燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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十七

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「うう……ん」
 香りたつ薔薇の匂いと、触れあう身体の熱にディオメデスは酔いそうになる自分をどうにか制した。今夜はリィウスを徹底的に支配し、征服するつもりだ。一緒になって情欲に溺れるわけにはいかない。
「もう慣れたな? いいか、もう一本増やすぞ」
 ディオメデスが耳元に囁くと、リィウスはさすがに正気をとりもどし、怯えた声をあげた。
「も、もう、無理だ!」
「無理じゃないだろう。ここは、すっかり喜んでいるではないか?」
 ディオメデスの言葉を立証するように、リィウスの股間はほのかに熱を帯びはじめているのが知れる。互いの身体が密接しているので、その変化が伝わってくるのだ。
「ち、ちがう、これは違う!」
「なにが違う?」
 ここまできて、尚も必死にとりつくろうリィウスが哀れでいじらしい。そして、いじらしければいじらしいほどに、苛めてやりたいような嗜虐欲が高まるのがディオメデスという人間の我ながら困ったところだった。
「さ、増やすぞ。覚悟しろ」
 逃さないように、ほっそりとした肩をつよく抱きよせ、ディオメデスは二本の指に、さらに薬指を添えた。
「い、いや! 止めてくれ!」
「本当に往生際の悪い奴だな」
 くくくくく、と笑いをこらえきれず、ディオメデスは目的を遂行する。
「いや、いや、いや!」
 リィウスが頑是ない子どものように首を横に振るが、完全に逆効果だ。こんな可憐な姿を見て、止めれるわけがない。
「いい子にしていろ」
 ディオメデスはリィウスの耳元に囁いた。
「あああああ!」
 かたわらでメロペが息を飲み、アウルスが目を見張るのがわかる。
 二人に見せつけるように、ディオメデスは油にまみれた指で、リィウスの蕾をゆっくりと、じっくりと、蹂躙した。
 指を引いてみたり、さらに押し入ってみたりしてみる。
「うう、うう、うううう!」
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