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各々の食事
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「ハッ……はぁ……はぁ……。」
目を開けると、ものすごい汗と息苦しさが俺を襲っていた。
周囲を見渡すと、いつも通りの殺風景な部屋が広がり、俺はベッドから体を起こしたところだった。
「夢か。」
「夢なら大層だね~。」
「ッ!」
聞き覚えのある声の方を向くと、俺の勉強机に腰かける百目鬼の姿があった。
「何故お前がここに……。」
「何故って、啖呵を切った直後に気を失った君の為に家を元に戻して君をベッドに寝かせて起きるまで黙~って待っていたんじゃないか。」
百目鬼は「よっこいしょ。」と掛け声で机から立った。
「そうか……。」
それにしては眠気も疲れも全くもって残っていなかった。
昨日、焼け焦げた家の天井から見えた月の位置は西寄りの空だった。
あんな時間に起きたら否が応でも眠いはずだ。
「あぁ、君の体力なら僕の力で元通りに回復させたから心配ないよ。」
「回復?お前そんなこともできるのか?」
「まぁね、元より僕にはそんなことで人間の体力精神力が疲弊する方が理解できないけどね。」
百目鬼はそう言って大きくあくびをした。
「その割には眠そうじゃないか。」
「眠そう?」
「あくびしてただろうが。二重の幅も広がってきている。」
俺が返すと、百目鬼はぽかんとあほ面で俺を見つめたかと思うと、目を輝かせた。
「あ!これが眠いというのかい?」
「……あぁ。」
「悪鬼は、腹が減ると体力を温存するために眠ることがあるんだ。人間もてっきりそうかと思っていたよ。」
「へぇ。」
って腹が減ったで思い出した。
時計を見ると、まだ登校には余裕がある時間を指していた。
これなら朝飯は食える。
速足で部屋を出てキッチンに立つと、百目鬼が興味深そうに俺の手元を覗き込んだ。
「何だよ。」
「いやぁ、人間は本当にずくがあるなぁ。」
「ずく?」
「マメとかやる気があるってことだよ。卵を割ってわざわざ焼いて喰らうだろ?」
こんなの普通じゃないのか?
考えてみれば俺は一人暮らしを続けていたから常に自炊が当たり前だった。
家に金は残っていたものの、なるべく減らさないためには仕方がなかった。
……ん。俺、倹約家になっている……。
目玉焼きが焼き上がるころに合わせて白米の上にマヨネーズをぶっかけた。
「いや~、僕なら丸呑みか頑張っても殻を割るくらいだろうからね。」
「そっちかよ。」
「まぁ不味かったねぇ、べたべたねちょねちょだった。」
「人が食う前にゲテモノみたいに言うな、食欲が失せる。」
そう牽制しても丼を掻き込んで完食すると、百目鬼がケタケタと笑って拍手をしていた。
見せ物じゃねぇぞ、くそ。
歯ブラシを口に突っ込んでからハンガーにかけたまま制服にアイロンをかける。
「人間は変なものばっかり口に入れるよね。」
「……お前は何喰うんだ?」
「悪鬼だよ。」
「悪鬼?」
「昨日説明した“解放された欲”だよ。」
「ふうん。」
制服にそでを通して足早に玄関を出ると、既に百目鬼はいなくなっていた。
目を開けると、ものすごい汗と息苦しさが俺を襲っていた。
周囲を見渡すと、いつも通りの殺風景な部屋が広がり、俺はベッドから体を起こしたところだった。
「夢か。」
「夢なら大層だね~。」
「ッ!」
聞き覚えのある声の方を向くと、俺の勉強机に腰かける百目鬼の姿があった。
「何故お前がここに……。」
「何故って、啖呵を切った直後に気を失った君の為に家を元に戻して君をベッドに寝かせて起きるまで黙~って待っていたんじゃないか。」
百目鬼は「よっこいしょ。」と掛け声で机から立った。
「そうか……。」
それにしては眠気も疲れも全くもって残っていなかった。
昨日、焼け焦げた家の天井から見えた月の位置は西寄りの空だった。
あんな時間に起きたら否が応でも眠いはずだ。
「あぁ、君の体力なら僕の力で元通りに回復させたから心配ないよ。」
「回復?お前そんなこともできるのか?」
「まぁね、元より僕にはそんなことで人間の体力精神力が疲弊する方が理解できないけどね。」
百目鬼はそう言って大きくあくびをした。
「その割には眠そうじゃないか。」
「眠そう?」
「あくびしてただろうが。二重の幅も広がってきている。」
俺が返すと、百目鬼はぽかんとあほ面で俺を見つめたかと思うと、目を輝かせた。
「あ!これが眠いというのかい?」
「……あぁ。」
「悪鬼は、腹が減ると体力を温存するために眠ることがあるんだ。人間もてっきりそうかと思っていたよ。」
「へぇ。」
って腹が減ったで思い出した。
時計を見ると、まだ登校には余裕がある時間を指していた。
これなら朝飯は食える。
速足で部屋を出てキッチンに立つと、百目鬼が興味深そうに俺の手元を覗き込んだ。
「何だよ。」
「いやぁ、人間は本当にずくがあるなぁ。」
「ずく?」
「マメとかやる気があるってことだよ。卵を割ってわざわざ焼いて喰らうだろ?」
こんなの普通じゃないのか?
考えてみれば俺は一人暮らしを続けていたから常に自炊が当たり前だった。
家に金は残っていたものの、なるべく減らさないためには仕方がなかった。
……ん。俺、倹約家になっている……。
目玉焼きが焼き上がるころに合わせて白米の上にマヨネーズをぶっかけた。
「いや~、僕なら丸呑みか頑張っても殻を割るくらいだろうからね。」
「そっちかよ。」
「まぁ不味かったねぇ、べたべたねちょねちょだった。」
「人が食う前にゲテモノみたいに言うな、食欲が失せる。」
そう牽制しても丼を掻き込んで完食すると、百目鬼がケタケタと笑って拍手をしていた。
見せ物じゃねぇぞ、くそ。
歯ブラシを口に突っ込んでからハンガーにかけたまま制服にアイロンをかける。
「人間は変なものばっかり口に入れるよね。」
「……お前は何喰うんだ?」
「悪鬼だよ。」
「悪鬼?」
「昨日説明した“解放された欲”だよ。」
「ふうん。」
制服にそでを通して足早に玄関を出ると、既に百目鬼はいなくなっていた。
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