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4章
海のにおい
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新しい職場へ出勤した日。
一度だけ会った支所長から、辞令をもらった。支所とは言っても、少し前までは町役場だったその場所は、生活に直結する係はみんな揃っていた。
戸籍係に配属になった結衣は、ベテランの橋川透子《はしかわとうこ》から、支所での業務について説明を受けた。
「戸籍と言っても、なんでもやるわよ。保険証の発行もやるし、納税もそうだし。」
橋川は必死でメモをしている結衣に、学生みたいね、と言って笑った。
「しばらくは私と一緒に仕事をやりましょう。全部をあなたにやってもらうつもりはないし、来年、新人が来るまでの間だって聞いてるから。」
久しぶりにきたスーツは少し窮屈で、それほど学生時代とは変わらない食生活をしているのに、やっぱり動かない仕事をしていると、溜まる所にぜい肉がついてくるんだと、実感した。
明日から、歩いて通おう。
結衣はそう思い、パソコンを眺めた。
市役所で使っていたノートパソコンとは違い、支所のパソコンはデスクトップの大きなものだった。
大きな画面に目が慣れず、何度もアイコンを探していると、
「渋谷!」
カウンターから結衣を呼ぶ声が聞こえた。
「あっ、城田先輩。」
「なんか知ってる名前の奴だと思ったら、やっぱり渋谷だったのか。」
城田潤《しろたじゅん》は結衣の大学の2つ上の先輩だった。バイト先も同じで、2人とも秋田の出身という事で、城田とはすぐに打ち解けた。
「城田先輩、てっきり秋田に帰ったと思ってました。」
「帰ろうと思ったよ。だけど、秋田の県庁はダメだったんだ。ついでにむこうの市役所も落ちて、結局、ここの町に拾ってもらったんだよ。」
「そうだったんですか。城田は帰らなかったのか?」
「はい。今更むこうに戻っても、出来上がった人間関係の中に入っていく勇気もなかったし。」
「まあ、そうか。それもあるよな。」
2人が話していると、
「あら、城田くんの知り合いだったの?」
橋川がやってきた。
「同じ秋田なんですよ。」
城田がそう言うと、
「じゃあ、雪かきはあなた方が積極的にやってね。」
橋川が言った。
「そんなに雪が積もるんですか?」
結衣が橋川に聞くと、
「高齢者のお宅を回って除雪の手伝いをするのよ。ほら、ゴミ出しに行けないって苦情が来るでしょう?こんな小さな町はね、民家の前の道路の除雪なんて後回し。除雪の重機も少ないし、委託できる業者もだんだん減ってきたから、なんでも町の職員がやるしかないのよ。支所長なんて重機の免許持ってるから、その時期は大活躍よ。」
「へぇ~、すごいですね。」
「天下りの上司にしては、ずいぶんいい人材が来てくれたと思ってる。」
定時で仕事を終えると、すっかり暗くなった町のどこからか、海のにおいが流れてきた。結衣は駐車場に停めてあった車に乗り込むと、ジャケットを脱ぎ、車を温めた。心の中で自分はここにいる人間じゃないんだと距離を置きながら、溶け込みやすい環境に甘えようとしている気持ちが行ったり来たりしている。
新しい人間関係を築いていくのはとても疲れる。でも、あのまま山岡の隣りで仕事をしてはいられなかった。
車が温まったので結衣はハンドルを握ると、城田が窓を叩いた。
「送っていけよ。」
城田はそう言うと結衣の助手席に乗ってきた。
「荷物、後ろに置いていいですよ。」
城田は結衣に言われた通り、結衣の鞄と脱いだジャケットを後部座席に置いた。
「渋谷、少し丸くなったな。」
城田は結衣の腕を触った。
「それ、ひどいですよ。」
結衣はそう言って笑った。
「本庁は忙しかったのか?」
「そうですね。」
「俺も1年目は本庁だったんだよ。情けないけど、次の年からこっちに異動だよ。」
「やってる事はここも本庁も同じなんですけど、どうしてか左遷って思われてしまいますね。橋川さんなんてすごい人なのに。」
「そうだろう。俺も初めは凹んだけど、今はこっちにきて良かったって思ってるよ。」
「ねぇ、先輩。ところでお家ってどこですか?」
「あぁ、俺の家は教員住宅。」
「じゃあ、一緒ですね。私も空いてるからそこを使わせてもらってます。」
「渋谷、そんな距離なのに車で来てんの?」
「先輩だって、乗せてくれって言ってきたくせに。」
「俺はさ、渋谷を見掛けたからそう言っただけで、普段はちゃんと歩いてるよ。渋谷こそ、歩かないとまずいんじゃないの?」
城田は結衣の二の腕を触った。
「明日から歩きますよ。」
「なんか、良かったなぁ。久しぶりに渋谷と話せて。」
「私もです。」
家に着くと、段ボールが積み上げられた部屋の隅で、結衣はため息をついた。
ホッとした気持ちと、なんだかやりきれない気持ちが入り混じっている。
段ボールを広げたって、また引っ越しが待っていると思うと、必要なものだけ取り出して、このまま置いておいた方が利口かも。
今頃前の職場では、私はなんて噂されているんだろう。お世話になった山岡にもひどい態度のままここへ来てしまったし、きっと悪く言われているに違いない。
戻りづらいのに、戻りたい。
まだ、始まったばかりなのに、ずっと先を見て考えている自分は、ひどく哀れだね。
空っぽの冷蔵庫を開けると、このままじゃいけないと気持ちが込み上げてくる。たいしてお腹は減っていないのに、笹本の新しい彼女なら、なんでも作って喜ばれているんだろうと思うと、自分は人を羨む泥沼にはまっている事に気がついた。
そうだ、お米もないんだった。一応、揃えておくか。結衣は近くのスーパーまで行こうと、玄関を出た。
「渋谷。」
ドアを開けた途端、城田が目の前に立っていた。
「どっか、行くんだったか?」
「食べるものがないから、スーパーに行こうと思ってました。」
「良かった。じゃあ、家に来いよ。カレーたくさん作ったから、一緒に食べないか。」
城田から香るカレーの匂いに、結衣は急にお腹が減った。
「じゃあ、先輩に甘えようかな。」
結衣は城田の後をついていった。
きれいに整理された城田の部屋には、食欲をそそるカレーの匂いが溢れていた。
「先輩、見掛けに依らず器用なんですね。」
結衣が言った。
「見掛けに依らずってなんだよ。」
結衣は案内されたテーブルの前に座った。
「手伝います。」
すぐに立ち上がった結衣は、キッチンにいる城田の隣りに並んだ。
「まさか渋谷と一緒に働けるとは思わなかったためよ。」
「本当ですね。」
「これ、持っていって。」
城田はカレーを盛り付けた皿を結衣に渡した。
「おいしそうですね。すごくいいにおい。」
「1人なら何日もカレーが続くだろう。渋谷が食べてくれると助かるよ。」
テーブルの前に座った2人は、学生時代の懐かしい話しが弾み、なかなか食事を終えても立ち上がろうとしなかった。
「あっ、21時ですね。ごちそう様でした。洗い物は私がやります。」
結衣はお皿を持って立ち上がった。
洗い物をしている結衣の後ろに立った城田は、
「渋谷ってこんなに小さかったか?」
そう言って頭を撫でた。
「紗絵も美穂も同じくらいの身長でしたよ。麻美は私よりも少し高かったかな。」
「そっか。みんな元気なのか?」
「さぁ。だんだん連絡を取らなくなって、今はどうしているかわかりません。最後にあったのは、一昨年の麻美の結婚式だったかな。」
「学生の時は、その時が最高の仲間だと思っていたのに、就職するとまた新たな人間関係ができて、それが一生の仲間だと思うようになるよな。」
「男の人はそうなんでしょう?女の人は足の引っ張っり合いですよ。」
結衣は食器を洗い終えて、タオルで手を拭いた。
「ありがとうございました。また、明日。」
結衣は上着を手に取ると、ポケットに入れてあったスマホがなっているのに気がついた。着信を見ると、それは山岡からだった。
「彼氏か?」
城田が結衣に聞いた。
「そんな人いませんよ。知らない電話番号です。」
結衣はそう言うと、玄関に向かった。
「おやすみなさい。」
城田の家を出ると、結衣は山岡からの着信をもう一度眺めた。
思い出のゴミが増えるのなんて、もうごめんだよ。
結衣はそう思うと、スマホを机に置いた。
きれいに片付けられていた城田の部屋とは違って、段ボールが積み上げられた自分の部屋は、寒いだけでなく、人が生活している温もりがない。
明日は少し片付けて、買い物でもしようか。
結衣はそう思いながら眠りについた。
一度だけ会った支所長から、辞令をもらった。支所とは言っても、少し前までは町役場だったその場所は、生活に直結する係はみんな揃っていた。
戸籍係に配属になった結衣は、ベテランの橋川透子《はしかわとうこ》から、支所での業務について説明を受けた。
「戸籍と言っても、なんでもやるわよ。保険証の発行もやるし、納税もそうだし。」
橋川は必死でメモをしている結衣に、学生みたいね、と言って笑った。
「しばらくは私と一緒に仕事をやりましょう。全部をあなたにやってもらうつもりはないし、来年、新人が来るまでの間だって聞いてるから。」
久しぶりにきたスーツは少し窮屈で、それほど学生時代とは変わらない食生活をしているのに、やっぱり動かない仕事をしていると、溜まる所にぜい肉がついてくるんだと、実感した。
明日から、歩いて通おう。
結衣はそう思い、パソコンを眺めた。
市役所で使っていたノートパソコンとは違い、支所のパソコンはデスクトップの大きなものだった。
大きな画面に目が慣れず、何度もアイコンを探していると、
「渋谷!」
カウンターから結衣を呼ぶ声が聞こえた。
「あっ、城田先輩。」
「なんか知ってる名前の奴だと思ったら、やっぱり渋谷だったのか。」
城田潤《しろたじゅん》は結衣の大学の2つ上の先輩だった。バイト先も同じで、2人とも秋田の出身という事で、城田とはすぐに打ち解けた。
「城田先輩、てっきり秋田に帰ったと思ってました。」
「帰ろうと思ったよ。だけど、秋田の県庁はダメだったんだ。ついでにむこうの市役所も落ちて、結局、ここの町に拾ってもらったんだよ。」
「そうだったんですか。城田は帰らなかったのか?」
「はい。今更むこうに戻っても、出来上がった人間関係の中に入っていく勇気もなかったし。」
「まあ、そうか。それもあるよな。」
2人が話していると、
「あら、城田くんの知り合いだったの?」
橋川がやってきた。
「同じ秋田なんですよ。」
城田がそう言うと、
「じゃあ、雪かきはあなた方が積極的にやってね。」
橋川が言った。
「そんなに雪が積もるんですか?」
結衣が橋川に聞くと、
「高齢者のお宅を回って除雪の手伝いをするのよ。ほら、ゴミ出しに行けないって苦情が来るでしょう?こんな小さな町はね、民家の前の道路の除雪なんて後回し。除雪の重機も少ないし、委託できる業者もだんだん減ってきたから、なんでも町の職員がやるしかないのよ。支所長なんて重機の免許持ってるから、その時期は大活躍よ。」
「へぇ~、すごいですね。」
「天下りの上司にしては、ずいぶんいい人材が来てくれたと思ってる。」
定時で仕事を終えると、すっかり暗くなった町のどこからか、海のにおいが流れてきた。結衣は駐車場に停めてあった車に乗り込むと、ジャケットを脱ぎ、車を温めた。心の中で自分はここにいる人間じゃないんだと距離を置きながら、溶け込みやすい環境に甘えようとしている気持ちが行ったり来たりしている。
新しい人間関係を築いていくのはとても疲れる。でも、あのまま山岡の隣りで仕事をしてはいられなかった。
車が温まったので結衣はハンドルを握ると、城田が窓を叩いた。
「送っていけよ。」
城田はそう言うと結衣の助手席に乗ってきた。
「荷物、後ろに置いていいですよ。」
城田は結衣に言われた通り、結衣の鞄と脱いだジャケットを後部座席に置いた。
「渋谷、少し丸くなったな。」
城田は結衣の腕を触った。
「それ、ひどいですよ。」
結衣はそう言って笑った。
「本庁は忙しかったのか?」
「そうですね。」
「俺も1年目は本庁だったんだよ。情けないけど、次の年からこっちに異動だよ。」
「やってる事はここも本庁も同じなんですけど、どうしてか左遷って思われてしまいますね。橋川さんなんてすごい人なのに。」
「そうだろう。俺も初めは凹んだけど、今はこっちにきて良かったって思ってるよ。」
「ねぇ、先輩。ところでお家ってどこですか?」
「あぁ、俺の家は教員住宅。」
「じゃあ、一緒ですね。私も空いてるからそこを使わせてもらってます。」
「渋谷、そんな距離なのに車で来てんの?」
「先輩だって、乗せてくれって言ってきたくせに。」
「俺はさ、渋谷を見掛けたからそう言っただけで、普段はちゃんと歩いてるよ。渋谷こそ、歩かないとまずいんじゃないの?」
城田は結衣の二の腕を触った。
「明日から歩きますよ。」
「なんか、良かったなぁ。久しぶりに渋谷と話せて。」
「私もです。」
家に着くと、段ボールが積み上げられた部屋の隅で、結衣はため息をついた。
ホッとした気持ちと、なんだかやりきれない気持ちが入り混じっている。
段ボールを広げたって、また引っ越しが待っていると思うと、必要なものだけ取り出して、このまま置いておいた方が利口かも。
今頃前の職場では、私はなんて噂されているんだろう。お世話になった山岡にもひどい態度のままここへ来てしまったし、きっと悪く言われているに違いない。
戻りづらいのに、戻りたい。
まだ、始まったばかりなのに、ずっと先を見て考えている自分は、ひどく哀れだね。
空っぽの冷蔵庫を開けると、このままじゃいけないと気持ちが込み上げてくる。たいしてお腹は減っていないのに、笹本の新しい彼女なら、なんでも作って喜ばれているんだろうと思うと、自分は人を羨む泥沼にはまっている事に気がついた。
そうだ、お米もないんだった。一応、揃えておくか。結衣は近くのスーパーまで行こうと、玄関を出た。
「渋谷。」
ドアを開けた途端、城田が目の前に立っていた。
「どっか、行くんだったか?」
「食べるものがないから、スーパーに行こうと思ってました。」
「良かった。じゃあ、家に来いよ。カレーたくさん作ったから、一緒に食べないか。」
城田から香るカレーの匂いに、結衣は急にお腹が減った。
「じゃあ、先輩に甘えようかな。」
結衣は城田の後をついていった。
きれいに整理された城田の部屋には、食欲をそそるカレーの匂いが溢れていた。
「先輩、見掛けに依らず器用なんですね。」
結衣が言った。
「見掛けに依らずってなんだよ。」
結衣は案内されたテーブルの前に座った。
「手伝います。」
すぐに立ち上がった結衣は、キッチンにいる城田の隣りに並んだ。
「まさか渋谷と一緒に働けるとは思わなかったためよ。」
「本当ですね。」
「これ、持っていって。」
城田はカレーを盛り付けた皿を結衣に渡した。
「おいしそうですね。すごくいいにおい。」
「1人なら何日もカレーが続くだろう。渋谷が食べてくれると助かるよ。」
テーブルの前に座った2人は、学生時代の懐かしい話しが弾み、なかなか食事を終えても立ち上がろうとしなかった。
「あっ、21時ですね。ごちそう様でした。洗い物は私がやります。」
結衣はお皿を持って立ち上がった。
洗い物をしている結衣の後ろに立った城田は、
「渋谷ってこんなに小さかったか?」
そう言って頭を撫でた。
「紗絵も美穂も同じくらいの身長でしたよ。麻美は私よりも少し高かったかな。」
「そっか。みんな元気なのか?」
「さぁ。だんだん連絡を取らなくなって、今はどうしているかわかりません。最後にあったのは、一昨年の麻美の結婚式だったかな。」
「学生の時は、その時が最高の仲間だと思っていたのに、就職するとまた新たな人間関係ができて、それが一生の仲間だと思うようになるよな。」
「男の人はそうなんでしょう?女の人は足の引っ張っり合いですよ。」
結衣は食器を洗い終えて、タオルで手を拭いた。
「ありがとうございました。また、明日。」
結衣は上着を手に取ると、ポケットに入れてあったスマホがなっているのに気がついた。着信を見ると、それは山岡からだった。
「彼氏か?」
城田が結衣に聞いた。
「そんな人いませんよ。知らない電話番号です。」
結衣はそう言うと、玄関に向かった。
「おやすみなさい。」
城田の家を出ると、結衣は山岡からの着信をもう一度眺めた。
思い出のゴミが増えるのなんて、もうごめんだよ。
結衣はそう思うと、スマホを机に置いた。
きれいに片付けられていた城田の部屋とは違って、段ボールが積み上げられた自分の部屋は、寒いだけでなく、人が生活している温もりがない。
明日は少し片付けて、買い物でもしようか。
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