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一緒のお風呂は極楽です
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「ふ~、極楽極楽」
温泉ではなくても、一緒に入るお風呂は何時だって天国だ。
さば~んと溢れる湯船のお湯と、背中に感じる確かな体温。
「この豪快な感じ、何気に結構好きなんだよね」
「この家は井戸水を使用していますから、水道代も気になりませんしね」
「それ結構大事なポイント」
その為なら、家の立地が駅から少し外れていても全然気にならない。
「大人二人が、ギリギリ一緒に入れる大きさというのも絶妙です」
「うんうん、毎日くっついて入れるしね?」
「はい、それが一番です」
ぎゅ~っと抱き合うと、なんかもうめっちゃ幸せだ。
「慈郎さん髪の毛洗ってー」
「はいはい、目を閉じてくださいね」
「ん~~」
大きくのけぞった頭向けて、ゆっくり少しずつ流されるお湯。
「おかゆいところはございませんか?」
「ないで~す」
ネットで購入したプロの理容室御用達のシャンプーは本気で髪の手触りが変わるし、プロ並みの手つきの慈郎さんの洗髪はめちゃ癖になる。
もうこれになれたら他の人の手になんか任せられない。
というか、自分の手なんかじゃもう無理。
「ヤバい、俺やっぱり慈郎さんがいなきゃ生きていけない」
「もっと沢山依存してくださいね~」
「確信犯だっ!!」
ははは、と笑いながら、俺のうなじにツーっと指を滑らせる慈郎さん。
たまにやる仕草だけど、俺はその仕草についびくっとしてしまう。
「ねぇ慈郎さん……」
「なんですか?」
「外でオメガにあったりするとさ、なんかこう、うなじ嚙みたくて辛抱たまらんっ!みたいな感じになるの?」
「なりません」
「ん?」
「なりませんよ、そんな目で見ても」
いやいや、そんな目っていうか、正直に言ってもいいんだよ?っていう目だったのだが。
「私はもう太郎さん専用なので、太郎さん以外にはときめきません」
「でも、太郎さんαだし」
「うなじを噛んだだけでその人の全てを自分のものにできると思うなんて、どれだけ傲慢なんですか」
「うわー」
「私が太郎さんのうなじを触るのは、この細い首でよくここまで生きてきてくれたなという深い感謝と畏敬の念からであって、ほかのαのように噛みつきたいと思っての事ではありません」
「そういや慈郎さんって、噛み癖ないよね」
めっちゃ舐めては来るが。
多分俺の全身、慈郎さんが味わったことのない部位はないと思う。
「いいですか?噛み後をつけるということは立派な傷害罪なんです。
そんなものを太郎さんの体に残して痛みを与えるなんて、私には到底許容できません」
「お~~~」
慈郎さん、めっちゃ紳士だ。
「その代わり、毎日の食事は私が毎回作りますし、お風呂も一緒に入れますし、できる事なら歯磨きとトイレも一緒にーーーー」
「うんうん、わかったわかった。
でもできれば最低限の人としての尊厳だけは残しておいてくれると俺嬉しいな?」
「太郎さんは着るものにこだわりがあまりないので、特に問題なく私の選んだものを着てくれますしね」
「そういや慈郎さん、最近俺のクローゼットに服増やした?」
「はい」
「いいのに、俺の服なんて」
「私の趣味なので」
「そうか~。趣味か~」
なら仕方あるまい。
やたらと高級そうな服だが、他人の趣味をとやかく言うほど心は狭くないつもりだ。
というか、どうやったらネット通販でこんなぴったりのサイズの服が買えるのだろう。
むしろそのコツを教えて欲しい。
「でも、それを着てあまり遠くへは行かないで下さいね?あくまで私が見たいだけなので」
「行かないよ~。あれでしょ?人に服を贈るのは、その服を脱がすため!ってやつ」
「服を着ていても、脱いでも太郎さんは全て私のものだと思うと、とても幸せな気分になれるので」
「ならいっか~」
柔らかな手つきにうとうとしながら、コンディショナーまでを終わらせた慈郎さんによって、ぽんぽんと肩をたたかれる。
「終わりましたよ?太郎さん」
「うん、ありがとー」
ちらっとその汗が輝く顔を振り返って、改めて思った。
「ねぇ慈郎さん、もしもさ。
もしも、運命の人が現れて、慈郎さんがその人の所に行きたくなっちゃったら、俺に遠慮せずそっちに行っていいからね?」
温泉ではなくても、一緒に入るお風呂は何時だって天国だ。
さば~んと溢れる湯船のお湯と、背中に感じる確かな体温。
「この豪快な感じ、何気に結構好きなんだよね」
「この家は井戸水を使用していますから、水道代も気になりませんしね」
「それ結構大事なポイント」
その為なら、家の立地が駅から少し外れていても全然気にならない。
「大人二人が、ギリギリ一緒に入れる大きさというのも絶妙です」
「うんうん、毎日くっついて入れるしね?」
「はい、それが一番です」
ぎゅ~っと抱き合うと、なんかもうめっちゃ幸せだ。
「慈郎さん髪の毛洗ってー」
「はいはい、目を閉じてくださいね」
「ん~~」
大きくのけぞった頭向けて、ゆっくり少しずつ流されるお湯。
「おかゆいところはございませんか?」
「ないで~す」
ネットで購入したプロの理容室御用達のシャンプーは本気で髪の手触りが変わるし、プロ並みの手つきの慈郎さんの洗髪はめちゃ癖になる。
もうこれになれたら他の人の手になんか任せられない。
というか、自分の手なんかじゃもう無理。
「ヤバい、俺やっぱり慈郎さんがいなきゃ生きていけない」
「もっと沢山依存してくださいね~」
「確信犯だっ!!」
ははは、と笑いながら、俺のうなじにツーっと指を滑らせる慈郎さん。
たまにやる仕草だけど、俺はその仕草についびくっとしてしまう。
「ねぇ慈郎さん……」
「なんですか?」
「外でオメガにあったりするとさ、なんかこう、うなじ嚙みたくて辛抱たまらんっ!みたいな感じになるの?」
「なりません」
「ん?」
「なりませんよ、そんな目で見ても」
いやいや、そんな目っていうか、正直に言ってもいいんだよ?っていう目だったのだが。
「私はもう太郎さん専用なので、太郎さん以外にはときめきません」
「でも、太郎さんαだし」
「うなじを噛んだだけでその人の全てを自分のものにできると思うなんて、どれだけ傲慢なんですか」
「うわー」
「私が太郎さんのうなじを触るのは、この細い首でよくここまで生きてきてくれたなという深い感謝と畏敬の念からであって、ほかのαのように噛みつきたいと思っての事ではありません」
「そういや慈郎さんって、噛み癖ないよね」
めっちゃ舐めては来るが。
多分俺の全身、慈郎さんが味わったことのない部位はないと思う。
「いいですか?噛み後をつけるということは立派な傷害罪なんです。
そんなものを太郎さんの体に残して痛みを与えるなんて、私には到底許容できません」
「お~~~」
慈郎さん、めっちゃ紳士だ。
「その代わり、毎日の食事は私が毎回作りますし、お風呂も一緒に入れますし、できる事なら歯磨きとトイレも一緒にーーーー」
「うんうん、わかったわかった。
でもできれば最低限の人としての尊厳だけは残しておいてくれると俺嬉しいな?」
「太郎さんは着るものにこだわりがあまりないので、特に問題なく私の選んだものを着てくれますしね」
「そういや慈郎さん、最近俺のクローゼットに服増やした?」
「はい」
「いいのに、俺の服なんて」
「私の趣味なので」
「そうか~。趣味か~」
なら仕方あるまい。
やたらと高級そうな服だが、他人の趣味をとやかく言うほど心は狭くないつもりだ。
というか、どうやったらネット通販でこんなぴったりのサイズの服が買えるのだろう。
むしろそのコツを教えて欲しい。
「でも、それを着てあまり遠くへは行かないで下さいね?あくまで私が見たいだけなので」
「行かないよ~。あれでしょ?人に服を贈るのは、その服を脱がすため!ってやつ」
「服を着ていても、脱いでも太郎さんは全て私のものだと思うと、とても幸せな気分になれるので」
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「うん、ありがとー」
ちらっとその汗が輝く顔を振り返って、改めて思った。
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