アオバと

neko12

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聖女の代わりに

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王都に激震が走ったのは、青葉のもとへ“獣人の少女”が突入してから五分後のことだった。

 大聖堂の結界が砕け、警備魔法陣がすべて無力化。
 そして、「聖女の部屋」を占拠したモモナは、誰の指示も許さず、青葉の傍から一歩も離れなかった。



 「……この子はもう、“聖女”じゃない。体も、心も限界だった」

 騎士団長の問いかけに、モモナは感情のない声でそう告げた。

 「代わりは私がする。しばらく、“聖女代理”として動く。文句はある?」

 神官たちは沈黙し、騎士団は目を見開いた。
 青葉本人は唖然として、モモナの袖を引いた。

 「モモナ……どうして……私、役立たずだったのに……」

 「泣いてた。だから、私が代わる。あぴちゃんは寝てていい」

 短く、静かな言葉。だけどそこには、18年分の愛情と信頼が詰まっていた。



 翌朝。

 魔物の群れが城下に迫るという報告が届く。

 神殿側は騎士団を出そうとしたが、モモナは一言だけ告げて、単身フィールドに降りた。

 「大丈夫。私一人で片づける」

 草原の向こう、20体以上の魔物たちが咆哮を上げる。
 元・猫とは思えない俊敏な身のこなしで、モモナは敵陣へ踏み込んだ。

 剣は持たない。魔法も唱えない。

 ただ、“動き”だけで終わらせた。

 鋭い爪と、超速の脚。急所を正確に貫き、敵は1分以内に殲滅された。



 神殿に戻ったモモナは、報告もせず青葉の部屋に入る。

 彼女は静かに、ベッドで眠る青葉の髪を撫でた。

 「全部、私がやるから。もう、無理しなくていい」

 そう呟いた瞳は、どこまでも冷たく、そして深い優しさを湛えていた。



 一方、王宮ではささやき声が飛び交う。

 「……あの獣人、何者だ」
 「聖女を守るふりをして、実は国家転覆を狙っているのでは……?」

 だが一人の将軍だけが、ぽつりと呟いた。

 「いや、あれは違う。あの目は……“飼い主を守る獣の目”だ」
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