69 / 76
終章
第69話 勇者対邪神①
しおりを挟む
ゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!
僕が全ての記憶を思い出したと同時に、大きな地震が新魔王城を襲った。
予想外の出来事に、シキ……じゃなくて、シキに憑いたアレムが目を見開く。
魔王城謁見の間の床に魔法陣が浮かび上がる。
あれは……転移魔法の魔法陣?
魔法陣の中心には、ゼムベルトとオルティス、そしてノアが立っていた。
「ジュノ、迎えにきたぞ」
「ゼム……何故ここに来た!? 弱っているとはいえ、相手は邪神だ。危険だというのに」
「邪神が危険? かつて俺にボロボロにやられた低級の神ごとき、俺の相手じゃない」
「え――――」
ゼムベルトの言葉に、僕は息を飲む。
まるでかつて邪神と戦ったことがあるかのような口ぶりだ。
アレムが苦々しい表情を浮かべ、悔しげに呟く。
「く……勇者イベルドの記憶を取り戻したか」
「ああ、我が妻が魔族の軍勢と共に消えたという報告を聞いてな。自分の無力さを呪った瞬間、前世の記憶が蘇った」
ゼムベルトは以前にも増して不遜な笑みを浮かべていた。
確かに彼の身体からは、とてつもない力を感じる。アレム以上の圧も身体にビンビン伝わってくる。
何なんだ ?
前世、彼と戦ってきた時も、凄い力を感じ取っていたけれど、ここまでの圧はなかった。
今の彼の強さは神の領域だ。
でも、だからといってわざわざ僕を助けに来るなんて。
「さすがにここまで転移するのは骨が折れましたね。魔力が空になりましたよ……」
転移魔法を使ったのはオルティスなのだろう。無理もない。人族が住む人界の範囲内でも遠くであれば半分以上の魔力を消費するんだ。魔界となると相当な魔力を消費する筈。
僕もよく軍勢をここまで運べたものだ。
魔族の軍勢もろとも自分を転移させた僕の力は、それだけ規格外なのだ。
その時、謁見の間に衛兵であろう魔物達がなだれ込んできた。
ノアが大剣をかまえ、オルティスに問う。
「オルティス、魔力0でも戦えそうか?」
「魔力の回復薬を飲むまでもないですね。雑魚相手に魔力は不要です」
オルティスが剣を振るった瞬間、風の刃が生じ衛兵のグループを一掃する。
風の刃は魔法ではなく、彼が持つ魔剣の作用だ。
振るうだけで相手を切り裂く風の刃が生まれる。
一方ノアは、力任せに新手の衛兵たちを次々と叩き斬る。
衛兵はこちらにも襲い掛かってきたので、僕は手の平を前に差し出し呪文を唱える。
「炎花」
控えめな魔法にしておいたけれど、すくなくとも僕の周囲にいる魔物達はあっというまに消し炭にかわった。
「呪文を唱える時のジュノも美しいな」
「いちいち僕を褒めすぎだ。君は」
「勇者の記憶を思い出してから、ますますジュノが愛しくなった」
「……? ? ?」
記憶を思い出したのに、僕のことが愛しい?
僕は魔王だよ?
君と何日も戦い続けた、あの憎き魔王なんだよ?
それに君には会いたい人がいるんじゃなかったのか?
魔王を倒したら、会いたい人に会える……そう信じて二百年間も勇者として戦って来たんだろ?
だけど、その問いかけを口に出すことはできない。
今、ゼムベルトとアレムは向かい合っているからだ。
「異次元転移」
ゼムベルトが呪文を唱えた瞬間、彼の姿とアレム姿がこの場から消えた。
まさか二人は別の場所に移動したのか?
だけどゼムベルトが唱えていた呪文は、普通の転移魔法とは違っていた。
神の領域に到達した勇者と邪神アレムがまともにぶつかり合えば、僕らは巻き添えをくうことになる。
だから別の場所に移動したのだろう。
だけどこの世にあの二人が争える場所があるとは思えない。
もしかしたら別次元の空間で戦っている可能性がある。
そういえば、この指輪は番である魔石の居場所を教えてくれるって言っていたよな? 異次元でもそれが通用するかわからないけれど、僕は魔石に意識を集中してみることにする。
「衛兵たちは片付けたぞ。ジュノ、イベルドはどこへ行ったんだ?」
「静かにしろ。今、捜索中だ」
僕は目を閉じて神経を集中させている所に、空気を読まない馬鹿……いやノアが声をかけてきた。
オルティスがノアの肩をぽんと叩いてから、代わりに説明をする。
「皇室の秘宝、番の指輪は指輪の魔石を通して相手の居所を教えてくれるアイテムです」
「居所を教える? そういえば、イベルドの奴も、ジュノがいなくなったと分かったとたん、世界地図を広げて何の躊躇もなく此処にジュノがいるって言っていたな」
「ええ、指輪を通してジュノーム様の場所を知ったのだと思います。殿下は私の頭の中に直接、この場所の映像を送ってきました。おかげで初めての場所にもかかわらず容易にここに転移することが出来ました」
脳内に映像を送る芸当なんて……本当に神の領域だ。
ゼムベルト自身も転移魔法を使えただろうけど、邪神との戦いに備え魔力の浪費を控えるべきだと、オルティスが諭したんだろうな。見たわけじゃないけど、そんなやり取りがあったんじゃないかって思われる。
ああ、今は余計な事を考えずに集中しよう。
ゼムベルトは今、どこにいるのか。
魔石よ、彼の居場所を僕に伝えて欲しい。
僕が全ての記憶を思い出したと同時に、大きな地震が新魔王城を襲った。
予想外の出来事に、シキ……じゃなくて、シキに憑いたアレムが目を見開く。
魔王城謁見の間の床に魔法陣が浮かび上がる。
あれは……転移魔法の魔法陣?
魔法陣の中心には、ゼムベルトとオルティス、そしてノアが立っていた。
「ジュノ、迎えにきたぞ」
「ゼム……何故ここに来た!? 弱っているとはいえ、相手は邪神だ。危険だというのに」
「邪神が危険? かつて俺にボロボロにやられた低級の神ごとき、俺の相手じゃない」
「え――――」
ゼムベルトの言葉に、僕は息を飲む。
まるでかつて邪神と戦ったことがあるかのような口ぶりだ。
アレムが苦々しい表情を浮かべ、悔しげに呟く。
「く……勇者イベルドの記憶を取り戻したか」
「ああ、我が妻が魔族の軍勢と共に消えたという報告を聞いてな。自分の無力さを呪った瞬間、前世の記憶が蘇った」
ゼムベルトは以前にも増して不遜な笑みを浮かべていた。
確かに彼の身体からは、とてつもない力を感じる。アレム以上の圧も身体にビンビン伝わってくる。
何なんだ ?
前世、彼と戦ってきた時も、凄い力を感じ取っていたけれど、ここまでの圧はなかった。
今の彼の強さは神の領域だ。
でも、だからといってわざわざ僕を助けに来るなんて。
「さすがにここまで転移するのは骨が折れましたね。魔力が空になりましたよ……」
転移魔法を使ったのはオルティスなのだろう。無理もない。人族が住む人界の範囲内でも遠くであれば半分以上の魔力を消費するんだ。魔界となると相当な魔力を消費する筈。
僕もよく軍勢をここまで運べたものだ。
魔族の軍勢もろとも自分を転移させた僕の力は、それだけ規格外なのだ。
その時、謁見の間に衛兵であろう魔物達がなだれ込んできた。
ノアが大剣をかまえ、オルティスに問う。
「オルティス、魔力0でも戦えそうか?」
「魔力の回復薬を飲むまでもないですね。雑魚相手に魔力は不要です」
オルティスが剣を振るった瞬間、風の刃が生じ衛兵のグループを一掃する。
風の刃は魔法ではなく、彼が持つ魔剣の作用だ。
振るうだけで相手を切り裂く風の刃が生まれる。
一方ノアは、力任せに新手の衛兵たちを次々と叩き斬る。
衛兵はこちらにも襲い掛かってきたので、僕は手の平を前に差し出し呪文を唱える。
「炎花」
控えめな魔法にしておいたけれど、すくなくとも僕の周囲にいる魔物達はあっというまに消し炭にかわった。
「呪文を唱える時のジュノも美しいな」
「いちいち僕を褒めすぎだ。君は」
「勇者の記憶を思い出してから、ますますジュノが愛しくなった」
「……? ? ?」
記憶を思い出したのに、僕のことが愛しい?
僕は魔王だよ?
君と何日も戦い続けた、あの憎き魔王なんだよ?
それに君には会いたい人がいるんじゃなかったのか?
魔王を倒したら、会いたい人に会える……そう信じて二百年間も勇者として戦って来たんだろ?
だけど、その問いかけを口に出すことはできない。
今、ゼムベルトとアレムは向かい合っているからだ。
「異次元転移」
ゼムベルトが呪文を唱えた瞬間、彼の姿とアレム姿がこの場から消えた。
まさか二人は別の場所に移動したのか?
だけどゼムベルトが唱えていた呪文は、普通の転移魔法とは違っていた。
神の領域に到達した勇者と邪神アレムがまともにぶつかり合えば、僕らは巻き添えをくうことになる。
だから別の場所に移動したのだろう。
だけどこの世にあの二人が争える場所があるとは思えない。
もしかしたら別次元の空間で戦っている可能性がある。
そういえば、この指輪は番である魔石の居場所を教えてくれるって言っていたよな? 異次元でもそれが通用するかわからないけれど、僕は魔石に意識を集中してみることにする。
「衛兵たちは片付けたぞ。ジュノ、イベルドはどこへ行ったんだ?」
「静かにしろ。今、捜索中だ」
僕は目を閉じて神経を集中させている所に、空気を読まない馬鹿……いやノアが声をかけてきた。
オルティスがノアの肩をぽんと叩いてから、代わりに説明をする。
「皇室の秘宝、番の指輪は指輪の魔石を通して相手の居所を教えてくれるアイテムです」
「居所を教える? そういえば、イベルドの奴も、ジュノがいなくなったと分かったとたん、世界地図を広げて何の躊躇もなく此処にジュノがいるって言っていたな」
「ええ、指輪を通してジュノーム様の場所を知ったのだと思います。殿下は私の頭の中に直接、この場所の映像を送ってきました。おかげで初めての場所にもかかわらず容易にここに転移することが出来ました」
脳内に映像を送る芸当なんて……本当に神の領域だ。
ゼムベルト自身も転移魔法を使えただろうけど、邪神との戦いに備え魔力の浪費を控えるべきだと、オルティスが諭したんだろうな。見たわけじゃないけど、そんなやり取りがあったんじゃないかって思われる。
ああ、今は余計な事を考えずに集中しよう。
ゼムベルトは今、どこにいるのか。
魔石よ、彼の居場所を僕に伝えて欲しい。
1
あなたにおすすめの小説
天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました
藤吉めぐみ
BL
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。
ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。
そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。
冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで……
優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
記憶を失くしたはずの元夫が、どうか自分と結婚してくれと求婚してくるのですが。
鷲井戸リミカ
BL
メルヴィンは夫レスターと結婚し幸せの絶頂にいた。しかしレスターが勇者に選ばれ、魔王討伐の旅に出る。やがて勇者レスターが魔王を討ち取ったものの、メルヴィンは夫が自分と離婚し、聖女との再婚を望んでいると知らされる。
死を望まれたメルヴィンだったが、不思議な魔石の力により脱出に成功する。国境を越え、小さな町で暮らし始めたメルヴィン。ある日、ならず者に絡まれたメルヴィンを助けてくれたのは、元夫だった。なんと彼は記憶を失くしているらしい。
君を幸せにしたいと求婚され、メルヴィンの心は揺れる。しかし、メルヴィンは元夫がとある目的のために自分に近づいたのだと知り、慌てて逃げ出そうとするが……。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。けれど付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる