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仇花開花 五
だが、宦官は次の瞬間、見ている者が拍子抜けするほどにあっさりと、顔をはなした。
「ああっ……!」
刹那、アベルの悲痛な声がひびく。
聞けた者たちは幸せである。
宦官は身を起こすと、これみよがしに腰の皮紐をしめなおし、道具の位置を調整している。
「伯爵、ご安心なさい。すぐに満足させてくれるわよ、この宦官が」
客たちの失笑がこだまする。
木馬は、白馬のように、とまではいかないが、灰色めいた色で、形は本当に巧妙なつくりで、彫られた目は草食動物をあしらっただけあって優しそうだ。
だが、その目的はあまりに淫猥だ。
「さぁ、どちらが先に乗る?」
アグスティナの口調はいつものものに戻り、ひどく子どもっぽい。
「まずは宦官ね。……おまえ、名はなんというの?」
訊かれた宦官は一瞬、おどろいた顔になった。
「ロロ……です」
ぶっきらぼうに答えたあと、自分に名があったことを今思い出したかのような顔になった。当人自身も、その名を忘れていたのではないかと思えるぐらいだ。
「それじゃ、ロロ、まずおまえが馬に乗るのよ」
命じられたとおりに、用意された踏み台に上がり、ロロという名の宦官は木馬にまたがる。
「お次は伯爵、あなたよ」
アグスティナの声に、アベルは唇を噛んだ。
逃げれないことはわかりきっている。それでも、アベルはか細い声ですがるように抗う。
「い、いやだ……」
「なにを今さら。ほら、台にあがって」
「で、できない! 私にはできない!」
「なにを言っているのよ? グラリオンでは、木馬にまたがって大喜びしたという話ではないの。それを聞いたとき、人は見かけによないものだと思ったわ。さ、ここでも大喜びしてみせてよ。ロロがお待ちかねよ」
先に木馬に乗ったロロは腰から模造の性器を見せつけている。なんとも滑稽で、下品な光景だが、客の目は吸い寄せられてしまう。
「無理だ! 本当に無理なんだ!」
「まったく、困った人ね。仕方ないわ、おまえたちで乗せてあげなさい」
「ああっ……!」
刹那、アベルの悲痛な声がひびく。
聞けた者たちは幸せである。
宦官は身を起こすと、これみよがしに腰の皮紐をしめなおし、道具の位置を調整している。
「伯爵、ご安心なさい。すぐに満足させてくれるわよ、この宦官が」
客たちの失笑がこだまする。
木馬は、白馬のように、とまではいかないが、灰色めいた色で、形は本当に巧妙なつくりで、彫られた目は草食動物をあしらっただけあって優しそうだ。
だが、その目的はあまりに淫猥だ。
「さぁ、どちらが先に乗る?」
アグスティナの口調はいつものものに戻り、ひどく子どもっぽい。
「まずは宦官ね。……おまえ、名はなんというの?」
訊かれた宦官は一瞬、おどろいた顔になった。
「ロロ……です」
ぶっきらぼうに答えたあと、自分に名があったことを今思い出したかのような顔になった。当人自身も、その名を忘れていたのではないかと思えるぐらいだ。
「それじゃ、ロロ、まずおまえが馬に乗るのよ」
命じられたとおりに、用意された踏み台に上がり、ロロという名の宦官は木馬にまたがる。
「お次は伯爵、あなたよ」
アグスティナの声に、アベルは唇を噛んだ。
逃げれないことはわかりきっている。それでも、アベルはか細い声ですがるように抗う。
「い、いやだ……」
「なにを今さら。ほら、台にあがって」
「で、できない! 私にはできない!」
「なにを言っているのよ? グラリオンでは、木馬にまたがって大喜びしたという話ではないの。それを聞いたとき、人は見かけによないものだと思ったわ。さ、ここでも大喜びしてみせてよ。ロロがお待ちかねよ」
先に木馬に乗ったロロは腰から模造の性器を見せつけている。なんとも滑稽で、下品な光景だが、客の目は吸い寄せられてしまう。
「無理だ! 本当に無理なんだ!」
「まったく、困った人ね。仕方ないわ、おまえたちで乗せてあげなさい」
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