燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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「い、いやだ!」
 悲鳴じみた拒絶の声など無視し、ディオメデスは、リィウスの細い身体にからまっていた純白の衣を引きはがす。それは清純無垢を象徴する花嫁衣裳のようだった。あらわれたのは、なめらかな、雪も珠もあざむく白い肌である。
「うう……!」
 香油と汗にまみれて、水底のような薄闇の世界で、ぬめるように白く輝く裸体は妖しいほどに美しく、男たちに息を呑ませた。
 今やなけなしの覚悟もくずれたのか、三人の男たちのまえで辱しめられるという異常な状況に我をうしなったのか、自制できず渾身の力で抗うリィウスをおさえつけ、酷くもディオメデスはリィウスを守っていた最後の衣も剥ぎとった。
「ああ……」
 隠すもののない一糸まとわぬ姿にされたリィウスは、絶望の吐息をはなつ。
 ディオメデスは感嘆に唸りそうになった。
 小粒の苺のように可憐な胸の突起も、髪とおなじく鳶色のあわい茂みも、まだ成長段階にあるような早生わせの肉体の秘密も、すべてが見えそうで見えない宵闇のなか、なまじ陽光のもとで見るよりいっそう艶やかに晒しだされている。
「折れそうに細い身体だが……、ちゃんと引き締まっているんだな。もっとひょろひょろしていると思っていたが……。案外着太りする質だったんだな」
 こんなときにやけに冷静に観察しているアウルスの言葉が、リィウスの羞恥を煽ったようだ。
 悔しげに目を伏せる姿がいじらしい。だが、リィウスがそんなふうにいじらしければいじらしいほどに、ディオメデスの征服欲は燃えてしまうのだ。
「見えづらいな。蝋燭を増やすか?」
 メロペが細い目から情欲を垂らしながら、鼻息も荒くそんなことを言うのに、ディオメデスは首をふった。
「いや、このままでいい」
 このままの方が……美しい。ディオメデスは内心、感嘆の溜息を吐いた。
 さらに自分の買った最高級の商品をよく検分するために、アウルスに、リィウスの背後にまわって身体を押さえつけるように頼む。
「あっ! はなせ!」
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