王を恨んだ妃 第1章~復讐~

木継 槐

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幼少期~煌の視点~

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俺は随行してきていた夏弩を命の恩人だったのだと腕と夏弩の瞼を示した。
そのおかげで夏弩もきちんと医官に見せることが出来た。

しかし、そのせいで傷口をさらした俺達は……今、王様の……父上の部屋に通されている。

「ではまずファン。その腕の傷について説明をせよ。」
「この傷は、野犬に噛まれて「医官によるとその割には傷が浅いそうだが…野犬はひどく甘噛みだったのだな。」…それは、私がすぐに引きはがしたからだと思います。」

「さようか……にしても服が破けていなかったようだな?」
父は怒り出すと人の揚げ足をとるから少々……いや、かなり難問だ。

「では続いて、そなた。山にすんでいた者だとか。まず名を申してみよ。」
夏弩シェイドと申します。赤子の時から山賊に育てられたと聞いています。名も彼らからいただきました。」

夏弩の流暢な語り口に父上も驚かれたようで目を見開いた。

「私から全てをお話いたします。」
「夏弩!!」
思わず声を張り上げると夏弩はこちらを見て口を真一に引いた。

「話してみよ。」
「煌様の腕ですが、私が噛みつきました。そしてこの目の傷は煌様が私を引きはがすために護身を取られた時のものです。」

「ッ!!」
「ッ!!」

「噛み傷の言い訳は……出来ません。」
「……夏弩……。」
全てを話すなら辻褄を合わせる技術があるのかと思った…。
俺は名を呼びながらため息が漏れた。

「フッ……フハハハハ!!!!」
すると先程まで黙って聞いていた父上が腹を抱え笑い始めた。

「父……王様……。」
「あぁ、すまない。煌の連れてきた男は正直者だな…。そなた夏弩と言ったな?」

「はい。」
「もし良ければ……この者の護衛になってはもらえないだろうか。」

「……。」
「父上……!」

「夏弩…そなたは煌の信頼を得た。それだけで私の…王の信用も得たと思ってくれていい。」
夏弩は最後まで黙りこくっていた。

しかしその父上の言葉にあれよあれよと話は進んでいった。
やはり王と言うだけで世を動かす力があるのだと俺は父に畏れを感じた。
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