燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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十二

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 怯えて力をうしなったようなリィウスの初心うぶな中心に、ふたたびディオメデスは手を伸ばした。
「あっ……」
 ほとんど気をうしなっていたリィウスも、やっと自分が何をされているか、されようとしているか気づいて、意識をしっかりと取り戻したようだ。
「あっ……! や、やめろ、」
「じっとしていろよ。暴れると噛んでしまうぞ」
 脅すように伝えてから、ディオメデスは身をかがめると、リィウスの若い茎を口にふくんだ。一瞬、アウルスが息を呑んだ気配がつたわってくるが、気にならず、ディオメデスはローマでは、男がするのは禁忌とされるその行為を継続した。
「くぅ……!」
 あわて、狼狽するリィウスを、ふたたび背後のアウルスが強くいましめる。
「そうだ、いい子に大人しくしていろ」
 同年代だというのに、自分のものとくらべると、まだどこか子どもめいていてい、いたいけにすら思えるその先端を、ディオメデスは舌先で舐め上げる。
「ひぃっ!」
 リィウスの反応は、思った以上に激しかった。
「な、何をする! や、止めろ! だ、駄目だ! 駄目だ、そんなこと!」
 抵抗や拒絶の声を黙殺し、しばし舌でいじってから、観察するようにリィウスの顔を見上げてみると、耳朶まで真っ赤に燃やして、青い目を涙できらきら輝かせ唇を噛みしめている。
(本当に無垢なお姫様のようだなぁ)
 ディオメデスは内心、苦笑した。
 貴族の令嬢とも何人か遊んでみたが、一番年若い十四の娘でも、今のリィウスよりももの慣れていたと思う。当節、めずらしいぐらい純情で、性に関する知識も、この享楽の時代において、異常にうすいようだ。
「ああ……、も、もう止めてくれ……」
 消え入りそうな声でせがまれ、ディオメデスは唇を舐めてから、好奇心でたずねた。
「どうした、これぐらいで? タルペイアに仕込まれたんじゃなかったのか?」
 リィウスは首を横にふる。質問への答えにではなく、口に出すことが嫌だという意味だろう。 そんな幼い仕草がまたディオメデスの狩猟本能をたかぶらせ嗜虐欲をたかめることに、どうしてこの聡明なはずの男が気づかないのか。
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