底なしαの慈郎さんと、底抜けβの太郎君

あうる

文字の大きさ
4 / 16

愛は串団子のように

しおりを挟む
「ねぇ慈郎さん、愛って一体何だと思う?」
「愛、ですか?」
「そう、愛」

帰宅早々、我ながらおかしなこと言ってんな~という感じだが、バカ真面目に話を聞いてくれるのもまた、慈郎さんの魅力の一つ。
シャツを脱ぎ捨て、用意されていたいつもの部屋着に着替えながら、俺はなんとなく頭に浮かんだフレーズで、同じことをもう一度尋ねる。

「俺と慈郎さんとサブローさん、間に挟まるのは餡……じゃなくて愛?」
「そういえば昔そんな感じの歌がありましたね。
確か団子の歌でしたっけ」
「うん、懐かしいね。
でも今はそういうことじゃなくて、愛がメイン」
「う~ん、難しいお話ですね。例えば……ですが」

そういいながら、慈郎さんはすっと俺に近づき、両手を広げた。
そんなもん迷いなく飛び込むだろ。 

ぽすっ。

「今感じるお互いの鼓動が愛……ってのはどうでしょうか」
「なら恋は?」

慈郎さんの胸にぐりぐりと頭をなすりつけつつ更に言い募れば、特に困った様子もなく、慈郎さんは答えた。

「静電気……みたいなものでしょうか」
「静電気!」

突拍子もない説明に思わず顔を上げれば、その瞬間まさに、二人の間に走る静電気。

バチッ!

「イテッ!」
「あぁ、すみません、セーターが原因ですね」
「いや、オレのフリースもヤバいと思う」

冬の部屋着の定番だが、静電気もまた冬定番。

「静電気ってさ~、こうして誰かとバチッてしても、大体痛いのはどっちか一人だけなんだよな~」
「電気の抜けていったほうが痛みを感じるんでしょうね」
「俺って、帯電体質?」
「火事には気をつけましょうね」

言いながらポヤポヤになった髪を優しく撫でてくれる慈郎さん。
なんかよく分からん例えだが満足した気はする俺は、コタツに足を入れ、食卓に並んでいた唐揚げをひょいと口にほおりこむ。
ニンニク臭がじわり肉汁と一緒に広がるこの感じ。

「慈郎さんの作る料理大好き。めっちゃ幸せ」
「太郎さんは褒め上手なので、作りがいがありますよ」

ニンニクを食べてもキスできるって、紛れもなく愛だと思う。


慈郎さんはいつもほとんどテレビを見ない。
俺が帰ってきて、なんとなくのんびりした雰囲気になってから、ようやく話のネタに適当なバラエティ情報番組を流すくらいだ。
真面目なニュースは、飯が不味くなるのであまり見ない。

「今日職場の同僚に、慈郎さんと早く別れろとか言われてさー。
挙げ句、俺が付き合ってやるからとか言われたんだけど、あれはないわー」

マヨネーズをかけ、つけあわせのキューリをポリポリかじる。

「そもそもそいつノンケだし、付き合ってどうするつもりなんだろ」

普通は、男同士で性的なアレコレを想像することなどありえない。
かといって、この歳で清らかな関係は体に毒だ。
むしろアイツは俺で抜けるんだろうか。

「うわ、考えたらなんか不潔」

セクハラを訴える女性社員の気持ちが少しわかった気がする。

「ねぇ太郎さ………」
「それは太郎さんに気があるということでは?」

真剣なその声に、口に入れた唐揚げが、危うくリバースされるかと思った。


「………は?」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

流れる星は海に還る

藤間留彦
BL
若頭兄×現組長の実子の弟の血の繋がらない兄弟BL。 組長の命で弟・流星をカタギとして育てた兄・一海。組長が倒れ、跡目争いが勃発。実子の存在が知れ、流星がその渦中に巻き込まれることになり──。 <登場人物> 辻倉一海(つじくらかずみ) 37歳。身長188cm。 若い頃は垂れ目で優しい印象を持たれがちだったため、長年サングラスを掛けている。 組内では硬派で厳しいが、弟の流星には甘々のブラコン。 中村流星(なかむらりゅうせい) 23歳。身長177cm。 ストリートロックファッション、両耳ピアス。育ててくれた兄には甘えん坊だが、兄以外の前では──。 表紙イラストは座頭狂様に描いて頂きました✨ ありがとうございます☺️

起きたらオメガバースの世界になっていました

さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。 しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。

こんにちは、付喪神です。

江多之折(エタノール)
BL
すみません、息抜き用に連載に昇格しました。そっと連載してる。 背後注意のところに※入れる感じでやります 特に大切にされた覚えもないし、なんならUFOキャッチャーでゲットしてゲーセンの袋に入れられたまま年単位で放置されてたけど、神、宿りました。 見てください、人型です。…なんで? あ、神といっても特別な能力とかないけど、まぁ気にせず置いといて下さいね。宿ったんで。って汚?!部屋、汚ったな!嘘でしょ?! え?なんですか?ダッチ…? 社畜気味リーマン(Sっ気有)×付喪神(生まれたての家政婦)の短編。じゃなくなった。でもゆるめ。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

休憩時間10分の内緒の恋人チャージ(高校生ver)

子犬一 はぁて
BL
俺様攻め×一途受け。学校の休み時間10分の内緒の恋人チャージ方法は、ちゅーとぎゅーの他にも内緒でしています。

処理中です...