アオバと

neko12

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きたよ!

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青葉は、大聖堂の一室で膝を抱えていた。

 召喚されてから三日。
 異世界の言葉も少しずつ分かってきたけれど、やはり現実感はない。
 彼女を囲むのは神官や騎士たち。みな一様に「聖女様」と呼び、笑顔を見せる。でもその奥に、何かを押しつけようとする圧を感じていた。

 「魔王の瘴気を祓っていただければ、戦局は有利になります」
 「国王陛下も、聖女の祝福を心待ちに──」
 「精霊様も、貴女を選ばれたのです。誇りに思ってください」

 「……もう、むり……モモナ……」

 そう呟いた瞬間、心が軋んだ。

 あの子は、18年も生きて、最後に私の腕の中で静かに目を閉じた。
 賢くて、クールで、でもほんとは誰より優しかった。
 「モモナ」って呼ぶと、そっと横に来て、スリスリしてくれた。

 そのときだった。

 ドォォン!

 遠くで爆発音。続いて、騎士たちの怒号と、衛兵の笛。

 「何者かが、大聖堂の屋根に侵入しました!」



 一方その頃──屋根の上。

 茶トラの髪と猫耳、金の瞳を持つ少女──モモナは、神殿の尖塔の上で風を感じていた。

 「……ここ。絶対ここにいる。青葉のにおいがする」

 嗅覚はまだ健在だった。むしろ人間の言葉が話せる分、いろんな感情がはっきりわかる。

 (泣いてる……青葉、やっぱり泣いてる!)

 モモナは跳んだ。衛兵たちが気づいて騒ぎ出すも、気にしない。

 ただ一つの願いのために。



 そして──

 バァン!

 部屋の窓が割れて、風が巻き込んだ。

 青葉は驚いて顔を上げた。

 そこに立っていたのは、
 猫耳の、獣人の、美しい少女。

 でも、その金の瞳を見た瞬間、彼女は確信した。

 「……モモナ?」

 「あぴちゃん!」

 駆け寄って、だきしめる。モモナは尻尾をフリフリして、青葉の頬に顔をスリスリした。

 「よかった~! 生きてた! 元気じゃなさそうだったけど……でも、生きてて、会えて……にゃあああん……!」

 涙ぐむモモナを、青葉もぎゅっと抱きしめ返す。

 「夢じゃないよね……モモナ……会いに来てくれたんだね……」

 「青葉が泣いてたら、わたしがぜったい助けに来る!」



 外では騎士たちが騒いでいたが、モモナはくるっと振り返り、堂々と宣言した。

 「青葉にこれ以上むりさせたら、あんたたちのこと許さないから!」

 その目が光ると、神殿の魔除けが一瞬で吹き飛んだ。
 モモナの力は、“神獣の加護”などという生やさしいものではない。

 青葉を泣かせた奴らは、全員許さない。
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