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7章
朝焼けと花火
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朝焼けの空は、まるで夕焼けのように焦げている。
雨が続いた次の日に登る朝日は、この世の終わりを告げるような大きな太陽。
隣りで眠るナオに気づかれないように部屋から出ると、優衣は多岐を探した。
5時になったばかりだと言うのに、多岐はきちんと着物を着て、働いている。
「多岐さん。」
「あら、」
優衣は多岐に声を掛けた。
「昨日はありがとうございました。ちゃんとお礼も言えず、ごめんなさい。私も少しはできるんですよ。仕事、教えてもらえませんか。」
「そんな、直斗さんと一緒にいてやってください。」
「多岐さんと一緒にやりたんです。」
優衣は多岐の後ろを離れなかった。
「あら、優衣さん。」
「女将さん、困ってるんです。ずっと後ろにいるもので。」
「昨日、泊めてもらったのに何もしないのは、すごく嫌なんです。多岐さん、次は何をするんですか?」
優衣は多岐に聞いている。
「エプロン持ってくるから、ちょっと待ってて。優衣さん、もう少ししたら、厨房の方を手伝って。それが終わったら、お風呂掃除。やる事はたくさんあるの。」
柊子は優衣にそう伝えた。
目を覚ましたナオが居間にやってくる。
「おはようナオ。優衣さん、多岐さんの後について離れないみたいよ。2人とも楽しそうで、いいコンビができたわね。」
「そっか。」
ナオは眠いのか、また目を閉じた。
「今日は仕事?」
「うん。昼で終わりだけど。」
「優衣さんが一緒だったから、ちゃんと寝たのかと思ったのに。」
「なんだよ、それ。」
「隼斗もぜんぜん眠らなかった。」
「雨の事か。」
「神経質って本当に困る。」
「姉ちゃんが鈍感なんだろう。」
「きっとね、優衣さんも鈍感よ。」
柊子はそう言って笑った。
柊子にエプロンを借りた優衣は、客が帰った部屋を掃除していた。
「優衣さんはなんの仕事をしてたの?」
シーツを取り替えながら、多岐が聞いた。
「病院にいました。だからこういうの、少しできますよ。」
けして手際がいいわけではないけれど、優衣は丁寧に仕事をしていく。
「いつまでこちらにいれるんですか?」
「私、仕事辞めたんです。家も出てきてしまったから。明日、一度帰って、新しい仕事を見つけます。」
「まあ。若い時って、無茶するっていうか、怖いものなんて知らないからね。」
「多岐さんは、無茶しましたか?」
「そりゃ、昔はね。優衣さん、仕事の事、女将さんに頼んでみたら?」
多岐が持っていたシーツを優衣は軽々と持ち上げた。
「優衣、ご飯できたよ。探したよ。多岐さんといたのか。」
「ナオ、おはよう。私、多岐さんと食べるから。」
「優衣さん、私達はまだまだ食べないの。直斗くんと先にどうぞ。」
「ナオ、今日は仕事なの?」
「仕事だよ。昼過ぎには戻ってくるよ。」
居間で朝食を食べていると、
男の子が起きてくる。
「優衣さん、悪いけど、食べたらこの子を保育園に連れて行ってくれない?場所はすぐにわかるから。」
「隼斗、今日はこの人と保育園に行ってね。」
「直斗の彼女か?」
男の子はそう言った。
「生意気ね、早く食べなさい。」
男の子は柊子にそう言われた。
「ナオは土日も仕事なの?」
パンを食べているナオに、優衣は聞いた。
「今日は特別だよ。明日、イベントがあるみたいで、調律を頼まれたんだ。帰ってきてから、昨日の続き教えるよ。」
優衣は柊子の息子の手を繋ぎ、保育園まで歩いていた。
「帰ったら水鉄砲やろうよ。みんな忙しくて、誰も遊んでくれないんだ。」
「いいよ。隼斗くん、泣いても知らないからね。」
「女の力なんてどうせ弱いし。」
「あらら、ずいぶんな言い方ね。」
「直斗と結婚するのか?」
「えっ、なんで?」
「直斗と一緒にいるから。」
「ねえ、何歳?」
「6歳。」
「来年小学生か。」
「姉ちゃんは?」
「27歳。」
「そりゃあ、ババアだ。」
「こら!口が悪いねぇ、誰がそんな事教えるの?」
幼稚園の頃に一緒だった坂口くんとは、同じ身長だったせいか、いつも隣りで手を繋いでいた。
母も坂口くんの母も、きっと2人は結婚するのだろうと話していたけれど、中学に入り、急に背が伸びた坂口くんは、いつの間にか、優衣の隣りに来る事はなくなった。
時々、ピアノの話しをしたけれど、坂口くんは吹奏楽部の仲間と楽しそうに話すことが多くなった。
高校の頃は、仲の良かった数人の女の子達と、たいして面白くない話しを、何倍にも膨らませて時間をかけて話している毎日だった。
懐かしいはずの地元に戻っても、結局、朝川以外、誰も話す人は誰もいなかった。みんな、その時だけの、泡の様な関係。
隼斗を送り、保育園から戻ってくると、多岐さんは大きなお風呂を数人の従業員と磨いていた。
やりますと言って張り切っていた優衣も、暑さで体力が奪われていく。
「これが終ったら、少し休みよ。後はお客さんがくるまで、自由時間だから。」
柊子はそう言った。
「疲れたでしょう。根を上げた?」
「大丈夫です。」
「優衣さん、隣町の診療所がね、看護師さんを募集してるらしいの。今までいた人が腰を痛めて辞めてしまったらしくてね。ここから通えるから、ちょっと話しを聞いてみたら?」
「本当ですか?」
「うちで、働いてもいいけど、せっかく資格があるんなら、必要とされる所に行くといいよ。」
「はい。」
「話しをしてた彼とはちゃんと別れたの?」
「もう、会うつもりはないです。」
「一緒に旅行するくらいだもの、簡単に別れられるもんでもないでしょう。」
「そうですけど。」
「ご両親は、優衣さんがここにいる事、知ってるの?」
「そのうち、きちんと話します。」
「本当にハチャメチャな人ね。」
柊子は笑った。
「少し前まで、直斗のファンだって子が何人もきてね。直斗はずっと部屋から出てこなかったのよ。多岐さんがいろいろ力になってくれてね、最近は少し話すようになったけど、2回も来たのは優衣さんが初めて。」
「そうだったんですか。」
「ナオ、東京でうまく行かない事があったんでしょう。誰かに話しても、救われない事が。」
「お姉さんは、何も聞かないんですか?」
「私達、すごく仲が悪いの。直斗がやってる音楽も理解できないし。ピアノなんて、少し習ったけど、大嫌いよ。」
柊子と優衣が2人で笑っている所に、ナオが帰ってきた。
「早かったね。」
「うん。毎年、調律してるピアノだと、そんなに時間がかからないから。」
「ねえ、直斗、ご飯食べたら、優衣さんを隣町の診療所に送って行って。」
「なんで?」
「診療所で、看護師さんを探してるみたいなの。」
「優衣はそこで働くの?」
「話しを聞いてみるといいよ。」
柊子はそう言った。
ナオの車に乗った優衣。
「隣町って、ここからどれくらい?」
「30分くらいかな。」
「本当にそこで働くの?」
「縁があったらね。」
「うちで働けばいいじゃん。」
「ナオばっかり頼るわけには行かないよ。そのうち、部屋も見つけるから。」
「俺は別にいいよ。」
「ナオ、また曲書いたら?今はいろんな方法があるんだし。」
「じゃあさ、一緒にいてよ。曲を作る時ってすごく孤独なんだ。」
「ナオが作ってきたのって、本当の事を書いていたの?」
「そうだね。あんまり、作り話はないかな。」
「ずいぶん、大恋愛したんだね。」
「そこばっかり切り取るなよ。」
2人はそう言って笑った。
帰りに隼斗を迎えに行って戻ってきた2人。
「優衣、水鉄砲やるって約束しただろう。」
優衣は夕方まで、隼斗と外で水鉄砲をして遊んだ。
びしょ濡れになった隼斗と優衣を見て、柊子は怒った。
「優衣さん大人なのに、本気でやってどうするの!早く着換えてきて。」
「ナオ、ずるいよ。ずっと隠れてたでしょう。」
「アハハ、早く着換えこいよ。今日は花火が上がりそうだよ。」
柊子が用意してくれた浴衣に着替えた優衣は、ピアノの前にいるナオの隣りに座った。
「少し、離れた所で見ようか。」
ナオはそう言って、優衣を連れて坂を登っていく。
旅館街から少し離れた場所まで来ると、蝉の声が高く聞こえる。
「ここから見るの、いつ以来だろう。花火の日は人が多いから、いつも部屋の中にいた。」
花火が上がる。
音と光りが少しずつずれていく。
「花火って何も残らないね。種でも残してくれたら、いいのに。」
優衣はそう言った。
「残らないから、一生懸命に見ようとするんだろう。」
「ムラマサって、どんなにアンコールしても、絶対出てこなかった。」
「本番で全てが終わるんだ。最初からアンコールを用意されたライブなんて、俺は嫌だったからね。」
「なんか、花火が終わったあとに似てる。」
ナオは優衣の髪をなでた。
夜空には花火が残した白い煙の跡が、静かに町の光に引き寄せられていくのがわかる。
「戻ろうか。」
「うん。また、ギター教えて。」
「優衣。」
「何?」
ナオは優衣の手を掴んだ。静かに優衣を抱きしめる。
優衣は一瞬ためらったが、ナオの腕に黙って包まれた。
「私、けっこうしつこいよ。こんな事したら、ずっとナオを追いかけるからね。」
優衣はナオの顔を見上げた。
ナオは何も言わず静かに微笑むと、優衣の唇に自分の唇を重ねる。
雨が続いた次の日に登る朝日は、この世の終わりを告げるような大きな太陽。
隣りで眠るナオに気づかれないように部屋から出ると、優衣は多岐を探した。
5時になったばかりだと言うのに、多岐はきちんと着物を着て、働いている。
「多岐さん。」
「あら、」
優衣は多岐に声を掛けた。
「昨日はありがとうございました。ちゃんとお礼も言えず、ごめんなさい。私も少しはできるんですよ。仕事、教えてもらえませんか。」
「そんな、直斗さんと一緒にいてやってください。」
「多岐さんと一緒にやりたんです。」
優衣は多岐の後ろを離れなかった。
「あら、優衣さん。」
「女将さん、困ってるんです。ずっと後ろにいるもので。」
「昨日、泊めてもらったのに何もしないのは、すごく嫌なんです。多岐さん、次は何をするんですか?」
優衣は多岐に聞いている。
「エプロン持ってくるから、ちょっと待ってて。優衣さん、もう少ししたら、厨房の方を手伝って。それが終わったら、お風呂掃除。やる事はたくさんあるの。」
柊子は優衣にそう伝えた。
目を覚ましたナオが居間にやってくる。
「おはようナオ。優衣さん、多岐さんの後について離れないみたいよ。2人とも楽しそうで、いいコンビができたわね。」
「そっか。」
ナオは眠いのか、また目を閉じた。
「今日は仕事?」
「うん。昼で終わりだけど。」
「優衣さんが一緒だったから、ちゃんと寝たのかと思ったのに。」
「なんだよ、それ。」
「隼斗もぜんぜん眠らなかった。」
「雨の事か。」
「神経質って本当に困る。」
「姉ちゃんが鈍感なんだろう。」
「きっとね、優衣さんも鈍感よ。」
柊子はそう言って笑った。
柊子にエプロンを借りた優衣は、客が帰った部屋を掃除していた。
「優衣さんはなんの仕事をしてたの?」
シーツを取り替えながら、多岐が聞いた。
「病院にいました。だからこういうの、少しできますよ。」
けして手際がいいわけではないけれど、優衣は丁寧に仕事をしていく。
「いつまでこちらにいれるんですか?」
「私、仕事辞めたんです。家も出てきてしまったから。明日、一度帰って、新しい仕事を見つけます。」
「まあ。若い時って、無茶するっていうか、怖いものなんて知らないからね。」
「多岐さんは、無茶しましたか?」
「そりゃ、昔はね。優衣さん、仕事の事、女将さんに頼んでみたら?」
多岐が持っていたシーツを優衣は軽々と持ち上げた。
「優衣、ご飯できたよ。探したよ。多岐さんといたのか。」
「ナオ、おはよう。私、多岐さんと食べるから。」
「優衣さん、私達はまだまだ食べないの。直斗くんと先にどうぞ。」
「ナオ、今日は仕事なの?」
「仕事だよ。昼過ぎには戻ってくるよ。」
居間で朝食を食べていると、
男の子が起きてくる。
「優衣さん、悪いけど、食べたらこの子を保育園に連れて行ってくれない?場所はすぐにわかるから。」
「隼斗、今日はこの人と保育園に行ってね。」
「直斗の彼女か?」
男の子はそう言った。
「生意気ね、早く食べなさい。」
男の子は柊子にそう言われた。
「ナオは土日も仕事なの?」
パンを食べているナオに、優衣は聞いた。
「今日は特別だよ。明日、イベントがあるみたいで、調律を頼まれたんだ。帰ってきてから、昨日の続き教えるよ。」
優衣は柊子の息子の手を繋ぎ、保育園まで歩いていた。
「帰ったら水鉄砲やろうよ。みんな忙しくて、誰も遊んでくれないんだ。」
「いいよ。隼斗くん、泣いても知らないからね。」
「女の力なんてどうせ弱いし。」
「あらら、ずいぶんな言い方ね。」
「直斗と結婚するのか?」
「えっ、なんで?」
「直斗と一緒にいるから。」
「ねえ、何歳?」
「6歳。」
「来年小学生か。」
「姉ちゃんは?」
「27歳。」
「そりゃあ、ババアだ。」
「こら!口が悪いねぇ、誰がそんな事教えるの?」
幼稚園の頃に一緒だった坂口くんとは、同じ身長だったせいか、いつも隣りで手を繋いでいた。
母も坂口くんの母も、きっと2人は結婚するのだろうと話していたけれど、中学に入り、急に背が伸びた坂口くんは、いつの間にか、優衣の隣りに来る事はなくなった。
時々、ピアノの話しをしたけれど、坂口くんは吹奏楽部の仲間と楽しそうに話すことが多くなった。
高校の頃は、仲の良かった数人の女の子達と、たいして面白くない話しを、何倍にも膨らませて時間をかけて話している毎日だった。
懐かしいはずの地元に戻っても、結局、朝川以外、誰も話す人は誰もいなかった。みんな、その時だけの、泡の様な関係。
隼斗を送り、保育園から戻ってくると、多岐さんは大きなお風呂を数人の従業員と磨いていた。
やりますと言って張り切っていた優衣も、暑さで体力が奪われていく。
「これが終ったら、少し休みよ。後はお客さんがくるまで、自由時間だから。」
柊子はそう言った。
「疲れたでしょう。根を上げた?」
「大丈夫です。」
「優衣さん、隣町の診療所がね、看護師さんを募集してるらしいの。今までいた人が腰を痛めて辞めてしまったらしくてね。ここから通えるから、ちょっと話しを聞いてみたら?」
「本当ですか?」
「うちで、働いてもいいけど、せっかく資格があるんなら、必要とされる所に行くといいよ。」
「はい。」
「話しをしてた彼とはちゃんと別れたの?」
「もう、会うつもりはないです。」
「一緒に旅行するくらいだもの、簡単に別れられるもんでもないでしょう。」
「そうですけど。」
「ご両親は、優衣さんがここにいる事、知ってるの?」
「そのうち、きちんと話します。」
「本当にハチャメチャな人ね。」
柊子は笑った。
「少し前まで、直斗のファンだって子が何人もきてね。直斗はずっと部屋から出てこなかったのよ。多岐さんがいろいろ力になってくれてね、最近は少し話すようになったけど、2回も来たのは優衣さんが初めて。」
「そうだったんですか。」
「ナオ、東京でうまく行かない事があったんでしょう。誰かに話しても、救われない事が。」
「お姉さんは、何も聞かないんですか?」
「私達、すごく仲が悪いの。直斗がやってる音楽も理解できないし。ピアノなんて、少し習ったけど、大嫌いよ。」
柊子と優衣が2人で笑っている所に、ナオが帰ってきた。
「早かったね。」
「うん。毎年、調律してるピアノだと、そんなに時間がかからないから。」
「ねえ、直斗、ご飯食べたら、優衣さんを隣町の診療所に送って行って。」
「なんで?」
「診療所で、看護師さんを探してるみたいなの。」
「優衣はそこで働くの?」
「話しを聞いてみるといいよ。」
柊子はそう言った。
ナオの車に乗った優衣。
「隣町って、ここからどれくらい?」
「30分くらいかな。」
「本当にそこで働くの?」
「縁があったらね。」
「うちで働けばいいじゃん。」
「ナオばっかり頼るわけには行かないよ。そのうち、部屋も見つけるから。」
「俺は別にいいよ。」
「ナオ、また曲書いたら?今はいろんな方法があるんだし。」
「じゃあさ、一緒にいてよ。曲を作る時ってすごく孤独なんだ。」
「ナオが作ってきたのって、本当の事を書いていたの?」
「そうだね。あんまり、作り話はないかな。」
「ずいぶん、大恋愛したんだね。」
「そこばっかり切り取るなよ。」
2人はそう言って笑った。
帰りに隼斗を迎えに行って戻ってきた2人。
「優衣、水鉄砲やるって約束しただろう。」
優衣は夕方まで、隼斗と外で水鉄砲をして遊んだ。
びしょ濡れになった隼斗と優衣を見て、柊子は怒った。
「優衣さん大人なのに、本気でやってどうするの!早く着換えてきて。」
「ナオ、ずるいよ。ずっと隠れてたでしょう。」
「アハハ、早く着換えこいよ。今日は花火が上がりそうだよ。」
柊子が用意してくれた浴衣に着替えた優衣は、ピアノの前にいるナオの隣りに座った。
「少し、離れた所で見ようか。」
ナオはそう言って、優衣を連れて坂を登っていく。
旅館街から少し離れた場所まで来ると、蝉の声が高く聞こえる。
「ここから見るの、いつ以来だろう。花火の日は人が多いから、いつも部屋の中にいた。」
花火が上がる。
音と光りが少しずつずれていく。
「花火って何も残らないね。種でも残してくれたら、いいのに。」
優衣はそう言った。
「残らないから、一生懸命に見ようとするんだろう。」
「ムラマサって、どんなにアンコールしても、絶対出てこなかった。」
「本番で全てが終わるんだ。最初からアンコールを用意されたライブなんて、俺は嫌だったからね。」
「なんか、花火が終わったあとに似てる。」
ナオは優衣の髪をなでた。
夜空には花火が残した白い煙の跡が、静かに町の光に引き寄せられていくのがわかる。
「戻ろうか。」
「うん。また、ギター教えて。」
「優衣。」
「何?」
ナオは優衣の手を掴んだ。静かに優衣を抱きしめる。
優衣は一瞬ためらったが、ナオの腕に黙って包まれた。
「私、けっこうしつこいよ。こんな事したら、ずっとナオを追いかけるからね。」
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