JOKER~嘘を真に変える男~

木継 槐

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可視化した黒煙

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教室に着くと、昨日と変わらないおどおどした百目鬼が視界に映った。
「おい、百目鬼。」
俺の一言で教室の空気がピンと張りつめた。
百目鬼はびくっと震えてゆっくりと顔を上げた。
「よう。」
「……おはようございます。」
その直後、教室のいたるところから通知音が鳴り響いた。
もちろん俺のスマホも。
ロックを開くと、学校のカーストが書かれたサイトからだった。
この挨拶で、クラスのカーストが一気に動いたらしかった。
俺のすぐ下に百目鬼が並んだ。

概要欄には「呼称」「挨拶(フランク)」により変動と書かれていた。
確かにクラスメイトを呼称したことはなかったが、その程度で即変動するカースト制度が客観的で驚いた。

その日の放課後、日直を下層に押し付けて教室を出ると、小走りで百目鬼が俺の横に着いた。
百目鬼はまだ演技を続けるのか、俯いたままだ。
「何も聞かないのか?」
「フッ、面白かったし……屋上でいいものを見せてあげるよ……クッ。」
笑いをこらえるように肩を震わせ今にも噴出しそうな姿に恐れを感じた。

2人で屋上に着くと、百目鬼は鍵を閉めた。
「はぁぁぁあああ!!!!肩が凝った!!笑いこらえるの大変だったぁあっはは!!」
「気色わりぃぞ。」
「だって見た?朝のみんなの顔!!醜いのなんのって……あれは傑作だよ!!」
「つくづく悪趣味だな。」
「嫌だな~、僕は百目鬼だよ?これで悪鬼が力を強めると思うと嬉しいんだよ。ほら!し~あわっせな~ら、手~をたったこ!」
百目鬼は相当上機嫌なのか、パンパンと手を叩いた。

「それより、面白いものを見せるとか言ってなかったか?」
「あ!そうそう!!悪鬼を見たことあるかい?」
「いや。」
「そう言うと思った!せっかくだから君にも見せてあげる。」
そう言うと、百目鬼は俺のうなじを掴んだ。
直後、ビリッと体に一本の電流が走ったように痺れが回った。
思わず強く目を閉じると、電流が目玉に集中したように熱くなってきた。
慌てて熱を逃そうと目を開けると、屋上から見えていた生徒たちに違和感を感じた。

「何だ、あの煙みたいなもの。」
「あれが欲だよ。」
「は?……つまりあんな霞みたいなものを喰うのか?」
感覚的に言うと、黒い煙や綿飴程度にしか見えない、到底腹の足しになるとは思えない。

「まっさか!!あんなの人間でいう埃だよ!ほら、あの大きいのが食い時だよ。」
そこの解釈は同じなのか。
「でもあのまま喰らったりしない、あれが悪鬼になるには人間の欲全てを喰らって人間の体の主導権を握った時、これが人間の言う旬だよ。」
体の主導権を握る……その一言に俺は不審な違和感を感じた。
「喰らったら人間はどうなるんだ……?」
「個体差はあるけど、大概は欲を食いつくされて死ぬか、幸いでも生きた屍になるかだよ。」
おいまじかよ……。

「ちなみに僕も悪鬼だよ。」
「……は?!見えてるじゃないか!!」
「何匹喰ったと思ってるんだい?」

「ッ。」
「食えば食うほど人間に可視化できるようになってくる。それが僕みたいな悪鬼って事さ。」
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