きみとの距離

ぺっこ

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あの頃と、今と

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そして滝川の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。


「えっ!!えええええ!」


今までの気まずさや私傷ついているんだからという気持ちが一気に吹き飛び、私は急いで立ち上がる。


「たっ、滝川!大丈夫!?」


急いでハンカチを取り出し、彼の頬の雫をひろう。


「ごめん、滝川。本当にごめんね。」


そしてこぼれ落ちた、心の奥にあった言葉。


彼が泣いている理由は分からないけど、私はあの日以来恥ずかしさと裏切られたという気持ちを感じてきた。でもそれ以上に滝川を無視したという罪悪感があった。


「っ!」


静かに涙を流していた滝川が、不意にハンカチを当てている私の手に触れた。


「…違う。違うんだ。」


キラキラと雫を目にためて、私を真っ直ぐに見つめた瞳が、ふっと優しく細められた。


「津島とまた話せて、本当に嬉しい。」


しぼり出したような声でそう言った滝川に私も鼻の奥がツンとした。


そして滝川はしばらく瞳を迷うようにさまよわせ、決心したように私を見つめた。


その瞳に心臓が嫌な音を立てる。


言葉がなくても分かる。


滝川は今、あの日のことを話そうとしている。


…私も決心を決めよう。


その瞳に答えるように、私も彼をしっかりと見つめた。


「…あのバレンタインの日、俺、本当はすごいワクワクしてたんだ。」


私の予想とは反対に、滝川の言葉は前向きに始まった。


「津島がいつもにこにこ笑いながら話を聞いてくれるのが嬉しくて、津島と会えたら嬉しくて…俺…」


ふっと真剣味をおびる滝川の瞳。


確かに感じる、甘い予感。


「津島のこと、好きだったんだ。」


その言葉を聞いた時、息が詰まった。
ぎゅっと胸を鷲掴みにされたようだった。


でも、だったら余計にあの日の言葉が理解できない。


だって、滝川は「楽しくない」と言った。私との時間を、全て否定するように。


「…だったらなんであの時…」


そう問いかけた言葉は、緊張でかすれた。





滝川は、自嘲するように笑って、私から目をそらした。




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