煉獄の歌 

文月 沙織

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「こ、この、狂人ども! おまえら全員、変態だ!」
 耳朶まで羞恥の色に染めながらも、敬は意地を捨てなかった。
「おやおや、これは、とんだお転婆てんばですねぇ。ちゃんと躾をしないとねぇ」
 かすかな笑いがさざ波のようにたつ。
「いい子になれるお薬をあげましょうね」
 その言葉に、敬は血が引くのを自覚した。
「や、やめろ!」
 おどけた仕草で男は服のポケットから、なにやら取り出す。
「安心おし、悪い薬じゃない。中毒性はないさ。まぁ、多少の副作用はあるけれどね」
 照明の下にあらわになったそれは、プラスティックの小さな容器だった。ラベルがついていないところから、市販されているものでないことがわかる。
 司会者がまるで指揮者のように手を振りあげると、敬の身体が宙に浮く。
「あっ、ああ!」
 敬は、かくすところのない身体を男二人の手によって吊り上げられるようされ、客席に背を向ける形にされた。
「よ、止せ! やめろ!」
 両脚を左右それぞれの男の手によって引っぱられる。
 羞恥の極みに敬はひきつった悲鳴をあげそうになる。
 もがけばもがくほど相手の思うつぼで、客たちを喜ばせるだけだと頭では解ってはいても、身体は本能に急かされて、動かずにいられない。
「さぁ、お転婆ちゃんがいい子になれるよう、お薬を塗ってあげましょうねぇ」
 地獄の底から響いてくるような、ねっとりとしたおぞましい声が敬の鼓膜を襲う。
「い、いやだ! やめろ! やめろってば!」
「はぁーい、いい子にしてぇ。皆さま、ご覧ください。これが、安賀敬の蕾です」
「ああっ!」
 客席に失笑の波がたつ。
 敬は、狂気におちいりそうになり、ほとんど舌を噛もうとしていた。
 新たな感触が敬の秘部に迫ったのと、舌に歯を当てたのは同時だった。
「うっ!」
 男の無骨な指が、容赦なく、蕾を割る。
(はぁ……!)
 あまりの衝撃に、頭のなかが真っ白になり、舌を噛む力も抜けた。
 痛みを感じなかったのは、その指が、先ほど見せつけられた容器の中身に濡れていたせいだろう。
 ねとりとした軟膏のようなものを敏感な箇所に感じて、敬はのけぞっていた。
「あ、よ、よせ……!」
 人差し指が、しっかりと蕾を割ってくる感触に敬は首を振った。
 数秒……、相手はまるで敬が指に慣れるのを待つかのように動きを静止している。
 客たちも蕾が開くを待つかのように、焦れったい数秒を待っているようだ。
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