83 / 360
十三
しおりを挟む
内心笑いながらも、そんなリィウスの無防備さ、幼さが、壮絶な魅力となってディオメデスを煽り、惹きつけていることにディオメデス自身気づかない。
「気持ちよくしてやるから、いい子にしていろ」
舌先でかるく苛めてみる。
「はぁ!」
リィウスが切なげに身をよじり、のけぞる。
異常にたかぶった男たちの熱気で室内は汗ばむほどに暑く感じる。
しばしの舌戯の果てに、リィウスはディオメデスの口に情を吸いとられた。
「ああ……! あああ……」
紅を塗られた口唇から、悲しい敗北の歌のような喘ぎが漏れる。
トロイ陥落の際、サビニの略奪の折、やはり獣と化した男たちにさらわれ強姦された女たちはこんな声を漏らしたのだろうか、と柄にもなくディオメデスは古代の歴史絵巻を脳裏に思いえがいていた。
夫を殺されたアンドロマケは、父を殺されたカッサンドラは、拉致され、凌辱され、敵地でその後どんな人生を生きたのだったか……。また柄にもなくそんなことを思っている自分は少し妙だな、とディオメデスは思う。
そんなふうにやけに詩的な想いに走らされるのは、腕のなかの虜囚があまりに美しく、たおやかで、無残なすがたをさらしても高貴さを失くさないからだろうか。
二度も強制的に快をあたえられても、リィウスは清らかさと気高さをくずさない。
今までにも強姦同然に関係を強いた女や少年はいたが、皆最後は強引にあたえた快楽に墜ちて、淫らに浅ましい姿をディオメデスの前にさらした。
だが、リィウスはそうならない。
羞恥と悔しさに頬を染め、瞼を閉じてせつなげに震えるすがたは痛々しく、いじらしげでさえある。浅ましい、いやらしい、などと蔑む気持ちがまるで出てこない。
(困ったな……)
ディオメデスにとって、これは予期せぬ展開だった。
反目していた旧知の学友を、侮辱し、痛めつけ、むりやりに淫獄に堕とし、のたうちまわらせ、とことん傷つけてやりたくてしたことだった。
「気持ちよくしてやるから、いい子にしていろ」
舌先でかるく苛めてみる。
「はぁ!」
リィウスが切なげに身をよじり、のけぞる。
異常にたかぶった男たちの熱気で室内は汗ばむほどに暑く感じる。
しばしの舌戯の果てに、リィウスはディオメデスの口に情を吸いとられた。
「ああ……! あああ……」
紅を塗られた口唇から、悲しい敗北の歌のような喘ぎが漏れる。
トロイ陥落の際、サビニの略奪の折、やはり獣と化した男たちにさらわれ強姦された女たちはこんな声を漏らしたのだろうか、と柄にもなくディオメデスは古代の歴史絵巻を脳裏に思いえがいていた。
夫を殺されたアンドロマケは、父を殺されたカッサンドラは、拉致され、凌辱され、敵地でその後どんな人生を生きたのだったか……。また柄にもなくそんなことを思っている自分は少し妙だな、とディオメデスは思う。
そんなふうにやけに詩的な想いに走らされるのは、腕のなかの虜囚があまりに美しく、たおやかで、無残なすがたをさらしても高貴さを失くさないからだろうか。
二度も強制的に快をあたえられても、リィウスは清らかさと気高さをくずさない。
今までにも強姦同然に関係を強いた女や少年はいたが、皆最後は強引にあたえた快楽に墜ちて、淫らに浅ましい姿をディオメデスの前にさらした。
だが、リィウスはそうならない。
羞恥と悔しさに頬を染め、瞼を閉じてせつなげに震えるすがたは痛々しく、いじらしげでさえある。浅ましい、いやらしい、などと蔑む気持ちがまるで出てこない。
(困ったな……)
ディオメデスにとって、これは予期せぬ展開だった。
反目していた旧知の学友を、侮辱し、痛めつけ、むりやりに淫獄に堕とし、のたうちまわらせ、とことん傷つけてやりたくてしたことだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる