騎士団小隊長ヨウカの剣

かかし仙人

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第一章

騎士団小隊長ヨウカの剣 第一章

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 広大な草原を馬に乗った数十名の騎士たちが、王都へと向かっていた。
 先頭にいるのがこの騎士団の小隊長を務めるヨウカだ。
「今日も収穫なしか」
 隊列の後方にいたユートが、先頭にいるヨウカの隣でへと行き、声をかける。
「ええ」
 端的に応じるヨウカ。
 本来なら隊列を乱したことを咎めるべきだが、それをすることはなかった。
 最近各地で行方不明者が続出している。
 今回の遠征任務も、その調査のためのものだったのだが、成果は全く出なかった。
 正義感が強く、小隊長でもあるヨウカは、人一倍その責任を感じていた。
 その様子を察してか、ユートが声をかけようとしたその時だった。
 前方より、必死に何かから逃げている女性が見える。
 歳は20代前半と言ったところか。ヨウカやユートと同い年くらいだ。
 瞬時に頭を切り替えたヨウカは、すかさず馬を走らせる。
 ユートや他の騎士達もそれに続いた。
「た、助けて下さい!」
 女性がヨウカへ助けを請う。
 馬から降りたヨウカは、女性の前に立ち、前方からやって来る敵を見据え、剣を構える。
 現れたのは、鋭い爪と牙を持つモンスター、ワーウルフだった。
 襲い掛かって来るワーウルフを、ヨウカは一刀の下に両断する。
 ユート達が駆けつけたのは、ヨウカが剣を収めた後だった。
「おい、大丈夫か?」
 ユートは急ぎヨウカたちの元へと駆けつける。
「私は大丈夫。それより……」
 二人は少女の方を見る。
「あなた、ケガはないかしら?」
「は、はい。私は……大丈夫……です」
 それだけ話すと、極限状態から緊張が解けたせいか、女性は体を傾けて行った。
 ヨウカは彼女を支えて、顔を覗き込む。
 穏やかな寝息をたてている。
 外傷もない。
 しばらく休ませれば大丈夫だろう。
 そう判断したヨウカは、仲間の騎士に彼女を引き渡した後、自身が倒したワーウルフへと視線を移した。
「どうした?」
「……この辺りでワーウルフが出て来るのは珍しいわ。何か、嫌な予感がしてね」
「とりあえず、彼女を早く医者に診せた方がいい」
「……そうね」
 気にはなるが、今は王都へと報告が優先だ。
 助けた女性を連れて、王都への道を真っ直ぐ進んでいった。
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