3 / 16
怪しさだって魅力です
しおりを挟む
俺、能勢 遼太郎と、同居人ーー里中 慧慈郎さんとの出会いのきっかけは、何を隠そう我が家の愛猫、サブローさんだ。
簡単に言ってしまえば、捨て猫だったサブローさんを慈郎さんが拾い、それが原因で困った事態になった慈郎さんを、俺が拾った。
んでもって、その一人と一匹は、紆余曲折ありつつ、今や可愛い飼い猫と最高の彼氏として俺の帰りを待っていてくれるわけで。
いや本当に、いい拾い物したな~と。
全力で惚気けたくなるくらい幸せな日々を送っているわけなのだが、残念ながら俺と世間一般では、認識に大きく溝が空いているらしい。
そう、それは二人と一匹で楽しくカニ鍋を堪能した翌日。
「なぁ能勢、お前まだ例の怪しいαと同居してんの?」
パソコンの前に陣取り、機嫌よく備品の納品個数を入力していた俺は、背後から唐突にかけられたその声に、余裕の笑みでVサインを返す。
「最近同居じゃなくて同棲になりましたー。ラブラブですぅ」
「ツッコミ入れんのそこかよ……」
「慈郎さんの怪しさは俺も認めてるからねぇ」
なにせ同棲して3ヶ月。今だに名前と、αであるということしかわかっていないという身元不明ぶりだ。
「ミステリアスなのもまた魅力的だよね~」
不審人物ではなく、ミステリアスな不思議紳士と呼んであげてほしいのだが、我が同僚こと竹脇くんは、どうにも納得がいかないらしい。
「少しでもおかしな行動をとるようならさっさと叩き出せ」
「おかしな行動っていわれてもね~。
俺、今が幸せなら後先はわりと考えない質だし」
同い年の同期から睨みつけられた所で、全く怖くない。
そもそも考えたところでどうしようもないし、今の幸せを優先して何が悪いのだろう。
心配をしてくれているのはわかるが、余計なお世話という奴だ。
「わかった。男なら誰か俺が紹介してやるから……」
「ノンケに男を紹介して貰うほど落ちぶれてません~。てか人を尻軽扱いしないでくれる?今の俺は慈郎さん一筋なんで!」
竹脇は俺がゲイだと知っても態度を全く変えない善良なノンケだが、やはりその辺デリカシーがやや足りていないと思う。
付き合いたての恋人がいる相手に他の子を紹介するからそいつとは別れろとか、普通にドン引きする。
「俺はお前が犯罪にでも巻き込まれるんじゃないかと心配で」
「お生憎様ー。慈郎さんはαだし、犯罪なんて犯しそうなタイプじゃありません~」
「αだって人間なんだから犯罪だって犯すだろ!」
「少なくとも川に落ちた野良猫助けてずぶ濡れになって途方に暮れてるαはそんなことじゃないと思うよー」
そもそも、αというのは生まれながらの勝ち組。
国からの補助金もあるし、まず貧乏ぐらしはありえない。
というか、慈郎さんは見た感じめっちゃ育ちがいい。
着ていたものだってハイブランド品だった。
今はすっかりユニクロユーザーになっちゃってるが、それだって慈郎さんが着ると高級ブランドに見える不思議さよ。
慈郎さんは、ポリエステルの量産品をカシミアの最高ランクに変える魔法使いだ。
「てか、俺今まで慈郎さんに金渡したことないし」
「は?」
「どっから出てくんのかわからんけど、毎回生活費はきっちり出してくんのよ、あの人」
財布もスマホもなかった癖にね?
「おま……!それこそ怪しいじゃねぇか!」
「う~ん。でもねぇ」
「追求しろよそこは!実はスマホだって隠し持ってんじゃねぇのか!?」
「うーん。そうなのかなぁ?」
「どう考えてもそうだろ!」
えー?そう?
「お家の人と連絡ついてるんならまぁいっか」
「良くない!」
叩きつけるように言う竹脇には悪いけどさ、ねぇ?
なんでお前、そんなにムキになってんの?
簡単に言ってしまえば、捨て猫だったサブローさんを慈郎さんが拾い、それが原因で困った事態になった慈郎さんを、俺が拾った。
んでもって、その一人と一匹は、紆余曲折ありつつ、今や可愛い飼い猫と最高の彼氏として俺の帰りを待っていてくれるわけで。
いや本当に、いい拾い物したな~と。
全力で惚気けたくなるくらい幸せな日々を送っているわけなのだが、残念ながら俺と世間一般では、認識に大きく溝が空いているらしい。
そう、それは二人と一匹で楽しくカニ鍋を堪能した翌日。
「なぁ能勢、お前まだ例の怪しいαと同居してんの?」
パソコンの前に陣取り、機嫌よく備品の納品個数を入力していた俺は、背後から唐突にかけられたその声に、余裕の笑みでVサインを返す。
「最近同居じゃなくて同棲になりましたー。ラブラブですぅ」
「ツッコミ入れんのそこかよ……」
「慈郎さんの怪しさは俺も認めてるからねぇ」
なにせ同棲して3ヶ月。今だに名前と、αであるということしかわかっていないという身元不明ぶりだ。
「ミステリアスなのもまた魅力的だよね~」
不審人物ではなく、ミステリアスな不思議紳士と呼んであげてほしいのだが、我が同僚こと竹脇くんは、どうにも納得がいかないらしい。
「少しでもおかしな行動をとるようならさっさと叩き出せ」
「おかしな行動っていわれてもね~。
俺、今が幸せなら後先はわりと考えない質だし」
同い年の同期から睨みつけられた所で、全く怖くない。
そもそも考えたところでどうしようもないし、今の幸せを優先して何が悪いのだろう。
心配をしてくれているのはわかるが、余計なお世話という奴だ。
「わかった。男なら誰か俺が紹介してやるから……」
「ノンケに男を紹介して貰うほど落ちぶれてません~。てか人を尻軽扱いしないでくれる?今の俺は慈郎さん一筋なんで!」
竹脇は俺がゲイだと知っても態度を全く変えない善良なノンケだが、やはりその辺デリカシーがやや足りていないと思う。
付き合いたての恋人がいる相手に他の子を紹介するからそいつとは別れろとか、普通にドン引きする。
「俺はお前が犯罪にでも巻き込まれるんじゃないかと心配で」
「お生憎様ー。慈郎さんはαだし、犯罪なんて犯しそうなタイプじゃありません~」
「αだって人間なんだから犯罪だって犯すだろ!」
「少なくとも川に落ちた野良猫助けてずぶ濡れになって途方に暮れてるαはそんなことじゃないと思うよー」
そもそも、αというのは生まれながらの勝ち組。
国からの補助金もあるし、まず貧乏ぐらしはありえない。
というか、慈郎さんは見た感じめっちゃ育ちがいい。
着ていたものだってハイブランド品だった。
今はすっかりユニクロユーザーになっちゃってるが、それだって慈郎さんが着ると高級ブランドに見える不思議さよ。
慈郎さんは、ポリエステルの量産品をカシミアの最高ランクに変える魔法使いだ。
「てか、俺今まで慈郎さんに金渡したことないし」
「は?」
「どっから出てくんのかわからんけど、毎回生活費はきっちり出してくんのよ、あの人」
財布もスマホもなかった癖にね?
「おま……!それこそ怪しいじゃねぇか!」
「う~ん。でもねぇ」
「追求しろよそこは!実はスマホだって隠し持ってんじゃねぇのか!?」
「うーん。そうなのかなぁ?」
「どう考えてもそうだろ!」
えー?そう?
「お家の人と連絡ついてるんならまぁいっか」
「良くない!」
叩きつけるように言う竹脇には悪いけどさ、ねぇ?
なんでお前、そんなにムキになってんの?
0
あなたにおすすめの小説
流れる星は海に還る
藤間留彦
BL
若頭兄×現組長の実子の弟の血の繋がらない兄弟BL。
組長の命で弟・流星をカタギとして育てた兄・一海。組長が倒れ、跡目争いが勃発。実子の存在が知れ、流星がその渦中に巻き込まれることになり──。
<登場人物>
辻倉一海(つじくらかずみ) 37歳。身長188cm。
若い頃は垂れ目で優しい印象を持たれがちだったため、長年サングラスを掛けている。 組内では硬派で厳しいが、弟の流星には甘々のブラコン。
中村流星(なかむらりゅうせい) 23歳。身長177cm。
ストリートロックファッション、両耳ピアス。育ててくれた兄には甘えん坊だが、兄以外の前では──。
表紙イラストは座頭狂様に描いて頂きました✨ ありがとうございます☺️
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
こんにちは、付喪神です。
江多之折(エタノール)
BL
すみません、息抜き用に連載に昇格しました。そっと連載してる。
背後注意のところに※入れる感じでやります
特に大切にされた覚えもないし、なんならUFOキャッチャーでゲットしてゲーセンの袋に入れられたまま年単位で放置されてたけど、神、宿りました。 見てください、人型です。…なんで?
あ、神といっても特別な能力とかないけど、まぁ気にせず置いといて下さいね。宿ったんで。って汚?!部屋、汚ったな!嘘でしょ?!
え?なんですか?ダッチ…?
社畜気味リーマン(Sっ気有)×付喪神(生まれたての家政婦)の短編。じゃなくなった。でもゆるめ。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる