きみとの距離

ぺっこ

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帰宅

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(よく似合ってるよく似合ってる…)

あの後、七瀬くんはすぐに部活に戻ってしまったが、1人残された私はひたすら七瀬くんが言ってくれた言葉を心の中で復唱し続ける。

…髪の毛切ってよかったーーー!!
1人なので顔がにやけるのも気にせず自分で自分に拍手を送る。

「なーにやってんのよ。」

とそこにいつからいたのか、りっかが私の顔を怪訝そうに覗き込む。

「うわっ!」

思わず仰け反ると

「でもそうなるのもしょうがないか!…おめでとーう!!」

怪訝そうな顔から一変、急に笑顔になったりっかに今度は私が首をかしげる。

…もしかして

「…聞こえてた?」
「ばっちり!」

いやー、階段登ってたらちょうど上に七瀬がいてさー、タイミングよかったから外から立ち聞きしてたわ!
と話すりっか。

…最初からいたんかい!
最後に1人で変なことをしているのを見られていたのは恥ずかしいが、りっかが喜んでくれて私も嬉しい。

「ほんと、よかったわね。」

優しく頭を撫でてくれたりっかに

「ありがとう。」

私は満面の笑みを返した。





「ただいまー!」

家に帰って自分の部屋に入ると私はそのままベッドに倒れこむ。

思い出すのはもちろん、七瀬くんのあの言葉。

「くふっ!」

思わず気持ち悪い笑い声があがってしまうのは許してほしい。

「なんだかめいちゃん、ご機嫌だね!」

と私しかいないはずの部屋で突然声が聞こえ、私は飛び上がる。

「…ちょっと圭ちゃーん、入る時はノックしてよー。着替えてたらどうするの?」

ソファの上にはにこにこしながら座っている弟の圭がいた。

「したけど返事がなかったんだ。」

そう言うと圭ちゃんはソファを降りてベッドの近くに腰掛ける。

「今日は部活休み?」

圭ちゃんは私とは違う高校に通う1年生。そして、七瀬くんと同じバスケ部だ。

「うん、バレー部が試合近いから体育館貸し切ってて。だから筋トレして帰ってきた。」

「ところでさ、めいちゃん、5/18日って暇ー?」

おもむろにそう尋ねられて、私は自分のスケジュールを思い出す。
…あ、思い出すまでもなく何もないわ。

「再来週の土曜日だよね?うん!ヒマヒマー!」

「わー、じゃあさ、その日めいちゃんとこの高校と練習試合あるんだけどさ、俺試合でるんだ。だから応援きてくれない?」

南高(私の学校)でやるからさ。と圭ちゃんは伺うように私を見つめる。
うーん、我が弟ながらその顔はとてもかわいい。

「もちろん行くー!」

と答えてはた?と首をかしげる。うちの高校と試合ということはもしかして七瀬くんもいるのか?

これは絶対行かねば!

「やったー!試合終わったらめいちゃんが作ったゼリー食べたい!」

腕を上げて喜んでくれる弟に

「わかった!大きいの作ってくから!」

と私は来週の土曜日に胸を高鳴らせた。
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