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炎上からの大奥入り
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「取引先の専務の娘との交際を断ったら、左遷された挙げ句、ゲイだと噂をされて部署を追われた………?」
「うん、まぁそんなとこ」
なんてこたぁないよくある話だ。
「まだ相手の子は大学生だったんだけどさ~。当時営業で外回りしてた俺のことをどっかで見かけたらしくて」
単純に言えば、顔が好みだったらしい。
「会社から出たところを待ち伏せされて告白されたからお断りしたんだけど、その場面を父親の専務に見られちゃってさ。
ウチの娘の何が不満なんだ!ってもうカンカン」
今思い出しても意味の分からない修羅場だった。
「だって相手は未成年よ?断るのは当然じゃん?なのにあんまりグダグダ言われるから腹が立ってさー」
つい、暴露してしまったわけだ。
「『俺はゲイのネコなんで、娘さんは抱けませんけどそれでもいいんですか!?』って」
あのときの父娘の顔はなかなかの見ものだった。
「その専務が会社に圧力を……?」
「いんや?」
そういう話ではなく、むしろその二人にはめっちゃドン引きされた挙げ句、何故か謝罪を受けたくらいだったが。
「たまたまね、そこの場面を見てたやつがいたんだよ」
竹脇と同じ俺の同期。
名前すらもうどうでも良くなった男。
「そいつが面白がって社内のSNSにその時の動画をアップしたもんで大騒ぎ。
万が一にでも取引先にバレたらそれこそ大問題になるから、上も隠蔽に必死になっちゃって」
コンプライアンス的に最悪な不祥事を起こしたそいつは、アカウントからあっさり身元が特定されて大目玉。
「俺の方もちょっと問題視はされたみたいだけど、そういう性差別みたいのって今バレたら即炎上でしょ?
結論としてお咎めなしになったけど、そういう前例のある俺を営業にしてはおけないってなって、社内をたらい回しされかけたわけ」
「にゃ~」
すっかり眉間に皺の寄った慈郎さんを心配して、サブローさんまで様子を見にやってきた。
慈郎さんの懐におさまり、その手にじゃれついてはゴロゴロと喉を鳴らす。
子は鎹って本当だな、うん。
「はいはい、怖い顔しない。
んで、そんな俺を拾ってくれたのが、当時から女性ばっかで大奥って影で呼ばれてた、庶務課部長の北川さん」
北川綾子女史、俺の大恩人かつ庶務課の大親分。
「その頃は俺も色々メンタルやられてたから、心配した北川さんがやれ飯だなんだって家族行事に誘ってくれてさ」
「それで………」
「うん、すっかり家族枠」
一時期部長の新しい旦那疑惑をかけられ、冗談交じりに「タロパパ」なんて呼ばれてたのは慈郎さんには内緒にしておこう。
いまではほぼ「タロ兄ちゃん」で確定だし、バレることはまずない。
「お土産もみんなの分買ってこなきゃな~」
「私も一緒についていきます」
「ん?」
「紹介してくれますよね?」
「北川家に?」
「はい」
「え~~~」
上司の家に彼氏連れで訪問するとかなんの拷問?
「うん、まぁそんなとこ」
なんてこたぁないよくある話だ。
「まだ相手の子は大学生だったんだけどさ~。当時営業で外回りしてた俺のことをどっかで見かけたらしくて」
単純に言えば、顔が好みだったらしい。
「会社から出たところを待ち伏せされて告白されたからお断りしたんだけど、その場面を父親の専務に見られちゃってさ。
ウチの娘の何が不満なんだ!ってもうカンカン」
今思い出しても意味の分からない修羅場だった。
「だって相手は未成年よ?断るのは当然じゃん?なのにあんまりグダグダ言われるから腹が立ってさー」
つい、暴露してしまったわけだ。
「『俺はゲイのネコなんで、娘さんは抱けませんけどそれでもいいんですか!?』って」
あのときの父娘の顔はなかなかの見ものだった。
「その専務が会社に圧力を……?」
「いんや?」
そういう話ではなく、むしろその二人にはめっちゃドン引きされた挙げ句、何故か謝罪を受けたくらいだったが。
「たまたまね、そこの場面を見てたやつがいたんだよ」
竹脇と同じ俺の同期。
名前すらもうどうでも良くなった男。
「そいつが面白がって社内のSNSにその時の動画をアップしたもんで大騒ぎ。
万が一にでも取引先にバレたらそれこそ大問題になるから、上も隠蔽に必死になっちゃって」
コンプライアンス的に最悪な不祥事を起こしたそいつは、アカウントからあっさり身元が特定されて大目玉。
「俺の方もちょっと問題視はされたみたいだけど、そういう性差別みたいのって今バレたら即炎上でしょ?
結論としてお咎めなしになったけど、そういう前例のある俺を営業にしてはおけないってなって、社内をたらい回しされかけたわけ」
「にゃ~」
すっかり眉間に皺の寄った慈郎さんを心配して、サブローさんまで様子を見にやってきた。
慈郎さんの懐におさまり、その手にじゃれついてはゴロゴロと喉を鳴らす。
子は鎹って本当だな、うん。
「はいはい、怖い顔しない。
んで、そんな俺を拾ってくれたのが、当時から女性ばっかで大奥って影で呼ばれてた、庶務課部長の北川さん」
北川綾子女史、俺の大恩人かつ庶務課の大親分。
「その頃は俺も色々メンタルやられてたから、心配した北川さんがやれ飯だなんだって家族行事に誘ってくれてさ」
「それで………」
「うん、すっかり家族枠」
一時期部長の新しい旦那疑惑をかけられ、冗談交じりに「タロパパ」なんて呼ばれてたのは慈郎さんには内緒にしておこう。
いまではほぼ「タロ兄ちゃん」で確定だし、バレることはまずない。
「お土産もみんなの分買ってこなきゃな~」
「私も一緒についていきます」
「ん?」
「紹介してくれますよね?」
「北川家に?」
「はい」
「え~~~」
上司の家に彼氏連れで訪問するとかなんの拷問?
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