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2章
青いTシャツ
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デパートに着いたが、明るい照明とお化粧品の匂いのせいか、蓮見は急に気持ちが悪くなった。エスカレーターがとても長く見え、何にも買わずにデパートを出た。
少し外の風に吹かれようと、デパートが続く通りを抜け、路地を歩いていると、小さなお店の中に、失くした手袋と同じ色のTシャツを見つけた。
こんな所に古着屋さんがあったなんて知らなかった。
蓮見はそのお店に、恐る恐る入っていった。
真っ青なTシャツを手に取ると、金髪の男性が蓮見に近づいてくる。
「それ、気に入った?」
男性がそう言った。
「こういう青、好きなんです。」
蓮見はTシャツを手に取り見つめた。
「君なら、もっと淡い色の方が似合うと思うけど。」
蓮見は男性の方をチラッと見た。
「あれ、ケン?」
「えっ?」
「ごめんなさい。あなたに似てた人がいたんで。」
「その人はケンって言う名前なの? もしかして昔の男?」
「いえ、バンドの人」
「俺がその人に似てたって事?」
「すごく似てるんです。ごめんなさい、変な話しして。これ、欲しいんですけど、いいですか?」
蓮見はTシャツを男性に渡した。男性はTシャツを受け取ると、蓮見の手が少し触れた。あまりにも冷たい手だったので、男性は蓮見の顔を覗いた。
「せっかくだから、ゆっくり見ていきなよ。」
そう言うと、
「このお店って、ずっとここにありました?」
蓮見は男性に聞く。
「先月から始めたんだ。それまで、ここは花屋だったでしょう。」
「そう、お花屋さんありました。」
蓮見と男性が話していると、数人の女子高生が店に入ってくる。
「リュウ、これに合う服選んでよ。」
女の子達は、蓮見の前を通り過ぎた。
「こっちのお客さんが先だよ。」
男性は青いTシャツを袋に入れ、これ使って、とTシャツと同じ色の手袋を蓮見に渡した。
「今度ゆっくり。良かったら、また来てよ。」
女の子達が男性を囲んでいたので、それ以上話すことができなかった。
心地よいお香の香りのするお店から出ると、また冷たい風が頬を突き刺す。蓮見は男性がくれた手袋をつけた。手袋はお店と同じお香の匂いがする。一気に冷たくなった頬を両手で覆うと、お香の匂いと共に、さっきの男性の顔が浮かぶ。
家に帰ってきた蓮見は、押入れの奥から、CDの入っている箱を取り出した。この中にあの青を着たケンのCDがあるはず。
一つ一つ手に取ると、学生の頃の思い出が蘇る。
小さなライブハウスの中で、非常口の下のぼんやりと明るい場所が、一番落ち着く場所。本当はもっとケンに近づきたかったけれど、熱狂的なファンが集まるステージの前では、自分の立つ場所を見つけるのが大変だった。
カカオがメジャーデビューしてからは、小さな会場でライブをやる事がなくなり、客席が決まっているせいか、ケンとの距離がまた少し遠くなった。
あの頃。
薄暗いライブハウスにスモークが焚かれると、青白い光りの中に人の影が見える。少し間をおいて、パッとスポットライトが輝き、曲が始まると、みんなが一斉に伸ばした手は、まるで波の様だった。
ケンが額の汗を手で拭う。遠くを見つめ、曲に想いを入れている。
自分の気持ちなんて知らないはずのケンの歌声は、どうしてこんなにも心を揺さぶるんだろう。まるで、誰にも触れていない背中を、温かい手で包んでくれている様だった。
蓮見はいくつもあるCDの中から、ケンが青いTシャツを着ているジャケットを見つけた。
「あった!」
ハスキーなケンの声を聴きながら、恋なんてした事がないくせに、蓮見は初恋をし、失恋をした。
このジャケットの曲が、カカオの最後の曲。デビューしてたった1年。ケンがソロでやっていくという噂もあったが、それきりケンの歌声を聞く機会はなかった。
最後の曲だと決めていたのだろうか、悲しい歌詞と、ナオが奏でるギターのフレーズは、まるで、永遠の別れを意味している様だった。
テーブルの上には、3つ、青い手袋が並んでいる。
あの人、本当にケンにそっくりだった。だけど、リュウって呼ばれていたし、やっぱり別人なんだろうな。
蓮見は買ってきたTシャツを大切にをクローゼットにしまった。また、あの店に行こう。
お腹が減って、冷蔵庫に向かって歩いていると、携帯がなる。
また交代? 蓮見は着信の相手を恐る恐る見た。電話の相手は師長からではなく、沙耶だった。ホッとした蓮見は、電話に出る。
「もしもし。」
「里田さん、牧田だけど。良かったら一緒にご飯食べに行こうよ。沙耶さんも、秋田もいるよ。ちょうど仕事が終わって、みんなでご飯食べに行こうって話してたところ。」
「牧田さん? これって沙耶の携帯じゃなかった?」
「俺から電話しても、出ないから、沙耶さんの携帯を借りたんだ。」
山岡沙耶《やまおかさや》と蓮見は大学時代の同級生で、同じ病院の中で働いていた。
学生の頃は一緒にライブハウスに通う仲だったけれど、就職してからは勤務が合わず、最近はゆっくり話すことすらなくなってしまった。
秋田大知《あきたたいち》は沙耶の彼氏で、牧田と同じレントゲン技師。
「今から迎えに行くから、家で待ってて。」
牧田はそう言って電話を切った。
焼き肉屋に来た4人。次々に注文する牧田と秋田に、沙耶はそんなに食べるの? と聞いた。
「だって今日は混んでるから、早めに注文しないとさ。はい、里田さんも早く選んで。」
秋田は蓮見にそう言った。
「なんで、こんなに行き急ぐのかしらね。職業病なの、これ。」
沙耶は秋田にそう言った。
「牧田さんはお酒飲まないの? 今日は車だし。」
蓮見は牧田に聞いた。
「俺、酒は飲めないんだ。よく飲めそうって言われるけど、ぜんぜんダメ。だから帰りは送っていくよ。」
「蓮見、飲もう。」
沙耶がメニューを拡げる。
「今日、カカオのボーカルにそっくりな人に会ってね。」
「ケンに似てたの?」
「金髪で、声もそっくりで、びっくりした。」
「懐かしいね。うちらの青春だよね。ケン、ナオ、レイ、ヒサシ、4人とも皆カッコ良かったなぁ。いい曲たくさんあるのに、なんで解散しちゃったんだろうね。」
蓮見と沙耶が思い出にふけっていると、肉を焼きながら、秋田が言った。
「バンドの解散って、だいたい女の事でモメて解散するんだよ。男が仲悪くなる理由ってほとんどがそれ。女だって、仲が悪くなる理由って同じだろう。」
「そうかな。カカオはみんな仲が良さそうだったのに。」
沙耶はきっと違う理由だと、秋田に反論した。
最初に頼んだ飲み物が運ばれてきた。
4人は一斉にお疲れ様、と乾杯をする。
「里田さんのとこの師長はきついよな。この前、オーダーの時間からちょっと遅れただけで、めちゃくちゃ嫌味言われたわ。あそこは離職率No.1だよ。よく続けていられるね。」
秋田は蓮見にそう言った。
牧田は焼けたよと、蓮見に肉を食べるように合図した。
「うちの師長さん、時間に厳しいからね。」
蓮見は秋田にそう言った。
「蓮見は師長からよく呼ばれるんでしょう。人がいないから、休みなのに出勤してって。そんな生活、もう5年も頑張ったんだから、そろそろ異動願い出したら? 残業しない部所もあるって聞くよ。それに、早く寮から出たらいいのに。」
沙耶がそう言った。
「考える余裕もないよ。」
ビールを飲み干した蓮見に
「看護師になると酒の量が増える一方だな。」
秋田はそう言った。沙耶は何飲む? と蓮見にメニューを渡した。
「蓮見、私ね。今の病院辞めて、診療所で働こうと思ってるの。駅の中に小児の診療所ができたじゃない? 評判いい先生みたいで、人材会社通じて転職しようとしてるの。問題は病院と退職交渉だわ。」
「沙耶、辞めるのか……。」
蓮見は寂しそうな顔をした。
「里田さんは、転職しないよね?」
牧田は蓮見に聞いた。
「私も辞めたい。」
蓮見がそう言うと、
「蓮見はダメだよ。あの偏屈な先生のお気に入りだもの。」
沙耶はそう言って肉を頬張った。
「俺、原田先生、本当に苦手。患者には優しいのに、職員にはぶっきらぼうで、冷たいよね。里田さんはよく話せるね。」
牧田はそう言った。
「私もめちゃくちゃ怒られてるよ。」
蓮見は2杯目のビールを飲んだ。
「里田さん、食べないと焦げちゃうよ。さっきからビールばっかり。」
牧田はそう言うと蓮見に肉を勧めた。蓮見は空いたグラスを持って席を立った。
「ここに置いておいたら?」
牧田がそう言ったが、
「ついでに飲み物頼んでくる。」
蓮見はカウンターに歩いていった。
「牧田、里田さんの事好きだろう?」
「私もそう思ってた。」
秋田と沙耶が牧田をからかう。
「大好きだよ。里田さん、優しいし。」
牧田は席に戻った蓮見を見た。
「牧田くんのお母さんも看護師なんでしょう?」
「そうだよ。」
「もしかして、4Aの牧田師長って、牧田くんのお母さん?」
沙耶が牧田に聞くと、
「二人共、知らなかったのか?」
秋田が言った。
「知らないよ。この病院にどんだけ看護師いると思ってんの。同じ名前なんか、ザラにいるから。」
沙耶はそう言うとビールを飲み干した。蓮見は同じのでいい? と沙耶に聞いた。
「牧田は結婚するなら、看護師がいい思ってるんだろう?」
秋田は空いた皿を片付ける蓮見を見た。
「どうせ、優しくしてもらえるとか思ってるんでしょう?」
沙耶がそう言った。
「牧田、看護師は皆、気が強いぞ。」
「里田さんはそんな風には見えないけどね。」
「牧田くん、蓮見は一人でもけっこう平気だよ。」
沙耶の言葉に、おまえひどいだな、と秋田が言った。
「なんの話し?」
蓮見は話しがよくわからなかった。
「学生の頃からずっと一緒だけど、蓮見は男の人苦手だよね。ケンだけでしょう? キュンってなったのは。」
「ケンって、さっきのバンドの?」
牧田は蓮見に聞くと、代わりに沙耶が答える。
「ケンの前だけ、蓮見は女の子なんだもんね。」
「そんなやつと比べられてもなぁ。こっちは顔で仕事してるわけじゃないんだし。」
秋田は肉を焼く牧田の肩を叩いてそう言った。
「二人共、早く食べないと牧田が困ってる。」
秋田は、蓮見と沙耶の皿に肉を乗せた。
「牧田くん、だから焼くのが早いんだって。」
沙耶はそう言いながら、肉を食べる。
「なんで急ぐんだろうね。私達。せっかちで切羽詰まってて、人生損してない?」
「得してるだろう。同じ時間の中で、倍の事やるんだから。」
秋田がそう言った。
「牧田、おまえも食えよ。女子のペースに合わせてたら、時間なくなるぞ。」
秋田は牧田の皿に肉を乗せた。
食べ終わり、4人は牧田の車に乗り込んだ。
「俺は沙耶の家の前でいいから。里田さんは家まで送ってもらいな。」
秋田と沙耶が降りた後、牧田と二人きりになった蓮見は、
「牧田さんの家は病院の近くですか?」
そう聞いた。
「俺は実家から通ってるから、ここから少し遠いんだ。だから毎日車で来てるよ。」
「そうなんですか。遠回りになってすみません。」
「気にしなくて大丈夫。そういえば、昨日言ってた洗濯は終わったの?」
「終わりました。帰ってすぐにやりましたから。」
「じゃあ、今日は寝てないの?」
「そうですね。帰ったら爆睡です。」
「その手袋は?」
「もらったんです。」
「里田さんがそんな色を選ぶなんて意外だったから。」
「この色の手袋を持ってたんだけど、この前片方落としてしまって。そしたら今日、同じ色の手袋をもらったんです。」
「失くした片方は見つからないんでしょう?」
「どこで落としたからわからなくて…。」
「今度一緒に新しい手袋、買いに行かない?」
「もういいですよ。同じ色のをもらったし。」
「良くないよ。もっと里田さんに合う色の手袋を買いに行こう。それより、さっきの話しの続きだけど、里田さんは好きな人とかいないの?」
「いません…。」
「それなら、俺と付き合わない?」
「牧田くんは友達ですよ。」
「俺なら里田さんの事、ちゃんとサポートできるんだけどな。」
「仕事ではいつも助けてもらって、それだけで十分です。」
蓮見はそう言って、牧田に微笑む。
家に着くと蓮見は手袋を大切に上着のポケットに入れた。
テーブルの上には片方だけの手袋が待っている。蓮見は洗濯物を畳みながら、あの曲を口ずさんでいた。
本当にケンによく似てた。
女の子達に囲まれていたあの人は、すごくモテるんだろうな。自分の様な地味な女の子なんて、きっと相手にしてもらえない。あの人の彼女になる人は、きっと絵になるようなキレイな女性なんだろう。
明日は日勤。早く寝ないと。蓮見は布団に深く潜り込んだ。
翌日22時。日勤を終えた蓮見と優芽が更衣室に向かっていた。
「ねぇ、蓮見。帰りにラーメン食べていこうよ。もうこんな時間だし。」
「そうだね。私、もうヘトヘトだよ。あ~、ビール飲みたい。」
着替えた二人は、歩いて病院の近くにあるラーメン屋に向う。
「明日のメンバー見た? 残業確定だよ。」
優芽は蓮見にそう言った。
「私、異動したいって師長に言おうかな。」
「蓮見はダメだよ。看護部長はゆくゆくは認定看護師にしようと思ってるらしいよ。異動なんか絶対許されない。」
「誰の事?」
「ちゃんと聞いて! 蓮見の事だよ。原田先生がゴリ押ししてるみたいだね。ずっとICUにいてほしいって。」
「私は無理だよ。もう、絶対無理。」
「平日の昼間に正々堂々と家でゴロゴロしてるなんて、この仕事ならではだよ。それに蓮見は事務仕事なんかできないじゃん。この際、とことん極めたら?」
蓮見は大きなため息をつく。
「優芽の彼氏は、こんな生活してて、何にも言わないの」
「文句だらけだよ。」
「彼とどこでも出会ったの?」
「なぁーに? ずいぶんいろいろと聞いてくるね。私の彼は医療機器のメーカーに勤めててね、営業でいろいろな病院を回ってるの。2年前、たまたまエレベーターの中で二人になった時、私から声を掛けたんだ。」
「いいなぁ。私はこのまま仕事と家の往復して、一人のまま終わりなのかなあ……。」
「蓮見は男の人、苦手じゃん。」
二人はラーメン屋に入ると、疲れたぁ、とカウンターに座った。
「いらっしゃい、何にします?」
「店長、とりあえずビール。餃子も2人前。あとは野菜ラーメン2つ。」
「はいはい。」
慣れた様子で注文をする優芽。店長は二人の前でビールの栓を開けた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう、店長。」
優芽と店長が話しをしている。
「今、帰り?」
「そう。」
「大変だな。体壊れちゃうよ。」
「店長もこんな時間に仕事してるじゃん。何時までやってるの?」
「いつも、5時までやってるよ。ほら、その時間まで仕事してる人が食べにくるだろう。お嬢さんの病院以外にも、きっと病院関係者だろうなって人が、来てくれんるんだよ。」
「店長はすごいな。いろんな人の力になって。ここのラーメン食べて、明日も頑張ろうって、みんな思ってるよ。」
「いやぁ、お嬢さん達を救ってるのはこのビールだろ。ほら、野菜ラーメン2つ、できたよ。」
蓮見と優芽は湯気の立つラーメンをすする。
「私、最近ここでしか野菜食べてない。」
蓮見が優芽にそういうと、二人で笑った。
「優芽、明日は日勤?」
「深夜だよ。」
二人は餃子を頬張った。
「蓮見、明日は下手したら、お昼抜きかもよ。」
「もう、慣れた。」
二人がビールを飲み干すと、勤務を終えた看護師と、若い医者がラーメン屋に入ってくる。
「ここのラーメン屋は、本当、うちの病院を支えているね。」
優芽はそう言った。
「ねえ、蓮見。本当に転職考えてるの?」
寮までの道を歩きなから、優芽は蓮見にさっきの話しの続きを聞いた。
「手もガッサガサ。家に帰っても寝るだけだし。」
「スポーツクラブにでも行ったら? 出会いがあるかもしれないよ。」
蓮見は子供の頃の事を思い出した。
「私、運動なんか絶対無理。」
「アハハ、そうだったね。」
「優芽は彼と結婚とか考えてるの?」
「最近はケンカばっかりだからさ。私達はもう時間の問題。普通の生活してる人と付き合うのはなかなか難しいんだって。最初は理解できるって言ってても、本当は理解なんかしてもらえないんだよ。」
「そっか。」
二人が寮に着いた頃には日付が変わっていた。寮と言っても、病院の近くのアパートを借り上げているので、隣りの人の名前すら知らない。
こんな生活をしているせいか、時々人の足音さえもイライラしてくる。蓮見は息を潜めて部屋の鍵をあけ、そのまま布団に入り眠った。
次の日の夕方、牧田が蓮見の所にやってきた。
「里田さん、沙耶さんから明日は休みだって聞いたんだけど、一緒に出掛けない?」
「ごめんなさい。明日は、家にいたいの。部屋の中がぐちゃぐちゃだし、片付けなきゃ。」
「それなら、」
牧田が何か言いかけたが、蓮見は原田医師から呼ばれた。
「ごめん。牧田さん。じゃあ。」
蓮見を呼んだ原田は、指示を出して病棟を出ていった。
隣りにいた準夜勤の看護師は、
「里田さん、日勤なのにごめんね。原田先生、里田さんしかダメなのよ。」
蓮見に言った。
「指示はこれです。」
蓮見のメモを見た看護師は、
「先生、これから検査するつもり! 点滴の指示も変わってるし、もうそういうの昼のうちに伝えておいてよ!」
そう言うと、突然、心電図のアラームがなる。
「あっ、まずい。里田さん、悪いけど、原田先生、呼んで。」
仕事を終えて家に着くと、深夜1時を過ぎていた。下の階の人は今日はいないみたいだ。
蓮見は棒の様になった足をさすると、眠気を我慢して家の中の掃除を始め、最後に浴室を掃除し、そのままお風呂に入った。
ベッドの上で歯磨きをしながらテレビをつけると、朝の情報番組が流れていた。
もうすぐバレンタインデーなのか。
好きな人にチョコを選ぶ時って、どんな気持ちなのかな。
蓮見は片方だけ残っている青い手袋を見た。起きたら、あの店に行こう。
少し外の風に吹かれようと、デパートが続く通りを抜け、路地を歩いていると、小さなお店の中に、失くした手袋と同じ色のTシャツを見つけた。
こんな所に古着屋さんがあったなんて知らなかった。
蓮見はそのお店に、恐る恐る入っていった。
真っ青なTシャツを手に取ると、金髪の男性が蓮見に近づいてくる。
「それ、気に入った?」
男性がそう言った。
「こういう青、好きなんです。」
蓮見はTシャツを手に取り見つめた。
「君なら、もっと淡い色の方が似合うと思うけど。」
蓮見は男性の方をチラッと見た。
「あれ、ケン?」
「えっ?」
「ごめんなさい。あなたに似てた人がいたんで。」
「その人はケンって言う名前なの? もしかして昔の男?」
「いえ、バンドの人」
「俺がその人に似てたって事?」
「すごく似てるんです。ごめんなさい、変な話しして。これ、欲しいんですけど、いいですか?」
蓮見はTシャツを男性に渡した。男性はTシャツを受け取ると、蓮見の手が少し触れた。あまりにも冷たい手だったので、男性は蓮見の顔を覗いた。
「せっかくだから、ゆっくり見ていきなよ。」
そう言うと、
「このお店って、ずっとここにありました?」
蓮見は男性に聞く。
「先月から始めたんだ。それまで、ここは花屋だったでしょう。」
「そう、お花屋さんありました。」
蓮見と男性が話していると、数人の女子高生が店に入ってくる。
「リュウ、これに合う服選んでよ。」
女の子達は、蓮見の前を通り過ぎた。
「こっちのお客さんが先だよ。」
男性は青いTシャツを袋に入れ、これ使って、とTシャツと同じ色の手袋を蓮見に渡した。
「今度ゆっくり。良かったら、また来てよ。」
女の子達が男性を囲んでいたので、それ以上話すことができなかった。
心地よいお香の香りのするお店から出ると、また冷たい風が頬を突き刺す。蓮見は男性がくれた手袋をつけた。手袋はお店と同じお香の匂いがする。一気に冷たくなった頬を両手で覆うと、お香の匂いと共に、さっきの男性の顔が浮かぶ。
家に帰ってきた蓮見は、押入れの奥から、CDの入っている箱を取り出した。この中にあの青を着たケンのCDがあるはず。
一つ一つ手に取ると、学生の頃の思い出が蘇る。
小さなライブハウスの中で、非常口の下のぼんやりと明るい場所が、一番落ち着く場所。本当はもっとケンに近づきたかったけれど、熱狂的なファンが集まるステージの前では、自分の立つ場所を見つけるのが大変だった。
カカオがメジャーデビューしてからは、小さな会場でライブをやる事がなくなり、客席が決まっているせいか、ケンとの距離がまた少し遠くなった。
あの頃。
薄暗いライブハウスにスモークが焚かれると、青白い光りの中に人の影が見える。少し間をおいて、パッとスポットライトが輝き、曲が始まると、みんなが一斉に伸ばした手は、まるで波の様だった。
ケンが額の汗を手で拭う。遠くを見つめ、曲に想いを入れている。
自分の気持ちなんて知らないはずのケンの歌声は、どうしてこんなにも心を揺さぶるんだろう。まるで、誰にも触れていない背中を、温かい手で包んでくれている様だった。
蓮見はいくつもあるCDの中から、ケンが青いTシャツを着ているジャケットを見つけた。
「あった!」
ハスキーなケンの声を聴きながら、恋なんてした事がないくせに、蓮見は初恋をし、失恋をした。
このジャケットの曲が、カカオの最後の曲。デビューしてたった1年。ケンがソロでやっていくという噂もあったが、それきりケンの歌声を聞く機会はなかった。
最後の曲だと決めていたのだろうか、悲しい歌詞と、ナオが奏でるギターのフレーズは、まるで、永遠の別れを意味している様だった。
テーブルの上には、3つ、青い手袋が並んでいる。
あの人、本当にケンにそっくりだった。だけど、リュウって呼ばれていたし、やっぱり別人なんだろうな。
蓮見は買ってきたTシャツを大切にをクローゼットにしまった。また、あの店に行こう。
お腹が減って、冷蔵庫に向かって歩いていると、携帯がなる。
また交代? 蓮見は着信の相手を恐る恐る見た。電話の相手は師長からではなく、沙耶だった。ホッとした蓮見は、電話に出る。
「もしもし。」
「里田さん、牧田だけど。良かったら一緒にご飯食べに行こうよ。沙耶さんも、秋田もいるよ。ちょうど仕事が終わって、みんなでご飯食べに行こうって話してたところ。」
「牧田さん? これって沙耶の携帯じゃなかった?」
「俺から電話しても、出ないから、沙耶さんの携帯を借りたんだ。」
山岡沙耶《やまおかさや》と蓮見は大学時代の同級生で、同じ病院の中で働いていた。
学生の頃は一緒にライブハウスに通う仲だったけれど、就職してからは勤務が合わず、最近はゆっくり話すことすらなくなってしまった。
秋田大知《あきたたいち》は沙耶の彼氏で、牧田と同じレントゲン技師。
「今から迎えに行くから、家で待ってて。」
牧田はそう言って電話を切った。
焼き肉屋に来た4人。次々に注文する牧田と秋田に、沙耶はそんなに食べるの? と聞いた。
「だって今日は混んでるから、早めに注文しないとさ。はい、里田さんも早く選んで。」
秋田は蓮見にそう言った。
「なんで、こんなに行き急ぐのかしらね。職業病なの、これ。」
沙耶は秋田にそう言った。
「牧田さんはお酒飲まないの? 今日は車だし。」
蓮見は牧田に聞いた。
「俺、酒は飲めないんだ。よく飲めそうって言われるけど、ぜんぜんダメ。だから帰りは送っていくよ。」
「蓮見、飲もう。」
沙耶がメニューを拡げる。
「今日、カカオのボーカルにそっくりな人に会ってね。」
「ケンに似てたの?」
「金髪で、声もそっくりで、びっくりした。」
「懐かしいね。うちらの青春だよね。ケン、ナオ、レイ、ヒサシ、4人とも皆カッコ良かったなぁ。いい曲たくさんあるのに、なんで解散しちゃったんだろうね。」
蓮見と沙耶が思い出にふけっていると、肉を焼きながら、秋田が言った。
「バンドの解散って、だいたい女の事でモメて解散するんだよ。男が仲悪くなる理由ってほとんどがそれ。女だって、仲が悪くなる理由って同じだろう。」
「そうかな。カカオはみんな仲が良さそうだったのに。」
沙耶はきっと違う理由だと、秋田に反論した。
最初に頼んだ飲み物が運ばれてきた。
4人は一斉にお疲れ様、と乾杯をする。
「里田さんのとこの師長はきついよな。この前、オーダーの時間からちょっと遅れただけで、めちゃくちゃ嫌味言われたわ。あそこは離職率No.1だよ。よく続けていられるね。」
秋田は蓮見にそう言った。
牧田は焼けたよと、蓮見に肉を食べるように合図した。
「うちの師長さん、時間に厳しいからね。」
蓮見は秋田にそう言った。
「蓮見は師長からよく呼ばれるんでしょう。人がいないから、休みなのに出勤してって。そんな生活、もう5年も頑張ったんだから、そろそろ異動願い出したら? 残業しない部所もあるって聞くよ。それに、早く寮から出たらいいのに。」
沙耶がそう言った。
「考える余裕もないよ。」
ビールを飲み干した蓮見に
「看護師になると酒の量が増える一方だな。」
秋田はそう言った。沙耶は何飲む? と蓮見にメニューを渡した。
「蓮見、私ね。今の病院辞めて、診療所で働こうと思ってるの。駅の中に小児の診療所ができたじゃない? 評判いい先生みたいで、人材会社通じて転職しようとしてるの。問題は病院と退職交渉だわ。」
「沙耶、辞めるのか……。」
蓮見は寂しそうな顔をした。
「里田さんは、転職しないよね?」
牧田は蓮見に聞いた。
「私も辞めたい。」
蓮見がそう言うと、
「蓮見はダメだよ。あの偏屈な先生のお気に入りだもの。」
沙耶はそう言って肉を頬張った。
「俺、原田先生、本当に苦手。患者には優しいのに、職員にはぶっきらぼうで、冷たいよね。里田さんはよく話せるね。」
牧田はそう言った。
「私もめちゃくちゃ怒られてるよ。」
蓮見は2杯目のビールを飲んだ。
「里田さん、食べないと焦げちゃうよ。さっきからビールばっかり。」
牧田はそう言うと蓮見に肉を勧めた。蓮見は空いたグラスを持って席を立った。
「ここに置いておいたら?」
牧田がそう言ったが、
「ついでに飲み物頼んでくる。」
蓮見はカウンターに歩いていった。
「牧田、里田さんの事好きだろう?」
「私もそう思ってた。」
秋田と沙耶が牧田をからかう。
「大好きだよ。里田さん、優しいし。」
牧田は席に戻った蓮見を見た。
「牧田くんのお母さんも看護師なんでしょう?」
「そうだよ。」
「もしかして、4Aの牧田師長って、牧田くんのお母さん?」
沙耶が牧田に聞くと、
「二人共、知らなかったのか?」
秋田が言った。
「知らないよ。この病院にどんだけ看護師いると思ってんの。同じ名前なんか、ザラにいるから。」
沙耶はそう言うとビールを飲み干した。蓮見は同じのでいい? と沙耶に聞いた。
「牧田は結婚するなら、看護師がいい思ってるんだろう?」
秋田は空いた皿を片付ける蓮見を見た。
「どうせ、優しくしてもらえるとか思ってるんでしょう?」
沙耶がそう言った。
「牧田、看護師は皆、気が強いぞ。」
「里田さんはそんな風には見えないけどね。」
「牧田くん、蓮見は一人でもけっこう平気だよ。」
沙耶の言葉に、おまえひどいだな、と秋田が言った。
「なんの話し?」
蓮見は話しがよくわからなかった。
「学生の頃からずっと一緒だけど、蓮見は男の人苦手だよね。ケンだけでしょう? キュンってなったのは。」
「ケンって、さっきのバンドの?」
牧田は蓮見に聞くと、代わりに沙耶が答える。
「ケンの前だけ、蓮見は女の子なんだもんね。」
「そんなやつと比べられてもなぁ。こっちは顔で仕事してるわけじゃないんだし。」
秋田は肉を焼く牧田の肩を叩いてそう言った。
「二人共、早く食べないと牧田が困ってる。」
秋田は、蓮見と沙耶の皿に肉を乗せた。
「牧田くん、だから焼くのが早いんだって。」
沙耶はそう言いながら、肉を食べる。
「なんで急ぐんだろうね。私達。せっかちで切羽詰まってて、人生損してない?」
「得してるだろう。同じ時間の中で、倍の事やるんだから。」
秋田がそう言った。
「牧田、おまえも食えよ。女子のペースに合わせてたら、時間なくなるぞ。」
秋田は牧田の皿に肉を乗せた。
食べ終わり、4人は牧田の車に乗り込んだ。
「俺は沙耶の家の前でいいから。里田さんは家まで送ってもらいな。」
秋田と沙耶が降りた後、牧田と二人きりになった蓮見は、
「牧田さんの家は病院の近くですか?」
そう聞いた。
「俺は実家から通ってるから、ここから少し遠いんだ。だから毎日車で来てるよ。」
「そうなんですか。遠回りになってすみません。」
「気にしなくて大丈夫。そういえば、昨日言ってた洗濯は終わったの?」
「終わりました。帰ってすぐにやりましたから。」
「じゃあ、今日は寝てないの?」
「そうですね。帰ったら爆睡です。」
「その手袋は?」
「もらったんです。」
「里田さんがそんな色を選ぶなんて意外だったから。」
「この色の手袋を持ってたんだけど、この前片方落としてしまって。そしたら今日、同じ色の手袋をもらったんです。」
「失くした片方は見つからないんでしょう?」
「どこで落としたからわからなくて…。」
「今度一緒に新しい手袋、買いに行かない?」
「もういいですよ。同じ色のをもらったし。」
「良くないよ。もっと里田さんに合う色の手袋を買いに行こう。それより、さっきの話しの続きだけど、里田さんは好きな人とかいないの?」
「いません…。」
「それなら、俺と付き合わない?」
「牧田くんは友達ですよ。」
「俺なら里田さんの事、ちゃんとサポートできるんだけどな。」
「仕事ではいつも助けてもらって、それだけで十分です。」
蓮見はそう言って、牧田に微笑む。
家に着くと蓮見は手袋を大切に上着のポケットに入れた。
テーブルの上には片方だけの手袋が待っている。蓮見は洗濯物を畳みながら、あの曲を口ずさんでいた。
本当にケンによく似てた。
女の子達に囲まれていたあの人は、すごくモテるんだろうな。自分の様な地味な女の子なんて、きっと相手にしてもらえない。あの人の彼女になる人は、きっと絵になるようなキレイな女性なんだろう。
明日は日勤。早く寝ないと。蓮見は布団に深く潜り込んだ。
翌日22時。日勤を終えた蓮見と優芽が更衣室に向かっていた。
「ねぇ、蓮見。帰りにラーメン食べていこうよ。もうこんな時間だし。」
「そうだね。私、もうヘトヘトだよ。あ~、ビール飲みたい。」
着替えた二人は、歩いて病院の近くにあるラーメン屋に向う。
「明日のメンバー見た? 残業確定だよ。」
優芽は蓮見にそう言った。
「私、異動したいって師長に言おうかな。」
「蓮見はダメだよ。看護部長はゆくゆくは認定看護師にしようと思ってるらしいよ。異動なんか絶対許されない。」
「誰の事?」
「ちゃんと聞いて! 蓮見の事だよ。原田先生がゴリ押ししてるみたいだね。ずっとICUにいてほしいって。」
「私は無理だよ。もう、絶対無理。」
「平日の昼間に正々堂々と家でゴロゴロしてるなんて、この仕事ならではだよ。それに蓮見は事務仕事なんかできないじゃん。この際、とことん極めたら?」
蓮見は大きなため息をつく。
「優芽の彼氏は、こんな生活してて、何にも言わないの」
「文句だらけだよ。」
「彼とどこでも出会ったの?」
「なぁーに? ずいぶんいろいろと聞いてくるね。私の彼は医療機器のメーカーに勤めててね、営業でいろいろな病院を回ってるの。2年前、たまたまエレベーターの中で二人になった時、私から声を掛けたんだ。」
「いいなぁ。私はこのまま仕事と家の往復して、一人のまま終わりなのかなあ……。」
「蓮見は男の人、苦手じゃん。」
二人はラーメン屋に入ると、疲れたぁ、とカウンターに座った。
「いらっしゃい、何にします?」
「店長、とりあえずビール。餃子も2人前。あとは野菜ラーメン2つ。」
「はいはい。」
慣れた様子で注文をする優芽。店長は二人の前でビールの栓を開けた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう、店長。」
優芽と店長が話しをしている。
「今、帰り?」
「そう。」
「大変だな。体壊れちゃうよ。」
「店長もこんな時間に仕事してるじゃん。何時までやってるの?」
「いつも、5時までやってるよ。ほら、その時間まで仕事してる人が食べにくるだろう。お嬢さんの病院以外にも、きっと病院関係者だろうなって人が、来てくれんるんだよ。」
「店長はすごいな。いろんな人の力になって。ここのラーメン食べて、明日も頑張ろうって、みんな思ってるよ。」
「いやぁ、お嬢さん達を救ってるのはこのビールだろ。ほら、野菜ラーメン2つ、できたよ。」
蓮見と優芽は湯気の立つラーメンをすする。
「私、最近ここでしか野菜食べてない。」
蓮見が優芽にそういうと、二人で笑った。
「優芽、明日は日勤?」
「深夜だよ。」
二人は餃子を頬張った。
「蓮見、明日は下手したら、お昼抜きかもよ。」
「もう、慣れた。」
二人がビールを飲み干すと、勤務を終えた看護師と、若い医者がラーメン屋に入ってくる。
「ここのラーメン屋は、本当、うちの病院を支えているね。」
優芽はそう言った。
「ねえ、蓮見。本当に転職考えてるの?」
寮までの道を歩きなから、優芽は蓮見にさっきの話しの続きを聞いた。
「手もガッサガサ。家に帰っても寝るだけだし。」
「スポーツクラブにでも行ったら? 出会いがあるかもしれないよ。」
蓮見は子供の頃の事を思い出した。
「私、運動なんか絶対無理。」
「アハハ、そうだったね。」
「優芽は彼と結婚とか考えてるの?」
「最近はケンカばっかりだからさ。私達はもう時間の問題。普通の生活してる人と付き合うのはなかなか難しいんだって。最初は理解できるって言ってても、本当は理解なんかしてもらえないんだよ。」
「そっか。」
二人が寮に着いた頃には日付が変わっていた。寮と言っても、病院の近くのアパートを借り上げているので、隣りの人の名前すら知らない。
こんな生活をしているせいか、時々人の足音さえもイライラしてくる。蓮見は息を潜めて部屋の鍵をあけ、そのまま布団に入り眠った。
次の日の夕方、牧田が蓮見の所にやってきた。
「里田さん、沙耶さんから明日は休みだって聞いたんだけど、一緒に出掛けない?」
「ごめんなさい。明日は、家にいたいの。部屋の中がぐちゃぐちゃだし、片付けなきゃ。」
「それなら、」
牧田が何か言いかけたが、蓮見は原田医師から呼ばれた。
「ごめん。牧田さん。じゃあ。」
蓮見を呼んだ原田は、指示を出して病棟を出ていった。
隣りにいた準夜勤の看護師は、
「里田さん、日勤なのにごめんね。原田先生、里田さんしかダメなのよ。」
蓮見に言った。
「指示はこれです。」
蓮見のメモを見た看護師は、
「先生、これから検査するつもり! 点滴の指示も変わってるし、もうそういうの昼のうちに伝えておいてよ!」
そう言うと、突然、心電図のアラームがなる。
「あっ、まずい。里田さん、悪いけど、原田先生、呼んで。」
仕事を終えて家に着くと、深夜1時を過ぎていた。下の階の人は今日はいないみたいだ。
蓮見は棒の様になった足をさすると、眠気を我慢して家の中の掃除を始め、最後に浴室を掃除し、そのままお風呂に入った。
ベッドの上で歯磨きをしながらテレビをつけると、朝の情報番組が流れていた。
もうすぐバレンタインデーなのか。
好きな人にチョコを選ぶ時って、どんな気持ちなのかな。
蓮見は片方だけ残っている青い手袋を見た。起きたら、あの店に行こう。
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