アオバと

neko12

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鍵尻尾

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王宮の奥深く、国家魔術研究院の大広間に、モモナはただ一人立っていた。

 周囲を囲むのは、魔法士、占術師、精霊術師──異世界でも最上位とされる賢者たち。

 彼らは震えていた。

 「……解析不能です」
 「この少女から発される力、精霊の加護ではありません。神でも魔でもない……」
 「まるで、意志を持つ“祝福”そのもの」

 冷静な顔でそれを聞いていたモモナが、ゆっくりと口を開いた。

 「それはアピちゃんを守るためだけに、私に宿った力。誰にも説明する気はない」

 「アピ……? ああ、聖女様のことか」

 その言葉に、モモナの金の瞳が細く鋭くなる。

 「その呼び方、二度と口にしないで。……あれは、私だけの呼び方」

 ひとつ息を吐き、背を向けて歩き出す。

 誰も、彼女を引き止められなかった。



 その夜、青葉はモモナの膝に頭を乗せていた。

 「ねぇ、モモナ。無理してない?」

 「私は強いよ。アピちゃんと違って、メンタルは鉄筋コンクリート」

 「ふふ、なにそれ」

 アピちゃんは、モモナの尻尾をそっと手に取る。

 カギのように曲がった先端を、両手で包むように撫でながら、優しく言った。

 「モモナの尻尾、やっぱり“幸せの鍵尻尾”だね……。この子といると幸せになれるって、おかあが言ってた」

 「……私は、アピちゃんの鍵になりたい」

 「うん、もうなってるよ。モモナがいるだけで、全部開く気がする」

 そう言って、青葉はモモナの頭に手を伸ばし──目の上から、優しく撫でた。

 モモナはわずかに目を閉じ、猫だったころの記憶を思い出す。

 静かな日差し、窓辺のクッション、指先のあたたかさ──

 「……うん、やっぱり撫でるの上手。前と同じ」

 「え? なに?」

 「別に。感想言っただけ」



 その頃、魔王城。

 「聖女が潰れたと思ったら……今度は“獣人”か。おもしろい」

 仮面の男が、青い炎の玉を覗き込む。

 そこに映る、クールな猫耳少女と、彼女を撫でる聖女。

 「飼い主に忠義を尽くす獣か……。さて、“壊す”価値はあるか?」

 魔王軍が動き出そうとしていた。
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