誘拐記念日

木継 槐

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4、

轍を辿る⑥

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…三船百合子視点…

「ッ?!」
私は伝文の言葉に息が詰まった。
対して影子は表情一つ変えずに話に耳を傾けていた。
「僕が見たシーンはまさにリサが気絶した直後のものでした。しかし確たる証拠もなく、探偵として調べを進めていました。」
そしてリサにゆすりを掛けに来たというわけだった。
「この包丁には間違いなくあなたの指紋と兄のDNAが付着していた。」
影子には言い逃れもできない物だった。
男は敬語を外して、それは背中を見ても分かるほど高揚していた。
「さぁ、どうする?ここで言い逃れるとしても、寮母さんも死体遺棄の共犯になっている。二人ともしょっ引かれ「あははははは!!!!!!」……。」
「ごめんなさい、まさか私が罪を認めていないかのような話しぶりだったからおかしくて。」
「なら、罪を認めるのか?」
「えぇでも……殺したのはリサではなく私、影子ですよ?」
「は?」

驚く伝文に影子は私に視線を向けた。
「私から説明いたします。」
私は病気について説明を進めた。
ある程度説明が済んだところで影子はもう一度口を開いた。
「リサは正当防衛で包丁をわき腹に刺してしまっていた。それをめった刺しにしたのは私。」
「だから?罪に問うことは出来ないなんていうつもりか?」
「まさか。私は罪を認めていますし、あなたに立件されれば終わりです。しかし……この一つの証拠を持ったまま、詮索も訴訟も起こさなかった。それはなぜですか?」
「」
「あなたほどの探偵ならこんな証拠、もののひと月で実証できたでしょう?それに今の今まで機会をうかがっていたとすれば私の人格の解離にも気が付けたはずでしょ。」
影子の質問に伝文は目を伏せて口角を上げた。
「……因果応報だと思ったよ。兄がリサさんにわいせつな行為をしていたのは知っていた。でも兄は既にある程度の権利を持っていたし、俺は傍観するしかなかった。だから兄の死にざまを見た時に心が晴れてしまった。それと同時に人を殺した後の犯人の動向を観察したくなったってわけさ。」
「ふぅん。……それでは今度は私に協力してください。」
「は?」
「脅迫を仕掛けてくるということは、まだ私の動向に興味があるという事でしょう?」
「だからと言って「来月私はここを出ていきます。」……は?確か未成年のうちはここから出ていけることはないはずでは?」

「特例を出していただきました。……とある目的の為に。」
「」
影子のその一言に好奇心を掻き立てられたのか、伝文は要請を受け入れた。

***

…伝文視点…

宗太の母親に了承をとった影子は、病院を出ると、後ろをついて歩いていた俺に封筒を丸っと渡した。
「何のつもりだ。」
「チップよ。宗太のいじめっ子たちの身辺をくまなく調べ上げて。」
「身辺ねぇ……その子たちに会って事情を聴いてからでもいいんじゃないか?」
「あなたのお兄さんも“中立”を気取っていたものね……懐かしい。」
「」
俺の心を逆なでする言葉に俺が目を細めると、影子はくすっと笑った。
「私は、あなたを正式に買っているし、命も取らないって約束したはず。……あなたの行動力に期待していたんだけど。」
「はぁ……仰せのままに。」
「あ、そうだ。もしいじめっ子の誰かから依頼を受けてもしっかり受けてね?」
「あ?なぜ?お前の足が付くぞ。」
「大丈夫。あなたは余計なこと言うほど馬鹿じゃないってわかってるから。」
影子の信頼を置いているかも分からない微笑みに、俺は目を細めた。
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