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ぽっちゃり女子×犬系男子8
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「行ってきまーす!」
玄関先でそう声をかけて、私は大学への道を歩き始めた。
雲ひとつない空。穏やかな風を肌に感じる。
んー、いい天気だ!
先週新調したばかりのテラコッタ色のパンプスをはいた足が、軽やかに進む。
夏目荘から私の通う大学は歩いて15分ほどの距離にある。
そしてふと私は自分の右手に目をやって…
『へへへ。』
そう言って私の手首を握った陽介くんの熱と笑顔がよみがえった。
まるで私のことが大切だと言われているみたいに錯覚してしまうような優しい瞳。
そこまで考えて、私ははっと現実に引き戻された。
ぶんぶんと首を振って、あり得ない、と思い直す。
…でも、友達として、大切にされてると思うくらいはいいかな。
そう思い直し、私は再び大学への道を歩き始めた。
*
「おい陽介、いつまでゆるんだ顔してるんだよ。」
「いや、陽介はいつもこんな顔だろ。」
と朝ごはんを食べながら失礼なことを言う2人の言葉を横に流し、さっきの出来事を思い出す。
朝、控えめなノックが響いた時、ぼんやりと目が覚めたのを覚えている。
でも、眠くてそのままにしていると、俺のすぐ側でふわりと誰かが座るのを感じた。お味噌汁のいい匂いが部屋に広がって…
そして…
「…天使みたい。」
花ちゃんの声と、控えめに、優しく俺の頭をなでた温かい手。
そして山岡の声と、焦ったように出て行く花ちゃんの足音。
もしかして、花ちゃんに触れられた?
いつも一定の距離を保って、俺に近づこうとしないあの花ちゃんが?
近づくと、そっと距離を取るあの花ちゃんが?(あれ、もしかして俺嫌われてる?)
そう気付いた時、俺の心の中に何とも言えない幸せな気持ちがわき上がってきた。
どうしようもなく嬉しくて、そんな花ちゃんにもう一度触れて欲しくて、ご飯を配りに再び戻ってきてくれた花ちゃんの手首を掴んでしまった。
柔らかくて、温かい。
戸惑いながらも少し赤くなっている花ちゃんがかわいい。
もっと触りたい、花ちゃんの色んな表情を見てみたい。
『恋愛感情は、いつも一緒にいたいとか、触れ合いたいとか、より相手と親密な関係望むもんじゃねーの?』
俺は…
『あ、あと独占欲!異性と楽しそうに話してる姿とか絶対見たくねー!」
ふと思い出した2人の言葉。
俺はもしかして…
はっきりと自分の気持ちに気づきそうになった時、
~♩
スマホの着信が響き渡った。
「あ、俺だ。」
スマホに視線を落とすと、そこには「マリ」という文字。
そう、そうだ。俺の彼女はマリだから。
ぶんぶんと首を振り、通話ボタンを押す。
「陽介ー!おはよう!」
マリらしい、朝から元気でハキハキとした声が耳に飛び込んでくる。
「おはよう。」
「起きてたー?今日10時からだからね!遅れないよう気をつけてー!」
「うん、分かったよ!」
「じゃあまた学校でねー!」
そう言ってすぐに切れた電話に思わず苦笑する。
マリはサバサバしている。俺にあまり何も求めない。
本当に友達のままのようだ。とても楽だ。でもそれが少し気がかりではある。だから、記念日やデートの時は楽しんでもらえるように計画する。
付き合った以上は大切にしたい。
でも、こんなことを思っている時点で、俺は間違っている気がするんだ。
だって、普通は大切だから付き合いたい、先の関係に進みたいと望むものだと思うから。
玄関先でそう声をかけて、私は大学への道を歩き始めた。
雲ひとつない空。穏やかな風を肌に感じる。
んー、いい天気だ!
先週新調したばかりのテラコッタ色のパンプスをはいた足が、軽やかに進む。
夏目荘から私の通う大学は歩いて15分ほどの距離にある。
そしてふと私は自分の右手に目をやって…
『へへへ。』
そう言って私の手首を握った陽介くんの熱と笑顔がよみがえった。
まるで私のことが大切だと言われているみたいに錯覚してしまうような優しい瞳。
そこまで考えて、私ははっと現実に引き戻された。
ぶんぶんと首を振って、あり得ない、と思い直す。
…でも、友達として、大切にされてると思うくらいはいいかな。
そう思い直し、私は再び大学への道を歩き始めた。
*
「おい陽介、いつまでゆるんだ顔してるんだよ。」
「いや、陽介はいつもこんな顔だろ。」
と朝ごはんを食べながら失礼なことを言う2人の言葉を横に流し、さっきの出来事を思い出す。
朝、控えめなノックが響いた時、ぼんやりと目が覚めたのを覚えている。
でも、眠くてそのままにしていると、俺のすぐ側でふわりと誰かが座るのを感じた。お味噌汁のいい匂いが部屋に広がって…
そして…
「…天使みたい。」
花ちゃんの声と、控えめに、優しく俺の頭をなでた温かい手。
そして山岡の声と、焦ったように出て行く花ちゃんの足音。
もしかして、花ちゃんに触れられた?
いつも一定の距離を保って、俺に近づこうとしないあの花ちゃんが?
近づくと、そっと距離を取るあの花ちゃんが?(あれ、もしかして俺嫌われてる?)
そう気付いた時、俺の心の中に何とも言えない幸せな気持ちがわき上がってきた。
どうしようもなく嬉しくて、そんな花ちゃんにもう一度触れて欲しくて、ご飯を配りに再び戻ってきてくれた花ちゃんの手首を掴んでしまった。
柔らかくて、温かい。
戸惑いながらも少し赤くなっている花ちゃんがかわいい。
もっと触りたい、花ちゃんの色んな表情を見てみたい。
『恋愛感情は、いつも一緒にいたいとか、触れ合いたいとか、より相手と親密な関係望むもんじゃねーの?』
俺は…
『あ、あと独占欲!異性と楽しそうに話してる姿とか絶対見たくねー!」
ふと思い出した2人の言葉。
俺はもしかして…
はっきりと自分の気持ちに気づきそうになった時、
~♩
スマホの着信が響き渡った。
「あ、俺だ。」
スマホに視線を落とすと、そこには「マリ」という文字。
そう、そうだ。俺の彼女はマリだから。
ぶんぶんと首を振り、通話ボタンを押す。
「陽介ー!おはよう!」
マリらしい、朝から元気でハキハキとした声が耳に飛び込んでくる。
「おはよう。」
「起きてたー?今日10時からだからね!遅れないよう気をつけてー!」
「うん、分かったよ!」
「じゃあまた学校でねー!」
そう言ってすぐに切れた電話に思わず苦笑する。
マリはサバサバしている。俺にあまり何も求めない。
本当に友達のままのようだ。とても楽だ。でもそれが少し気がかりではある。だから、記念日やデートの時は楽しんでもらえるように計画する。
付き合った以上は大切にしたい。
でも、こんなことを思っている時点で、俺は間違っている気がするんだ。
だって、普通は大切だから付き合いたい、先の関係に進みたいと望むものだと思うから。
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