アオバと

neko12

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鍵尻尾の記憶

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 あの戦いの夜から、私は変わった気がしていた。

 手をかざすと、微かに暖かい光が滲む。
 モモナに触れると、彼女の力が明らかに増していく。

 「これは、私の力……? でも、どうして今まで気づかなかったの……?」

 モモナは黙っていたけれど、私にはわかった。
 彼女は気づいていた。ずっと前から。



 「昔から、不思議だったんだ」

 私はモモナの尻尾をそっと包んだ。

 カギ状にくるんと曲がった、その先端。

 「この“鍵尻尾”に触れると、いつも気持ちが落ち着いた。悲しいとき、苦しいとき、何も言わずに寄り添ってくれて……」

 「鍵だったんだ。アピちゃんの心を守る鍵」

 モモナがそう言ったとき、部屋に光が溢れた。

 私の手から、彼女の尻尾から、柔らかく、深く、あたたかい光が。

 そして──記憶が蘇る。



 私の幼い頃、よく学校が嫌で泣いていた。
お母さんに叱られた時も、間に入って庇ってくれていた。

 胸元が真っ白で、ふわふわで、
 ぺろりと舌を出す癖のあるあの子。

 「モモナ……ずっと、見守ってくれてたんだね」

 「ずっと、そばにいた。死んでも、アピちゃんのことが忘れられなかった。だからここに来た」

 「モモナ……ありがとう」

 私は、彼女の頭をそっと撫でた。目元から額まで、ゆっくりと。

 モモナは、少しだけ目を細めた。
 昔と同じ、満ち足りた表情で。



 そのときだった。

 部屋の空気が震え、天井に魔法陣が浮かぶ。

 「……また来たか」

 モモナが立ち上がる。

 でも、今回は違った。
 私の手が、自然とモモナの背中へと伸びる。

 「モモナ、行こう。一緒に」

 「……いいの?」

 「私の力は“癒し”じゃない。あなたの力を、完全に引き出す“鍵”なんだ」

 次の瞬間、私たちの体が金色に包まれる。

 モモナの姿が、淡い光とともに変わっていく。
 雉トラの紋が肩に浮かび、白い胸元の印が輝いた。

 ──これは、ただの転生じゃない。
 魂ごと、生まれ変わったんだ。



 外では、魔王の使徒たちが王都に向けて進軍していた。

 でももう恐れない。
 私は一人じゃない。
 そして、モモナはただの獣人じゃない。

 “鍵尻尾”が導く絆は、二つの命を繋いだ、真実の力だった。
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