きみとの距離

ぺっこ

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和田くんの弟

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結局あの後、保健室の先生が戻ってきたことで、私達はそのまま別々に教室に戻った。

頭の痛みもすっかり引いた。

「妹みたい。」

さっきはショックだった言葉だが、よくよく考えてみると妹みたいだからということで、好きな人からたくさんスキンシップしてもらえるのはラッキーなのではないだろうか。

つまり、たくさんスキンシップしてもらうために、私はドジっ子になれば七瀬くんの目に入りやすいはずだ。

…なんて馬鹿らしい。

私は自分に対してため息をついて帰路についた。



「ただいまー!」

玄関を開けて中に入ると、リビングからお母さんがパタパタと走ってきた。

「めいちゃんおかえり!あのね、悪いんだけど、少し休んだら晩ご飯作るの手伝ってくれない?」

急いだ様子のお母さんにはた?と首をかしげる。

「いいけど、何か用事でもあるの?」

「ううん、あのね、今日は圭ちゃんのお友達が来るのよー!でもね、お母さんさっきまでお昼寝しちゃってて、もう17時だからびっくりしちゃって!」

ワタワタと手を動かして話すお母さん。相変わらずふわふわとしている。

ああ!そういえば、今日和田くんの弟さんが来るんだっけな。

どんな子なのかな。

長身で強面の和田くんを思い浮かべて、それとそっくりな弟さんを想像する。

ふふふ。和田くんが2人だと、なんか僧侶達の食卓みたいになりそう。
無言でご飯を食べ続ける彼らを想像して思わず笑ってしまう。

「めいちゃん何笑ってるの?」

不思議そうに顔を覗き込んでくるお母さんに私は慌てて顔を引き締める。

「ううん、なんでもない。じゃあ着替えてくるね!」

私はバタバタと階段を上がった。




……これは誰だろう。

「うわ~、とっても美味しそうですね!」

大きな目をキラキラとさせて食べ物を見る姿は小動物のようだ。

「どうぞー、いっぱい食べてね!」

「はいっ!」

彼がにっこりと笑うと周りに花が咲いたようなそんな温かい気持ちになる。

これは本当に和田くんの弟なのだろうか。


19時過ぎ、部活を終えた圭ちゃん達は帰ってきた。

和田くんの弟を楽しみにしていた私は玄関まで彼らを迎えに行った。

するとそこには

「めいちゃんただいまー!」

いつも通りの圭ちゃんと

「お邪魔します!」

小柄なかわいい男の子が立っていた。

「あっ、圭のお姉さんですか?俺、和田智樹といいます。はじめまして!」

緊張したようにぺこりを頭を下げた彼。

おおー、確かに和田だあ。

「はじめまして。圭の姉の芽衣子です。今日はゆっくりしていってね!」

そう言うと和田くんの弟、智樹くんはにっこり笑って

「ありがとうございます!」

と言った。
うわー、かわいい。すごくかわいい。

色白で目はクリクリの二重で、ベビーピンクの唇から紡ぐのはふわりとしたアルトの声。

さながら天使のような彼の容姿に勝手に母性本能がくすぐられた。

「うわー!この肉じゃが、すごく美味しいです!」

その上食べる料理にはいつも褒め言葉。

「良かったわあ。それ、めいちゃんが作ったのよ~」

お母さんも母性本能がくすぐられるのか、いつも以上ににこにこしながら智樹くんを見ている。

「えー、すごい!芽衣子さんはお料理が上手なんですねー!」

今度はキラキラした目で私を見る。
うっ、眩しい。

「えーっと、智樹くんは和田和樹くんの弟で良かったかな?」

思わずそう尋ねてしまった。

すると智樹くんはきょとんとしたあと笑って

「はい!あまり似てないんですけど、正真正銘、血の繋がった兄弟です!」

胸を張ってそう言う智樹くんは相変わらず可愛かった。



「それじゃあ、長い間お邪魔しました。」

ただ今21時過ぎ。
あれからお父さんも帰ってきて、みんなでお話をしているとこんな時間になってしまった。

「じゃあ智樹、また明日学校で!」
「うん!」

ぶんぶんと大きく手を振る智樹くんに、圭ちゃん以外の3人から「かわいい」というつぶやきがもれる。

そんな私たちに圭ちゃんは苦笑して

「智樹はどこに行ってもみんなのアイドルなんだよ。」

あれは一種の才能だよね。

そんなことを言っていた。
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