騎士団小隊長ヨウカの剣

かかし仙人

文字の大きさ
2 / 5
第二章

騎士団小隊長ヨウカの剣 第二章

しおりを挟む
 女性を医者へと預けた後、ヨウカは騎士団長に報告する。
「申し訳ありません」
 首を垂れるヨウカ。
「いや、仕方ないさ。しかし、これ程の大規模の捜査にも関わらず、犯人はどうやって……」
 それ聞き、表情を曇らせる。
「あ、違うぞ、ヨウカ。お前のせいではない。何でもかんでも自分で抱え込むな」
「はい……」
 結局、何も取っ掛かりも得られないまま、自身の宿舎へと帰ることになった。
 宿舎の目前にして、入り口付近で壁を背に立っている男が一人。ユートだ。
「ユート……」
 小さく呟くが、次の言葉が出てこなかった。
 仕方なしに、ユートの横を通り過ぎようとした時。
「いつまでそんな顔してんじゃねぇ」
 振り返り、ユートを見る。
「お前、色々と抱え込み過ぎだ」
「それ、騎士団長にも言われた」
 苦笑するヨウカ。
「だったら自覚しろ」
 ユートは壁に預けていた身体を起こし、ヨウカの前へと近づいて来る。
「確かに、事件を解決できないのは俺だって悔しい。でも、そんな顔してても仕方ねぇだろ」
 それを聞いて、再びうつむく。
「俺だってできれば今すぐにでも事件を解決したい。でも、それが無理だってんなら、今できることをやるしかないだろ」
「今……できること……」
「そうだ。事件の捜査だけが騎士ってわけじゃねぇだろ」
 ヨウカは考えた。
 自分が騎士になったきっかけの出来事を。
「ふふっ」
 先程の固い表情が嘘のように、柔らかい笑みを見せる。
「そうね。こんなの私らしくないよね!」
「ああ、全く似合わないね。この国が滅ぶかと思ったぜ」
「何よ、それ! 私が大人しくしてるのが、そんなにおかしいわけ?」
「ああ、おかしい。めちゃくちゃな」
 ヨウカのことをからかうユートだったが、その空気は柔らかいものとなっていた。
「ありがと。今日はよく眠れそうだわ」
「ああ。感謝しやがれ」
 ふふっ、と笑って、宿舎へと入って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...