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第一章幼少期編
目覚め
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レティシアは夢か、現か、分からない場所で
コポコポと水の音が聞こえていた。
母親の胎内の中は、こんな感じだったの
だろうか、温かくて居心地が良い。
ゆるゆると意識が覚醒していき、目を開けると水の中で、良く見えないけど透明な
カプセルの様な物の中に居るようだ。
ーーここは……どこだろう?
目を凝らして、身体を動かそうとすると、大きなアラーム音が鳴った。
すると、水がどんどん排出されていく。
水が肩まで排出されると、途端に苦しくな咳き込んだ。
余りに苦しくてまた意識が飛んだ。
次に目が覚めると、病室の様な真っ白な部屋のベッドの上に居た。
ーー病院、なのかな?……確かジェイド殿下達とお話して、気を失ったから病院に連れて
来られたのかも
ずっと寝て居るのも暇で、身体を起こして
ベッドから降りようとした。
バタンッ!
盛大にベッドから落ちた。
「痛いっ!なんで?足が思う様に動かない……」
ーー身体も大きくなっているし 。
どういうことかしら?
何がどうなっているのか、困惑していると
ノックもなしに男が入って来た。
「起きたか、あーあーもう
そんなすぐ歩ける訳が無いだろうが!
まだ寝てろ」
抱きかかえられ、ベッドに戻される。
男はブルネットのボサボサの髪を
一つ結びにした緑色の瞳で無精髭を生やした
白衣を着た医師の様だった。
「俺は魔法医のクリフだ、嬢ちゃんの
担当医だがまぁ、ずっと眠ってたから
知らないだろうがな」
「あ、はい、ソウデスネ……」
面倒くさそうに自己紹介されたが、全く状況が飲み込めない。
突然、顎をぐいっと上げられ
マジマジと見つめられる。
「ほらっ、口開けてアーって言ってみろ」
「あ、アーっ?」
ーー診察してるのか……ビックリした
「自分の名前は解るか?」
「れ、レティシア?です」
「うん、意識もハッキリしてるみたいだな
どっか痛い所とか違和感はあるか?」
「ベッドから落ちて、足が痛い位で
それ以外は大丈夫です。
あの、ここは病院ですか?」
「ここは、魔法院の地下にある魔法研究所だ
嬢ちゃんは魔力が枯渇して死にかけたんだ。
魔力回復薬も治癒術も効かないから
仮死状態にして、培養液のカプセルに
入れて回復を待ってたんだ」
レティシアの様に魔力が枯渇して
危険な状態に陥った場合、培養液の
カプセルの中に入れられ回復を待つ治療が行われている。
培養液のカプセルは母親の胎内の様な
状態を人工的に作り出し、食事や排泄もする事無く、必要な治療薬や栄養素を与えられる為患者へのダメージが少なく回復も早い。
「あの…わたくしはどれ位眠って
いたのでしょうか?」
「あぁ、5年だな
後数日目覚めるのが遅ければ延命措置を
切られる所だったぞ危なかったな」
淡々と恐ろしい事を言われ唖然とする
「ご、5年も?そんな!
後3年しかない。ど、どうしたらいいの
ふっ、うあぁ……」
ジェイド達のトラウマを回避出来たのか
解らないまま、5年の月日が経っていた。
ヒロインと出会うまでには後3年。
小学生から中学生に移り変わる多感な時期を、共に過ごす事無く真っ新な状態で人間関係を新たに構築しなければならない。
その上、対処しなければならない事も
山積みだった。
レティシアはパニックになり感情を抑える事が出来なかった。
「あぁ、もう……ショックだろうが命は
助かったんだ。5年も眠ってて身体に異常も無いし、ちゃんと成長もしてるんだ。
普通だったら死んでる!
まだ13歳じゃないかこれから楽しい事は
いっぱいあるだろうから泣くな」
クリフはレティシアを落ち着かせようとするが、レティシアは焦点の定まらない目で
涙を流しながら頭を抱えていて
レティシアの耳には届かない。
「あと、3年……どうしよう
死にたくない!
なんでいつも私だけ、なんで?なんで……」
「嬢ちゃん落ち着け、嬢ちゃんは死なない!」
「何も、知らないくせに……」
ポツリと呟いて急に冷静になった。
ーーこんな事をしている場合じゃない!
悲劇のヒロインぶってても誰も助けて
くれない。そんなの前世で嫌という程
味わったじゃない!
今やれる事をしなくちゃ……
とにかく、情報を集めないと!
「……クリフ先生
取り乱してごめんなさい
もう、大丈夫です
わたくしはいつ退院出来ますか?」
「えっ?あ……あぁ検査の結果も良好だから
明日には帰れるぞ。公爵にも嬢ちゃんが
目覚めたと知らせてあるから
そろそろ来るんじゃないか?」
「先生、身体に異常は無いんですよね?
それなら今日退院しても宜しいですか?」
「あ、あぁ構わないが
嬢ちゃん本当に大丈夫か?」
クリフが心配そうに見つめていると
遠くから足音が近づいて来て、レティシアの病室の扉が開く。入った来たのは父のルカスと兄のアレクセイだった。
「レティシア!」
2人はレティシアに駆け寄り抱きしめる。
プラチナブロンドだったルカスの髪は
完全に銀髪になり少年だったアレクセイは幼さが消え、精悍な顔立ちになっていて5年という月日の長さを感じさせる。
「レティ……あぁ目覚めたんだね
私の愛しい娘」
「顔を見せて、あぁ……お母様に
似てきたね。本当に良かった」
「お父様、お兄様!
心配かけてごめんなさい。
会いたかった……」
レティシアはその日のうちに退院して
屋敷に戻った。
それから暫くはリハビリをしながら情報を集めた。
ーージェイド様とフリードリヒ様は
留学中。アスラン様は遠征中か。
まだお会いする事は出来ないけど
やる事は山積みだわ……
後3年、いえ!まだ3年あるわ
必ず生き抜いてやる!
コポコポと水の音が聞こえていた。
母親の胎内の中は、こんな感じだったの
だろうか、温かくて居心地が良い。
ゆるゆると意識が覚醒していき、目を開けると水の中で、良く見えないけど透明な
カプセルの様な物の中に居るようだ。
ーーここは……どこだろう?
目を凝らして、身体を動かそうとすると、大きなアラーム音が鳴った。
すると、水がどんどん排出されていく。
水が肩まで排出されると、途端に苦しくな咳き込んだ。
余りに苦しくてまた意識が飛んだ。
次に目が覚めると、病室の様な真っ白な部屋のベッドの上に居た。
ーー病院、なのかな?……確かジェイド殿下達とお話して、気を失ったから病院に連れて
来られたのかも
ずっと寝て居るのも暇で、身体を起こして
ベッドから降りようとした。
バタンッ!
盛大にベッドから落ちた。
「痛いっ!なんで?足が思う様に動かない……」
ーー身体も大きくなっているし 。
どういうことかしら?
何がどうなっているのか、困惑していると
ノックもなしに男が入って来た。
「起きたか、あーあーもう
そんなすぐ歩ける訳が無いだろうが!
まだ寝てろ」
抱きかかえられ、ベッドに戻される。
男はブルネットのボサボサの髪を
一つ結びにした緑色の瞳で無精髭を生やした
白衣を着た医師の様だった。
「俺は魔法医のクリフだ、嬢ちゃんの
担当医だがまぁ、ずっと眠ってたから
知らないだろうがな」
「あ、はい、ソウデスネ……」
面倒くさそうに自己紹介されたが、全く状況が飲み込めない。
突然、顎をぐいっと上げられ
マジマジと見つめられる。
「ほらっ、口開けてアーって言ってみろ」
「あ、アーっ?」
ーー診察してるのか……ビックリした
「自分の名前は解るか?」
「れ、レティシア?です」
「うん、意識もハッキリしてるみたいだな
どっか痛い所とか違和感はあるか?」
「ベッドから落ちて、足が痛い位で
それ以外は大丈夫です。
あの、ここは病院ですか?」
「ここは、魔法院の地下にある魔法研究所だ
嬢ちゃんは魔力が枯渇して死にかけたんだ。
魔力回復薬も治癒術も効かないから
仮死状態にして、培養液のカプセルに
入れて回復を待ってたんだ」
レティシアの様に魔力が枯渇して
危険な状態に陥った場合、培養液の
カプセルの中に入れられ回復を待つ治療が行われている。
培養液のカプセルは母親の胎内の様な
状態を人工的に作り出し、食事や排泄もする事無く、必要な治療薬や栄養素を与えられる為患者へのダメージが少なく回復も早い。
「あの…わたくしはどれ位眠って
いたのでしょうか?」
「あぁ、5年だな
後数日目覚めるのが遅ければ延命措置を
切られる所だったぞ危なかったな」
淡々と恐ろしい事を言われ唖然とする
「ご、5年も?そんな!
後3年しかない。ど、どうしたらいいの
ふっ、うあぁ……」
ジェイド達のトラウマを回避出来たのか
解らないまま、5年の月日が経っていた。
ヒロインと出会うまでには後3年。
小学生から中学生に移り変わる多感な時期を、共に過ごす事無く真っ新な状態で人間関係を新たに構築しなければならない。
その上、対処しなければならない事も
山積みだった。
レティシアはパニックになり感情を抑える事が出来なかった。
「あぁ、もう……ショックだろうが命は
助かったんだ。5年も眠ってて身体に異常も無いし、ちゃんと成長もしてるんだ。
普通だったら死んでる!
まだ13歳じゃないかこれから楽しい事は
いっぱいあるだろうから泣くな」
クリフはレティシアを落ち着かせようとするが、レティシアは焦点の定まらない目で
涙を流しながら頭を抱えていて
レティシアの耳には届かない。
「あと、3年……どうしよう
死にたくない!
なんでいつも私だけ、なんで?なんで……」
「嬢ちゃん落ち着け、嬢ちゃんは死なない!」
「何も、知らないくせに……」
ポツリと呟いて急に冷静になった。
ーーこんな事をしている場合じゃない!
悲劇のヒロインぶってても誰も助けて
くれない。そんなの前世で嫌という程
味わったじゃない!
今やれる事をしなくちゃ……
とにかく、情報を集めないと!
「……クリフ先生
取り乱してごめんなさい
もう、大丈夫です
わたくしはいつ退院出来ますか?」
「えっ?あ……あぁ検査の結果も良好だから
明日には帰れるぞ。公爵にも嬢ちゃんが
目覚めたと知らせてあるから
そろそろ来るんじゃないか?」
「先生、身体に異常は無いんですよね?
それなら今日退院しても宜しいですか?」
「あ、あぁ構わないが
嬢ちゃん本当に大丈夫か?」
クリフが心配そうに見つめていると
遠くから足音が近づいて来て、レティシアの病室の扉が開く。入った来たのは父のルカスと兄のアレクセイだった。
「レティシア!」
2人はレティシアに駆け寄り抱きしめる。
プラチナブロンドだったルカスの髪は
完全に銀髪になり少年だったアレクセイは幼さが消え、精悍な顔立ちになっていて5年という月日の長さを感じさせる。
「レティ……あぁ目覚めたんだね
私の愛しい娘」
「顔を見せて、あぁ……お母様に
似てきたね。本当に良かった」
「お父様、お兄様!
心配かけてごめんなさい。
会いたかった……」
レティシアはその日のうちに退院して
屋敷に戻った。
それから暫くはリハビリをしながら情報を集めた。
ーージェイド様とフリードリヒ様は
留学中。アスラン様は遠征中か。
まだお会いする事は出来ないけど
やる事は山積みだわ……
後3年、いえ!まだ3年あるわ
必ず生き抜いてやる!
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