6 / 7
鍵尻尾の記憶
しおりを挟む
あの戦いの夜から、私は変わった気がしていた。
手をかざすと、微かに暖かい光が滲む。
モモナに触れると、彼女の力が明らかに増していく。
「これは、私の力……? でも、どうして今まで気づかなかったの……?」
モモナは黙っていたけれど、私にはわかった。
彼女は気づいていた。ずっと前から。
⸻
「昔から、不思議だったんだ」
私はモモナの尻尾をそっと包んだ。
カギ状にくるんと曲がった、その先端。
「この“鍵尻尾”に触れると、いつも気持ちが落ち着いた。悲しいとき、苦しいとき、何も言わずに寄り添ってくれて……」
「鍵だったんだ。アピちゃんの心を守る鍵」
モモナがそう言ったとき、部屋に光が溢れた。
私の手から、彼女の尻尾から、柔らかく、深く、あたたかい光が。
そして──記憶が蘇る。
⸻
私の幼い頃、よく学校が嫌で泣いていた。
お母さんに叱られた時も、間に入って庇ってくれていた。
胸元が真っ白で、ふわふわで、
ぺろりと舌を出す癖のあるあの子。
「モモナ……ずっと、見守ってくれてたんだね」
「ずっと、そばにいた。死んでも、アピちゃんのことが忘れられなかった。だからここに来た」
「モモナ……ありがとう」
私は、彼女の頭をそっと撫でた。目元から額まで、ゆっくりと。
モモナは、少しだけ目を細めた。
昔と同じ、満ち足りた表情で。
⸻
そのときだった。
部屋の空気が震え、天井に魔法陣が浮かぶ。
「……また来たか」
モモナが立ち上がる。
でも、今回は違った。
私の手が、自然とモモナの背中へと伸びる。
「モモナ、行こう。一緒に」
「……いいの?」
「私の力は“癒し”じゃない。あなたの力を、完全に引き出す“鍵”なんだ」
次の瞬間、私たちの体が金色に包まれる。
モモナの姿が、淡い光とともに変わっていく。
雉トラの紋が肩に浮かび、白い胸元の印が輝いた。
──これは、ただの転生じゃない。
魂ごと、生まれ変わったんだ。
⸻
外では、魔王の使徒たちが王都に向けて進軍していた。
でももう恐れない。
私は一人じゃない。
そして、モモナはただの獣人じゃない。
“鍵尻尾”が導く絆は、二つの命を繋いだ、真実の力だった。
手をかざすと、微かに暖かい光が滲む。
モモナに触れると、彼女の力が明らかに増していく。
「これは、私の力……? でも、どうして今まで気づかなかったの……?」
モモナは黙っていたけれど、私にはわかった。
彼女は気づいていた。ずっと前から。
⸻
「昔から、不思議だったんだ」
私はモモナの尻尾をそっと包んだ。
カギ状にくるんと曲がった、その先端。
「この“鍵尻尾”に触れると、いつも気持ちが落ち着いた。悲しいとき、苦しいとき、何も言わずに寄り添ってくれて……」
「鍵だったんだ。アピちゃんの心を守る鍵」
モモナがそう言ったとき、部屋に光が溢れた。
私の手から、彼女の尻尾から、柔らかく、深く、あたたかい光が。
そして──記憶が蘇る。
⸻
私の幼い頃、よく学校が嫌で泣いていた。
お母さんに叱られた時も、間に入って庇ってくれていた。
胸元が真っ白で、ふわふわで、
ぺろりと舌を出す癖のあるあの子。
「モモナ……ずっと、見守ってくれてたんだね」
「ずっと、そばにいた。死んでも、アピちゃんのことが忘れられなかった。だからここに来た」
「モモナ……ありがとう」
私は、彼女の頭をそっと撫でた。目元から額まで、ゆっくりと。
モモナは、少しだけ目を細めた。
昔と同じ、満ち足りた表情で。
⸻
そのときだった。
部屋の空気が震え、天井に魔法陣が浮かぶ。
「……また来たか」
モモナが立ち上がる。
でも、今回は違った。
私の手が、自然とモモナの背中へと伸びる。
「モモナ、行こう。一緒に」
「……いいの?」
「私の力は“癒し”じゃない。あなたの力を、完全に引き出す“鍵”なんだ」
次の瞬間、私たちの体が金色に包まれる。
モモナの姿が、淡い光とともに変わっていく。
雉トラの紋が肩に浮かび、白い胸元の印が輝いた。
──これは、ただの転生じゃない。
魂ごと、生まれ変わったんだ。
⸻
外では、魔王の使徒たちが王都に向けて進軍していた。
でももう恐れない。
私は一人じゃない。
そして、モモナはただの獣人じゃない。
“鍵尻尾”が導く絆は、二つの命を繋いだ、真実の力だった。
0
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる