悪役令嬢に転生したけど死亡エンド不可避?絶対に生き抜いてやる!

星華

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第一章幼少期編

避けられない運命

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「はぁ、はぁ、くるしぃ……」

一旦は回復したと思われたが、本筋に戻そうとするゲームの強制力なのか、レティシアは高熱を出した。
すぐに医師が呼ばれ、処置が始まる。
ルカスとアレクセイは、息も絶え絶えの
レティシアをただ、見ている事しか出来ず
苦悶の表情を浮かべている。

通常、この世界では魔力は10歳になってから
魔法院と呼ばれる、魔法を研究している
施設に行き、どんな魔法の適正を持っているか調べてから魔法を学び使える様になる。
学び始めは自分の限界が解らず、魔力切れで倒れてしまう者も少なくない。
魔力が枯渇してしまうと、身体の機能が上手く働かなくなり最悪死に至る。
そうならないように体力を付け、師に限界を見極めてもらいながら、適正のある魔法を伸ばして行くのが一般的だ。

レティシアは、突然魔法に目覚め自分の限界以上の力を使ってしまい魔力が枯渇してしまった。
中身は大人だが、8歳の小さな身体には
ダメージが大きく危険な状態が続いていた。

「……先生それしか方法は無いのですか?」

「はい、お嬢様は大変危険な状態です
このままでは、いつ命を落としてもおかしくはありません。魔法で一旦仮死状態にして
回復を待つしか、方法はありません」

ゲームの中で、レティシアが廃人の様に
なってしまったのは、魔法医と呼ばれる
魔法を使って医療行為を行う医師に、仮死状態にされた事で、エネルギーを使う事を最小限に抑え、時間をかけて回復していたからだった。

ーーこのまま、人形の様になった姿を
三人が見たらトラウマを与えてしまう。
それだけは避けたい……

「おと、さ、ま……」

「レティシア、喋ってはダメだ!」

「失礼致します。旦那様、ジェイド殿下
並びにフリードリヒ様、アスラン様が
いらっしゃいましたが……」

「それ所では無い、お帰り頂け!」

セバスチャンは静かに頷き、部屋を出行こうとしていた。

ーーダメ、このままでは何も変えられない!

「せ、セバス、お願い、殿下達を呼んで下さい……」

「レティシア?何をっ、ダメだ
喋ってはいけないっ!」

「おとうさま、お願いよ……」

レティシアは、ルカスの手を弱々しく握り
瞳は涙を溢れさせて懇願していた。

「レティシア、くっ、解った。セバスチャン
殿下達をこちらに……」

「はい、旦那様」

慌てた様子で、ジェイド達はレティシアの
部屋に入って来た。
虫の息で、血の気の引いた今にも儚く消えてしまいそうなレティシアを見て、三人は震えて絶句する。

「……こんな姿でごめんなさい」

「レティシア!どうしてこんな、
元気になったって……」

ジェイドは、レティシアのベッドに駆け寄り
手を握る。
フリードリヒと、アスランもショックで
顔を強張らせながらレティシアの手を握る。

「お礼が、言いたくて……」

レティシアは、弱々しくも笑顔を作り三人を見つめる三人は、ただ手を握るしか出来ずに頷く。

「アスランさま、私を庇って怪我をさせてしまってごめんなさい……助けてくれてありがと」

アスランは森で襲われた時に、暗殺者から武器を奪い、大立ち回りをした。
その際に、レティシアを狙って来た暗殺者から庇い額に傷を負ってしまった。回復士により傷は塞がったが痕が残ってしまっていた。

「い、いいんだ!レティを助けられたなら
この傷は勲章だ……」

アスランは誇らしげに胸を張る。

「フリードさまの魔道具の
おかげで、みんな耐えられました。
……ありがとう」

フリードリヒは魔道具を作る事が得意で、森に入ったのも、親に見つからずに魔道具を使って遊ぶ為だった。
暗殺者達との戦いは長時間に及び、子供の体力では到底耐えられない物だったが、フリードリヒの持っていた魔道具で、攻撃をしつつ回復をしながら持ち堪え無ければ、すぐに全滅していた。

「……はぁ、はぁ、ジェイドさまのおかげで
みんな、助かりました。
だけど二度といのち、を、盾にしないで貴方の代わりは、はぁ、はぁ、いないの」

ジェイド、アスラン、フリードリヒは、子供にしては、プロの暗殺者達に対して好戦していた。だが、時間が経つにつれ経験の差か最終的に追い詰められた。
ジェイドは、自分の命を狙って来たと理解していたため、レティシア達の命を助けるという条件で自分の身を差し出した。
ジェイドが、暗殺者に今にも殺されそうになった時、レティシアの魔力が発動して
暗殺者達を攻撃し、戦闘不能にした。
レティシアのまだ拙い攻撃では、通常であれば致命傷は負わせられなかっただろうが、三人が攻撃して弱らせていた事で、倒す事が出来たのだった。

ゲームの中では、ジェイド達は命がけで生還したのにレティシアが廃人の様になってしまったことに絶望した。
お互い顔を合わせると、嫌な思い出が蘇ってしまい、成長してもギクシャクした関係が続いた。結局最後まで、三人は仲の良かった幼馴染には戻れなかった。

ーーまだ幼い三人が命がけで乗り越えたこの経験を私のせいで無にしたくない!
お願い、あんなに仲の良かった三人が離れ離れになりませんように……

「み、みんなが居てくれて良かった。
三人はわたくしの誇りです!
……元気になったらまた遊んでくれる?」

「レティ、レティ……もちろんだ!」

ジェイド達は泣きながら頷き、レティシアの手を強く握りしめた。
その姿に安堵した表情を浮かべて、そのままレティシアは気を失った。

「レティシア、レティ?先生処置を、早く!レティシアああぁ…」

ルカスの絶叫が響き渡り、ジェイド達は部屋の外に出された。
危険な状態にあったレティシアは魔法医にすぐに仮死状態にされた。それから5年もの間、眠り続けたのだった。
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