノは本当にどこもかしこも美しい」

 改めて全身をじっと見られると、本当に恥ずかしい。
 僕のアソコは期待のあまり、しっかりと勃ちあがっているし、乳首だって寒くもないのに立ってしまっている。
 以前と違って栄養がある食事もとって、鍛えているから身体も健康的に引き締まっているけれど、ゼムベルトと比較すると華奢な体つきだ。
 ゼムベルトの方こそ、どこもかしこも芸術家が丹精込めて彫った彫刻のように美しい。
 それでも僕の身体を眩しそうに見詰めてくるディープブルーの眼差しを見ていると、嬉しい気持ちになる。

 ずっとそんな風に見ていてくれたらいいのに……
 
 セムベルトは僕の脚を開き、勃ちあがったアソコを口に咥える。以前にも同じことをされた。あの時は、混乱していたし、逃げたい気持ちはあるのに、気持ち良くて逃げられなくて。
 でも今は逃げたい気持ちはない。心置きなくゼムベルトの口の愛撫に身を委ねることができる。ゼムベルトの口の中、熱くて、奥まで僕を包んでくれる。
 だけど、今回はそれだけじゃない。

「あ……っっ、あっっっ……駄目っっ、そこはまだ」

 思わず身体が大きく跳ね上がる。
 ゼムベルトは僕のものを咥えながら、後孔に長い指を埋めてきたのだ。 
二つ同時に襲いかかる刺激に、僕の身体はいつも以上に反応してしまう。
 
「駄目……ゼムベルト……二カ所同時はっっ」

 訴えてみるけど、ゼムベルトは美味しそうに僕のものを咥えて扱きつつ、後ろを弄ることも止めない。
 僕がいやいやと首を横に振ると、彼は一度口を離し、にやりと笑って問いかけてくる。

「めちゃくちゃにして欲しいのだろう? 今日はジュノのことを食べ尽くすつもりだよ?私は」
「……」

 た、確かにめちゃくちゃにして欲しいと言ったのは僕だ。
 そして今まで感じたことがない刺激に、頭が真っ白になり、心の中にのし掛かっていた不安も消えていたことは確かだ。
 だ、だけど食べ尽くすって。
 あ……そ、そんな恥ずかしい場所まで舐めるの?
 ゼムベルトの濡れそぼった舌が触れてくる度に、後孔がひくついている。

「あ……あんっ……ああっ、あっ、あっ」

 本当に食べられているような感覚に陥る。そして、不意に突き上げてくる将来への不安を思うと、本当に食べられて、ゼムベルトの身体の一部になってしまいたいと思ってしまう。
 
「ゼム……あっ……ゼムっっ」

 僕はいきそうになるのを辛うじて堪え、思わずゼムベルトの肩に詰めを食い込ませてしまう。
 けれども強靱な肉体は僕が詰めを立てたところで、軽く痕がつくだけ。
 ゼムベルトは舐める行為をやめ、唇を親指で拭い、今度は堅くなった熱杭を、後孔に押し当てる。
 そして僕の膝裏を掴むと、半分ほど杭を打ち付けた。

「く……ジュノの中、まだ狭いな」
「あ……ゼムのが僕の中に……」
「今半分入ったところだ。もっと奥に入れるから」

 優しい声音とは裏腹、猛った熱杭は容赦なく僕の快感の源を貫いてきた。
 熱杭が根元まで入って来たのだ。
 その快楽を感じる間もなく、熱杭は一度引き抜かれ、再び打ち付けられる。
 引き抜かれた時の気持ち良さ、打ち付けられる気持ち良さを交互に与えられた僕は、声にはならない嬌声を上げていた。
 ゼムベルトは僕の片膝を持ち上げ、今度は違う角度で攻めてくる。
 
「く……ジュノ……どこまで私をしめつけるつもりだ」
「僕は、締め付けたつもりはないよっっ」
「ジュノの可愛いお尻は私に食いついて離れないんだよ?」
「ぜ、ゼムの変態っっ……恥ずかしいことを言うな!!」

 恥ずかしくて思わず手の甲で目を隠す。どんな顔でゼムベルトの顔を見たらいいのか分からなくなった。
 ゼムベルトの腰が激しく動き出す。

「ゼム……あっっ……あっっ……」
「ジュノ、ずっと君とこのままでいたい」

 ゼムベルトの言葉に僕は泣きたくなった。
 彼の言葉は、今の僕の気持ちそのものだったから。
 片膝だけ持ち上げていた状態から、今度は両膝を抱え上げ、ゼムベルトは奥を抉るかのように熱杭を僕の最奥に打ち付け、精を放った。
 熱い白濁が下腹に広がるのを感じながら、僕は呆然とする。
 ゼムベルトが僕の額に軽く口づけた。
 そしてしばらくの間、唇による身体の愛撫を続ける。
 彼は再び、僕の身体をゆっくり味わいだした。
 夜はまだ始まったばかりだ。
 どうか、僕が壊れるくらい抱いてほしい。
 何もかも忘れられるくらいに、僕のことを抱き殺してくれ。

 そして僕を永久に君のものにしてくれ――――
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