燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 言うや、ディオメデスは、先ほどメロペが触れたリィウスの太腿の内側を撫であげた。どこかで、これは俺のものだ、という意思表示の気持ちもあったかもしれない。
 正直、メロペがリィウスの身体に触れた瞬間、ディオメデスはかなり不快に思ったのだ。
「まぁ、今夜はまず俺にまかせておけ。俺が一晩かけてしっかりと仕込んでやる。おまえたちが楽しむのはそれからだ」
 あまりにも屈辱的な暴言に、リィウスは耳朶まで恥辱に燃やして、ディオメデスを睨みつけた。いつもは怜悧な青い瞳は、今は火を吹きそうに燃えている。
「出ていけ! 下種ども!」
 その言葉はメロペとアウルスに向けたものだった。さすがに客となるディオメデスを拒絶することはできない身だとリィウスも身に染みているのだろうが、メロペたちにたいしては別だった。
「わ、私を買ったのはディオメデスだろう? おまえたちがここにいる権利はないはず!」
「いーや、実はそうじゃない」
 身を起こしてわめきたてるリィウスの上半身を軽く抱きしめ、ディオメデスはなだめるように告げた。
「ちゃんと、それだけの金はタルペイアに払っているさ。こいつらはここにいて、花嫁が純潔かどうか見届ける証人になるんだ」
 リィウスは怒りに真っ赤になり、次に恐怖にか真っ青になった。薄紅のたゆたうようなほのかな光のなかで感情をたぎらすリィウスからは、以前の取り澄ました冷たい雰囲気が消え、感情むきだしで、ディオメデスを興奮させた。
「こ、こんなこと……許されていいわけがない! あ、あんまりだ!」
 ディオメデスは吹き出したいのをこらえた。
 可哀想なリィウス。純情なリィウス。世の中に、こんなことはいくらでもあることを、この歳になるまで知らなかったとは。
初心うぶだな……。可愛い」
 小馬鹿にしたように、リィウスのこわばった白い頬に音をたてて接吻する。メロペがのけぞって笑う。
「では、可愛い花嫁の身体をとくと拝見させていただくとするか」
 人並みはずれて聡明なはずのリィウスの、思いもよらぬ幼稚さを見て、ディオメデスは悪い癖だが嗜虐心をたかめられた。
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