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ここはどこ!
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目を覚ました瞬間、モモナは自分の手を見て固まった。
指が……ある。
爪も、肉球も、ない。
でも耳はある。尻尾もふさふさ。なんで?
「……あれ? わたし、猫だったよね?」
中世風の石造りの天井が目に映る。窓から差し込む朝日が、薄く紫がかった銀毛の耳を照らしていた。鏡に映ったのは、猫耳を持つクールな美少女——猫の獣人になったモモナの姿だった。
(……まさか、わたし、異世界転生したの?)
生前、モモナは18年も生きたメス猫だった。天寿をまっとうし、最期に見たのは、大好きな飼い主「青葉」の涙。
(青葉……今ごろ、ごはんちゃんと食べてるかな……)
そんな心配をしていたのに、次の瞬間にはここ。異世界の村の神殿に転生していた。しかも“神獣の加護”とやらが付いていて、住人たちには「伝説の獣人様!」と崇められている。困る。威嚇したくなる。
「でも、それどころじゃない……青葉も、こっちに来てる気がするの」
胸がざわつく。飼い主レーダーが反応している。「青葉、泣いてる!」
⸻
一方その頃、王都の大聖堂。
少女・青葉は涙をこらえながら、異世界の空の下にいた。
「えっと……あの……無理です。聖女とか、光の加護とか、私じゃ無理ですぅ……っ」
いきなり召喚され、「聖女様」と呼ばれ、魔王に立ち向かえとか、民を救えとか。無理に決まってる。前世ではただの猫好きの社畜だったのに。
涙を拭くその手に、ふと、懐かしい毛並みの感触が蘇った。
(モモナ……)
⸻
「青葉に、そんな無茶させてたまるかにゃ!」
獣人モモナは飛び出した。猫の身体能力をそのまま引き継いだ彼女は、木々の上を駆け、屋根を走り、王都を目指す。
もう一度、青葉に会いたい。ただそれだけ。
「わたしが青葉を守るの! 青葉にむりはさせないの!」
——そして、運命の再会は、もうすぐ
指が……ある。
爪も、肉球も、ない。
でも耳はある。尻尾もふさふさ。なんで?
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「でも、それどころじゃない……青葉も、こっちに来てる気がするの」
胸がざわつく。飼い主レーダーが反応している。「青葉、泣いてる!」
⸻
一方その頃、王都の大聖堂。
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「えっと……あの……無理です。聖女とか、光の加護とか、私じゃ無理ですぅ……っ」
いきなり召喚され、「聖女様」と呼ばれ、魔王に立ち向かえとか、民を救えとか。無理に決まってる。前世ではただの猫好きの社畜だったのに。
涙を拭くその手に、ふと、懐かしい毛並みの感触が蘇った。
(モモナ……)
⸻
「青葉に、そんな無茶させてたまるかにゃ!」
獣人モモナは飛び出した。猫の身体能力をそのまま引き継いだ彼女は、木々の上を駆け、屋根を走り、王都を目指す。
もう一度、青葉に会いたい。ただそれだけ。
「わたしが青葉を守るの! 青葉にむりはさせないの!」
——そして、運命の再会は、もうすぐ
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