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滋賀は、突然何を言い出したのだろうか。
「グレアに……色?」
「勿論目に見えるものじゃないけど、ね。ここにいるdomの皆ならまぁ、なんとなく理解できるんじゃない?
鈴鹿姉さんは桔梗みたいな紫色だし、零君は眩しいくらいの檸檬色」
つらつらと述べるそれらのセリフは、独特の感性に基づいていながらも、不思議と納得のできるもので。
零と結、二人の耳を飾るイエローダイヤモンドの輝きに、今更ながら目を奪われる。
「それを確認する為に、わざわざこんな事を?」
「ん?まぁそんな感じでっす。マスターだって気づいてましたよね?」
そういってあっけらかんと笑う、今だ血の気の失せた真っ白な顔。
流石に限界を超えていたのか、いつの間にか彼から放たれていたグレアはすっかり消えてしまっているが、その分を補って余るマスターのグレアは今も健在だ。
しかしそのグレアも、激しい威嚇を表すものから少しずつ姿を変え、今は言うなれば、警戒色。
守るべきsubを持つdom特有の防衛反射に近い。
晶にとっては、他社の悪意から守ってくれる結界のようなものか。
「ただの好奇心にしては、随分派手にやらかしてくれたな」
「嫌だなー。マスター相手だから俺だって必死こいたんじゃないですか~。
つか俺、もうちょっとで目から血が出るかと思いましたし。どっか血管切れてるかも」
「とてもそうは見えなかったが?」
「虚勢はdomの十八番ですから。
……まぁ、マスターの子猫ちゃんには随分警戒されちゃったみたいですけど」
「自業自得」
「ですよね、ごめんなさい。
でも首輪だけは俺に作らせて?あと、指輪も!この通り!お願いっ!」
パン、と両手をあわせて晶へと懇願する滋賀。
先程までのdomらしい傲慢さが鳴りを潜め、すっかりもとのホストもどきになりさがっている。
怖いくらいの変わり様だ。
「あの」
「ん?」
落ち着いた今、晶には滋賀に言いたいことがあった。
マスターの腕に抱かれたまま、意を決して晶は口を開く。
「ザクロの実を食べても猫は死にませんよ」
「へ??」
「毒があるのは樹皮と根の皮で、果実に毒はない」
むしろ、栄養を効率よく摂取できる果物として、キャットフードの中にも含まれていたりする位だ。
「むしろ危険なの果実はザクロではなく葡萄です。肝臓に異常を起こす可能性がある」
あまり知られていない話だが、事実だった。
「へぇ~詳しいね!本物の猫でも飼ってたの?」
「いえ、仕事柄」
食品メーカーの社員だったことまで口にすることはないだろう。
単なる昔とった杵柄だ。
「それに柘榴には果実や木、花でそれぞれ異なる花言葉があり、何を信じるかはその人次第」
愚かしさ、高慢さという負の言葉がある一方、子孫の守護、結び合う、優美さ、などの美しい意味合いも持つ。
真赤な柘榴の肉感的な魅惑さが、見るものを両極端に惑わせるのだ。
「私は、美しいと思います」
「そりゃ、果実の宝石箱だもん」
ふふっと笑う滋賀。
やはり、彼はこの程度のこと初めから知っていたに違いない。
随分面倒な人だ。
むしろ厄介と呼べるくらいに。
そして晶には一つ彼の言動について思い浮かぶことが一つあった。
もしや、彼は。
「グレアに……色?」
「勿論目に見えるものじゃないけど、ね。ここにいるdomの皆ならまぁ、なんとなく理解できるんじゃない?
鈴鹿姉さんは桔梗みたいな紫色だし、零君は眩しいくらいの檸檬色」
つらつらと述べるそれらのセリフは、独特の感性に基づいていながらも、不思議と納得のできるもので。
零と結、二人の耳を飾るイエローダイヤモンドの輝きに、今更ながら目を奪われる。
「それを確認する為に、わざわざこんな事を?」
「ん?まぁそんな感じでっす。マスターだって気づいてましたよね?」
そういってあっけらかんと笑う、今だ血の気の失せた真っ白な顔。
流石に限界を超えていたのか、いつの間にか彼から放たれていたグレアはすっかり消えてしまっているが、その分を補って余るマスターのグレアは今も健在だ。
しかしそのグレアも、激しい威嚇を表すものから少しずつ姿を変え、今は言うなれば、警戒色。
守るべきsubを持つdom特有の防衛反射に近い。
晶にとっては、他社の悪意から守ってくれる結界のようなものか。
「ただの好奇心にしては、随分派手にやらかしてくれたな」
「嫌だなー。マスター相手だから俺だって必死こいたんじゃないですか~。
つか俺、もうちょっとで目から血が出るかと思いましたし。どっか血管切れてるかも」
「とてもそうは見えなかったが?」
「虚勢はdomの十八番ですから。
……まぁ、マスターの子猫ちゃんには随分警戒されちゃったみたいですけど」
「自業自得」
「ですよね、ごめんなさい。
でも首輪だけは俺に作らせて?あと、指輪も!この通り!お願いっ!」
パン、と両手をあわせて晶へと懇願する滋賀。
先程までのdomらしい傲慢さが鳴りを潜め、すっかりもとのホストもどきになりさがっている。
怖いくらいの変わり様だ。
「あの」
「ん?」
落ち着いた今、晶には滋賀に言いたいことがあった。
マスターの腕に抱かれたまま、意を決して晶は口を開く。
「ザクロの実を食べても猫は死にませんよ」
「へ??」
「毒があるのは樹皮と根の皮で、果実に毒はない」
むしろ、栄養を効率よく摂取できる果物として、キャットフードの中にも含まれていたりする位だ。
「むしろ危険なの果実はザクロではなく葡萄です。肝臓に異常を起こす可能性がある」
あまり知られていない話だが、事実だった。
「へぇ~詳しいね!本物の猫でも飼ってたの?」
「いえ、仕事柄」
食品メーカーの社員だったことまで口にすることはないだろう。
単なる昔とった杵柄だ。
「それに柘榴には果実や木、花でそれぞれ異なる花言葉があり、何を信じるかはその人次第」
愚かしさ、高慢さという負の言葉がある一方、子孫の守護、結び合う、優美さ、などの美しい意味合いも持つ。
真赤な柘榴の肉感的な魅惑さが、見るものを両極端に惑わせるのだ。
「私は、美しいと思います」
「そりゃ、果実の宝石箱だもん」
ふふっと笑う滋賀。
やはり、彼はこの程度のこと初めから知っていたに違いない。
随分面倒な人だ。
むしろ厄介と呼べるくらいに。
そして晶には一つ彼の言動について思い浮かぶことが一つあった。
もしや、彼は。
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