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みなぎる
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王都の空が、黒く染まった。
魔王軍がついに動き出した。
空を覆う黒翼の魔獣、地を這う不死の兵士たち。
そして先陣を切るのは、仮面の使徒たち──“聖女狩り”の精鋭。
⸻
「モモナ、怖くない?」
私がそう聞くと、モモナは短く返した。
「アピちゃんがそばにいるから、怖くない。……それより、君は?」
「昔なら……泣いてたかも」
私は笑った。
思い出す。
学校が嫌で、よく泣いて帰った日々。
友達とのトラブル、先生に怒られた日、心が擦り切れたような放課後。
そして──お母さんに叱られ、泣きじゃくっていた私の横に、
いつもモモナがいた。
雉トラの毛並み、胸元の白いふわふわ。
何も言わず、ただ隣に寄り添ってくれていた。
「……だから今度は、私がそばにいるよ」
⸻
敵の魔力が押し寄せる。
でも、私は逃げなかった。
モモナの尻尾──鍵のように曲がった先端に、私の手を重ねた。
その瞬間、世界が変わった。
⸻
光が弾け、二人を中心に金色の魔法陣が広がる。
それは、神聖でも邪でもない──
**“共鳴”**だった。
私の中の力が、モモナに流れ込む。
癒しの力が、彼女の肉体と魂を貫き、昇華させていく。
「……すごい。アピちゃん、これ……君の力?」
「ううん、二人の力だよ」
⸻
モモナの髪が風に揺れ、瞳が光を帯びる。
肩には雉トラの紋、胸元には白い光の刻印。
そして、背中に現れたのは──銀の羽。
それは獣人にはありえないものだった。
神と契約した者にしか与えられない、守護の証。
⸻
「アピちゃん、私、行ってくる。全部終わらせる」
「うん。戻ってきたら……目の上から、いっぱい撫でてあげる」
「約束」
そう言って、モモナは跳んだ。
屋根を蹴り、空へ舞い上がる。
その姿は、ただの獣人ではなかった。
人の心に寄り添い、泣く少女を何度も救った、一匹の猫だった。
⸻
空中で迎え撃つ魔王軍。
黒い雷が放たれ、モモナに襲いかかる。
だが、彼女の手から放たれた爪撃は、空を裂き、雷を無力化した。
「これが、アピちゃんの泣き顔を守る力」
その言葉とともに、空が金に染まる。
⸻
王都の民は、その光を見た。
恐怖の夜を照らす、二人の少女の共鳴の光を。
魔王軍がついに動き出した。
空を覆う黒翼の魔獣、地を這う不死の兵士たち。
そして先陣を切るのは、仮面の使徒たち──“聖女狩り”の精鋭。
⸻
「モモナ、怖くない?」
私がそう聞くと、モモナは短く返した。
「アピちゃんがそばにいるから、怖くない。……それより、君は?」
「昔なら……泣いてたかも」
私は笑った。
思い出す。
学校が嫌で、よく泣いて帰った日々。
友達とのトラブル、先生に怒られた日、心が擦り切れたような放課後。
そして──お母さんに叱られ、泣きじゃくっていた私の横に、
いつもモモナがいた。
雉トラの毛並み、胸元の白いふわふわ。
何も言わず、ただ隣に寄り添ってくれていた。
「……だから今度は、私がそばにいるよ」
⸻
敵の魔力が押し寄せる。
でも、私は逃げなかった。
モモナの尻尾──鍵のように曲がった先端に、私の手を重ねた。
その瞬間、世界が変わった。
⸻
光が弾け、二人を中心に金色の魔法陣が広がる。
それは、神聖でも邪でもない──
**“共鳴”**だった。
私の中の力が、モモナに流れ込む。
癒しの力が、彼女の肉体と魂を貫き、昇華させていく。
「……すごい。アピちゃん、これ……君の力?」
「ううん、二人の力だよ」
⸻
モモナの髪が風に揺れ、瞳が光を帯びる。
肩には雉トラの紋、胸元には白い光の刻印。
そして、背中に現れたのは──銀の羽。
それは獣人にはありえないものだった。
神と契約した者にしか与えられない、守護の証。
⸻
「アピちゃん、私、行ってくる。全部終わらせる」
「うん。戻ってきたら……目の上から、いっぱい撫でてあげる」
「約束」
そう言って、モモナは跳んだ。
屋根を蹴り、空へ舞い上がる。
その姿は、ただの獣人ではなかった。
人の心に寄り添い、泣く少女を何度も救った、一匹の猫だった。
⸻
空中で迎え撃つ魔王軍。
黒い雷が放たれ、モモナに襲いかかる。
だが、彼女の手から放たれた爪撃は、空を裂き、雷を無力化した。
「これが、アピちゃんの泣き顔を守る力」
その言葉とともに、空が金に染まる。
⸻
王都の民は、その光を見た。
恐怖の夜を照らす、二人の少女の共鳴の光を。
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